2016年03月04日
高梨、今季初の逆転勝利で14勝目(ワールドカップ第17戦)
ジャンプ女子ワールドカップ第17戦アルマトイ大会。
第18・19戦は雪不足のため中止、また代替開催も行われないことが決定し、この試合が今シーズンの最終戦となった。
高梨選手は1回目を終わり、今シーズン初めての3位スタート。
2回目のジャンプで高梨選手が最後で飛ばないのが違和感を感じるぐらい今年は安定したジャンプを見せていた。
今シーズンの中では最も失敗したジャンプの部類に入るのではないだろうか。
スタートゲートも下げず風の条件も悪くないにもかかわらずK点をやっと超えたジャンプは久々にみる気がする。
2回目のジャンプも残り上位2人にプレッシャーを与えるほどのジャンプとはいえなかった。
それでも何が起こるか分からないのがこのジャンプという屋外競技の難しさ。
イラシコシュトルツとブティッツも満足いくジャンプが飛べず高梨選手の逆転優勝となった。
それにしても1〜4位までが4.2ポイントの中にひしめくという今季最も僅差の試合となった。
第17戦の上位5人の成績は以下の通り。
高梨沙羅 96.5m 110.6pt(−3.4)102.0m 236.9pt(+0.8)
ダニエラ・イラシコシュトルツ 97.5m 116.5pt(−1.5) 97.0m 234.7pt(+0.7)
マヤ・ブティッツ 96.5m 112.6pt(−2.9) 99.0m 233.9pt(+0.3)
ジャクリーン・ザイフリーツベルガー95.0m 108.6pt(−3.9)100.5m 232.7pt(+0.1)
イリーナ・アブバクモア 94.0m 102.0pt(−7.6) 97.5m 222.4pt(+2.0)
( )内はウィンドファクター
前述したように残り3試合のうち第18・19戦は雪不足のため中止が決定しており代替開催も行われないことが決定し、この試合が最終戦になった。
他国の選手が成長著しい中、高梨選手自身もレベルアップしたことが今シーズンの安定した強さを見せつける結果となった。
今シーズンの好調さは体幹トレーニングといわれているが、実は昨年特別に取り組んだわけでもなく2011年の世界選手権でサラ・ヘンドリクソンに敗れた当初からずっと努力を積んできている。
長いこと取り組んできたことがようやく実を結びつつあり今後もますますよいジャンプを見せてくれることを期待したい。
もう一度今シーズンを振り返ってみる。
1回目を終えた時点でトップが17戦中15回、逆転を許したのが2回。
2位1回、3位1回で逆転したのが1回。
2015.12.04 第1戦 リレハンメル (ノルウェー) HS100/K90
1高梨沙羅2マヤ・ブティッツ3マーレン・ルンビュ4ダニエラ・イラシコシュトルツ5キアラ・ヘルツル
(1位と2位の差 11.5pt)
2015.12.12 第2戦 ニジニ・タギル (ロシア) HS97/K90
1イラシコシュトルツ2高梨3エヴァ・ピンケルニッヒ4カリーナ・フォークト5伊藤有希
(1位と2位の差 4.0pt)
2015.12.13 第3戦 ニジニ・タギル (ロシア) HS97/K90
1高梨2伊藤3ヘルツル4ブティッツ5テイラー・ヘンリック
(1位と2位の差 24.0pt)
2015.01.16 第4戦 札幌/宮の森 (日本) HS100/K90
1高梨2エマ・クリネツ3イラシコシュトルツ4ヘルツル5ジャクリーン・ザイフリーツベルガー
(1位と2位の差 24.3pt)
2015.01.17 第5戦 札幌/宮の森 (日本) HS100/K90
1高梨2イラシコシュトルツ3ザイフリーツベルガー4ヘルツル5ジュリア・クレール
(1位と2位の差 16.4pt)
2015.01.22 第6戦 蔵王/クラレ蔵王シャンツエ (日本) HS106/K95
1高梨2イラシコシュトルツ3ブティッツ4ピンケルニッヒ5イリーナ・アブバクモア
(1位と2位の差 16.2pt)
2015.01.23 第7戦 蔵王/クラレ蔵王シャンツエ (日本) HS106/K95
1高梨2ブティッツ3クリネツ4ピンケルニッヒ5勢藤優香
(1位と2位の差 2.6pt)
2016.01.30 第8戦 オーベルシュトドルフ (ドイツ) HS106/K95
1高梨2イラシコシュトルツ3クリネツ4ブティッツ5ザイフリーツベルガー
(1位と2位の差 26.8pt)
2016.01.31 第9戦 オーベルシュトドルフ (ドイツ) HS106/K95
1高梨2イラシコシュトルツ3ルンビュ4クリネツ5ザイフリーツベルガー
(1位と2位の差 13.6pt)
2016.02.04 第10戦 オスロ (ノルウェー) HS134/K120
1高梨2ルンビュ3アブバクモア4イラシコシュトルツ4クリネツ
(1位と2位の差 20.7pt)
2016.02.06 第11戦 ヒンツェンバッハ (オーストリア) HS94/K85
1高梨2イラシコシュトルツ3ルンビュ4ブティッツ5アブバクモア
(1位と2位の差 18.3pt)
2016.02.07 第12戦 ヒンツェンバッハ (オーストリア) HS94/K85
1高梨2イラシコシュトルツ3ザイフリーツベルガー4ルンビュ5クリネツ
(1位と2位の差 18.1pt)
2016.02.13 第13戦 リュブノ (スロベニア) HS95/K85
1ブティッツ2高梨3シュペラ・ロゲイユ4ヘルツル5ザイフリーツベルガー
(1位と2位の差 4.5pt)
2016.02.14 第14戦 リュブノ (スロベニア) HS95/K85
1イラシコシュトルツ2ブティッツ3ヘルツル4高梨5ロゲイユ
(1位と2位の差 3.7pt)
2016.02.19 第15戦 ラハティ (フィンランド) HS100/K90
1高梨2ブティッツ3伊藤4イラシコシュトルツ5ザイフリーツベルガー
(1位と2位の差 12.6pt)
2016.02.27 第16戦 アルマトイ(カザフスタン) HS106/K95
1高梨2イラシコシュトルツ3ザイフリーツベルガー4ブティッツ5ヘルツル
(1位と2位の差 7.3pt)
2016.02.28 第17戦 アルマトイ(カザフスタン) HS106/K95
1高梨2イラシコシュトルツ3ブティッツ4ザイフリーツベルガー5アブバクモア
(1位と2位の差 2.2pt)
2016.03.05 第18戦 ルシュノブ (ルーマニア) HS100 中止
2016.03.06 第19戦 ルシュノブ (ルーマニア) HS100 中止
高梨選手が優勝した14勝のうち2位に11ポイント以上の大差をつけた試合が11試合と数字で振り返ると圧勝が多かったシーズンだった。
しかも一番悪かった順位が4位と総合順位の上位選手の成績と比べると圧倒的な安定感を物語っている。
2015-16シーズンの総合順位トップ10は以下の通り
1高梨沙羅(日本) 1610
2ダニエラ・イラシコシュトルツ(オーストリア) 1139
3マヤ・ブティッツ(スロベニア) 908
4ジャクリーン・ザイフリーツベルガー(オーストリア) 695
5キアラ・ヘルツル(オーストリア) 632
6マーレン・ルンビュ(ノルウェー) 586
7イリーナ・アブバクモア(ロシア) 572
8伊藤有希(日本) 505
9エマ・クリネツ(スロベニア) 426
10シュペラ・ロゲイユ(スロベニア) 415
個人では高梨選手強さが際立つが国別でみるとオーストリアがトップ5に3人と頭一つ抜け出している。
ヘルツル選手はジュニア世界選手権で今季優勝した18歳の期待の選手。
スロベニアもトップ10に3人が入るなど力をつけてきている。
特に17歳のクリネツ選手は今季ユース五輪で優勝しており、15歳のニカ・クリジュナルなど10代の選手の台頭がスロベニアの特徴で今後最も注意すべきだろう。
日本としてはトップ10に入る選手がもうひとり必要。
ここに成長はしているものの、外国勢の成長の加速が著しいためなかなか厳しいのは確かだ。
高梨選手のような逸材はなかなか表れるものではないが、ユース五輪やジュニア世界選手権で金を取れる選手が出てくることを期待したい。
もちろん今季不調ながらも総合8位の伊藤選手、急成長を遂げている岩渕香里選手、勢藤優花選手さらに山田優梨菜、渡邉陽、丸山希の若手3選手にも来シーズン以降期待したい。
第18・19戦は雪不足のため中止、また代替開催も行われないことが決定し、この試合が今シーズンの最終戦となった。
高梨選手は1回目を終わり、今シーズン初めての3位スタート。
2回目のジャンプで高梨選手が最後で飛ばないのが違和感を感じるぐらい今年は安定したジャンプを見せていた。
今シーズンの中では最も失敗したジャンプの部類に入るのではないだろうか。
スタートゲートも下げず風の条件も悪くないにもかかわらずK点をやっと超えたジャンプは久々にみる気がする。
2回目のジャンプも残り上位2人にプレッシャーを与えるほどのジャンプとはいえなかった。
それでも何が起こるか分からないのがこのジャンプという屋外競技の難しさ。
イラシコシュトルツとブティッツも満足いくジャンプが飛べず高梨選手の逆転優勝となった。
それにしても1〜4位までが4.2ポイントの中にひしめくという今季最も僅差の試合となった。
第17戦の上位5人の成績は以下の通り。
高梨沙羅 96.5m 110.6pt(−3.4)102.0m 236.9pt(+0.8)
ダニエラ・イラシコシュトルツ 97.5m 116.5pt(−1.5) 97.0m 234.7pt(+0.7)
マヤ・ブティッツ 96.5m 112.6pt(−2.9) 99.0m 233.9pt(+0.3)
ジャクリーン・ザイフリーツベルガー95.0m 108.6pt(−3.9)100.5m 232.7pt(+0.1)
イリーナ・アブバクモア 94.0m 102.0pt(−7.6) 97.5m 222.4pt(+2.0)
( )内はウィンドファクター
前述したように残り3試合のうち第18・19戦は雪不足のため中止が決定しており代替開催も行われないことが決定し、この試合が最終戦になった。
他国の選手が成長著しい中、高梨選手自身もレベルアップしたことが今シーズンの安定した強さを見せつける結果となった。
今シーズンの好調さは体幹トレーニングといわれているが、実は昨年特別に取り組んだわけでもなく2011年の世界選手権でサラ・ヘンドリクソンに敗れた当初からずっと努力を積んできている。
長いこと取り組んできたことがようやく実を結びつつあり今後もますますよいジャンプを見せてくれることを期待したい。
もう一度今シーズンを振り返ってみる。
1回目を終えた時点でトップが17戦中15回、逆転を許したのが2回。
2位1回、3位1回で逆転したのが1回。
2015.12.04 第1戦 リレハンメル (ノルウェー) HS100/K90
1高梨沙羅2マヤ・ブティッツ3マーレン・ルンビュ4ダニエラ・イラシコシュトルツ5キアラ・ヘルツル
(1位と2位の差 11.5pt)
2015.12.12 第2戦 ニジニ・タギル (ロシア) HS97/K90
1イラシコシュトルツ2高梨3エヴァ・ピンケルニッヒ4カリーナ・フォークト5伊藤有希
(1位と2位の差 4.0pt)
2015.12.13 第3戦 ニジニ・タギル (ロシア) HS97/K90
1高梨2伊藤3ヘルツル4ブティッツ5テイラー・ヘンリック
(1位と2位の差 24.0pt)
2015.01.16 第4戦 札幌/宮の森 (日本) HS100/K90
1高梨2エマ・クリネツ3イラシコシュトルツ4ヘルツル5ジャクリーン・ザイフリーツベルガー
(1位と2位の差 24.3pt)
2015.01.17 第5戦 札幌/宮の森 (日本) HS100/K90
1高梨2イラシコシュトルツ3ザイフリーツベルガー4ヘルツル5ジュリア・クレール
(1位と2位の差 16.4pt)
2015.01.22 第6戦 蔵王/クラレ蔵王シャンツエ (日本) HS106/K95
1高梨2イラシコシュトルツ3ブティッツ4ピンケルニッヒ5イリーナ・アブバクモア
(1位と2位の差 16.2pt)
2015.01.23 第7戦 蔵王/クラレ蔵王シャンツエ (日本) HS106/K95
1高梨2ブティッツ3クリネツ4ピンケルニッヒ5勢藤優香
(1位と2位の差 2.6pt)
2016.01.30 第8戦 オーベルシュトドルフ (ドイツ) HS106/K95
1高梨2イラシコシュトルツ3クリネツ4ブティッツ5ザイフリーツベルガー
(1位と2位の差 26.8pt)
2016.01.31 第9戦 オーベルシュトドルフ (ドイツ) HS106/K95
1高梨2イラシコシュトルツ3ルンビュ4クリネツ5ザイフリーツベルガー
(1位と2位の差 13.6pt)
2016.02.04 第10戦 オスロ (ノルウェー) HS134/K120
1高梨2ルンビュ3アブバクモア4イラシコシュトルツ4クリネツ
(1位と2位の差 20.7pt)
2016.02.06 第11戦 ヒンツェンバッハ (オーストリア) HS94/K85
1高梨2イラシコシュトルツ3ルンビュ4ブティッツ5アブバクモア
(1位と2位の差 18.3pt)
2016.02.07 第12戦 ヒンツェンバッハ (オーストリア) HS94/K85
1高梨2イラシコシュトルツ3ザイフリーツベルガー4ルンビュ5クリネツ
(1位と2位の差 18.1pt)
2016.02.13 第13戦 リュブノ (スロベニア) HS95/K85
1ブティッツ2高梨3シュペラ・ロゲイユ4ヘルツル5ザイフリーツベルガー
(1位と2位の差 4.5pt)
2016.02.14 第14戦 リュブノ (スロベニア) HS95/K85
1イラシコシュトルツ2ブティッツ3ヘルツル4高梨5ロゲイユ
(1位と2位の差 3.7pt)
2016.02.19 第15戦 ラハティ (フィンランド) HS100/K90
1高梨2ブティッツ3伊藤4イラシコシュトルツ5ザイフリーツベルガー
(1位と2位の差 12.6pt)
2016.02.27 第16戦 アルマトイ(カザフスタン) HS106/K95
1高梨2イラシコシュトルツ3ザイフリーツベルガー4ブティッツ5ヘルツル
(1位と2位の差 7.3pt)
2016.02.28 第17戦 アルマトイ(カザフスタン) HS106/K95
1高梨2イラシコシュトルツ3ブティッツ4ザイフリーツベルガー5アブバクモア
(1位と2位の差 2.2pt)
2016.03.05 第18戦 ルシュノブ (ルーマニア) HS100 中止
2016.03.06 第19戦 ルシュノブ (ルーマニア) HS100 中止
高梨選手が優勝した14勝のうち2位に11ポイント以上の大差をつけた試合が11試合と数字で振り返ると圧勝が多かったシーズンだった。
しかも一番悪かった順位が4位と総合順位の上位選手の成績と比べると圧倒的な安定感を物語っている。
2015-16シーズンの総合順位トップ10は以下の通り
1高梨沙羅(日本) 1610
2ダニエラ・イラシコシュトルツ(オーストリア) 1139
3マヤ・ブティッツ(スロベニア) 908
4ジャクリーン・ザイフリーツベルガー(オーストリア) 695
5キアラ・ヘルツル(オーストリア) 632
6マーレン・ルンビュ(ノルウェー) 586
7イリーナ・アブバクモア(ロシア) 572
8伊藤有希(日本) 505
9エマ・クリネツ(スロベニア) 426
10シュペラ・ロゲイユ(スロベニア) 415
個人では高梨選手強さが際立つが国別でみるとオーストリアがトップ5に3人と頭一つ抜け出している。
ヘルツル選手はジュニア世界選手権で今季優勝した18歳の期待の選手。
スロベニアもトップ10に3人が入るなど力をつけてきている。
特に17歳のクリネツ選手は今季ユース五輪で優勝しており、15歳のニカ・クリジュナルなど10代の選手の台頭がスロベニアの特徴で今後最も注意すべきだろう。
日本としてはトップ10に入る選手がもうひとり必要。
ここに成長はしているものの、外国勢の成長の加速が著しいためなかなか厳しいのは確かだ。
高梨選手のような逸材はなかなか表れるものではないが、ユース五輪やジュニア世界選手権で金を取れる選手が出てくることを期待したい。
もちろん今季不調ながらも総合8位の伊藤選手、急成長を遂げている岩渕香里選手、勢藤優花選手さらに山田優梨菜、渡邉陽、丸山希の若手3選手にも来シーズン以降期待したい。
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