2011年03月07日
オースティン音楽バンド
お初のバンドを聴いてみました。
私は、ウエスタン・スイング・バンドを期待して入手したのですが、軽く裏切られました。
1. Onward, Charlie Christian's Soldiers (Jim Stringer)
2. Texas and Pacific (Jack Wolf Fine)
3. Bye-Bye, Bayou (Jim Stringer)
4. My Baby Left Me (Arthur Cruddup)
5. Long Black Limousine (Stovall, George)
6. Thirty Days (Winfield)
7. Ninety Miles Per Hour (Down a Dead End Street) (Robertson, Blair)
8. Special Delivery Stomp (A.Shaw)
9. Earthquake (Jim Stringer)
10. Jack, You're Dead (D.Miles, W.Bishop)
11. We Ran Out of Love, Baby Blue (Jim Stringer)
12. That's All I Need (Jim Stringer)
13. Sick, Sober & Sorry (Atchison, Hazelwood)
14. 36-22-36 (Deadlic Malone)
15. No Love Have I (Jim Stringer)
16. I Wanna Be in Your Dreams (Jim Sringer)
オースティン・ミュージック・バンドという名乗りが気に入りました。
なおかつ、年代物のAMラジオのジャケが気に入りました。
また、Swangという、シンプルなタイトルにも惹かれました。
アルバムのリリースは、99年です。
ざっと曲目を見ると、ウエスタン・スイングの古典や、定番曲が見当たらないようですが、一方で、ルイ・ジョーダンや、ボビー・ブランドのナンバーをやっていることが眼にとまり、好感を持ちました。
アスリープ・アット・ザ・ホイールも、ウエスタン・スイングとブギやジャンプ・ブルースを得意としています。
むしろ、リズム&ブルースをやっているのは、私の好みです。
ほとんどためらうことなくオーダーを決定しました。
しかし、実際に音を聴いてみると、かなり予想していたサウンドと開きがあり、若干戸惑いました。
このバンドは、ギター2本、ベース、ドラムス、ピアノからなるスモール・コンボ・スタイルのバンドなのです。
通常、ウエスタン・スイング・バンドなら、スチール・ギターとフィドルが必須です。
さらには、ヒルビリー・ブギや、ジャンプ・ブルースを演奏するため、サックスをフィーチャーするのがごく普通の編成です。
これは、この分野のリバイバルの先駆者ともいうべき、ロスト・プラネッツ・エア・メン時代からの定番編成です。
ところが、このバンドは、フィドルレス、スチール・ギターレスで、なおかつホーンレスなのでした。
ロカビリー系の編成というべきでしよう。
ネオ・ロカビリーからスタートして、ビッグ・バンド編成へと発展し、ネオ・スイング・サウンドになるというのが、ブライアン・セッツァー・オーケストラの成功以来のひとつの流行です。
しかし、こちらは、アコースティック・スイング風の編成、並びにサウンドなのでした。
ギターのサウンドは、ほとんどディストーションなしのクリア・トーンで、アクースティックのフラット・ピッキングも多用しています。
全体的には、ピアノの左手のブギ・ビートと、はねる右手のパンピン・ピアノ、そして、スイングするギターが個性を主張しています。
私の好みで、いくつか注目曲をご紹介します。
まずオリジナルでは、3曲目のBye-Bye Bayouが面白いです。
この曲は、リズム・ギターが、ロックンロールのリフを刻んでいて、真っ先にパブ・ロックを連想しました。
軽快なビートを奏でるピアノもごきげんです。
さらに、メロディもポップなので、これはよいです。
ただし、曲名から連想するスワンプとか、そんなイメージはほとんどありません。
この曲と同趣向で書かれている、9曲目のEarthquakeも、やはり魅力的です。
ここでは、チャック・ベリー風のギター・イントロから、ピアノが加わると、ほぼ同時に小指を使った永遠不滅のギター・ブギのリフが出てきます。
このリズムは、常習性があるというほかないです。
ちなみに、リーダーのジム・ストリンガーは、ライナーで、自分たちの音楽を、偉大なアメリカン・ミュージックの伝統をベースにした、カントリー、ブルース、スイング、ロックンロールなどの"るつぼ"であるとして、"Swang"と呼んで欲しいと語っています。
さて、カバー曲での注目曲はいつくかあります。
まず、2曲目のTexas and Pacificです。
この曲は、ジャンプ・ブルース風の曲で、私は原曲を知りませんが、間奏で、ジムが「T-ボーン」と叫んでいるように聴こえますので、もしT-ボーンのレパートリーなら嬉しいです。
ただ、あまりT-ボーン風のタイトルではありません。
4曲目のMy Baby Left Meは、ごく普通のアレンジですね。
あえていうなら、クリーデンス風ですが、アーサー・クラダップのオリジナルからして、もともとがそんな感じの曲です。
あくがない分、面白みに欠けるかも知れません。
5曲目のLong Black Limousineは、エルヴィスがやっていたような気がしますが、どうでしょう。
60年代後半のメンフィス録音あたりになかったですかね。
続くThirty Daysは謎の曲です。
作者名を見てわかるとおり、チャック・ベリーではありません。
まあ、似たような雰囲気の曲ではあります。
爽やかな疾走感を感じさせる、Ninety Miles Per Hour (Down a Dead End Street)もいい感じです。
これなどは、ウエストコースト・カントリー・ロックという雰囲気ですね。
間奏では、かっこいいフラット・ピッキングのギター・ソロが聴けます。
次のSpecial Delivery Stompは、ヒルビリー・ブギ風のインストですが、タイトルだけから判断すると、ジャンプ・ブルース(ブギ)が原曲のような気もします。
10曲目のJack, You're Deadは、私が大好きな曲です。
ルイ・ジョーダンのバージョンで知った曲で、多分彼がオリジネイターだと思います。
ルイ独特のユーモアがうまく機能していて、曲の良さが光っていると感じます。
そして、ボビー・ブランドの36-32-36は、意外な選曲ですね。
それだけに嬉しいです。
だので、評価は甘くなります。
ここでは、この曲を取り上げたセンスに敬意を表したいと思います。
曲は、隠れた名曲というべきもので、ちょっとキャブ・キャロウェイを連想させるといいますか、キャバレー調の曲です。
私の好みとしては、名曲の部類に入ると言いたいです。
こういう嬉しいことをやってくれると、多少のことは眼をつむりたくなりますね。
軽い肩すかしもありましたが、それは聴きての勝手な予断からくるものなので、彼らに罪はないです。
ゲストなしでやっているようですので、これが彼らのやりたいスタイルなのでしょう。
私的には、やはり、フィドルやホーンが欲しいところですが、信じるスタイルを貫くというのなら、それも美しいと思います。
私は、ウエスタン・スイング・バンドを期待して入手したのですが、軽く裏切られました。
Swang !
Jim Stringer And The Austin Music Band
Jim Stringer And The Austin Music Band
1. Onward, Charlie Christian's Soldiers (Jim Stringer)
2. Texas and Pacific (Jack Wolf Fine)
3. Bye-Bye, Bayou (Jim Stringer)
4. My Baby Left Me (Arthur Cruddup)
5. Long Black Limousine (Stovall, George)
6. Thirty Days (Winfield)
7. Ninety Miles Per Hour (Down a Dead End Street) (Robertson, Blair)
8. Special Delivery Stomp (A.Shaw)
9. Earthquake (Jim Stringer)
10. Jack, You're Dead (D.Miles, W.Bishop)
11. We Ran Out of Love, Baby Blue (Jim Stringer)
12. That's All I Need (Jim Stringer)
13. Sick, Sober & Sorry (Atchison, Hazelwood)
14. 36-22-36 (Deadlic Malone)
15. No Love Have I (Jim Stringer)
16. I Wanna Be in Your Dreams (Jim Sringer)
オースティン・ミュージック・バンドという名乗りが気に入りました。
なおかつ、年代物のAMラジオのジャケが気に入りました。
また、Swangという、シンプルなタイトルにも惹かれました。
アルバムのリリースは、99年です。
ざっと曲目を見ると、ウエスタン・スイングの古典や、定番曲が見当たらないようですが、一方で、ルイ・ジョーダンや、ボビー・ブランドのナンバーをやっていることが眼にとまり、好感を持ちました。
アスリープ・アット・ザ・ホイールも、ウエスタン・スイングとブギやジャンプ・ブルースを得意としています。
むしろ、リズム&ブルースをやっているのは、私の好みです。
ほとんどためらうことなくオーダーを決定しました。
しかし、実際に音を聴いてみると、かなり予想していたサウンドと開きがあり、若干戸惑いました。
このバンドは、ギター2本、ベース、ドラムス、ピアノからなるスモール・コンボ・スタイルのバンドなのです。
通常、ウエスタン・スイング・バンドなら、スチール・ギターとフィドルが必須です。
さらには、ヒルビリー・ブギや、ジャンプ・ブルースを演奏するため、サックスをフィーチャーするのがごく普通の編成です。
これは、この分野のリバイバルの先駆者ともいうべき、ロスト・プラネッツ・エア・メン時代からの定番編成です。
ところが、このバンドは、フィドルレス、スチール・ギターレスで、なおかつホーンレスなのでした。
ロカビリー系の編成というべきでしよう。
ネオ・ロカビリーからスタートして、ビッグ・バンド編成へと発展し、ネオ・スイング・サウンドになるというのが、ブライアン・セッツァー・オーケストラの成功以来のひとつの流行です。
しかし、こちらは、アコースティック・スイング風の編成、並びにサウンドなのでした。
ギターのサウンドは、ほとんどディストーションなしのクリア・トーンで、アクースティックのフラット・ピッキングも多用しています。
全体的には、ピアノの左手のブギ・ビートと、はねる右手のパンピン・ピアノ、そして、スイングするギターが個性を主張しています。
私の好みで、いくつか注目曲をご紹介します。
まずオリジナルでは、3曲目のBye-Bye Bayouが面白いです。
この曲は、リズム・ギターが、ロックンロールのリフを刻んでいて、真っ先にパブ・ロックを連想しました。
軽快なビートを奏でるピアノもごきげんです。
さらに、メロディもポップなので、これはよいです。
ただし、曲名から連想するスワンプとか、そんなイメージはほとんどありません。
この曲と同趣向で書かれている、9曲目のEarthquakeも、やはり魅力的です。
ここでは、チャック・ベリー風のギター・イントロから、ピアノが加わると、ほぼ同時に小指を使った永遠不滅のギター・ブギのリフが出てきます。
このリズムは、常習性があるというほかないです。
ちなみに、リーダーのジム・ストリンガーは、ライナーで、自分たちの音楽を、偉大なアメリカン・ミュージックの伝統をベースにした、カントリー、ブルース、スイング、ロックンロールなどの"るつぼ"であるとして、"Swang"と呼んで欲しいと語っています。
さて、カバー曲での注目曲はいつくかあります。
まず、2曲目のTexas and Pacificです。
この曲は、ジャンプ・ブルース風の曲で、私は原曲を知りませんが、間奏で、ジムが「T-ボーン」と叫んでいるように聴こえますので、もしT-ボーンのレパートリーなら嬉しいです。
ただ、あまりT-ボーン風のタイトルではありません。
4曲目のMy Baby Left Meは、ごく普通のアレンジですね。
あえていうなら、クリーデンス風ですが、アーサー・クラダップのオリジナルからして、もともとがそんな感じの曲です。
あくがない分、面白みに欠けるかも知れません。
5曲目のLong Black Limousineは、エルヴィスがやっていたような気がしますが、どうでしょう。
60年代後半のメンフィス録音あたりになかったですかね。
続くThirty Daysは謎の曲です。
作者名を見てわかるとおり、チャック・ベリーではありません。
まあ、似たような雰囲気の曲ではあります。
爽やかな疾走感を感じさせる、Ninety Miles Per Hour (Down a Dead End Street)もいい感じです。
これなどは、ウエストコースト・カントリー・ロックという雰囲気ですね。
間奏では、かっこいいフラット・ピッキングのギター・ソロが聴けます。
次のSpecial Delivery Stompは、ヒルビリー・ブギ風のインストですが、タイトルだけから判断すると、ジャンプ・ブルース(ブギ)が原曲のような気もします。
10曲目のJack, You're Deadは、私が大好きな曲です。
ルイ・ジョーダンのバージョンで知った曲で、多分彼がオリジネイターだと思います。
ルイ独特のユーモアがうまく機能していて、曲の良さが光っていると感じます。
そして、ボビー・ブランドの36-32-36は、意外な選曲ですね。
それだけに嬉しいです。
だので、評価は甘くなります。
ここでは、この曲を取り上げたセンスに敬意を表したいと思います。
曲は、隠れた名曲というべきもので、ちょっとキャブ・キャロウェイを連想させるといいますか、キャバレー調の曲です。
私の好みとしては、名曲の部類に入ると言いたいです。
こういう嬉しいことをやってくれると、多少のことは眼をつむりたくなりますね。
軽い肩すかしもありましたが、それは聴きての勝手な予断からくるものなので、彼らに罪はないです。
ゲストなしでやっているようですので、これが彼らのやりたいスタイルなのでしょう。
私的には、やはり、フィドルやホーンが欲しいところですが、信じるスタイルを貫くというのなら、それも美しいと思います。
Jim Strngerは、こんな人
【ウエスタン・スウィングの最新記事】
投稿者:エル・テッチ|02:58|ウエスタン・スウィング
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