2012年09月17日
チカーノ・ブルースマン
追記あり : 斜体赤字
今回は、この人を聴きました。
Randy Garibayというシンガーの97年のアルバム、"Barbacoa Blues"です。
この人は、以前に取り上げた、Sonny Aceのアルバムに、バックコーラスで参加していた人です。
ランディ・ガーリベイは、Doug Sahmのファン向けに紹介するなら、Dougの88年の名盤"Juke Box Music"で、名曲"What's Your Name"をDougとデュエットしていた人です。
長めのソロ・パートを交互に歌いあった、二人の名唱は素晴らしかったですね。
1. Chicano Blues Man (Randy Garibay)
2. Barbacoa Blues (Randy Garibay)
3. Too Close to the Border (Randy Garibay)
4. What Did You Think (Randy Garibay)
5. I Can't Stop Loving You Baby (James E. Lewis)
6. Viuda Negra (Black Widow Woman) (Randy Garibay)
7. Two Steps from the Blues (John Brown, Don Robey)
8. El Chupacabra (Randy Garibay)
9. Tell Me Why (Randy Garibay)
10. Curandera (Randy Garibay)
本盤の裏ジャケには、5人の人物によるRandy Garibayの紹介、推薦文が寄せられています。
その中から、3人の言葉の大意をご紹介します。
「ランディは、チカーノのジャッキー・ウイルソンだ。」
Clifford Antone (アントンズ・オーナー)
「ランディは、私の師匠(my mentor)です。私にとって、彼のステージ上でのとても自然なパフォーマンスを見ることは大きな楽しみです。」
Sunny Ozuna
「私は、まるで50年代から時を超えてきたような、ランディの素晴らしい声に魅了されています。
彼は、至高のチカーノ・ブルースマンです。
ランディは、Little Willie John、Joe Hinton、Junior Parker、Bobby Blue Blandらの伝統を汲んでブルースを歌い続ける稀有な存在です。」
Doug Sahm
うーむ、色々とつっこみどころがあると思いませんか。
本題に入る前に横道に逸れそうですが、私が気になったのは2点です。
サニー・オズナの「私の師匠」発言。
そして、ダグ・サームが、ジュニア・パーカーやボビー・ブランドと同じ並びで、ジョー・ヒントンの名前をあげていることです。
まず、Sunnyの発言ですが、Sunny Ozunaは世に知られた時期が早く、一つ前の世代のスターのようにも思えます。
しかし、SunnyとRandy、そしてDougの生年を比べると、思いのほか年齢が近いのでした。
同世代といってもいいでしょう。
Randy Garibay : 39年生れ02年没 享年63歳
Doug Sahm : 41年生れ99年没 享年58歳
Sunny Ozuna : 43年生れ 今年69歳
3人の中では、Randyが年長で、Sunnyが末っ子だったのでした。
次にDougの発言です。
Doug Sahmが、Junior ParkerやBobby Blandをアイドルとしていた事は、ファンの間では周知のことです。
その他、ブルース系では、Guitar Slim、T-Bone Walkerなどが思いつきます。
しかし、Joe Hintonをリスベクトしていたとは初めて知りました。
ウイリー・ネルソンの"Funny How Time Slips Away"(時の流れは早いもの)のカバーで有名な人で、ディープな面もありますが、どちらかと言えばバラーディアー・タイプのシンガーだという認識でした。
サザン・ソウル好きが多い日本のソウル・ファンの間では、あまり人気のない人ではないでしょうか。
まあ、Duke(Backbeat)時代はバックが素晴らしく、滑らかな歌い方は、Junior Parkerのテイストに通じるところがあるかも知れません。
などとタイプしているうちに、急にじっくり聴き返したくなってきました。
(簡単に影響を受けてしまうのでした。)
さて、本盤の参加メンバーは以下の通りです。
Randy Garibay : guitar、vocals
Jim Waller : keyboad、saxophone
Jack Barber : bass
Al Gomez : trumpet
Bobby Flores : steel guitar
録音は、サン・アントニオのスタジオで行われたようです。
ドラムスがノー・クレジットですが、Duke Anthonyという人ではないかと思います。
Doug Sahm人脈のJack barber、Al Gomezの参加が気になります。
Doug Sahmとの関係は、かなり古くまで遡るようです。
Dougがパーソナルなバンドを持つ前、Harlem Records時代の頃が出会いのようです。
Harlem時代の頃のDougは、色々と違う名義でレコードを出していました。
その中の一つに、Doug Sahm & the Pharaohsがありました。
私は、こういったものは、そのレコーディングの為だけに集められ、即席で名付けられたバンドかと思っていました。
しかし、Pharaohsは実在していて、正確にはバンドではなく、5人組のボーカル・グループだったようで、そのリード・シンガーがRandy Garibayだったのでした。
具体的には、Doug Sahm & Phraohs名義でリリースされた、"Crazy Daisy"/"If You Ever Need Me"(Warrior507)が、DougとRandyの最初の共演盤らしいです。
18歳の時、ギターを手に入れたRandyは、Sonny Ace & TwistersやCharlie and the Jives(どちらも地元のローカル・バンド)と演奏するため、純粋なDoo Wopグループだったファラオスを脱退します。
こうして、彼のチカーノ・ブルースマンとしてのキャリアが始まったのでした。
Randy Garibayは、これまで私が聴いてきた、Tejano Music系のチカーノ・シンガーとは一味違います。
何しろ、一流の聴き手から、チカーノ・ブルースマンと呼ばれている人なのです。
ルーツに根差したラテン系をやることもあるようですが、比較的控えめのようです。
Doug Sahmとのデュエット曲では気付かなかったことですが、本盤を聴いて、あるシンガーを連想しました。
それは、ニューオリンズのサザン・ソウル・シンガー、Johnny Adamsです。
Randy Garibayは、伸びと艶のある声が大変魅力的なシンガーです。
Johnny Adamsを連想したのは、声質が似ていることが第一ですが、優れた技巧を持つボーカリストだと感じたからでした。
アルバムは、アップテンポのファンキー・ブルース、"Chicano Blues Man"でスタートします。
思わず"Chicago Blues Man"と読みそうです。
ホーン陣のせわしないリフをバックに、渋い美声で「アイム・ア・ブルースマン、チカーノ・ブルースマン」と歌っています。
間奏では、ストラトでの素早いギター・ソロを聴くことが出来ます。
アタマから「ガツン」とアイデンティティを披瀝した、Randyからの名刺がわりの一発という感じです。
続く"Barbacoa Blues"は、マイナー調のウォーキン・ブルースで、ブランドに通じるようなブルージーR&B風のボーカルが聴けます。
ホーン・パートをハープに変えれば、シカゴ・ブルース調にも聴こえそうですが、ギターがやはりテキサスっぽいです。
ずっと英語詞なのですが、最後の最後になってスペイン語で振り絞るように歌う箇所が印象的です。
"Too Close to the Border"は、よりストレートにテキサスを感じさせるリズム&ブルースです。
ある意味、Fabulous Thunderbirdsがやっていてもおかしくないような感じの曲で、ブルース・ロック調と言えるかも知れません。
そんな連想をしていると、Randyの声がKim Wilsonみたいに聴こえてきました。
(追記)
この曲は、Joe Jamaが04年(Randyの没後)にリリースしたアルバム、"Leigh Street Blues"でやっていました。
私は、当ブログで当該のJamaのアルバムをとりあげ、感想を書いていますが、そこでは「Bobby Blandに似合いそうな曲」と書いています。 (下段にリンク追加しました)
"What Did You Think"は、スチール・ギターがフューチャーされる静かなバラードです。
出だしのメロディ、アレンジが、Ray Charles版の"Ellie My Love"(愛しのエリー)を連想させます。
ここでのRandyは、Johnny Adamsを彷彿とさせます。
多分、スチールの参加はこの曲だけだと思います。
"I Can't Stop Loving You Baby"は、アップテンポのごきげんなナンバーです。
ころころと転がるピアノの前奏から、おしゃれなでジャジーなギター・ソロ、メイン・テーマのホーン・リフと徐々に分厚くなっていき、ボーカルが満を持して入ってきます。
古いビッグ・バンドがやりそうな楽しさ満点のブギウギ曲で、間奏では小粋なミュート・ペットをバックに、RandyがT-Boneの手癖のようなソロを繰り返し弾いています。
私は、本盤では特に好きな曲のひとつです。
ぜひ、オリジナルが知りたいです。
"Viuda Negra (Black Widow Woman)"は、スペイン語で歌い始めるストレート・ブルースです。
途中から英語詞になり、「私は囚人、喪服の未亡人」と歌っています。
ギターのオブリ、ソロともにたっぷり聴けます。
"Two Steps from the Blues"は、もちろんボビー・ブランドのDuke時代の代表曲のひとつです。
これを聴くと、改めてブランドが後進に与えた影響力の大きさを感じます。
Randyが、滑らかな歌いくちで、ブランド流ブルース・バラードを歌います。
サビ近くでの高音部のうがい唱法はなく、Johnny Adamsばりに伸びのある声を張り上げています。
"El Chupacabra"は、ブルースではなく、はっきりとラテン・ルーツに根差した曲です。
コンガやボンゴ風のリズムを、おそらくはシンセが出しています。
楽しいメキシカン・ペットのリフにのせて、チュパカブラのことが歌われているようです。
チュパカブラは、TVのSFドラマ「Xファイル」でも1話が作られた南米の未確認生物(UMA)です。
歌詞の内容が不明なので、陽気な曲調とチュパカブラがどう結び付くのか謎です。
"Tell Me Why"は、最高の曲、最高のパフォーマンスだと思います。
完全に50年代のDoo Wopスタイルの曲で、思わずドリーミーとかマーベラスとか言いたくなりました。
三連の鍵盤をバックに歌う、スタイリッシュかつジェントルなボーカルがたまりません。
ノー・クレジットですが、素晴らしい男声コーラスが入っています。
間奏でのリバーブの効いたギター・ソロが曲の雰囲気にぴったりです。
"I Can't Stop Loving You Baby"とともに、本盤の双璧だと思います。
ラストの"Curandera"は、バイリンガルで歌うブルースです。
アフロ・アメリカンなホーン・リフが盛り上げるなか、ラテン調のリズムを隠し味に、ブルージーなギター・ソロが立ち上がってくる間奏は、ラテン・ロックみたいにも聴こえます。
本盤は、要所にラテン風味を加味してはいますが、あくまでブルースを主体としたアルバムだと思います。
そして、Pharaohs時代はこんな風だったのかと思わせてくれる、レトロな三連Doo Wopバラードが入ったことで、とても彩り豊かになったと感じました。
本盤は、97年にAngelita Miaからリリースされました。
このアルバム以前の活動は、あまり明らかになっていません。
LP時代にアルバムを作った人なのか知りたいです。
今回は、この人を聴きました。
Randy Garibayというシンガーの97年のアルバム、"Barbacoa Blues"です。
この人は、以前に取り上げた、Sonny Aceのアルバムに、バックコーラスで参加していた人です。
ランディ・ガーリベイは、Doug Sahmのファン向けに紹介するなら、Dougの88年の名盤"Juke Box Music"で、名曲"What's Your Name"をDougとデュエットしていた人です。
長めのソロ・パートを交互に歌いあった、二人の名唱は素晴らしかったですね。
Barbacoa Blues
Randy Garibay
Randy Garibay
1. Chicano Blues Man (Randy Garibay)
2. Barbacoa Blues (Randy Garibay)
3. Too Close to the Border (Randy Garibay)
4. What Did You Think (Randy Garibay)
5. I Can't Stop Loving You Baby (James E. Lewis)
6. Viuda Negra (Black Widow Woman) (Randy Garibay)
7. Two Steps from the Blues (John Brown, Don Robey)
8. El Chupacabra (Randy Garibay)
9. Tell Me Why (Randy Garibay)
10. Curandera (Randy Garibay)
本盤の裏ジャケには、5人の人物によるRandy Garibayの紹介、推薦文が寄せられています。
その中から、3人の言葉の大意をご紹介します。
「ランディは、チカーノのジャッキー・ウイルソンだ。」
Clifford Antone (アントンズ・オーナー)
「ランディは、私の師匠(my mentor)です。私にとって、彼のステージ上でのとても自然なパフォーマンスを見ることは大きな楽しみです。」
Sunny Ozuna
「私は、まるで50年代から時を超えてきたような、ランディの素晴らしい声に魅了されています。
彼は、至高のチカーノ・ブルースマンです。
ランディは、Little Willie John、Joe Hinton、Junior Parker、Bobby Blue Blandらの伝統を汲んでブルースを歌い続ける稀有な存在です。」
Doug Sahm
うーむ、色々とつっこみどころがあると思いませんか。
本題に入る前に横道に逸れそうですが、私が気になったのは2点です。
サニー・オズナの「私の師匠」発言。
そして、ダグ・サームが、ジュニア・パーカーやボビー・ブランドと同じ並びで、ジョー・ヒントンの名前をあげていることです。
まず、Sunnyの発言ですが、Sunny Ozunaは世に知られた時期が早く、一つ前の世代のスターのようにも思えます。
しかし、SunnyとRandy、そしてDougの生年を比べると、思いのほか年齢が近いのでした。
同世代といってもいいでしょう。
Randy Garibay : 39年生れ02年没 享年63歳
Doug Sahm : 41年生れ99年没 享年58歳
Sunny Ozuna : 43年生れ 今年69歳
3人の中では、Randyが年長で、Sunnyが末っ子だったのでした。
次にDougの発言です。
Doug Sahmが、Junior ParkerやBobby Blandをアイドルとしていた事は、ファンの間では周知のことです。
その他、ブルース系では、Guitar Slim、T-Bone Walkerなどが思いつきます。
しかし、Joe Hintonをリスベクトしていたとは初めて知りました。
ウイリー・ネルソンの"Funny How Time Slips Away"(時の流れは早いもの)のカバーで有名な人で、ディープな面もありますが、どちらかと言えばバラーディアー・タイプのシンガーだという認識でした。
サザン・ソウル好きが多い日本のソウル・ファンの間では、あまり人気のない人ではないでしょうか。
まあ、Duke(Backbeat)時代はバックが素晴らしく、滑らかな歌い方は、Junior Parkerのテイストに通じるところがあるかも知れません。
などとタイプしているうちに、急にじっくり聴き返したくなってきました。
(簡単に影響を受けてしまうのでした。)
さて、本盤の参加メンバーは以下の通りです。
Randy Garibay : guitar、vocals
Jim Waller : keyboad、saxophone
Jack Barber : bass
Al Gomez : trumpet
Bobby Flores : steel guitar
録音は、サン・アントニオのスタジオで行われたようです。
ドラムスがノー・クレジットですが、Duke Anthonyという人ではないかと思います。
Doug Sahm人脈のJack barber、Al Gomezの参加が気になります。
Doug Sahmとの関係は、かなり古くまで遡るようです。
Dougがパーソナルなバンドを持つ前、Harlem Records時代の頃が出会いのようです。
Harlem時代の頃のDougは、色々と違う名義でレコードを出していました。
その中の一つに、Doug Sahm & the Pharaohsがありました。
私は、こういったものは、そのレコーディングの為だけに集められ、即席で名付けられたバンドかと思っていました。
しかし、Pharaohsは実在していて、正確にはバンドではなく、5人組のボーカル・グループだったようで、そのリード・シンガーがRandy Garibayだったのでした。
Randy Garibay & the Pharaohs
具体的には、Doug Sahm & Phraohs名義でリリースされた、"Crazy Daisy"/"If You Ever Need Me"(Warrior507)が、DougとRandyの最初の共演盤らしいです。
18歳の時、ギターを手に入れたRandyは、Sonny Ace & TwistersやCharlie and the Jives(どちらも地元のローカル・バンド)と演奏するため、純粋なDoo Wopグループだったファラオスを脱退します。
こうして、彼のチカーノ・ブルースマンとしてのキャリアが始まったのでした。
Randy Garibayは、これまで私が聴いてきた、Tejano Music系のチカーノ・シンガーとは一味違います。
何しろ、一流の聴き手から、チカーノ・ブルースマンと呼ばれている人なのです。
ルーツに根差したラテン系をやることもあるようですが、比較的控えめのようです。
Doug Sahmとのデュエット曲では気付かなかったことですが、本盤を聴いて、あるシンガーを連想しました。
それは、ニューオリンズのサザン・ソウル・シンガー、Johnny Adamsです。
Randy Garibayは、伸びと艶のある声が大変魅力的なシンガーです。
Johnny Adamsを連想したのは、声質が似ていることが第一ですが、優れた技巧を持つボーカリストだと感じたからでした。
アルバムは、アップテンポのファンキー・ブルース、"Chicano Blues Man"でスタートします。
思わず"Chicago Blues Man"と読みそうです。
ホーン陣のせわしないリフをバックに、渋い美声で「アイム・ア・ブルースマン、チカーノ・ブルースマン」と歌っています。
間奏では、ストラトでの素早いギター・ソロを聴くことが出来ます。
アタマから「ガツン」とアイデンティティを披瀝した、Randyからの名刺がわりの一発という感じです。
続く"Barbacoa Blues"は、マイナー調のウォーキン・ブルースで、ブランドに通じるようなブルージーR&B風のボーカルが聴けます。
ホーン・パートをハープに変えれば、シカゴ・ブルース調にも聴こえそうですが、ギターがやはりテキサスっぽいです。
ずっと英語詞なのですが、最後の最後になってスペイン語で振り絞るように歌う箇所が印象的です。
"Too Close to the Border"は、よりストレートにテキサスを感じさせるリズム&ブルースです。
ある意味、Fabulous Thunderbirdsがやっていてもおかしくないような感じの曲で、ブルース・ロック調と言えるかも知れません。
そんな連想をしていると、Randyの声がKim Wilsonみたいに聴こえてきました。
(追記)
この曲は、Joe Jamaが04年(Randyの没後)にリリースしたアルバム、"Leigh Street Blues"でやっていました。
私は、当ブログで当該のJamaのアルバムをとりあげ、感想を書いていますが、そこでは「Bobby Blandに似合いそうな曲」と書いています。 (下段にリンク追加しました)
"What Did You Think"は、スチール・ギターがフューチャーされる静かなバラードです。
出だしのメロディ、アレンジが、Ray Charles版の"Ellie My Love"(愛しのエリー)を連想させます。
ここでのRandyは、Johnny Adamsを彷彿とさせます。
多分、スチールの参加はこの曲だけだと思います。
"I Can't Stop Loving You Baby"は、アップテンポのごきげんなナンバーです。
ころころと転がるピアノの前奏から、おしゃれなでジャジーなギター・ソロ、メイン・テーマのホーン・リフと徐々に分厚くなっていき、ボーカルが満を持して入ってきます。
古いビッグ・バンドがやりそうな楽しさ満点のブギウギ曲で、間奏では小粋なミュート・ペットをバックに、RandyがT-Boneの手癖のようなソロを繰り返し弾いています。
私は、本盤では特に好きな曲のひとつです。
ぜひ、オリジナルが知りたいです。
"Viuda Negra (Black Widow Woman)"は、スペイン語で歌い始めるストレート・ブルースです。
途中から英語詞になり、「私は囚人、喪服の未亡人」と歌っています。
ギターのオブリ、ソロともにたっぷり聴けます。
"Two Steps from the Blues"は、もちろんボビー・ブランドのDuke時代の代表曲のひとつです。
これを聴くと、改めてブランドが後進に与えた影響力の大きさを感じます。
Randyが、滑らかな歌いくちで、ブランド流ブルース・バラードを歌います。
サビ近くでの高音部のうがい唱法はなく、Johnny Adamsばりに伸びのある声を張り上げています。
"El Chupacabra"は、ブルースではなく、はっきりとラテン・ルーツに根差した曲です。
コンガやボンゴ風のリズムを、おそらくはシンセが出しています。
楽しいメキシカン・ペットのリフにのせて、チュパカブラのことが歌われているようです。
チュパカブラは、TVのSFドラマ「Xファイル」でも1話が作られた南米の未確認生物(UMA)です。
歌詞の内容が不明なので、陽気な曲調とチュパカブラがどう結び付くのか謎です。
"Tell Me Why"は、最高の曲、最高のパフォーマンスだと思います。
完全に50年代のDoo Wopスタイルの曲で、思わずドリーミーとかマーベラスとか言いたくなりました。
三連の鍵盤をバックに歌う、スタイリッシュかつジェントルなボーカルがたまりません。
ノー・クレジットですが、素晴らしい男声コーラスが入っています。
間奏でのリバーブの効いたギター・ソロが曲の雰囲気にぴったりです。
"I Can't Stop Loving You Baby"とともに、本盤の双璧だと思います。
ラストの"Curandera"は、バイリンガルで歌うブルースです。
アフロ・アメリカンなホーン・リフが盛り上げるなか、ラテン調のリズムを隠し味に、ブルージーなギター・ソロが立ち上がってくる間奏は、ラテン・ロックみたいにも聴こえます。
本盤は、要所にラテン風味を加味してはいますが、あくまでブルースを主体としたアルバムだと思います。
そして、Pharaohs時代はこんな風だったのかと思わせてくれる、レトロな三連Doo Wopバラードが入ったことで、とても彩り豊かになったと感じました。
本盤は、97年にAngelita Miaからリリースされました。
このアルバム以前の活動は、あまり明らかになっていません。
LP時代にアルバムを作った人なのか知りたいです。
最後にひとこと
Doug Sahmの88年の名盤、"Juke Box Music"では、Randy Garibayの名前のつづりが誤植されていました。(誤 Gariby → 正 Garibay)
これは、LP、CDとも同じで、その後の再販でも修正されていないと思います。
ちなみに、私は米オリジナルのAntone's盤LP、同CD、二度目の日本盤CD(97年ワーナー)、Doug他界後に出されたP-vine盤(00年)を持っています。
(最初の日本盤は90年)
この誤りは長い間放置されたままでしたが、"Last Real Texas Blues Band"とのカップリングで出された、03年の2枚組米TMG盤のブックレットで、ついにRandy Garibayと正しく訂正されました。
残念ながら、これはRandyが他界した翌年のことでした。
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マザーロードをゆく
ブラウン・ソウル 孤高のテハーノ
Doug Sahmの88年の名盤、"Juke Box Music"では、Randy Garibayの名前のつづりが誤植されていました。(誤 Gariby → 正 Garibay)
これは、LP、CDとも同じで、その後の再販でも修正されていないと思います。
ちなみに、私は米オリジナルのAntone's盤LP、同CD、二度目の日本盤CD(97年ワーナー)、Doug他界後に出されたP-vine盤(00年)を持っています。
(最初の日本盤は90年)
この誤りは長い間放置されたままでしたが、"Last Real Texas Blues Band"とのカップリングで出された、03年の2枚組米TMG盤のブックレットで、ついにRandy Garibayと正しく訂正されました。
残念ながら、これはRandyが他界した翌年のことでした。
Too Close to the Border by Randy Gaibay
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