アフィリエイト広告を利用しています

広告

posted by fanblog

テキサスの腕利き野郎ども

 とても良かったです。
 この人を聴くのは初めてですが、長く活動していたシンガーのようです。
 このアルバムは、Asleep At The WheelのRay Bensonともう一人の制作で、96年にリリースされました。


Texas Top Hand
Don Walser

1. Texas Top Hand (Ray Benson, Don Walser)
2. Tumbling Tumbleweeds (Bob Nowlin)
3. Whose Heart Are You Breaking Now (Floyd Jenkins)
4. Wine Me Up (Faron Young, Billy Deaton)
5. Weary Blues From Waiting (Hank Williams)
6. Signposts Of Life (Don Walser)
7. You Walk By (Don Walser)
8. Divorce Me C.O.D. (Merle Travis)
9. Whispering Pines (Mahlon Merrick)
10. Mexicali Rose (Jack Tenney, Helen Stone)
11. Big Blue Diamonds (Earl 'Kit' Carson) 
12. Danny Boy (Trditional)

 ジャンル分けすれば、ウエスタン・スイングになると思いますが、このDon Walserという人には、他のシンガーと違う大きな特徴があります。
 それは、彼がJimmie Rodgersのような、ブルー・ヨーデラーだということです。

 ボーカルは、テナー〜バリトンですが、カントリーによくある鼻にかかった歌い方は控えめで、朴訥とした、何ともオールドタイミーな雰囲気を持った歌いくちが魅力的な人です。

 やっているレパートリーのせいもあるのでしょうが、私は、ドック・ワトソンを連想しました。
 また、伝統的なホンキートンク・ナンバーでの歌声からは、Johnny Bushを思い出します。

 本作は、95年にオースティンで録音されました。
 主要なレコーディング・メンバーは以下のとおりです。

Don Walser : Vocals
Johnny Gimble : Fiddle
Jason Roberts : Fiddle
Cindy Cashdollar : Lap Steel, Weissenborn
Lucky Oceans : Pedal Steel
Ray Benson : Guitar
Rick Mcree : Guitar
Floyd Domino : Piano
Tim Alexander : Accordion
Michael Francis : Saxophone
Bob Meyer : Trumpet
David Sanger : Drums
David Miller : Bass, Guitarron  

 私が知っている名前をチョイスして書き出したせいもありますが、ほとんどがRay Benson人脈の人たちです。

 フィドルのJason Roberts、ドラムスのDavid Sangerは、Asleep At The Wheelの現メンバーで、Jasonは、ときにRay Bensonに代わってリード・ボーカルもとるバンドの主要メンバーです。
 また、David Sangerは、Asleepの要ともいうべき、ベテラン・ドラマーで、数年前に加入した女性ボーカルのElizabeth McQueenの夫でもあります。

 スチール・ギターのCindy Cashdoller、Lucky Ocean、ピアノのFioyd Dominoは、Asleepの元メンバーで、CindyとFloydの二人は、脱退後も、しばしばRay Bensonの仕事にゲスト参加しています。
 Lucky Oceanは、Asleepを作った人といってよく、バンドの初期にはRay Bensonよりも中心人物だった人です。

 そして、Jonhny Gimbleは、元Bob Wills & his Texas Playboysのメンバーで、Asleep At The Wheelの立ち上げのころから、頻繁に活動を共にしている、テキサス・フィドルの第一人者です。

 さて、アルバムは、Asleep勢の協力のもと、快調なウエスタン・スイング調でスタートします。

 冒頭の"Texas Top Hand"は、Don Walserからの「Good Yodel Songが欲しい」という願いを受けて、Ray Bensonがアイデアの大半を出し、Don Walserが味付けをして出来上がった曲だそうです。

 定番のサウンドでスタートしますが、中盤でDonの最大の見せ場、聴かせ場があります。
 この曲では、得意のメランコリックなヨーデルをたっぷりと聴かせてくれます。

 "Whose Heart Are You Breaking Now"は、私はすぐに思い出せないのですが、Donのライナーによれば、Bob Wills Songだとのことです。
 ビッグ・バンド・ジャズのサウンドに乗せて、最高にスイングするカントリー・ソングが演奏されます。
 オールドタイムな雰囲気も素晴らしいです。

 "Wine Me Up"、"Weary Blues From Waiting"は、いずれもホンキートンクの古典曲で、Asleep勢が最高のアンサンブルを聴かせます。
 このあたりの選曲は、Donがやりたいと主張したのでしょう。
 私の好みでは、フロイド・ティルマンの軽快な"Wine Me Up"が特に好きです。

 Donのオリジナルは、曲調は違っても、いずれも伝統的なホンキートンク・スタイルで、スモール・コンボ的な抑えたサウンドの中、Dave Sangerの乾いたドラムの音が印象に残りました。
 
 続く"Divorce Me C.O.D."は、マール・トラヴィスのナンバーです。
 気持ちよく歌うDonのボーカルにのせて、フィドル、スチール、ピアノが素晴らしいハーモニーを奏でます。
 特段、トラヴィス風ピッキングが強調されていないのが唯一さびしいです。

 そして、ジョニー・ホートンの美しいバラード、"Whispering Pines"を経て、本作で最もトラッドな雰囲気を醸し出している、"Mexicali Rose"へと続きます。

 この曲は、作者名がクレジットされていますが、限りなく伝承歌に近い曲ではないかと思います。
 多数のシンガーがやっている曲ですが、私が、このバージョンを聴いてすぐに連想したのは、ジミー・ロジャースの「マイ・キャロライナ・サン・シャイン・ガール」でした。

 のどかなビートにのせて、Donがろうろうと歌う、美しいワルツです。
 アコーディオンとトランペットが、最高に雰囲気を盛り上げています。
 デキシーランド・ヒルビリーとでも呼びたいです。

 次の"Big Blue Diamonds"は、50年頃に書かれたカントリー・ソングらしいですが、私は、Clint Westというスワンプ・ポップ・シンガーで親しんできた曲です。

 50年代から、幾人かのヒルビリー・シンガーに歌われてきたようですが、どうも、63年のGene Summersというロカビリー・シンガーのバージョンで広く知られるようになったようで、ほぼ同じころに、R&BのLittle Willie Johnが吹き込んでいます。

 ジーン・サマーズのバージョンは、そのままClint Westに引き継がれたといってよく、ロカビリーぽさは微塵もない、感傷的なバラードに仕上がっていました。

 この曲は、たくさんの人がやっていますが、近年では、伝統的なカントリー・アレンジでやった、ヴァン・モリソン盤が聴きものです。 
 本作では、明るいアレンジで、Donが勢いよく歌い飛ばしています。
 やはり、Sangerの乾いたドラムの音が印象に残ります。 
 
 そして、ラストは、トラッドの"Danny Boy"です。
 この曲は、どうもDonの親族の個人的な境遇を思いながら歌っているらしく、優しく語りかけるように歌うDonの歌声が、しみじみと胸に迫ります。
 
 Don Walserは、写真での印象より、ずっと若々しい力強い歌声が魅力の人だと感じました。

 Don Walserは、34年生まれ、50年代から活動していたようですが、最初のアルバムが出たのは90年代のようで、06年に72歳で天に召されました。


Shotgun Boogieです。






この記事へのコメント

   
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。