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スウィンギン・クリスマス

 三位一体という言葉があります。
 一時は、新聞の政治経済面をにぎわしていた言葉ですが、最近はめっきりみかけなくなりました。
 国と地方自治体の財政の役割分担に関する考え方で、三位一体の改革といいました。
 まあ、税財源の委譲、国庫補助金の改革に当たっては、地方交付税の削減が必ずセットですよ、という政府の政策ですね。

 でも、三位一体というのは、元々キリスト教の教義で、財政改革とはなんの関係もありません。
 「父と子と聖霊の名において」というあれです。


Santa Loves To Boogie
Asleep At The Wheel

1. Santa Loves to Boogie
2. Hot Texas Christmas Day (Featuring Dale Watson)
3. Give You My Gift
4. Pretty Paper (Featuring Willie Nelson)
5. Mele Kalikimaka
6. Santa's On His Way
7. I Hate Christmas
8. Rudolph The Red Nosed Reindeer (Featuring Jack Ingram)
9. I'll Be Home for Christmas
10. Christmas in Texas (Featuring Kevin Fowler)
11. Silent Night
 

 この場合、父は造物主、子はイエス、そして聖霊は、自然界にある不思議な現象のことです。
 唯一絶対神である造物主は、空や海や陸を創造し、塵芥から人間を創りました。

 三位一体論は、イエスは神か否か、という論議に対してひねりだされた理屈ですね。
 父と子と聖霊は、それぞれ独立した存在でありながら、一体のものであるという考え方です。
 つまりイエスは神であるという理屈です。

 何の話をしてるんでしょう。
 ようするに、今回もクリスマス・アルバムを聴きます、ということです(?)

 このアルバムは、06年にリリースされたもので、Asleep At The Wheelにとっては、97年のMerry Texas Christmas, Y'allから、9年目に出された2枚目のクリスマス・アルバムということになります。

 一聴してわかるように、クリスマス・ソングうんぬんなど関係なく、ウキウキするような楽しいダンス・チューンが満載のアルバムです。

 全11曲のうち、よく知られた耳慣れた曲は、赤鼻のトナカイと聖しこの夜ですね。
 そして、I'll Be Home for Christmasの邦題がうろ覚えなんですが、「クリスマスを我が家で」が正解でしょうか?

 このアルバムの当時は、既にほぼ現在の編成だと思います。
 リーダーで、リード・ボーカル、ギターのレイ・ベンスン、ドラムスのデイヴ・サンガーに、フィドル、マンドリンのジェイソン・ロバーツ、そして、サンガーとの結婚を機に加入した、ボーカルのエリザベス・マックイーンが中心メンバーです。
 それに、ピアノ1名、スチール・ギター兼サックス1名、ベース1名からなる編成です。

 今作では、ウイリー・ネルソン、デイル・ワトソン、ジャック・イングラム(?)、ケヴィン・フォウラー(?)の4人がゲスト参加していて、各自1曲づつリード・ボーカルも取っています。

 アルバム・タイトルのSanta Loves to Boogieは、ジェイソン・ロバーツが書いた曲で、本人がリードを歌っていて、ゴー、キャット、ゴーのフレーズも勇ましく、軽快に歌い飛ばしています。

 続くHot Texas Christmas Dayは、デイル・ワトソン作で、こちらも本人がボーカルを取っています。
 クレジットがボーカルだけなので、ギターは弾いてないようです。

 さらに、Give You My Giftは、デイヴ・サンガーとリズ・マックイーン夫妻の共作で、リズのリード・ボーカルで始まり、途中からレイがデュエットするという展開です。

 次がウイリー・ネルソンですが、それにしても、ウイリーはゲストが好きですねェ
 Pretty Paperは、ウイリーの自作で、当然自分のアルバムで録音していると思いますが、なんと97年のMerry Texas Christmas, Y'allでもゲスト参加して、同じ曲を歌っていました。

 Mele Kalikimakaでは、再びリズとレイがデュエットしていて、このコンビネーションの妙は、アスリープのひきだしに、新たな魅力を加えたと思います。

 一方、 Santa's On His Wayでは、ジェイソン・ロバーツがリードを取りますが、随所でボブ・ウィルズばりの「アー、ハァー」の合いの手を決めて、アスリープのベースがどこにあるのかということも、しっかりと認識させてくれます。

 そして、I Hate Christmasでは、レイがジャジーかつジェントルな美声で、ムーディーにしっとりと歌いあげます。

 さらに、Rudolph The Red Nosed Reindeerでは、レイとジャック・イングラムのデュエットを聴く事が出来ます。

 I'll Be Home for Christmasは、もっともクリスマスを感じさせる、ロマンチックなナンバーです。
 ここでは、素直に身を任せ、レイ・ベンスンの魅惑のバリトンに酔いましょう。
 
 結局、このアルバムで、レイ・ベンスンが書いた曲は、Christmas in Texasの1曲だけでした。
 しかも、デイヴ・サンガー、ケヴィン・フォウラーとの共作です。
 そして、リード・ボーカルは、ケヴィンとデュエットしているのでした。 

 全体的に、いつものレイ主導のつくりから、主要メンバーが持ち回りでフロントに立つ構成になっていて、民主化が図られています。 
 まあ、企画盤だからなんでしょう。

 それにしても、アスリープでのリズ・マックイーンのボーカルは、レイジーで、ノスタルジックな香りが感じられて癒されます。
 もちろん、パンチの効いたロックも歌える人なのは、皆さんご存知のとおりです。

 鈴の音のような特段のSEもありませんので、クリスマス・ソングうんぬんは忘れてシンプルに、魅力ある曲を優れたバンドの伴奏で、素晴らしいシンガーが歌った好アルバムとして聴きましょう。

 ラストは、パブリック・イメージそのままのアレンジによる、荘厳な聖しこの夜で締めです。
 レイのリードで始まり、次第にコーラスが分厚くなっていく構成が、先の展開が読めても、やはりジーンときます。



ジェイソン・ロバーツが歌うSanta's On His Wayです。




こちらは、ボブ・ウィルズにるSanta's On His Wayです。




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