2010年11月01日
ドナルド・ロビーの試供品
探していたアルバムをやっと見つけました。
Thank You Bobbyというアルバムを聴いてから、デュークのサウンドを総括したようなアルバムを探していたのです。
マディ・ウォーターズやチャック・ベリー、フラミンゴスなどのバックに、しばしば共通のミュージシャンが参加していたことは、よく知られています。
これを、チェス・サウンドという括りで語っていた記事を読んだ記憶があります。
同様に、デューク・サウンドという捉え方があってもいいのではないか、と思ったのでした。
LP棚のどこかに、デュークのサンプラー・アルバムがあるはずです。
しかし、見つけ出したのは、デュークだけではなく、グループ・レーベルのピーコックとバックビートの代表曲を含む内容になっていました。
それでも、私が思い描いていたレコードはこれだったのです。
Side One
1. Hound Dog / Big Mama Thornton(Peacock)
2. Pledging My Love / Johnny Ace(Duke)
3. I Love My Baby / Little Richard with The Johnny Otis Orchestra(Peacock)
4. I Wanna Ramble / Little Junior Parker & The Blue Flames(Duke)
5. Farther Up The Road / Bobby Bland(Duke)
6. Keep On Doggin' / Rosco Gordon(Duke)
7. To The End / The Sensational Nightingales(Peacock)
Side Two
1. Texas Flood / Larry Davis(Duke)
2. Okie Dokie Stomp / Gatemouth Brown with The Pluma Davis Orchestra(Peacock)
3. Taxi Blues / Little Frankie Lee & The Saxtons(Peacock)
4. Spunky Onions / Billy Davis & The Legends with Hank Moore's Band(Peacock)
5. Blue Monday / James Davis(Duke)
6. Funny How Time Slips Away / Joe Hinton(Backbeat)
7. Treat Her Right / Roy Head(Backbeat)
針を落として聴こえてきた音楽には、当初の理由など忘れさせて、ただただ聴きいらせてしまう、魔力のような魅力に溢れた曲が詰まっていました。
アルバム・タイトルの後段は、あり得ないことを強調する慣用句だと思いますが、「このアルバムの曲がヒットしなかったら、帽子だって食べてみせるよ」くらいの意味でしょうか?
このアルバムは、英Aceが85年にリリースしたもので、レイ・トッピングが取りまとめたもののようです。
当時は、このレイ・トッピングとか、ジョン・ブローヴンとか、クリフ・ホワイトとかいった名前を、よく目にしたものでした。
著名なコンパイラーたちですね。
さて、このアルバムには、有無を言わせぬ名曲名演とともに、ソウル、ブルース好きの人を「にやり」とさせてくれる、美味しい曲が含まれています。
その意味での注目曲は、Texas FloodとBlue Mondayです。
ラリー・デイヴィスのTexas Floodは、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの1stアルバムのタイトル曲の原曲です。
そして、ジェイムズ・デイヴィスのBlue Mondayは、多分、Z.Z.ヒルがブルース・シンガーを自称するきっかけになった曲の原曲です。
Z.Z.ヒルは、Down Home Bluesの前に、このBlue Mondayのカバーが評判になって、大きく注目されることになったのでした。
何とも懐かしいです。
Spunky Onionsという曲は、このアルバムでしか聴いたことがありませんが、私が知らないだけで有名曲なんでしょうか?
ビリー・デイヴィスと言う人も、白人黒人の別さえ知りませんが、ロイ・ヘッドに通じるサウンドと、それこそ Treat Her Rightを連想させる曲構成で、興味がわきます。
ところで、そのTreat Her Rightですが、このバックビート盤が原曲なんでしょうか?
ロイ・ヘッドの初期のアルバムは、TNTとか、セプターとかから出てたはずですが…。
しかし、このコンピには、曲名の後に補足として、ビルボードR&Bチャート2位と記載されていますので、このバージョンがオリジナルなんでしょう。
少し得心がいかないところがありますが、今回もスルーしたいと思います。
その他の曲は、コメントの要のない有名曲が多いですが、ロスコー・ゴードンのKeep On Doggin'は、少し気になりす。
No More Doggin' のパターンを使った曲ですね。
あれは、どこのレーベルでしたっけ? モダンですか?
ロスコー・ゴードンは、ビリー・ザ・キッド・エマースンと似た匂いを持った、私好みのR&Bシンガーです。
リトル・リチャードのピーコック録音というのは、あまり感心したことがないですが、この収録曲も迫力不足を感じます。
リトル・リチャードと言えば、私は、ビッグ・ママ・ソーントンを始めて聴いたとき、てっきりリトル・リチャードだと思ったという想い出があります。
そう思わせた曲こそ、冒頭のHound Dogなのでした。
これは、男性の声だと思いますよね。
何度聴いても凄い迫力です。
そして、ボーカルにレスポンスしてくるギターのオブリガードがエグいです。
この攻撃的なギターは、ミッキー・ベイカーでしょうか?
ただ、私が最近買った、ミッキー・ベイカーのIn The '50s:Hit、Git & Spilitという、ベイカーのセッション集には入っていませんでした。
このアルバムによれば、有名曲では、リトル・ウイリー・ジョンのNeed Your Love So Badのギターがミッキー・ベイカーです。
デュークというと、私がイメージするのは、やはりボビー・ブランド、ジュニア・パーカー、ジョニー・エイス、そしてビッグ・ママ・ソーントンです。
対して、ピーコックは、ゴスペル・レーベルのイメージですので、ナイチンゲイルズもそうですが、すぐに名前が出てくるのは、ファイヴ・ブラインド・ボーイズ・オブ・ミシシッピです。
こちらは、優れた日本盤が出たので良かったですね。
デュークとピーコックのすみ分けって、どうなっているんでしょう。
ゲイトマウス・ブラウンは、ピーコックなのが不思議です。
ゲイトのピーコック録音は、LP時代には、ろくなリイシューがなくて、ひどい音が多かったですが、このアルバムの音は良いです。
そして、バックビートといえば、本盤に収録されていませんが、O.V.ライトです。
これは、レイ・トッピングさんがあえて外したんでしょう。
ジョー・ヒントンは、日本ではあまり人気がないタイプのシンガーですね。
収録曲のFunny How Time Slips Awayは、私は、オリジナルのウイリー・ネルソン盤が最高に好きです。
魅惑のボーカルに寄り添ってくる、ナイロン弦のリード・フレーズに痺れます。
同時期の録音では、ドン・ギブソンのカバー、Sweet Memoriesもいいですね。(脱線しているのは自覚していますが、付け加えずにはいられません。)
結局、最初の思いとは、全然別の聴き方になってしまいました。
でも、シンプルに、いい音楽を素直に楽しんでしまいました、というのが正直なところです。
Thank You Bobbyというアルバムを聴いてから、デュークのサウンドを総括したようなアルバムを探していたのです。
マディ・ウォーターズやチャック・ベリー、フラミンゴスなどのバックに、しばしば共通のミュージシャンが参加していたことは、よく知られています。
これを、チェス・サウンドという括りで語っていた記事を読んだ記憶があります。
同様に、デューク・サウンドという捉え方があってもいいのではないか、と思ったのでした。
LP棚のどこかに、デュークのサンプラー・アルバムがあるはずです。
しかし、見つけ出したのは、デュークだけではなく、グループ・レーベルのピーコックとバックビートの代表曲を含む内容になっていました。
それでも、私が思い描いていたレコードはこれだったのです。
If It's Not A Hit
I'll Eat My Hat
I'll Eat My Hat
Side One
1. Hound Dog / Big Mama Thornton(Peacock)
2. Pledging My Love / Johnny Ace(Duke)
3. I Love My Baby / Little Richard with The Johnny Otis Orchestra(Peacock)
4. I Wanna Ramble / Little Junior Parker & The Blue Flames(Duke)
5. Farther Up The Road / Bobby Bland(Duke)
6. Keep On Doggin' / Rosco Gordon(Duke)
7. To The End / The Sensational Nightingales(Peacock)
Side Two
1. Texas Flood / Larry Davis(Duke)
2. Okie Dokie Stomp / Gatemouth Brown with The Pluma Davis Orchestra(Peacock)
3. Taxi Blues / Little Frankie Lee & The Saxtons(Peacock)
4. Spunky Onions / Billy Davis & The Legends with Hank Moore's Band(Peacock)
5. Blue Monday / James Davis(Duke)
6. Funny How Time Slips Away / Joe Hinton(Backbeat)
7. Treat Her Right / Roy Head(Backbeat)
針を落として聴こえてきた音楽には、当初の理由など忘れさせて、ただただ聴きいらせてしまう、魔力のような魅力に溢れた曲が詰まっていました。
アルバム・タイトルの後段は、あり得ないことを強調する慣用句だと思いますが、「このアルバムの曲がヒットしなかったら、帽子だって食べてみせるよ」くらいの意味でしょうか?
このアルバムは、英Aceが85年にリリースしたもので、レイ・トッピングが取りまとめたもののようです。
当時は、このレイ・トッピングとか、ジョン・ブローヴンとか、クリフ・ホワイトとかいった名前を、よく目にしたものでした。
著名なコンパイラーたちですね。
さて、このアルバムには、有無を言わせぬ名曲名演とともに、ソウル、ブルース好きの人を「にやり」とさせてくれる、美味しい曲が含まれています。
その意味での注目曲は、Texas FloodとBlue Mondayです。
ラリー・デイヴィスのTexas Floodは、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの1stアルバムのタイトル曲の原曲です。
そして、ジェイムズ・デイヴィスのBlue Mondayは、多分、Z.Z.ヒルがブルース・シンガーを自称するきっかけになった曲の原曲です。
Z.Z.ヒルは、Down Home Bluesの前に、このBlue Mondayのカバーが評判になって、大きく注目されることになったのでした。
何とも懐かしいです。
Spunky Onionsという曲は、このアルバムでしか聴いたことがありませんが、私が知らないだけで有名曲なんでしょうか?
ビリー・デイヴィスと言う人も、白人黒人の別さえ知りませんが、ロイ・ヘッドに通じるサウンドと、それこそ Treat Her Rightを連想させる曲構成で、興味がわきます。
ところで、そのTreat Her Rightですが、このバックビート盤が原曲なんでしょうか?
ロイ・ヘッドの初期のアルバムは、TNTとか、セプターとかから出てたはずですが…。
しかし、このコンピには、曲名の後に補足として、ビルボードR&Bチャート2位と記載されていますので、このバージョンがオリジナルなんでしょう。
少し得心がいかないところがありますが、今回もスルーしたいと思います。
その他の曲は、コメントの要のない有名曲が多いですが、ロスコー・ゴードンのKeep On Doggin'は、少し気になりす。
No More Doggin' のパターンを使った曲ですね。
あれは、どこのレーベルでしたっけ? モダンですか?
ロスコー・ゴードンは、ビリー・ザ・キッド・エマースンと似た匂いを持った、私好みのR&Bシンガーです。
リトル・リチャードのピーコック録音というのは、あまり感心したことがないですが、この収録曲も迫力不足を感じます。
リトル・リチャードと言えば、私は、ビッグ・ママ・ソーントンを始めて聴いたとき、てっきりリトル・リチャードだと思ったという想い出があります。
そう思わせた曲こそ、冒頭のHound Dogなのでした。
これは、男性の声だと思いますよね。
何度聴いても凄い迫力です。
そして、ボーカルにレスポンスしてくるギターのオブリガードがエグいです。
この攻撃的なギターは、ミッキー・ベイカーでしょうか?
ただ、私が最近買った、ミッキー・ベイカーのIn The '50s:Hit、Git & Spilitという、ベイカーのセッション集には入っていませんでした。
このアルバムによれば、有名曲では、リトル・ウイリー・ジョンのNeed Your Love So Badのギターがミッキー・ベイカーです。
デュークというと、私がイメージするのは、やはりボビー・ブランド、ジュニア・パーカー、ジョニー・エイス、そしてビッグ・ママ・ソーントンです。
対して、ピーコックは、ゴスペル・レーベルのイメージですので、ナイチンゲイルズもそうですが、すぐに名前が出てくるのは、ファイヴ・ブラインド・ボーイズ・オブ・ミシシッピです。
こちらは、優れた日本盤が出たので良かったですね。
デュークとピーコックのすみ分けって、どうなっているんでしょう。
ゲイトマウス・ブラウンは、ピーコックなのが不思議です。
ゲイトのピーコック録音は、LP時代には、ろくなリイシューがなくて、ひどい音が多かったですが、このアルバムの音は良いです。
そして、バックビートといえば、本盤に収録されていませんが、O.V.ライトです。
これは、レイ・トッピングさんがあえて外したんでしょう。
ジョー・ヒントンは、日本ではあまり人気がないタイプのシンガーですね。
収録曲のFunny How Time Slips Awayは、私は、オリジナルのウイリー・ネルソン盤が最高に好きです。
魅惑のボーカルに寄り添ってくる、ナイロン弦のリード・フレーズに痺れます。
同時期の録音では、ドン・ギブソンのカバー、Sweet Memoriesもいいですね。(脱線しているのは自覚していますが、付け加えずにはいられません。)
結局、最初の思いとは、全然別の聴き方になってしまいました。
でも、シンプルに、いい音楽を素直に楽しんでしまいました、というのが正直なところです。
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