2012年04月09日
バッパビリー・スイング
アコースティック・スイングって、最近とんと話題を聞かないんですが、私が情報にうといだけでしょうか?
まあ、レココレとかも、気になる記事がないと立ち読みで済ましちゃう人なので、世間知らずかも知れません。
かつて、鈴木カツさんや宇田和弘さんが著作のタイトルに使ってたりして、それなりに用語として露出していた時期もありましたが、さほど高まることもなく沈静化したんじゃないか、というのが私の印象です。
当時は、ジョン・ミラーとか、ルウ・ロンドンとか、私の嗜好に合っていたのでしょう、随分と感化されたものでした。
でも、言葉の流行り廃りとは関係なく、音楽は存在します。
ジャネット・クラインなど、それなりに話題になっている人がいても、グッドタイム・ミュージックとか、単に別の名前で呼ばれていることもありますよね。
アコースティック・スイングでも、グッドタイム・ミュージックでもいいのですが、そういった言葉から自由にイメージしてください。
今回は、そんな(?)アルバムです。
1. Lady Be Good (Gershwin)
2. Suger Moon (Wills, Walker)
3. My Window Faces The South (Livingston, Silver, Parish)
4. Straight, No Chaser (Monk)
5. Eating Right Out of Your Hard (Bass)
6. Honeysucle Rose (Waller, Razaf)
7. Old Fashioned Love (Mack, Johnson)
8. Route 66 (Troup)
9. Wonderful World (Welss, Thiele)
10. Heart of a Clown (Nelson, Rollins, Kane)
11. Choo Choo Ch'Boogie (Horton, Gabler, Darling)
12. Goin' Away Party (Walker)
13. Reckon I'm a Texan Till Die (Wood, Butler)
14. House of Blue Lights (Jacobs)
Beats Walkin'というバンドをご紹介します。
まあ、バンドというより、グループと呼びたい感じですね。
ボーカルは若々しく、艶もありますが、ジャケ裏の写真を見る限り、かなり年配のメンツで構成されているようです。
基本のメンバーは4人で、ギター、ベース、スチール・ギター、ドラムスという編成です。
さらに、本盤では、サックスとフィドルがゲスト参加しています。
メイン・ボーカルは、ギターの女性とドラムスの男性が分け合っている感じですが、ほかの2人もそれぞれ1曲づつリード・ボーカルをとっています。
詳細は、以下のとおりです。
Wendi Bourne : guitar, vocals on tracks 1,2,6,8,10,12
Jim Cohen : pedal steel guitar, match-bro, vocals on tracks 5
Bob Lewis : bass, vocals on track 11
Chuck Lindsey : drums, vocals on tracks 3,7,9,14
guest :
Troy Corley : tenor saxophone
Joel Glassman : fiddle
本盤は、01年のフィラデルフィア公演のライヴ録音で、02年にリリースされました。
彼らは、どうやらペンシルバニア州出身らしいこと、この前にもう1枚アルバム(97年)があること、このグループの情報は、ほとんどこれが全てです。
私は、ジャズについてはほとんど門外漢ですが、セロニアス・モンクくらいは知っています。
まあ、「ラプソディ・イン・ブルー」(だけ)を知っている程度ですから、ごくごく普通のレベルです(?)
トラック4のインスト、"Straight, No Chaser"は、初めて聴きました。
「ラプソディー」とは全くイメージが違う曲ですね。
そして、ファッツ・ウォーラーも同様です。
"Honeysucle Rose"は、有名だと思いますが、やはり曲名は知っているけれどメロと一致しない、そんな程度でした。
ここでは、スチール・ギターが主役になって頑張っています。
さて、本盤には、作者がWalkerとなっている曲が複数収録されています。
"Suger Moon"と"Goin' Away Party"がそうです。
これらは、いずれもCindy Walkerのことで、ヒルビリー〜ホンキートンク時代の人気女性コンポーザーです。
多くのシンガーに曲を提供していますが、私にとっては、Bob Willsの名作をいくつも書いた人として大好きな人です。
"Suger Moon"では、そのBob Willsとの共作名義になっています。
当然、Bob Wills & His Texas Playboysのレパートリーです。
カバーでは、Asleep At The Wheel盤がお奨めです。
ライヴ盤でもやっていました。
ジャジー、かつレイジーな雰囲気を持つ曲で、いかにもRay Bensonが好きそうな曲です。
本盤では、軽快で楽しげなアレンジでやっています。
"Goin' Away Party"は、多分初めて聴く曲で、原曲は知りません。
ライナーには、レスリー・ゴアからインスパイアされて書かれた曲、みたいなことが書かれています。
でも、レスリー・ゴアって、ぶりぶりの60sアメリカン・ポップスのイメージですよね。
ここで言われているのは、やはり代表曲の"It's My Party"なんでしょうか?
曲名からいってそんな感じですよね。
"It's My Party"のアンサー・ソングですか(?)
でも、こちらはバラードなのでした。
余談ですが、Willie Nelsonが、Cindy Walkerの曲ばかりを歌ったアルバムを出しています。
結果的に、Bob Willsのレパートリー中心の選曲になっていました。
そのBob Willsは、本盤でも主役級の扱いです。
このBeets Walkin'というバンドは、ジャズ小唄的な曲とBob Willsが好きなんだと思います。
"My Window Faces The South"と"Old Fashioned Love"の2曲が、Bob Willsの有名曲のカバーです。
とりわけ、"My Window Faces The South"は、多くのカバーがある人気曲です。
ロック・ファンには、Commander Cody & His Lost Planet Airmen盤がお奨めですが、もちろん、Asleep盤もよいです。
この曲は、誰がやっても外れなしの名曲だと思います。
"Old Fashioned Love"は、知名度ではかなり劣りますが、これも良い曲です。
スリー・ドッグ・ナイトの大ヒット曲は、"Old Fashioned Love Song"で別の曲です。
"Old Fashioned Love"は、元は古いジャズのピアノ・インストかも知れません。
いつの時点かで、誰かヒルビリー系歌手が歌詞を付けて、この形にしたのではないかと思います。
でも、オリジナルはともかく、やはりこの曲はBob Wills盤が最高です。
Bob Willsのヒット盤は、47年にリリースされています。
この曲は、マール・ハガードも、Bob Willsのトリビュート・アルバムで演っていました。
その他、ルイ・ジョーダンの"Choo Choo Ch'Boogie"や、定番の"Route 66"まで、いずれも小粋で軽快なボーカルで、おしゃれかつ爽やかに歌っています。
曲によっては、男女ボーカルのかけあいなどもあり、マンハッタン・トランスファーを連想させたりもします。
"Choo Choo Ch'Boogie"では、スチール・ギターが列車の走りの爽快感を、サックスが力強く邁進するさまを表現しています。
かと思えば、サッチモの"Wonderful World"では、ほとんど直球勝負でうっとり歌いあげていて、サッチモを意識しつつも、過度なダミ声になって物まねになりそうなのをこらえています。
ラストは、これまた定番の"House of Blue Lights"で締めです。
ロックンロール・ファンには、もちろんChuck Berry盤ですね。
原曲はよく分かりませんが、ヒルビリー・ブギ・ピアニストのメリル・ムーア盤がポピュラーにした曲だと思います。
メリル・ムーアは、ムーン・マリカンとともに、ジェリー・リー・ルイスのお手本になった人です。
もちろん、Jerry Lee Lewisもやっていて、その他、Commander Cody & His Lost Planet Airmen盤、Asleep At The Wheel盤もあります。
Chuck Berry直系では、George Thorogood盤もあり、ちょっとラウドてすが聴きものです。
本盤では、少しテンポをゆったりめにして、リラックスした雰囲気でやっています。
レパートリーから、全体的にカントリー寄りかと思われるかも知れませんが、意外とカントリー臭は希薄で、特にスチール・ギターのサウンド、フレーズにそれを感じます。
ピアノレスにも関わらず、モダンな雰囲気を感じさせる、大人のサウンドに仕上がっています。
ロッキン・サウンドはもちろんいいですが、たまにはスインギーというのもいかがでしょうか。
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まあ、レココレとかも、気になる記事がないと立ち読みで済ましちゃう人なので、世間知らずかも知れません。
かつて、鈴木カツさんや宇田和弘さんが著作のタイトルに使ってたりして、それなりに用語として露出していた時期もありましたが、さほど高まることもなく沈静化したんじゃないか、というのが私の印象です。
当時は、ジョン・ミラーとか、ルウ・ロンドンとか、私の嗜好に合っていたのでしょう、随分と感化されたものでした。
でも、言葉の流行り廃りとは関係なく、音楽は存在します。
ジャネット・クラインなど、それなりに話題になっている人がいても、グッドタイム・ミュージックとか、単に別の名前で呼ばれていることもありますよね。
アコースティック・スイングでも、グッドタイム・ミュージックでもいいのですが、そういった言葉から自由にイメージしてください。
今回は、そんな(?)アルバムです。
Bop-A-Billy Swing !
Recorded Live !
Beats Walkin'
Recorded Live !
Beats Walkin'
1. Lady Be Good (Gershwin)
2. Suger Moon (Wills, Walker)
3. My Window Faces The South (Livingston, Silver, Parish)
4. Straight, No Chaser (Monk)
5. Eating Right Out of Your Hard (Bass)
6. Honeysucle Rose (Waller, Razaf)
7. Old Fashioned Love (Mack, Johnson)
8. Route 66 (Troup)
9. Wonderful World (Welss, Thiele)
10. Heart of a Clown (Nelson, Rollins, Kane)
11. Choo Choo Ch'Boogie (Horton, Gabler, Darling)
12. Goin' Away Party (Walker)
13. Reckon I'm a Texan Till Die (Wood, Butler)
14. House of Blue Lights (Jacobs)
Beats Walkin'というバンドをご紹介します。
まあ、バンドというより、グループと呼びたい感じですね。
ボーカルは若々しく、艶もありますが、ジャケ裏の写真を見る限り、かなり年配のメンツで構成されているようです。
基本のメンバーは4人で、ギター、ベース、スチール・ギター、ドラムスという編成です。
さらに、本盤では、サックスとフィドルがゲスト参加しています。
メイン・ボーカルは、ギターの女性とドラムスの男性が分け合っている感じですが、ほかの2人もそれぞれ1曲づつリード・ボーカルをとっています。
詳細は、以下のとおりです。
Wendi Bourne : guitar, vocals on tracks 1,2,6,8,10,12
Jim Cohen : pedal steel guitar, match-bro, vocals on tracks 5
Bob Lewis : bass, vocals on track 11
Chuck Lindsey : drums, vocals on tracks 3,7,9,14
guest :
Troy Corley : tenor saxophone
Joel Glassman : fiddle
本盤は、01年のフィラデルフィア公演のライヴ録音で、02年にリリースされました。
彼らは、どうやらペンシルバニア州出身らしいこと、この前にもう1枚アルバム(97年)があること、このグループの情報は、ほとんどこれが全てです。
私は、ジャズについてはほとんど門外漢ですが、セロニアス・モンクくらいは知っています。
まあ、「ラプソディ・イン・ブルー」(だけ)を知っている程度ですから、ごくごく普通のレベルです(?)
トラック4のインスト、"Straight, No Chaser"は、初めて聴きました。
「ラプソディー」とは全くイメージが違う曲ですね。
そして、ファッツ・ウォーラーも同様です。
"Honeysucle Rose"は、有名だと思いますが、やはり曲名は知っているけれどメロと一致しない、そんな程度でした。
ここでは、スチール・ギターが主役になって頑張っています。
さて、本盤には、作者がWalkerとなっている曲が複数収録されています。
"Suger Moon"と"Goin' Away Party"がそうです。
これらは、いずれもCindy Walkerのことで、ヒルビリー〜ホンキートンク時代の人気女性コンポーザーです。
多くのシンガーに曲を提供していますが、私にとっては、Bob Willsの名作をいくつも書いた人として大好きな人です。
"Suger Moon"では、そのBob Willsとの共作名義になっています。
当然、Bob Wills & His Texas Playboysのレパートリーです。
カバーでは、Asleep At The Wheel盤がお奨めです。
ライヴ盤でもやっていました。
ジャジー、かつレイジーな雰囲気を持つ曲で、いかにもRay Bensonが好きそうな曲です。
本盤では、軽快で楽しげなアレンジでやっています。
"Goin' Away Party"は、多分初めて聴く曲で、原曲は知りません。
ライナーには、レスリー・ゴアからインスパイアされて書かれた曲、みたいなことが書かれています。
でも、レスリー・ゴアって、ぶりぶりの60sアメリカン・ポップスのイメージですよね。
ここで言われているのは、やはり代表曲の"It's My Party"なんでしょうか?
曲名からいってそんな感じですよね。
"It's My Party"のアンサー・ソングですか(?)
でも、こちらはバラードなのでした。
余談ですが、Willie Nelsonが、Cindy Walkerの曲ばかりを歌ったアルバムを出しています。
結果的に、Bob Willsのレパートリー中心の選曲になっていました。
そのBob Willsは、本盤でも主役級の扱いです。
このBeets Walkin'というバンドは、ジャズ小唄的な曲とBob Willsが好きなんだと思います。
"My Window Faces The South"と"Old Fashioned Love"の2曲が、Bob Willsの有名曲のカバーです。
とりわけ、"My Window Faces The South"は、多くのカバーがある人気曲です。
ロック・ファンには、Commander Cody & His Lost Planet Airmen盤がお奨めですが、もちろん、Asleep盤もよいです。
この曲は、誰がやっても外れなしの名曲だと思います。
"Old Fashioned Love"は、知名度ではかなり劣りますが、これも良い曲です。
スリー・ドッグ・ナイトの大ヒット曲は、"Old Fashioned Love Song"で別の曲です。
"Old Fashioned Love"は、元は古いジャズのピアノ・インストかも知れません。
いつの時点かで、誰かヒルビリー系歌手が歌詞を付けて、この形にしたのではないかと思います。
でも、オリジナルはともかく、やはりこの曲はBob Wills盤が最高です。
Bob Willsのヒット盤は、47年にリリースされています。
この曲は、マール・ハガードも、Bob Willsのトリビュート・アルバムで演っていました。
その他、ルイ・ジョーダンの"Choo Choo Ch'Boogie"や、定番の"Route 66"まで、いずれも小粋で軽快なボーカルで、おしゃれかつ爽やかに歌っています。
曲によっては、男女ボーカルのかけあいなどもあり、マンハッタン・トランスファーを連想させたりもします。
"Choo Choo Ch'Boogie"では、スチール・ギターが列車の走りの爽快感を、サックスが力強く邁進するさまを表現しています。
かと思えば、サッチモの"Wonderful World"では、ほとんど直球勝負でうっとり歌いあげていて、サッチモを意識しつつも、過度なダミ声になって物まねになりそうなのをこらえています。
ラストは、これまた定番の"House of Blue Lights"で締めです。
ロックンロール・ファンには、もちろんChuck Berry盤ですね。
原曲はよく分かりませんが、ヒルビリー・ブギ・ピアニストのメリル・ムーア盤がポピュラーにした曲だと思います。
メリル・ムーアは、ムーン・マリカンとともに、ジェリー・リー・ルイスのお手本になった人です。
もちろん、Jerry Lee Lewisもやっていて、その他、Commander Cody & His Lost Planet Airmen盤、Asleep At The Wheel盤もあります。
Chuck Berry直系では、George Thorogood盤もあり、ちょっとラウドてすが聴きものです。
本盤では、少しテンポをゆったりめにして、リラックスした雰囲気でやっています。
レパートリーから、全体的にカントリー寄りかと思われるかも知れませんが、意外とカントリー臭は希薄で、特にスチール・ギターのサウンド、フレーズにそれを感じます。
ピアノレスにも関わらず、モダンな雰囲気を感じさせる、大人のサウンドに仕上がっています。
ロッキン・サウンドはもちろんいいですが、たまにはスインギーというのもいかがでしょうか。
My Window Faces The South by Beats Walkin'
San Antonio Rose 〜 Hey Good Lookin' 〜
Don't Fence Me In 〜 Smoke! Smoke! Smoke! 〜 etc etc…
by Beats Walkin'
Don't Fence Me In 〜 Smoke! Smoke! Smoke! 〜 etc etc…
by Beats Walkin'
あれっ MCでテキサス・スイング・バンドって紹介されてますね?
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