アフィリエイト広告を利用しています

広告

この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
posted by fanblog

偉大なるモハメッド・アリが旅立った

20世紀の偉大な巨星が天国へ旅立った。
そして先日宗派を超えた葬儀が執り行われた。

元世界ヘビー級チャンピオン、モハメド・アリ。
天才という言葉で評されることが多いが、それは自己プロデュース力、人を惹きつけることにおいてはまさに天才だったといえる。
ボクシングにおいてももちろん才能はあっただろうが、それ以上に想像を絶する練習によってその地位を築いたのだと思う。
74歳という年齢はまだ早いという気もするが長年闘ってきた病気のことを考えると複雑な気持ちになる。

私にとっての初めてのヒーローがアリだった。
初めて知ったのはジョー・フレージャーとのMSGでのタイトルマッチ。

すでにモハメド・アリと改名していたのだがマスコミはまだカシアス・クレイの名で報道していた。
人種差別問題やベトナム戦争への言動によって、当時のマスコミがすぐには改名を認めたがらなかったように映った。

しかし世界チャンピオンという名声を失ってまでも自分の信念を貫く姿に、さらにカリスマ性が増し逆に自分を含めて多くの人が共感し魅せられたのだと思う。

ボクシング以外のスポーツ選手にとどまらず、やミュージシャン、文化人、政治家まであらゆるジャンルでアリの影響を受けた人は多い。

“蝶のように舞い蜂のように刺す”
その言葉は一種の魔法のようだった。



まさに蝶のように舞う華麗なステップ、そして蜂のように刺すスピードのある鋭いジャブからのコンビネーション。
それまでのヘビー級の戦い方の常識を破る戦い方は当初は賛否両論だった。

腕力にものをいわせKOで勝つのではなく、見事なカウンターでダウンを奪うスタイルに興奮した。

さらにフォアマン戦で見せたロープアドープ作戦も誰もが予想だにしない一見無謀な戦い方は度肝を抜かれた。
しかしアリの年齢や体力、フォアマンの耐久力や過信等も想定した理にかなった最高の作戦だったといえる。

アリがすごいという印象を受けるのは実はジョー・フレージャーとジョージ・フォアマンというライバルの存在があったからだ。
フレージャーやフォアマンはともにアリ以外の相手には無敵の強さを誇っていたからこそアリの存在が一層クローズアップされたと思う。
3人の戦いがそれぞれを引き立たせている。
なぜこの3人がクローズアップされるかというとオリンピックでの金メダルを経て世界チャンピオンに登りつめているという共通点が大きく影響しているように思える。
しかもロンドン(アリ)、東京(フレージャー)、メキシコ(フォアマン)と3大会連続での金メダリストということが3人の因縁を感じる。

アリが評価されるのはもうひとつ高額な報酬を得ることができるようになったこと。
衛星中継の発達等いろんな要素があるが、高額なファイトマネーを得られるきっかけを作ったのがアリのショーマンシップだったといえる。

フレージャーはアリとの第1戦でダウンを奪い死闘を制した。
ヘンリー・クーパーにもこの試合でダウンを奪われたのと全く同様の左フックで倒されている。

そんなフレージャーをフォアマンはたった2Rで計6度のダウンを奪い、完膚なきまでに打ちのめす。
俗に言う『キングストンの惨劇』。
フレージャーの体がフォアマンのパンチで宙に浮いたのには度肝を抜かれた。

そういう試合を見ているからこそアリがフォアマンに8RKO勝ちしたのはまさにとてつもなくすごいことなのだ。



実際試合前はただただアリの勝利を祈るしかなかった。
きっと奇跡を起こしてくれると信じながらもフォアマンのパンチを受けるたびに自分ものけぞっていた。
まさに『キンシャサの奇跡』を目の当たりにしてしばらくの期間興奮さめやらなかった。

ドローンがとらえた奇跡の絶景映像

ドローンを飛ばして前人未到の絶景を撮影するという企画が「アイアム冒険少年」という番組で放映された。

今まで見たことのない迫力のあるなかなかの映像だった。

まずザンビア共和国の世界自然遺産&世界三大瀑布のひとつ「ヴィクトリアの滝」の映像。
そこでは運がいいとみられる、滝壺から天に向かって虹が架かる通称『天国への階段』といわれる現象があるらしい。
天候や風向き、水量や湿度、あらゆる条件がそろわなければ決して見ることのできない奇跡の光景。
しかも2本の虹が生じたダブルレインボー、地元の人でもめったに見ることができない絶景をとらえることとなった。

そしてバヌアツ共和国にある世界一火口に近づける山「ヤスール火山」でのドローン撮影。
およそ1000℃、灼熱の溶岩が今なお吹きあげるヤスール火山を真上からの撮影。
火口までわずか30mの距離まで接近、ヘリでは決して近づけない、ドローンだからこそ撮れた緊迫の映像。
地元のガイドもここまで至近距離でとらえた映像は見たことがないという。



自然の力強さと雄大さを伝えてくれた見事な映像だった。

これまで見れなかった角度や距離からのこうした風景をドローンを飛ばして撮るという手段はおもしろい。
こうした貴重な映像をこれからもっと見たいものだ。

今思い出す「大場政夫」

内山高志選手の衝撃の王座交代劇から1カ月。
未だ何か気の抜けたような状態である。

これだけ大きなショックを受けたのは具志堅用高選手の敗戦以来3度目。

内山選手に勝ったパナマのコラレス選手の戦いぶりから思い出したのが、大場政夫選手の4度目の防衛戦の相手オーランド・アモレス選手(以下敬称略)。
最も大きなショックを受けたのはその大場選手の事故死。
オールドファンなら知らないものはいないだろう名選手。
今回はそんな第25代WBA世界フライ級チャンピオン大場政夫の試合を振り返りたい。

まずはタイトルを取ったベルクレック・チャルバンチャイ戦。
この世界タイトル挑戦の前、日本チャンピオン・東洋チャンピオン・世界チャンピオンをそれぞれノンタイトル戦で撃破しトップコンテンダーに上り詰め、満を持しての挑戦だった。
その実力をいかんなく発揮しチャンピオンを圧倒、見事13R王者を3度マットに這わせKOで新チャンピオンの座に就く。
また防衛戦の合間に敵地に乗り込んでノンタイトル戦を行ったりと精力的に試合をこなしていた。
今日本人チャンピオンがラスベガスで試合をするのがステータスみたいになっているがすでに45年も前に大場はアメリカに乗り込んでいた。
しかも世界ランカーを相手にノンタイトル戦を行うという今では考えられないこともやってのけていた。



試合前のインタビューなどでも決して大口をたたくわけではなく静かな口調に世界チャンピオンとしての風格、プライドがうかがえる。

4度目の防衛戦の相手となったのが最強の挑戦者と言われたオーランド・アモレス。
この試合開始早々荒々しく振り回してくるアモレスのパンチをまともにくらい痛烈なダウンを喫した。
内山がパンチをもらいダウンを喫した時大場のダウンシーンが頭をかすめた。
大場はこのピンチをしのぎ2Rにはダウンを奪い返す。
スタミナに難のある相手を逆転KOに下しこの年の年間最高試合に選ばれた。



そして5度目の防衛戦。
相手は過去2度チャンピオンの座についたことのあるタイの英雄チャチャイ・チオノイ選手。
この強豪を相手にまたもや初回相手の振り回したスイング気味の右をまともにくらい痛烈なダウン。
しかもダウンの際右足首をひねり捻挫してしまう。
ただ試合中誰もこのことを気づくものはいなかった。
とてもこの後15R戦えるとは思えない絶望的な雰囲気の中、パンチをもらいながらもあきらめることなくペースを取り戻していく。
徐々に大場の激しい闘志にチャチャイが気持ちでのまれていく。
リング上ではテンカウントは決して聞かないという、大場選手の不屈の闘志が、劇的な逆転ノックアウトを生んだともいえる。
そしてチャチャイ選手の執念がこの試合をさらに壮絶なものとした。
後にも先にもこんなに心ふるえる試合はみたことがない。



それほど感動的な試合のわずか2週間後の夕刊、信じられない見出しを目にすることとなる。
頭が真っ白になり心がざわつくのを抑えられない何とも言えない気持ちになったのを覚えている。

大場政夫氏は自分にとってはボクシングへの入り口となった大きな存在であり文字通り永遠のチャンピオンでありつづける。

5つの世界戦(田口&河野)

河野公平選手と田口良一選手の防衛戦。
二人はどちらかというと地味な扱われ方をする。
少なくともマスコミで華やかに取り上げられる存在ではない。

ボクサーの評価というものは何戦目でタイトルを取るかではなく、タイトルを取った後どのくらい防衛を重ねたかまた防衛の内容や相手によってきまると考えている。
世界最速だけを強調するメディアにはうんざりしている。

圧倒的な存在感に欠けるのかもしれないが、チャンピオンとしてそれぞれ3度防衛しているので一定の評価に値する選手だと思っている。
確かに大きなインパクトはないのだが、それぞれ決め手となる「右ストレート」という共通の武器を持っている。

河野選手のそれはノーモーションで繰り出されるためよけづらい。
予測しづらいのでダウンにつながりサウスポーには特に有効だ。
あまり威力は感じないが相手にとってはやりづらいことこの上ない。



田口選手の右は打ちおろしで威力がある。
一発で眠らせるかどうかは別として相手にダメージを与えるパンチであることは確かだ。
ボディへのパンチももうまく威力がありこれまで何度も対戦相手の心を折ってきた。



これから挑戦者にもっと研究をされてくると思うので試練が待っている。
二人がどこまで防衛できるのか興味深いしメディアにもっと大きく取り上げられる日が来ることを願いたい。

5つの世界戦(内山高志)

さてちょっとつらいのだが、内山高志選手の防衛戦を振り返ってみたい。

チャンピオンになることより防衛することの方が難しいとはよく言われることだ。
挑戦者は無数にいるが4団体あったとしても標的にするチャンピオンはひとり。
チャンピオンはあらゆる角度から分析され研究される。
さらに長い間防衛回数を重ねれば重ねるほど研究される。
だからこそ10回を超える防衛は本当に偉大な記録だ。
悪いが最短で世界チャンピオンになることにあまり意味を感じない。
防衛の難しいさを改めて知らされた一戦だった。

長いこと防衛すればするほどいろいろな癖を見抜かれそこを攻め込まれる。
あの用心深い内山選手がまさかのKO負け。
KO率が低くてもまともにもらえば効いてしまう。

本当にまともにくらってしまったこととがまず第一の大きな敗因。
相手は徹底して内山選手の癖を研究し勇気を持ってパンチをふるってきた。
そしてドンピシャでパンチをもらってしまった。
よく立てたなというぐらい効いていた。

挑戦者も目もよくスピードがあるうえに振り回してくるやりにくそうなタイプだった。

あと数秒やりすごせば乗り切れたのに、やはり自分のパンチに自信があったのだろう、打ちにいってしまったことが最後のダウンにつながった。



ボクシングの怖さを痛感した試合だった。
まったく負ける姿が思い浮かばないような強い選手ほど負けた時のショックは大きい。
ただ肉体的、精神的に衰えて負けた様には見えないしダメージもないように思う。
できればもう一度リベンジしてほしい。

具志堅さんが負けたときと同じような喪失感を35年ぶりに味わった。

ただ世界にはさらに驚く記録を更新中のチャンピオンがいる。
ミドル級のゲンナディ・ゴロフキンだ。
防衛記録を重ねるだけでなくすべてKO防衛。
現在16連続防衛中、世界記録であるウィルフレッド・ゴメスの持つ17連続KO防衛の記録にあとひとつに迫っている。
決して弱い相手と対戦しているわけではない。

5つの世界戦を振り返って(井上尚弥&八重樫東)

ゴールデンウィークを挟んで5つの世界戦が行われた。
その世界戦を振り返ってみる。

いまだ内山選手のショックがいえないが、まずは井上尚弥選手のスーパーフライ級での2度目の防衛戦から。
相手選手が予想以上に目がよくタフであったためKO決着とはならなかったが存分に強さを見せつけた。
また最終ラウンドはダメージや逆転の可能性が望める状態にないことを考慮すれば、明らかにストップすべきだったと思う。
このレフェリーでリング禍が起きないことを願う。

解説でも散々ふれていたように途中で右こぶしを痛めたのかもしれない。
(夜のスポーツ番組で右手だけではなく左手も痛めていたと打ち明けていた)
ただちょっと強引に行き過ぎたかな、肩に力が入りすぎているのではという印象を受けた。

途中相手のパンチを被弾したのは倒すためにわざと相手に攻めさせたのではないかなと思えた。
自分が攻めてばっかりいては倒すのが難しいと感じたのではないか。
相手にただ手を出させるだけではなくあえて被弾することで隙を見せ、相手が攻め込ませることでKOのチャンスをうかがっていたように感じた。
勝手な憶測だが。

あと採点を聞いて一人116−111とつけていたジャッジがいたのにも驚いた。
最終ラウンドダウンを奪っているのでそれまでの採点は106−103もしくは106−104という僅差だったことになる。
あらためてボクシングの難しさを感じた。



八重樫選手は若いころとボクシングのスタイルがだいぶん変わったように思う。
ジャブを起点としてスピードに乗った出入りの激しいボクシングをしていたような記憶がある。
最近は激しい打ち合いを演じ我慢比べのボクシングという印象。

スマートなボクシングが主流だが八重樫選手のようなボクシングは最近珍しい。
魂をぶつかり合いを見ているようで心が熱くなる。
体だけには気をつけて頑張ってほしい。

相手選手の試合後の「ノーダメージだ。明日にでも再戦したいぐらい」という弁は負け惜しみにしか聞こえない。
確かに接戦だったとは思うが試合を見る限り相当なダメージを受けているのは明らかだ。

進路説明会(「アニータ・ローベルのじゃがいもかあさん」「雨上がりの夜空に」)

子供の進路説明会に行ってきた。

入学説明会があったのがついこの間のことのようで、時がたつのは本当に早いものだ。

進学にしろ就職にしろ、自分のころとは全く様相が変わっていてビックリだ。

親の希望と子供の思いはなかなか一致しない。

こんな風に育てた覚えはないというのは親の身勝手、結局のところ子は親の映し鏡なんだろうなと思う。
正直ひとり親という部分で肩身の狭い思い、いやな経験をさせてしまったかもしれないという負い目もある。
子供に文句を垂れるほど立派なこともしてはいない。

こんな考え方するんだと驚くことがある半面自分のこのころよりしっかり考えていると感心することもある。
とにかく道を踏み外しさえしなければというのが今の正直な気持ちだ。

何か世間で事件が起きるといじめとか交友関係がどうしても気になってしまう。

軽音楽部でバンドを組んでいてライヴなどもやっているので、付き合いの深さは別にして友達はいる模様。
またバイトを通じて少しは社会生活も学んでいるようだ。

中学校の時は演劇部に所属していた。
結構基礎体力を鍛えてもらったので感謝している。
演劇の経験など全くなかったにもかかわらず、県の代表として「アニータ・ローベルのじゃがいもかあさん」という音楽劇で全国大会に出れたことがいい思い出。
中学生の演技とは思えないほど引き込まれ、感動した。
最も気に入ってる場面は兄弟力合わせじゃがいもを見事に育て上げる様子を歌とともに表現した場面。



そんなこともあってお芝居は興味をもって見ている。
演技がうまいかどうかを判断できるわけではないが、インパクトのある演技をする人にはひきこまれる。

最近の俳優さんでは二階堂ふみさんが圧倒的存在感を放っているように思う。
最近テレビで見て印象的だったのは「日々ロック」。
二階堂さんのアイドル姿がはまりすぎ。

もっと引き込まれるのは、ちょっとイってしまった眼を見せ「雨上がりの夜空」を歌う場面。
「脳男」「渇き。」「地獄でなぜ悪い」などでみせる狂気の表情は若手で彼女の右に出るものはいない。



彼女の魅力は何といっても素顔とのギャップ。
普段の物静かで落ち着いた立ち振る舞い、常識ある素顔はスクリーンからは想像できない。

高梨、3度目のクリスタルトロフィー(オーバーオール表彰式)

ジャンプ女子ワールドカップオーバーオールの表彰式は、第18・19戦が雪不足で中止となったため、男子の最終戦プラニツァ大会後に行われた。
大観衆の中、歴史ある男子と同じ舞台での表彰式は非常な盛り上がりを見せ、格別な感じがした。

日の丸を見つめる高梨沙羅選手は昨シーズンの悔しさが頭をよぎったのか感極まった表情を見せていた。
見ているこちらも胸が熱くなる思いだった。



今シーズンを振り返ってみると数字の上では17戦14勝、2位2回、4位1回と抜群の強さを残した。
確かに昨シーズンと比べれば安定感のあるジャンプを見せていた。
また昨シーズンは最後まで硬い笑顔だったが、今季は晴れ晴れとした表情が目立つ。

これで来季の世界選手権や再来年のオリンピックが安泰かといえばそうもいえない。
もちろん現時点での大きなライバル、ダニエラ・イラシコシュトルツ選手や今シーズン安定したジャンプを見せた総合3位のマヤ・ブティッツ選手が最も怖い存在ではある。
そのほかにひざの手術の影響で今シーズンは不出場のサラ・ヘンドリクソン選手も世界選手権や平昌オリンピックを見据えていると公言している。

しかしもっと怖いのは急成長を遂げている外国勢の若手選手だ。

前にもふれたが、スロベニアの17歳のエマ・クリネツ選手は今季ユース五輪で優勝している。
15歳で華々しいデビューをはたしたものの、その年右膝の靱帯(じんたい)断裂のため戦列を離れていたが見事に復帰した。
総合順位も9位だがユース五輪等で出場試合が少なかったためもっと上位に位置していてもおかしくない。
テレマークもしっかりとれるライバル一番手といえよう。

また15歳のニカ・クリジュナル選手はデビュー戦14位、2戦目12位と大きなインパクトを残した。
そしてオーストリアの18歳のキアラ・ヘルツル選手も今季総合5位と高梨選手同様小柄ながら大きな飛距離を出す選手。
この二人はまだ着地に難があるが飛距離が魅力だ。



高梨選手より年下のこれらの選手が今後怖い存在になりそうだ。

高梨、今季初の逆転勝利で14勝目(ワールドカップ第17戦)

ジャンプ女子ワールドカップ第17戦アルマトイ大会。
第18・19戦は雪不足のため中止、また代替開催も行われないことが決定し、この試合が今シーズンの最終戦となった。

高梨選手は1回目を終わり、今シーズン初めての3位スタート。
2回目のジャンプで高梨選手が最後で飛ばないのが違和感を感じるぐらい今年は安定したジャンプを見せていた。
今シーズンの中では最も失敗したジャンプの部類に入るのではないだろうか。
スタートゲートも下げず風の条件も悪くないにもかかわらずK点をやっと超えたジャンプは久々にみる気がする。
2回目のジャンプも残り上位2人にプレッシャーを与えるほどのジャンプとはいえなかった。
それでも何が起こるか分からないのがこのジャンプという屋外競技の難しさ。
イラシコシュトルツとブティッツも満足いくジャンプが飛べず高梨選手の逆転優勝となった。
それにしても1〜4位までが4.2ポイントの中にひしめくという今季最も僅差の試合となった。

第17戦の上位5人の成績は以下の通り。
高梨沙羅           96.5m 110.6pt(−3.4)102.0m 236.9pt(+0.8)
ダニエラ・イラシコシュトルツ    97.5m 116.5pt(−1.5) 97.0m 234.7pt(+0.7)
マヤ・ブティッツ         96.5m 112.6pt(−2.9) 99.0m 233.9pt(+0.3)
ジャクリーン・ザイフリーツベルガー95.0m 108.6pt(−3.9)100.5m 232.7pt(+0.1)
イリーナ・アブバクモア      94.0m 102.0pt(−7.6) 97.5m 222.4pt(+2.0)
( )内はウィンドファクター

前述したように残り3試合のうち第18・19戦は雪不足のため中止が決定しており代替開催も行われないことが決定し、この試合が最終戦になった。

他国の選手が成長著しい中、高梨選手自身もレベルアップしたことが今シーズンの安定した強さを見せつける結果となった。
今シーズンの好調さは体幹トレーニングといわれているが、実は昨年特別に取り組んだわけでもなく2011年の世界選手権でサラ・ヘンドリクソンに敗れた当初からずっと努力を積んできている。
長いこと取り組んできたことがようやく実を結びつつあり今後もますますよいジャンプを見せてくれることを期待したい。



もう一度今シーズンを振り返ってみる。
1回目を終えた時点でトップが17戦中15回、逆転を許したのが2回。
2位1回、3位1回で逆転したのが1回。

2015.12.04 第1戦 リレハンメル (ノルウェー) HS100/K90
 1高梨沙羅マヤ・ブティッツ3マーレン・ルンビュ4ダニエラ・イラシコシュトルツキアラ・ヘルツル
    (1位と2位の差 11.5pt)
2015.12.12 第2戦 ニジニ・タギル (ロシア) HS97/K90
 1イラシコシュトルツ高梨3エヴァ・ピンケルニッヒ4カリーナ・フォークト5伊藤有希
    (1位と2位の差 4.0pt)
2015.12.13 第3戦 ニジニ・タギル (ロシア) HS97/K90
 1高梨2伊藤3ヘルツルブティッツ5テイラー・ヘンリック
    (1位と2位の差 24.0pt)
2015.01.16 第4戦 札幌/宮の森 (日本) HS100/K90
 1高梨2エマ・クリネツ3イラシコシュトルツヘルツルジャクリーン・ザイフリーツベルガー
    (1位と2位の差 24.3pt)
2015.01.17 第5戦 札幌/宮の森 (日本) HS100/K90
 1高梨イラシコシュトルツザイフリーツベルガーヘルツル5ジュリア・クレール
    (1位と2位の差 16.4pt)
2015.01.22 第6戦 蔵王/クラレ蔵王シャンツエ (日本) HS106/K95
 1高梨イラシコシュトルツブティッツ4ピンケルニッヒ5イリーナ・アブバクモア
    (1位と2位の差 16.2pt)
2015.01.23 第7戦 蔵王/クラレ蔵王シャンツエ (日本) HS106/K95
 1高梨ブティッツ3クリネツ4ピンケルニッヒ5勢藤優香
    (1位と2位の差 2.6pt)
2016.01.30 第8戦 オーベルシュトドルフ (ドイツ) HS106/K95
 1高梨イラシコシュトルツ3クリネツ4ブティッツザイフリーツベルガー
    (1位と2位の差 26.8pt)
2016.01.31 第9戦 オーベルシュトドルフ (ドイツ) HS106/K95
 1高梨イラシコシュトルツ3ルンビュ4クリネツ5ザイフリーツベルガー
    (1位と2位の差 13.6pt)
2016.02.04 第10戦 オスロ (ノルウェー) HS134/K120
 1高梨2ルンビュ3アブバクモア4イラシコシュトルツ4クリネツ
    (1位と2位の差 20.7pt)
2016.02.06 第11戦 ヒンツェンバッハ (オーストリア) HS94/K85
 1高梨イラシコシュトルツ3ルンビュ4ブティッツ5アブバクモア
    (1位と2位の差 18.3pt)
2016.02.07 第12戦 ヒンツェンバッハ (オーストリア) HS94/K85
 1高梨イラシコシュトルツザイフリーツベルガー4ルンビュ5クリネツ
    (1位と2位の差 18.1pt)
2016.02.13 第13戦 リュブノ (スロベニア) HS95/K85
 1ブティッツ高梨3シュペラ・ロゲイユ4ヘルツルザイフリーツベルガー
    (1位と2位の差 4.5pt)
2016.02.14 第14戦 リュブノ (スロベニア) HS95/K85
 1イラシコシュトルツブティッツヘルツル高梨5ロゲイユ
    (1位と2位の差 3.7pt)
2016.02.19 第15戦 ラハティ (フィンランド) HS100/K90
 1高梨ブティッツ3伊藤4イラシコシュトルツザイフリーツベルガー
    (1位と2位の差 12.6pt)
2016.02.27 第16戦 アルマトイ(カザフスタン) HS106/K95
 1高梨イラシコシュトルツザイフリーツベルガーブティッツヘルツル
    (1位と2位の差 7.3pt)
2016.02.28 第17戦 アルマトイ(カザフスタン) HS106/K95
 1高梨イラシコシュトルツブティッツザイフリーツベルガー5アブバクモア
    (1位と2位の差 2.2pt)
2016.03.05 第18戦 ルシュノブ (ルーマニア) HS100 中止
2016.03.06 第19戦 ルシュノブ (ルーマニア) HS100 中止

高梨選手が優勝した14勝のうち2位に11ポイント以上の大差をつけた試合が11試合と数字で振り返ると圧勝が多かったシーズンだった。
しかも一番悪かった順位が4位と総合順位の上位選手の成績と比べると圧倒的な安定感を物語っている。

2015-16シーズンの総合順位トップ10は以下の通り

1高梨沙羅(日本)              1610
2ダニエラ・イラシコシュトルツ(オーストリア)   1139
3マヤ・ブティッツ(スロベニア)           908
4ジャクリーン・ザイフリーツベルガー(オーストリア) 695
5キアラ・ヘルツル(オーストリア)          632

6マーレン・ルンビュ(ノルウェー)          586
7イリーナ・アブバクモア(ロシア)          572
8伊藤有希(日本)                 505
9エマ・クリネツ(スロベニア)            426
10シュペラ・ロゲイユ(スロベニア)         415

個人では高梨選手強さが際立つが国別でみるとオーストリアがトップ5に3人と頭一つ抜け出している。
ヘルツル選手はジュニア世界選手権で今季優勝した18歳の期待の選手。
スロベニアもトップ10に3人が入るなど力をつけてきている。
特に17歳のクリネツ選手は今季ユース五輪で優勝しており、15歳のニカ・クリジュナルなど10代の選手の台頭がスロベニアの特徴で今後最も注意すべきだろう。

日本としてはトップ10に入る選手がもうひとり必要。
ここに成長はしているものの、外国勢の成長の加速が著しいためなかなか厳しいのは確かだ。

高梨選手のような逸材はなかなか表れるものではないが、ユース五輪やジュニア世界選手権で金を取れる選手が出てくることを期待したい。
もちろん今季不調ながらも総合8位の伊藤選手、急成長を遂げている岩渕香里選手、勢藤優花選手さらに山田優梨菜、渡邉陽、丸山希の若手3選手にも来シーズン以降期待したい。

高梨、安定の強さ13勝目(ワールドカップ第16戦)

カザフスタンのアルマトイで行われたジャンプ女子ワールドカップ第16戦。
アルマトイはサマーグランプリが行われたことはあるものの冬雪の季節にワールドカップ開催するのは初めて。
高梨沙羅選手は1回目ただ一人100mを超、え2回目も103.0mとこの台もヒルレコードをマークし、今季13度目の優勝を飾った。
圧勝とまではいかなかったものの2本とも100mを超え、安定した強さを感じる試合だった。

第16戦の上位5人の成績は以下の通り。
高梨沙羅           101.0m 126.2pt(+4.2)103.0m 252.6pt(−1.1)
ダニエラ・イラシコシュトルツ    97.0m 119.8pt(+3.3)100.5m 245.3pt(+0.5)
ジャクリーン・ザイフリーツベルガー98.5m 121.9pt(+4.9) 99.0m 239.2pt(−2.7)
マヤ・ブティッツ          94.5m 115.1pt(+5.6) 98.0m 235.7pt(+3.6)
キアラ・ヘルツル          97.0m 118.2pt(+6.2) 99.0m 234.7pt(+0.5)
( )内はウィンドファクター

本人がインタビューで「タイミング遅れてしまった、空中もうまくいかずテレマークも入らず課題の残る試合」と言っていたように2位のイラシコシュトルツ選手に2本目にポイントを詰められた。



すでに今シーズンの総合女王が決定している高梨選手だが、世界の各地のジャンプ台は年に何度も飛べるわけではない。
その特徴をつかむうえでもまた自身のジャンプへの課題をひとつひとつステップ克服しアップしていくためにも、実戦で飛ぶことがまず大切。
もちろん怪我の心配等はつねにつきまとうが、それ以上に一戦一戦が彼女たちにとっては大切な経験となるのだろう。

より素晴らしいジャンプ理想のジャンプを飛びたいという生真面目な姿勢が高梨沙羅という選手をここまで強い女王に成長させたのだと思う。
結果だけみると16戦13勝と圧倒しているが、まだ自分のジャンプに納得していないようだ。
また若い選手(特にスロベニア)の急速な成長と各国の技術力の向上が気を引き締める材料となっているようにみえる。

数字だけでいえば今季以上の成績を残したのが2013-14年のシーズン。
このときは個人戦が19戦予定されていて1試合が中止となり、18戦15勝2位2回3位1回とすべての試合で表彰台にのぼっている。
今季より1試合早く第14戦で総合優勝を決めたシーズンだ。

サラ・ヘンドリクソンがじん帯手術のためシーズン通して欠場、ダニエラ・イラシコシュトルツや五輪王者のカリーナ・フォークトも途中から欠場と、ライバルと目された選手たちの離脱が余計高梨選手の強さを引き立たせた。

他の選手より1ゲートを下げても飛びすぎできちんとうまく着地できず、転倒扱いで飛型点で大きくマイナスされたにもかかわらずトップに立った試合、2位に40pt近い大差をつけて優勝した大会。
こういったインパクトの強い勝ち方をしたので力以上の強さを感じたシーズンだった。
この強さが印象的だったため翌年総合チャンピオンの座を譲っただけでスランプとされてしまう。
もちろん彼女がこれまで以上に悩んだ年であり思うような結果を出せなかったのは事実。
しかし6度も優勝し総合2位という結果はもっともっと評価されるべきだ。
メディアも通り一辺倒な報道ばかりせずもう少しきちんと取材をしてほしい。

無事これ名馬というようにこれまであまり大きな怪我や故障がないことも高梨選手の強さなのかもしれない。
女子のワールドカップが始まって今年で5シーズン目だが、総合ランキングトップ3をひもとくと高梨選手だけがこのトップ3を外していないのである。
10連勝とかもすごい記録なのだが、これも特筆すべきことだと思う。
       総合優勝           2位          3位
2011/12 サラ・ヘンドリクソン     ダニエラ・イラシコシュトルツ   高梨沙羅
2012/13 高梨沙羅           サラ・ヘンドリクソン   コリーヌ・マッテル
2013/14 高梨沙羅           カリーナ・フォークト     伊藤有希
2014/15 ダニエラ・イラシコシュトルツ   高梨沙羅       カリーナ・フォークト
2015/16 高梨沙羅         ダニエラ・イラシコシュトルツ   マヤ・ブティッツ

女子ジャンプは他の競技に比べ競技人口は少ないかもしれない。
ワールドカップの開催やオリンピック種目としての歴史も浅いかもしれない。
しかしそれは認められるまでに時間がかかっただけの話で競技自体の歴史が極端に浅いわけではない。

もっともっとこの競技そして活躍している選手を長いスパンでクローズアップしてもよいと思う。
オリンピック直前になって金メダル候補という理由だけでその時だけ取材攻勢をかけ変にプレッシャーをかけるのだけはやめてほしい。
<< 前へ     >>次へ
プロフィール

アレアッチャ
高校生になる息子を抱えるシングルファーザーです。生活してゆく上で一人親ならではの悩みや工夫等を含め日々感じたことを発信したいと思います。
リンク集
<< 2023年03月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
最新記事
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。