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愛しのロスアンヘレス

 ジー・ミッドナイターズの残党らが中心に制作した、イーストL.A.サウンドのモダン作が、今年春にリリースされました。
 ラテン・フレイバー溢れるサウンドで、次第にいや増す猛夏に対抗するアイテムとしてはいかがでしょうか?

 パーカッシブなリズムにメロウなボーカル、そして何よりも力強さと哀愁を併せ持つホーン陣の演奏が素晴らしいです。
 Little Willie G先生も参加して、スムースなのどを聴かせています。
 少しだけですが、サンタナみたいなラテン・ギターも堪能できます。 


Thee East L.A. Philharmonic

1. I Love Los Angeles (Romeo Prado)
2. Making Ends Meet (Willie Garcia, Larry Rendon)
3. You'll Never Find Another Love Like Mine (Kenny Gamble, Leon Huff)
4. I Know That We Have Loved Before (Louise Dorsey, Daniel Candon de la Campa)
5. Chicano Power (Romeo Prado)
6. Don't Let Me Lose This Dream (Aretha Franklin, Ted White)
7. We're in This Love Together (Roger Murrah, Keith Stegall)
8. Paradise in Your Eyes
9. Good Lovin' (Rudy Clark, Arthur Resnick)
10. Pachuko Hop (Chuco Tempo) (Vernon Haven, Chuck Higgins)
11. The Letter (Ruben Blades, Lou Reed)
12. Summer Wind (Hans Bradtke, Heinz Mayer, Johnny Mercer)
13. Come Back Baby (Mike Lewis, Ricky Lisi)
14. Pachuco Hop (Vernon Haven, Chuck Higgins)
15. Por El Amor De Una Mujer(Un Hombre) (Daniel Candon De La Campa, Jesus Gonzalez Lopez)
16. Quince Para Tomar (Romeo Prado)
17. Romeo Speaks and Plays (feat. Romeo Prado)

 実を言いますと、私はサンアントニオ派といいますか、テハーノ派といいますか、カリフォルニアよりもテキサスが好きです。
 が、もちろん、あえて比較すればという話で、基本的にチカーノ・ソウルは大好きです。
 最近は、Tierraなんかも聴いています。
 アーバン・メロウなスイート・ソウルは、ツボに入るとはまりますよね。

 それにしても、同じバリオでも、メキシコの影響大のテキサスに比べて、見事にアフロ・アメリカン風のサウンドです。
 ランチェラよりも、むしろジャジーな臭いがします。
 なにより、スイート・ソウルの、そして、ギターはラテン・ロックの影響を感じます。

 ボーカル曲では、まずウイリーGが「ロッサンヘレーエ〜 ロッサン・ヘレーエ〜」と鼻から抜ける声で歌う、冒頭の曲、"I Love Los Angeles"が耳に残ります。
 とにかく、そのステマ効果抜群のフレーズに刷り込まれます。

 また、アリサの"Don't Let Me Lose This Dream"が印象に残りました。
 ラテン風味を加えつつも、美しいメロを生かしたつくりです。
 こういう曲がまず気になるのは、やはり、まだまだウエストコースト風のラテンに染まっていないのかもしれません。

 お馴染みの曲では、ラスカルズの"Good Lovin'"のラテン・アレンジが気持ち良かったです。

 そして、私が一番気に入った曲を言います。
 うーん、何とも聴きこみが浅い、今までの音楽体験に囚われている、などと言われそうですが、"Pachuko Hop"です。

 この曲は、アルバムの中で、2度にわたって登場します。
 トラック10と14です。
 これはいいです。
 やっばり、私はホーンの鳴りがいい、スイングするバンドが大好きなのでした。
 
 これを聴いてから、Roomful Of Bluesの1stとかを聴き返しています。
 私は、最初期のホーンがバンド・リーダーだった頃のRoomful Of Bluesが最高にお気に入りなのでした。

 ホーンのいいバンドで、フライング・ホームとか、ナイト・トレインとか、ディーコンズ・ホップとかを連続でやってほしいです。

 "Pachuko Hop"は、Chuck Higginsのブロウ・インスト・ナンバーです。
 Chuck Higginsという人は、私は普通に黒人かと思っているのですが、まさかチカーノですか?
 そういえば、Joe Houstonにも、"Chicano Hop"という曲があるらしいです。
 50年代の流行だったのかな?

 パチューコ(Pachuko)というのは、ちょっと不良っぽいメキシコ系アメリカ人を指す言葉です。
 歌舞いたチカーノくらいの意味だと思います。

 原曲は50年代のR&Bインスト・ヒットで、イーストL.A.のチカーノたちの間では人気曲だったのだと思います。

 イーストL.A.のチカーノが愛した曲を集めたRhinoのコンピ・シリーズ、"Brown Eyed Soul The Sound Of East L.A."のVol.1にしっかり収録されていました。
 (ちなみに、Joe King Carrascoの作品に、同名異曲があります。)
 追記 : Carrascoの曲名は、"Pachuco Hop"でした。
      1文字表記が違いますが、同じことを意味していると思います。


 アルバムは、素晴らしいインスト、"Quince Para Tomar"を経て、本盤の完成を見ることなく他界した中心メンバー、ロメオ・プラードの会話のスケッチ、"Romeo Speaks and Plays"で終了します。





Little Willie G and Thee East L.A. Philharmonic



Pachuko Hop by Chuck Higgins




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バリオでロッキン
イーストL.A.の郷愁

Little Willie G
心の扉を開けてくれ
ディスカバー・ウイリー・ガルシア

Other East L.A. Chicano Rock
イーストL.A.発、キャリメックス



ビバップ小僧 参上

 アマゾンUSのオンデマンド・オーダーをご存知でしょうか?
 ここでお話ししたいのは、音楽ソフトに関わることです。
 通常、各国アマゾンで、音楽ソフトの品ぞろえに違いはありません。
 しかし、まれに例外があります。
 その一つが、アマゾンUSによるCDのオンデマンド・オーダーです。

 他国のアマゾンでは扱っていない、アマゾンUSだけのアイテムがあるのです。
 目印はジャケ写です。
 若干縮小されたジャケ写の周りに黒い縁、そして上辺のみライト・ブルーのベルト・ラインが目印です。
 このジャケのアイテムは、アマゾンUSが受注製造しているもので、厳密にはCD-Rなのでした。

 今回は、そのオンデマンドで、最近ラインナップされたFreddy Fenderの最初期の音源集をご紹介します。 


El Bebop Kid & Friends
Freddy Fender

1. Chantilly Lace
2. No Seas Cruel (Don't Be Cruel)
3. Hermanita (Little Sister)
4. Puerto Verde (Green Door)
5. El Rock De La Carcel (Jailhouse Rock)
6. Chica Alborotada (Tallahassee Lassie)
7. El Twist (The Twist)
8. Esa Sera El Dia (That'll Be The Day)
9. Hasta La Vista Cocodrillo (See You Later Alligator)
10. Diablo Con Vestido Azul Y La Plaga (Devil With A Blue Dress On)
11. Enriqueta (Henrietta)
12. Rock Del Jet
13. Tutti Frutti
14. Enmedio De Una Isla (In The Middle Of An Island)
15. Rock A Beatin' Boogie
16. Gloria
17. Estremecete (All Shook Up)
18. Susy Q
19. Marianne
20. Avientense Todos (C'mon Everybody)
21. Johnny Se Bueno (Johnny B. Goode)
22. Rockabilidad (Rockabilly Rock)
23. Cantando Los Blues
24. Adios A Jamiaca (Jamaica Farewell)

 アマゾンUSのオンデマCD-Rは、流通していないアイテムを受注に合わせて供給する試みです。(多分)
 ただ、流通難のアイテムの中にも、マーケット・プレイスでしぶとく流通しているものがあり、本来のCDと、オンデマCD-Rが併存している場合がしばしばあります。

 この場合、発売年が新しいものをオーダーしてしまいがちですが、ジャケ写に注意しましょう。
 オンデマCD-Rは、CD-Rであるだけではなく、ブックレットの中身が一切ない(無地でテキスト情報なし)という低レベル仕様です。(さらに言えば、裏ジャケもない)
 もし、選択する機会があったら、迷うことなく、ライトブルー縁取りの縮小ジャケは避けましょう。

 今回のアイテムは、オンデマCD-Rではありますが、旧作CDのオンデマ・ソフトではありません
 本盤は、09年からMP3ダウンロード・アルバムで配信されていたもので、過去にCDのフォーマットでリリースされたことはありません。
 つまり、MP3でしか入手できなかった音源を、初めてディスク化したものなのです。

 ただ、まず、最初に言うべきことがあります。
 先述のとおり、本盤には全く情報の記載がありません。
 最低限の曲目リストが掲載されているのみです。

 そういう状況の中、なんとFreddy Fenderの音源ではない、全く関係ない音源が多数紛れていことが分かりました。
 これってどうなんでしょう。
 確かに、アルバム・タイトルが、"El Bebop Kid & Friends"となっていて、内容を匂わせるタイトルにはなっています。

 とはいえ、その程度ではあまりにも説明不足でしょう。
 共演などではなく、無関係の音源なのですから…。
 せめて、別のアーティストが含まれていることは特記すべきだと思いました。 

 さて、ここからは、海外コレクター(?)のTerry Gordon氏作成のディスコグラフィーを参考に、収録内容に触れたいと思います。

 本盤収録の24曲のうち、Freddy Fenderの音源は11曲です。
これらは、Falcon Recordsから57年から59年にかけて、本名のBaldemar Huerta名義でシングル・リリースされたもので、全てスペイン語で歌われています。

 Freddy Fenderが、Duncan Recordsで最初のローカル・ヒットを出す直前のことです。 
 Duncan時代の録音は、アーフリーからCD化されていますが、それ以前の音源はブートLPだけだったと思います。
 対象の曲は、以下のとおりです。 

Freddy Fender 11曲 (Baldemar Huerta)
1. Chantilly Lace
2. No Seas Cruel (Don't Be Cruel)  
4. Puerto Verde (Green Door)
5. El Rock De La Carcel (Jailhouse Rock)  
7. El Twist (The Twist)
8. Esa Sera El Dia (That'll Be The Day)  
11. Enriqueta (Henrietta)  
14. Enmedio De Una Isla (In The Middle Of An Island)  
19. Marianne
23. Cantando Los Blues
24. Adios A Jamiaca (Jamaica Farewell)

 スペイン語タイトルがほとんどですが、かっこ書きがあるものは分かりますよね。
 ビッグ・ボッパー、エルヴィス、ハンク・バラード(チャビー・チェッカー)、バディ・ホリー、などなどの50年代の有名ロックンロールのカバーがほとんどです。

 ちなみに、"Puerto Verde (Green Door)"は、ジム・ロウの作品で、80年代にShakin' Stevensのカバー・ヒットがあります。
 "Enriqueta (Henrietta)"は、ジミー・ディーの作品で、後にジョン・フォガティの未発表アルバムの1曲となりました。

 英語タイトルが追記されていない曲では、"Cantando Los Blues"が、ガイ・ミッチェル(マーティ・ロビンズ)の"Singin' The Blues"です。
 この曲は、デイヴ・エドマンズのカバー盤が印象深いです。

 Duncan時代に開花する泣き節は、この時点ではその萌芽がまだみられません。
 むしろ、エルヴィスのカバーに、後のリズムものでの味わいがくみ取れます。
 完全に習作時代の作品だと思います。
 内容的には、ファン・オンリーの作品集といえるでしょう。
 でも、ファンにとっては宝物です。

 私は、今回、本盤の収録曲について調べることにより、自分の手持ちのLPの中に、一部Falcon録音を含むものがあることに気付きました。
 こういったLPは、いずれも75年以降に出されたもので、FreddyがNo.1カントリー・ヒットを出したため、便乗して出されたものだと思われます。
 ジャケ写に70年代のものを使用しているのがほとんどで、ジャケだけでは中身をはかることは出来ません。

 75年発売の"Freddy Fender - The Story of an Overnight Sensation" (Pickwick JS-6178)がそうです。
 ジャケをご紹介します。



 63年〜64年のNorco Records録音が中心ですが、1曲だけFalcon録音が入っています。
 ハリー・ベラフォンテのカバー、"Jamaica Farewell" (本盤トラック24 "Adios A Jamiaca (Jamaica Farewell)")です。
 


 さて、その他の音源についても聴いていきましょう。
 アーティストごとにまとめてみました。
 以下の通りです。

Los Loud Jets 5曲
Los Locos Ritmo 2曲
Los Llopis 3曲
Los Rockin' Davils 3曲

 これらは、おそらくメキシコのバンドだと思われます。
 アルバム・タイトルにはFriendsとありますが、彼らがFalcon Recordsのレーベル・メイトだったかどうかは不明です。

 基本的に、アメリカのロックンロールのカバーが中心です。
 50年代の録音が多いと思いますが、このうち、Los Rockin' Davilsは明らかに60年代の録音だと思います。
 理由は、以下の曲目をご覧ください。

Los Loud Jets 
3. Hermanita (Little Sister)  
12. Rock Del Jet
13. Tutti Frutti
17. Estremecete (All Shook Up)  
21. Johnny Se Bueno (Johnny B. Goode)  

Los Locos Ritmo 
6. Chica Alborotada (Tallahassee Lassie)  
20. Avientense Todos (C'mon Everybody)  

Los Llopis 
9. Hasta La Vista Cocodrillo (See You Later Alligator)
15. Rock A Beatin' Boogie  
22. Rockabilidad (Rockabilly Rock)

Los Rockin' Davils 
10. Diablo Con Vestido Azul Y La Plaga (Devil With A Blue Dress On)  
16. Gloria  
18. Susy Q  

 Los Rockin' Davilsのみ、ミッチ・ライダー、ゼムなんてのをやっています。
 このバンドは、60sメキシカン・ガレージ・バンドですね。
 この頃のメキシコのバンドは、チャンプスの成功を受けて、同系のインスト・バンドやサーフ・バンドあがりが多いので、彼らもその系統の可能性は高いです。

 そのほかにも、60年代の録音があると思いますが、選曲は50年代ですね。
 元ネタは、エルヴィス、リトル・リチャード、チャック・ベリー、フレディ・キャノン、エディ・コクラン、ボビー・チャールズ、ビル・ヘイリー、デイル・ホーキンスなどなどです。

 このうち、英語タイトルの補記がないものでは、Los Loud Jetsの"Rock Del Jet"が、エディ・コクランの20フライト・ロックです。

 これらのバンドのうち、私が過去に聴いていたのは、Los Llopisだけです。
 リイシュー・レーベルのEl Toro Recordsから出たコンピ、"El Mexican Rock and Roll"に収録されていました。
 このコンピは、50年代のメキシコのロックンロール集です。
 ただ、全く記憶になく、改めて聴き返しました。

 "El Mexican Rock and Roll"は、今年になってVol.2が出て入手していましたが、聴かずに棚に並べたままでした。
 Vol.2にも、Los Llopisが2曲入っていて、今回を契機に興味深く聴きました。
 今は、メキシコのロックンロール、ガレージ・パンクに関心を持っています。

 ライナーによれば、Los Llopisは、キューバ出身のバンドで、メキシコやアメリカで活動していたとのことです。
 彼らのメイン・インフルエンスが、ビル・ヘイリーだというのが面白いです。

 さて、Freddy Fenderの名前は、Duncan Recordsのオーナー、Wayne Duncanが名付けたと言われています。
 そして、El Bebop Kidは、Freddyの50年代のニックネームですが、レコードでメインの名義になったかどうかは不明です。

 Terry Gordon氏のリサーチによれば、Freddy FenderのFalcon時代の名義は、分かっている範囲で、以下のとおりです。

Baldemar Huerta Con Los Romanceros
Baldemar Huerta Con Xavier Michel Y Su Quinteto
Baldemar Huerta - El Bebop Kid -

 Falcon時代のすぐあと、59年にリリースされた、Duncan Recordsの1枚目、"Mean Woman"では、"Freddie Fender"名義が使われています。
 同レコードを60年に全国配給した、Imperial盤も、同様の名義となっています。

 Duncanの2枚目、"Wasted Days & Wasted Nights"で始めて、"Freddy Fender"の表記が使われました。
 でも、その後も一定の期間(いつごろまでかは不明)、"Freddie"、"Freddy"の表記が混在していくのでした。
 (少なくとも、64年までは"Freddie"表記が存在しました。)

 本盤は、Freddy Fenderのファンのための1枚です。
 そして、これを聴いた私は、最初期のFreddy Fenderへの関心を深めるとともに、自然とメキシカン・ロックンロールに興味を持ったのでした。




No Seas Cruel by Baldemar Huerta




関連記事はこちら

土曜の夜は流れるままに

 文字数制限で、すべてのリンクが貼れないため、上記リンクのみ貼ります。
 上記記事から、その他の関連記事へとべます。


公爵殿下の棚卸し

 ブートですが、(ここは素直に)嬉しい続編が出たコンピをご紹介します。
 Duke Recordsとその関連レーベルの音源からチョイスされたもので、タイトルにあるとおり、ソウルという切り口でコンパイルされたコンピレーションです。

 正規盤で、Dukeのレーベル・ストーリーものとか、似たような趣旨のコンピは出ていたでしょうか?
 CDでは、1枚もので、チャート・ヒットを集めたものがMCAから出ていましたが、本シリーズのようなものは、私は知りません。

 ディスクはCD-Rで、普通に聴ける音質のものが大半ですが、曲によっては、明らかに45sから起こしたのではと思われるスクラッチ・ノイズが聴こえるものがあります。

 Discによっては、そういった音源が続く箇所もあり、ストレスがたまることもあります。
 でも、本シリーズで初めて気づいた発見もあって、私にとっては刺激的なソフトです。

 シリーズは、先にVol.1〜Vol.3が出ていましたが、今回、Vol.4とVol.5の2枚がリリースされました。
 なるほど、Vol.3のブックレットを見ると、文末に"to be Continued"の文字があります。
 しかし、ブートでもあり、本当に続編が出たのは大きな驚きでした。


Duke Of Soul Vol.5

1. You Got Me (Sure Shot 5018)  Al Haskins & the Mastertones
2. Don't Kick The Teenager Around (Duke 596)  Eddie Wilson
3. You Made Me A Anybody's Woman (Back Beat 623) Jean Ellas
4. It's All Over (Sure Shot 5013) Bobby Williams
5. I Saw You Last Night (Duke 399) Clarence Green & Rhythmaires
6. (Gimme Back) My Love (Duke 451) Paulette Parker
7. When You Love Someone (Peacock 1933) Reuben & the Chains
8. Competition Aint Nothin' (Back Beat 588) Little Carl Carlton
9. Sting Me Baby (Duke 475) Jo Ann Garrett
10. Stroke My Yoke (Peacock 1961) Willie Tomlin
11. Mr. Independent (Back Beat 599) The Soul Twins
12. From Me (Back Beat 561) Tommy Williams
13. Come Let Me Love You (Peacock 1930) Jackie Verdell
14. When You Play (Sure Shot 5013) Bobby Williams
15. Somebody Better Come Here Quick (Duke 365) Clarence & Calvin
16. So Lonely (Since You've Been Gone) (Sure Shot 5036) Bobby Day
17. Don't Make Me Cry (Peacock 1929) Little Frankie Lee & the Saxtons
18. I Still Love You (Peacock 1958) Jean Stanback
19. I'm So Glad (Peacock 1937) Don Fletcher
20. Love Sick Blues (Back Beat 537) Joe Hinton
21. I Have To Laugh (Duke 356) Otis Rush
22. Don't You Know She's Alright (Sure Shot 5012) The Bell Brothers
23. I Won't Let That Chump Break Your Heart (Back Beat 627) Carl Carlton
24. (It Will Have To Do) Until The Real Thing Comes Along (Duke 423) Ernie K-Doe

 シリーズ全体の曲目をご紹介したいところですが、煩雑となるため、ここは代表して最新のVol.5の曲目を記載することに留めます。

 本稿では、本盤のみでなく、シリーズ全体の感想を記したいと思います。
 このシリーズを聴いて、私が驚いたこと、嬉しかったことがいくつかあります。

 まず、Melvin Carterが聴けたことです。
 O. V. Wrightの"Ace Of Spades"の一件で、日本のソウル・ファンの間では知られている人だと思います。
 (私は、"Ace Of Spade"は、O. V.盤よりも、Melvinのデモ盤の方がワイルドで好きです。)
 ライター、コンポーザーの側面の方が強いのでしょうか、名前のみ高く、音源はあまり見かけないの人なので、嬉しかったです。
 収録されているのは、以下の2曲です。

Tired Of Being Fooled By You  (Duke Of Soul Vol.1 - Peacock 1956)
Something Reminds Me (Duke Of Soul Vol.2 - Peacock 1934)

 次に、Otis Rushの"Homework"とそのB面の曲(これはレアでは?)が聴けたことです。
 私は、Rushの"Homework"がDuke録音であることさえ認識していませんでした。
 "Homework"は、J. Geils Bandの1stで知った曲で、大好きな曲です。
 Otis Rushのオリジナルは、ヴァンガード盤だと思い込んでいたのですが、何か全く別の曲と混同していたのかもしれません。
 Rushは、次の2曲が収録されています。

Homework (Duke Of Soul Vol.1 - Duke 356)
I Have To Laugh (Duke Of Soul Vol.5 - Duke 356)

 Rushは、Dukeからのリリースはこの2曲(シングル1枚)だけでしたが、実は少なくとも、もう2曲は未発表曲があるらしいので、今後に期待したいです。
 でも、編者の手持ちの45sシングルから音を起こしているのなら無理ですね。

 次に、Junior Parkerです。
 Vol.2収録の"Wait For Another Day"という曲は、初めて聴きました。
 もしや、未CD化曲ではないでしょうか?
 Junior Parkerは、次の2曲が収録されています。 

Wait For Another Day  (Duke Of Soul Vol.2 - Duke 413)
It's A Pity (Duke Of Soul Vol.3 - Duke 362)

 Jimmy Outlerも、1曲ですが入っていて嬉しかったです。
 私は、"Sir Records Story"で彼の歌唱を聴いて、すっかりファンになったくちです。

It's All Over (Duke Of Soul Vol.3 - Duke 396)



 そして、この間、英KentからFameのシングル集が出たばかりのClarence Carterは、Clarence & Calvin時代の音源の収録が嬉しいです。
 このあたりは、正規でもCD化されているのか、私は知りません。
 とにかく、私は初めて聴いたものばかりで、曲の良し悪しの前に、聴けたそのことに感激しました。
 とりわけ、C and C Boys名義のものが彼らの別名義の録音だと気づいて、嬉しさも倍増しました。
 意外な選曲もあります。
 以下のとおりです。

My Life (Duke Of Soul Vol.1 - Duke 379)  C and C Boys名義
It's All Over Now (Duke Of Soul Vol.3 - Duke 466)  C and C Boys名義 (曲はヴァレンティノスのあの曲)
I Like It  (Duke Of Soul Vol.4 - Duke 365) Clarence & Calvin名義
Somebody Better Come Here Quick (Duke Of Soul Vol.5 - Duke 365) Clarence & Calvin名義

 シリーズ5枚(全120曲)の中で、4曲も収録されているのは中々のものです。
 ちなみに、4曲以上収録されているアーティストは5組でした。(3曲以上だと9組)
 以下のとおりです。

 Ernie K-Doe  10曲
 Buddy Ace  5曲
 Reuben & the Chains  4曲
 Joe Hinton  4曲
 Clarence & Calvin (C and C Boys含む) 4曲

 このリストを見てどう感じられますか?

 Ernie K-Doeの10曲が飛びぬけていますよね。
 そもそも吹き込みの絶対数が多いのでしょうか。
 それとも、編者がErnie K-Doeを特に好んでいるのか?

 答えは分かりませんが、Ernie K-Doeって、ノベルティ・ソングだけの人ではなく、実はディープ・ソウルも歌える人なのでした。
 Vol.3収録の"I'm Sorry"などは、教会風の厚いコーラスをバックにスクリームするディープ・ソウル(ゴスペル・ブルース)です。

 Joe Hintonは、Willie Nelsonのカバー(「時の流れは早いもの」本シリーズ未収録)が有名ですが、Vol.5に収録されている、Hank Williamsの"Love Sick Blues"が珍品です。
 (これもカントリーのカバーですね)

 最後に、大物をチェックしておきましょう。
 Junior Parkerは触れましたので、Bobby BlandとO. V. Wrightの二人です。
 Bobby Blandは2曲です。

Yum Yum Tree (Duke Of Soul Vol.1 - Duke 466)
Call On Me (Duke Of Soul Vol.2 - Duke 360)

 もはや、安心安定の作品ですね。
 貫禄というほかないです。

 そして、O. V. Wrightも2曲です。

Love The Way You Love (Duke Of Soul Vol.1 - Back Beat 611)
Why Not Give Me A Chance (Duke Of Soul Vol.3 - Back Beat 607)

 このなかでは、レアではないですが、やはり"Why Not Give Me A Chance"が耳に残ります。
 これは、Willie Mitchell制作のHi録音ですね。
 どうも、レアなものを有り難がり気味ですが、やはりこの良さは突き抜けています。

 その他、何気に、無名人の中にも良質のディープがあって、また、弾けるノーザンがありまます。
 The Bell Brothers、The Soul Twinsなどは、良質のディープだと思いました。

 珍品では、Vol.4収録のLittle Frankie Lee & the Saxtonsが演奏する"Full Time Lover"って曲があるんですが、替え歌に近いレベルで、メロはまんま"Part Time Love"、雰囲気は"I Pity The Fool"という曲でした。
 
 他にも、歌詞の中にOtis Redding、Sam Cookeの名前が歌われている、Vol.1収録のBobby Conerlyの"A Whole Lot Of Soul Is Gone"が興味深かったです。

 ちなみに、Vol.5まで出た段階で、これまでJohnny Ace、Roscoe Gordonは未収録です。
 (余談ですが、Johnny Aceは、近々Fantastic Voyageから2枚組(半分は他人の伴奏)が出ます。)

 さて、このVol.5のブックレットの文末にも、これまで同様「つづく」の文字が記載されています。
 こうなったら、さらなる続編を期待しましょう。



I'm Sorry by Ernie K-Doe



My Life by C and C Boys




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公爵と孔雀のバックビート
ドナルド・ロビーの試供品






ラレードのバラ

 昔から、放送用音源というものに興味がありました。
 最初にはまったのは、ビートルズのBBCものです。
 今は公式にCD化されましたが、昔はブートしかなくて人気でした。

 BBC音源って、いいものが多くて、1枚ものが出たヤードバーズもキンクスも愛聴盤です。
 この場合、頭にあるのは、観客なしでのスタジオ・ライヴ音源です。

 最近は、発売が近づいているキンクスのBBCボックスが楽しみでなりません。

 あと、古くは、ボブ・ウィルズのティファニーのシリーズ(40年代のラジオ音源)が最高でした。
 (同時期のMGM録音よりも好き)

 今回は、テキサスはオースチンのFM曲、KGSRの収録音源をまとめたシリーズの1枚をご紹介します。

 
Broadcasts Vol. 7
107.1 KGSR Radio Austin

Disc One
1. Greg Brown : China
2. Billy Bragg : Against The Law
3. John Hammond : Drop Down Mama
4. Sinead Lohan : No Mermaid
5. Neil Finn and Shawn Colvin : What I Get Paid For
6. Lyle Lovett : If I Had A Boat
7. Texas Tornados : Laredo Rose
8. Ian Moore : Paris, Texas
9. Bad Livers : Honey, I've Found A Brand New Way
10. Peter Himmelman : 7 Circles
11. Shawn Mullins : Shimmer
12. Jimmy LaFave : Burden To Bear
13. Joan Baez : If I Wrote You
14. The Gourds : Gangsta Lean
15. Bruce Robison and Kelly Willis : Angry All The Time
16. Robert Earl Keen : Feelin' Good Again
17. David Garza : Slave
18. Radney Foster and Abra Moore : I'm In
19. Kim Richey : Can't Lose Them All
20. Brad Roberts : Mmm Mmm Mmm Mmm
Disc Two
1. Joe Henry : Skin And Teeth
2. Beth Orton : She Cries Your Name
3. Lucinda Williams : Car Wheels On A Gravel Road
4. Willie Nelson : Ou Es Tu, Mon Amour-I Never Cared For You
5. Wes Cunningham : So It Goes
6. Guy Clark : Picasso's Mandolin
7. Patty Griffin : Change
8. Sean Lennon : Into The Sun
9. Sheryl Crow : Anything But Down
10. Martin Sexton : Love Keep Us Together
11. Corey Harris : Blues Come To Texas
12. Terri Hendrix : Gravity
13. Jonatha Brooke : Annie
14. Chip Taylor : Angel Of The Morning
15. Ron Sexsmith : Still Time
16. Ray Wylie Hubbard : Conversation With The Devil
17. Eric Johnson : Tribute To Jerry Reed
18. Julian Lennon : I Don't Wanna Know
19. The Damnations TX : Unholy Train

 CD2枚組、全39曲入りとボリュームたっぷりです。
 このシリーズ、私は全貌を把握していませんが、少なくともVol.16までは出ているようです。
 オースチンのFM局ということで、アウトロー・カントリーを始めとして、ウエスタン・スイング、テキサス・ブルース、シンガー・ソングライター、ルーツ・ロック系など、有名無名混交という感じです。

 私たちには無名でも、地元では需要の高い人も、それなりに含まれているんじゃないでしょうか。
 私が本盤に注目したのは、いうまでもなく、Texas Tornadosが含まれていたからです。
 ジャケ写が彼らというのが、(ファン目線では)かなり価値を高めています。

 本盤の音源は、基本的にラジオ放送用に収録されたもので、放送日のデータこそ記載されていませんが、録音データがまとめられているのが嬉しいです。

 Disc1は、98年9月から99年3月まで、Disc2は、99年3月から99年9月までの期間に録音されたものです。
 (放送日は不明です。また全て放送されたかも不明です。ただし、お蔵入り等の特記はありません。)

 ここで気になるのは、99年という年です。
 この年は、Doug Sahmが亡くなった年です。

 早速、ブックレットを確認してみました。
 お目当てのTexas Tornadosの録音は、98年12月18日でした。
 Doug Sahmの命日は、99年11月18日なので、およそ11か月前ということになります。
 何の意味もないことですが、18日という日付の符号が気になりました。
 いずれにしても、晩年の貴重な録音のひとつであることに間違いありません。

 各曲の録音場所は、基本的に明記されていません。
 どこか、ラジオ局の関係の特定のスタジオなんでしょうか?
 コンサート・ホール音源など、特別なもののみ、特記してある感じです。

 各演奏スタイルは、プラグ・インのものもありますが、やはり、アンプラグドが多いような印象を受けます。
 リラックスした雰囲気の演奏が大半です。

 Texas Tornadosは、1stに収録されていた、"Laredo Rose"をやっています。
 オースチンのシンガー・ソングライター(サン・アントニオ生れのディラン?)、Rich Minusの作品です。
 この時のセッションは、アンプラグドで、なおかつドラムレスです。

 参加メンバーは以下の通りです。

Doug Sahm : vocal
Augie Meyers : coke can (原文のママ)
Flaco Jimenez : accordion
Freddy Fender : vocal, hands (原文のママ)
Louie Ortega : guitar, backing vocal
Max Baca : Bajo Sexto

 バホ・セスト(メキシカン12弦ギター)でのMax Bacaの参加が眼を惹きます。
 Los Texmaniacsの中心メンバーですね。
 この人は、スタジオ盤では参加していませんでした。
 Augie Meyersとは旧知のイメージがありますが、あるいは、このあたりをきっかけに、Dougの没後に交流が深まったのかも知れません。

 Augieの担当楽器はなんでしょう?
 まさか、コーラのアルミ缶じゃないですよね。
 ジャグ・バンド風を狙ったんでしょうか?
 それらしい音には気づけませんでした。

 アコーディオンとバホ・セスト(又はアコギ)の音が耳に残る演奏です。
 歌唱は、Dougのリード・ボーカル、Ortegaのハーモニーで展開し、2番になると、満を持してFreddyが伸びのあるボーカルを聴かせます。

 このシリーズは、レア音源の宝庫だと思います。 
 多分、再発されることなく、ひっそりと次第に見かけなっていくアイテムだと思います。
 こういった音源は、そのまま埋もれる可能性が高いので、気になった方は、自分の好きなアーティストが参加しているか、一度チェックされるとよいでしょう。

 私が気になったところでは、ざっと斜め見したところ、John Hiatt、Ray Bensonなどがいます。
 (Texas Tornadosは、他にはないようです。)

 John Hiattは、Vol.4,6,8,9,11,12と6曲も収録されているようです。
 Ray Bensonは、Vol.5,10,11の3曲です。
 (…Vol.13には、Dave Alvinも)

 既に、入手困難のナンバリング・タイトルもあり、まだもれがあるかもしれません。



Laredo Rose by Texas Tornados (1992)





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宇宙牛追い人の回想
コレクタブルズのつらいお仕事
涙でにじんだ手紙
エイモスの想い出
アラモ砦の夢

Early Doug Sahm
夢はキングサイズ・ベッドで
ファラオの子どもたち
ハーレムのダイスを転がせ
タルバートさん、お電話です
ダックテール
別れたいなんて嘘だ にまつわる話
ダグ・サームの青春パート2
ダグ・サームの青春

Doug Sahm Songs Covers
王様 わんこをレスキューする
心の鍵を開けてくれ
コンタクト落とした
Hey Baby !

Doug Sahm Tribute
回想のダグラス卿
サイケデリック・カウボーイ
欲望という名の幌馬車

Doug Sahm Guest Sessions
ズズ・ボーリン
君に捕らわれて
ウイリー・ネルソンにダグ・サームの隠し味Part2
ウイリー・ネルソンにダグ・サームの隠し味

Doug Sahm Favorite Songs
エイジ・オブ・ファイブ
夢のままに
エニイモア
反復、脳みそゆすり
ヘンリエッタを探せ!
「心の声」が叫んでる
ジーン・トーマスを探して

Doug Sahm Syndicate
ビニール・オンリーのクインテット


Bob Wills Tiffany Transcriptions
ぼくんちの窓は南向き



エースはダイヤモンド

 この人は、何となく名前は知っていました。
 しかし、まだ聴いたことがないな、いつか聴いてみたいなと思っていました。

 なにしろ、サンアントニオ・ソウルのファンのためのベーシック・アイテム、"Chicano Soul San Antonio's Westside Sound"シリーズ(スピンオフ1枚を含むコンピCD4枚全88曲)にも、さらには念のためチェックしたイーストL.A.のバリオ向けコンピ・シリーズ、"East Side Story"(CD12枚全144曲)にも収録されていません。

 ところが、少し前にLPの移動をしていたとき、あるコンピレーションLPに入っていたことに気が付きました。
 ほとんど記憶に残っていませんでしたが、ずっと昔に聴いたことがあったのでした。

 彼は、サンアントニオの古参チカーノ・シンガーの一人です。


There's Good Rockin' Tonight
Sonny Ace

1. Here's The Song
2. Before It's Too Late
3. There Again Tonight
4. Baby I Feel Like I Love You
5. Help Me Walk
6. There's Good Rockin' Tonight
7. Down On My Knees
8. Just A Little Lovin'
9. Only A Dream
10. Lovin' Me

 60年代に、Sonny Ace & the Twistersとして活動していた人で、くだんのコンピLP、"Border Town Jive : Chicano R&B from San Antonio"には、"You'll Tear Our Dreams Apart"、"Tamales"の2曲が収録されていました。



 全く記憶になかった曲ですが、久しぶりに聴きました。
 興味深いのは、ルイジアナっぽい雰囲気があることです。

 テキサスでは、昔からニューオリンズR&Bやスワンプ・ポップが人気なので、こういったスタイルは不思議はないですが、この人はとりわけ雰囲気が自然です。

 そんな印象をひきずりつつ本盤に臨んだところ、予想以上にニューオリンズR&B風で驚きました。
 もはや、スワンプ・ポップ・アルバムと呼んでもいいいんじゃないでしょうか。

 Sonny Aceは、本名をDomingo Solisといい、多分サンアントニオやヒューストンあたりを活動の拠点にしてきた人ではないかと思います。

 本盤は、Golden Eagle Recordsから97年にリリースされたCDです。
 例によって曲のクレジット表記が全くありません。
 録音時期、録音場所も不明です。
 旧作のCD化という可能性もありますが、おそらくそんなに古い音源ではないと思います。
 
 かろうじて、参加メンバーのみ記載がありましたのでご紹介します。
 以下の通りです。

Sonny Ace : vocals 
Rocky Morales : sax
Arturo Gonzales : keyboad
Mike Seal : bass
Felix Villarreal : guitar
Randy Garibay : background vocal
Rocky Hernandez : drums

 これは、なかなか興味深いラインナップですね。
 まず、Doug Sahm人脈のホンカー、Rocky Moralesの名前に眼がとまります。
 ロッキー・モラレスは、ブリティッシュ・インベイジョン襲来以前からDoug Sahmと交友があった人で、Doug Sahm with the Markays名義のレコードに参加していました。

 ただ、意外にも、初期のSir Douglas Quintetには参加していません。
 多分、ライヴ・バンドよりも地元でのスタジオ活動を中心にやっていたのではないかと思われ、70年代初頭、サンフランシスコから帰還したDoug Sahmの求めに応じて合流したことを契機に、以降はDougとそのキャリアのほとんどを共にすることになります。
 日本へは、ギャレット、サーム、テイラー・バンドの来日に同行して、ごきげんなプレイを聴かせてくれました。

 キーボードのArturo Gonzales(ニック・ネーム、"Sauce"又は"Sas" Gonzalez)もまた、Doug Sahmと少なからず関連がある人です。
 若いころ、Jimmy Smith、Fats Domino、Jerry Lee Lewisらの影響を受けたそうで、Sunny & the Sunliners(Sunglows)、Little Joe、Joe Bravo、さらにはあのCoastersと共演経験があるらしいです。

 Doug Sahmとは、70年代頃から交友を深めたらしいですが、鍵盤系はAugie Meyersがいて、また、Doug自身も達者であることから、常連とまでは呼べないかもしれません。
 でも、77年録音のアルマディロのライヴ("Back To The Dillo")には、しっかりクレジットされていました。

 その後、83年の大名作、"West Side Sound Rolls Again"にも参加して、"Father On Down The Road"の間奏でのメンバーのかっこよすぎるソロ回しの一翼を担いました。
 そして、Augieが不参加だった、94年の"Last Real Texas Blues Band"では、ハモンド・オルガンを演奏しています。
 近年は、Weat Side Hornsの一員として、さらには自身がリーダーを務めるバンド、Sauce Gonzales Quintetでも活動しているようです。

 バック・ボーカルのRandy Garibayですが、いくつかのソフトのクレジットで酷似した名前の人物を見つけることが出来ます。
 Randy Garibay、Randy Gariby、Randy Gribay、などと複数の表記(多分、あとの二つが誤植)があり、もちろんあっさり別人という可能性もないとはいえませんが、おそらくは同一人物ではないでしょうか?

 その仮定が正しければ、この人物は、Doug Sahm with Pharaohs、Doug Sahm with the Dell Vikings(いずれもDougが10代の時期のバンド)に参加していた人であり、88年のDougの名作ソロ、"Juke Box Music"でDoug Sahmと"What's Your Name"をデュエットした人物だということになります。

 ドラムスのRocky Hernandezは、Little Joeの弟と同姓同名ですが、同一人物でしょうか?
 Little Joe(Jose Hernandez)、Johnny Hernandez、Rocky Hernadezの三兄弟が、スタンド・マイク3本を立てて並んで歌ってる映像を見たことがあります。
 Rockyがドラマーだったかどうかは、不勉強でよくわかりません。

 どうも、参加メンツ・リストだけで高まってしまいました。
 
 そろそろ中身を聴いてみましょう。
 
 先にも書きましたが、スワンプ・ポップ風味満載のアルバムです。
 テキサスっぼいギターで始まる曲もありますが、すぐにゆるゆるの哀愁三連曲になったりします。

 ところで、今回は、全く原曲が分からないものばかりです。
 例えば、アルバム・タイトルの"There's Good Rockin' Tonight"ですが、当然Roy Brownの有名曲だと思いましたが、どうも違うようです。
 メロディが違うので、大胆なフェイクかと思い、必死で歌詞を聴き取ろうと努力しました。
 ところが、何度聴いても、例の「今夜がごきげんだって知らせを聞いた」みたいなフレーズが出てきません。
 これは別の曲ですね。

 "Down On My Knees"も、Bobby Charlesに似たタイトルの曲があったと思いましたが、やはり別の曲のようです。

 さて、通して聴いてみて、第一印象での私の好みは、最もスワンプ・ポッブしている曲、"Only A Dream"です。
 ロッキーのテナー・ソロで始まり、ドゥワップ風のコーラスをバックに、Sonny AceがFreddy Fenderばりののどを聴かせる哀愁の三連バラードです。
 これは必殺曲ですね。
 タイトルが、Jimmy Clantonの名作を連想させるこの曲、雰囲気が満点で気に入りました。

 とはいえ、全体的にはB級臭が漂っており、あまり録音も良いとはいえませんが、ときおりキラリと光る瞬間があって、はまれば味わい深いアルバムだと思います。



Anymore by Sonny Ace & the Twisters


Sonny Ace sings Late Great Johnny Ace



Tell Me Why by Randy Garibay




Four by Sauce Gonzales Quintet




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イーストサイド・ワールドへようこそ



 

鷲は舞い降りた かもしれない

 今回のアルバムは、前回取り上げた"Dickie and The Tornadoes"のアルバムと関連があります。
 まず、同じ会社(Great Blues Recordings)からリリースされています。
 次に、収録曲12曲のうち、なんと3曲も同じ曲を取り上げているのです。


Easy Does It Again
Easy

1. Going Back To Louisiana (R. E. Osborn)
2. Baby, I Don't Know (B. Fussell)
3. If You Love Me Like You Say (Little Johnny Taylor)
4. T-Bone Shuffle (A. Walker)
5. I Can't Help Myself (L. Dozier, B. Holland, E. Holland)
6. Everyday Will Be Like a Holiday (W. Bell, B. T. Jones Jr.)
7. Don't Let The Green Grass Fool You (J. AKines, J. Bellmon, V. Drayton, R. Turner)
8. Tee Na Na (C. Chenier)
9. I'm Gonna Find Another You (J. Mayer)
10. Touch a Hand, Make a Friend (H. Banks, C. Hampton, R. Jackson)
11. What Went Wrong (D. J. Richard)
12. In The Mood (J. Garland)

 本盤は、09年にリリースされました。
 前回記事の"Dickie and The Tornadoes"の"Going Back Home"は、04年のリリースでしたので5年後に出されたことになります。

 "Easy"という安易な(?)名前を持つこのバンドは、今作で2枚目になるようです。
 前作のタイトルは、"Easy Does It"で、本盤のタイトルは、この末尾に"Again"をつけただけという安易さ(?)です。
 
 参加メンバーは、以下の通りです。

Dave Show : lead vocals
Steve Champagne : bass
Roy "Pooch" Poche : keyboads
Gerald Hebert : drums
Paul Bonin : lead guitar
George Hernandez : trumpet
Mike Weatbrock : trumpet
Shelby Collins : sax
Ramon Ramos : sax

 前回の"Dickie and The Tornadoes"の記事を参照していただきたいのですが、ある人物の名前が目に留まります。
 ベーシストのSteve Champagne(シャンペイン? シャンパーニュ?)です。
 この人は、"Dickie and The Tornadoes"のベーシストと同姓同名です。
 もちろん、別人という可能性もないとは言えませんが、この特徴ある名前で担当楽器まで同じなのですから、まず同一人物でしょう。

 その他のメンツはかぶっていませんが、やっている音楽は、とてもよく似ています。
 メンフィス・ソウル、モダン・ブルース、ニューオリンズR&B、スワンプ・ポップなどを中心としたアルバム構成は、まるで双生児のようです。

 バンドのサウンドは、私は若干"Dickie and The Tornadoes"の方が好みですが、編成が大差ないこともあり、かなり似ています。
 
 ギターのオブリなどは、"Dickie and The Tornadoes"が良いと思います。
 また、リード・ボーカルは、本盤のDave Shpwより、Dickie Peltierの方が私は好きです。
 全体的な印象として、"Eazy"は、"Dickie and The Tornadoes"の下位互換サウンドに聴こえなくもないです。

 さて、"Dickie and The Tornadoes"の"Going Back Home"と本盤を比較して、まず目をひくのは、モータウン・ナンバーとT-Boneナンバーの存在です。
 T-Boneナンバーがなかなかよいです。
 これらの曲も、"Dickie and The Tornadoes"がやっていても不思議ではない気はします。

 それよりも、両作で共に取り上げている曲に注目しましょう。
 次の3曲です。

1. Going Back To Louisiana
3. If You Love Me Like You Say
6. Everyday Will Be Like a Holiday

 ここまで同じ曲をチョイスしてカバーしているのは偶然ではない気がします。
 ベーシストのシャンパーニュさんにキャプテンシーがあって意向を通しているのか、あるいはプロデューサーの考えなのか…?
 …プロデューサーは、ボーカルのDave Showさんでした。

 さて、私は、"Dickie and The Tornadoes"を聴いてから、Little Johnny Taylorのアルバムを聴き返しました。
 "If You Love Me Like You Say"の原曲を過去に聴いていたか、確認したかったからです。
 結果、ひとつの事実を知りました。

 "If You Love Me Like You Say"には別名があり、日本編集のP-vine盤では、"Zig Zag Lightnin'"と表記されていることです。
 (最初は、手持ちのCDには未収録だと思ってしまいました。)

 久々にLittle Johnny Taylorを聴いて、少し高まりました。
 この人の凄いところ、そして私が夢中になりきれなかった両面を再確認しました。

 さて、その他の曲にも触れておきたいと思います。
 "Touch a Hand, Make a Friend"は、はっきりと本盤だけのサウンドだと言い切れる音づくりになっています。
 これは、完全にザディコで、パーソネルの楽器リストにはありませんが、アコやラブボードを模したような音が聴こえます。
 この曲が始まると、もともとイナタかったサウンドが、さらにディープ・サウスのそれへと誘われた感じを受けます。
 私は、クリフトン・シェニエよりもロッキン・シドニーを連想しました。

 ルイジアナへ帰ろうで始まったアルバムは、グレン・ミラーの大有名曲のインストを、いかにも南部諸州のテーマらしいディキシーランド・スタイルでやってエンディングへと向かいます。
 やはり、私には美味しいアルバムでした。


 (おまけ)
 本盤と"Dickie and The Tornadoes"の"Going Back Home"を比較するため、両盤が共通して取り上げている3曲をメドレーにしてみました。
 曲順は、"Everyday Will Be Like a Holiday"、"If You Love Me Like You Say"、"Going Back To Louisiana"の順で、それぞれジャケット画像が切り替わる箇所で両バンドがチェンジしています。



Everyday Will Be Like a Holiday
〜 If You Love Me Like You Say 
〜 Going Back To Louisiana
by Eazy + Dickie and The Tornadoes




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