2011年07月27日
コンタクト落とした !
いやー やっぱりいいです。
このC級感、B級感がたまりません。
前作からさほどブランクを開けずにリリースされた、Larry Lange and his Lonely Knightsの最新作です。
私は、ここ数日ヘビロテしています。
前作、"San Antonio Serenade"は、チカーノR&B、Tex-Mex、そしてメキシコ音楽の先達への愛情と敬意をまっすぐに表わしたアルバムでした。
対して、この最新作は、ニューオリンズR&BやSwanp Popへと接近した内容になっています。
1. Jail In San Antone (Neal Walden)
2. Ooh La La (Dave Bartholomew)
3. What's So Hard About Love (Cam King, Freddie Krc)
4. Everything's Gonna Be Alright (Van Broussard)
5. Welcome To the Wiggle Room (Larry Lange)
6. Once In a While (Michael Edwards, Bud Green)
7. Feel So Good (Leonard Lee)
8. Don't Make Me Leave New Orleans (Tommy McLain)
9. How Many Midnights (Larry Lange, Joanna Ramirez, Grady Pinkerton)
10. I'll Try One More Time (J.Janot) al frrier
11. Another Saturday Night In Wardville (Tommy McLain)
12. Two Hearts In Love (Doug Sahm)
13. Once Upon a Time (Paul, Stevenson, Hamilton, Ales)
14. Between Here and Baton Rouge (Larry Lange)
15. Love Me (Glover, Nix)
Larry Lange and his Lonely Knightsについて、おさらいしておきましょう。
彼らは、テキサスのオースティン〜サンアントニオを本拠とする、テキサス、ルイジアナ音楽大好きバンドです。
歴戦の職人集団ではありますが、いい意味でアマチュアイズムを失わない、何とも愛すべきバンドです。
その編成は以下のとおりです。
Larry Lange : vocals, guitar, bass
Michael Christian : drums
Grady Pinkerton : lead guitar
Kenny Hayes : keyboard
Jesse Botello : tenor saxophone
Paul Klemperer : tenor, baritone saxophone
Michael Prillaman : trunpet, pfugel horn, trombone
ギター、ベース、ドラムス、キーボードに、3管のホーンを擁するバンドです。
リーダーのLarry Langeは、ベースを弾きながらリード・ボーカルをとります。
ソウル・レビューっぽい編成で、Tex-MexからニューオリンズR&B、ノーザン・ソウルまで、めちゃくちゃイナタく迫ってくる愛しさ満点のバンドなのでした。
さらに、今作のセッションでは、以下のゲストが参加しています。
featuring
Joanna Ramirez : vocals
Tommy McLain : vocals, piano
女性シンガーのJoanna Ramirezは、前作に続いての参加ですね。
Larryとのデュエットがひとつの売りになりつつあり、もはや準メンバー的存在になっているように思います。
そして、今作では、Swamp Popレジェンドのひとり、Tommy McLainが参加しています。
この人は、Don Gibsonのカバー、"Sweet Dreams"のヒットが有名ですが、自作曲も多く、すぐれたソング・ライターでもあります。
私は、Swamp Popでは、Johnnie AllanやClint Westなどよりも、この人の方が好みかも知れません。
今作では、ボーカルのほか、キーボードでも演奏に加わっています。
さて、前作では、ハイウェイ90サウンドと称して、テキサス、ルイジアナからメキシコ湾まで、仮想の音楽の旅を巡ったわけで、ライナーでのLarryの愛情あふれるコメントもあり、アカデミック(?)なたたずまいも漂わせていました。
しかし、今作ではバンド本来の猥雑さが戻ってきた感じがします。
スタジオ盤ではありますが、ライヴ盤"Live At Evangeline Cafe"に近い匂いを感じさせるものがあります。
とりあえず聴いてみましょう。
初めて聴いたとき、まずアタマの2曲で、このアルバムの性格がわかった気がしました。
バンドの音は勢いがあっていいと思います。
しかし、ボーカルがへなちょこです。
ありがちな表現を使えば、「良く言えば味がある、別の言い方をするならヘタうま」なのでした。
Larryのボーカルがヘタうまなのは分かってたことです。
でも、2曲めでリードをとるゲストのJoannaが、今作ではいまいちです。
前作では、躍動感あるノーザンで、はじけるようなボーカルを聴かせてくれた彼女ですが、今回はちょっと地味気味なのでした。
冒頭の"Jail In San Antone"は、Larryが早口でまくしたてる、ニューオリンズR&Bタイプのロックンロールです。
これを聴いて、私は「あー このぬるい世界へ帰ってきた」と嬉しくなったものでした。
はて、「サンアントンの監獄」というのは、オリジネイターは誰でしょう?
続く"Ooh La La"は、女性シンガーのJoanna Ramirezがリード・ボーカルをとります。
原曲は、Smiley Lewisで、この選曲は渋いです。
ちなみに、フェイセスのアルバム・タイトル曲とは同名異曲です。
ここでのJoannaのボーカルは、キュートさや溌剌さに乏しく、せっかく女声ボーカルを起用している効果はあまり出ているとは言い難いです。
私は、この2曲を聴いた時点で、逆に頬が緩んでいました。
このピリっとしないゆるさは、このあとのぐたぐたな展開を予感させて、思わず嬉しくなってしまうのでした。
この聴き方って変ですか?
とにかく聴きましょう。
"What's So Hard About Love"は、のどかなアコーディオンの響きで進行するポップなTex-Mexです。
ここでアコを弾いているのは、ゲストのBradley Williamsという人です。
LarryとJoannaがデュエットするこの曲は、テキサスの面白バンド、Freddie Steady 5のレパートリーです。
このバンドは、最近私が関心を持っているバンドで、原曲は、リーダーの"Freddie KrcとギターのCam Kingが書いた曲です。
Freddie Steady 5の最新作"Live From Sugarhill Studio"のライナーでは、ライターが"The Spirit of Sir Doug pops"という言葉を使って、彼らをSir Douglas Quintetになぞらえていました。
"Everything's Gonna Be Alright"は、またもLarryとJoannaのデュオ曲です。
この軽快に進行するニューオリンズR&Bスタイルの曲は、Swamp Popの兄妹デュオ、Van & Graceのカバーです。
兄貴のVan Broussardは、ソロで何枚もアルバムを出しているSwamp Popシンガーです。
多くの録音がある人ですが、英AceのSwamp Popの名コンピ、"Louisiana Saturday Nightでは、サザン・ソウルのカバー、"Feed The Flame"が収録されていました。
一方、妹のGrace Broussardは、兄とは別の男女コンビ、Dale & Graceとして、あの"I'm Leavin' It All Up To You"を全国ヒットさせた人なのでした。
"Welcome To the Wiggle Room"は、バンドのオリジナルで、R&Bインストです。
ここでは、ホーン陣のリフが延々と響くなか、ブルージーなギターとハープのブロウが印象的です。
そして、この曲のみライヴなのか、あるいはそれ風の録音なのか、酒場での喧噪のようなSEが聴こえます。
続いて、Joannaのリードで、ポピュラー・スタンダードの"Once In a While"が歌われます。
おとなしめの曲調ですが、しかし、お上品さなど一切ないバー・バンド・サウンドで、他の曲との違和感は全く感じさせません。
"Feel So Good"は、またまたLarryとJoannaのデュオ曲です。
ニューオリンズR&Bスタイルの快調に乗せるアップ・ナンバーで、原曲はShirly & Leeです。
"Let The Good Times Roll"で有名な男女R&Bデュオですね。
しかし、ここでお手本にしたのは、Van & Graceのバージョンかも知れません。
Van & Graceは、この曲を60年代に録音しています。
"Everything's Gonna Be Alright"をやっていることからして、そんな想像をしてしまいます。
さて、次の曲が始まると、一転別のアルバムになったのかと思わず確認しそうになります。
"Don't Make Me Leave New Orleans"は、Tommy McLainがリード・ボーカルをとる彼の自作曲です。
そのハスキーな声は、得も言われぬ魅力に溢れていて、一気に別世界へといざなってくれます。
Tommy自身によるピアノの伴奏にのせて、静かに美しいバラードが流れます。
バンドは当然同じですが、彼と息を合わせ、完全にTommy McLain Worldを展開していて、流石というほかないです。
"How Many Midnights"は、再びバンドのオリジナルです。
歌うのはJoannaで、ブルージーなバラードを決めますが、やはり彼女には元気なノーザン・ソウル系がよい気がします。
"I'll Try One More Time"は、ルイジアナ・ロカビリアンのAl Ferrierもやっていた、のどかなワルツです。
ホンキートンク・カントリーを、流麗なペダル・スチールの音にのせて、Larryがせつせつと歌います。
この曲調の転換は効果的で、出来以上によく聴こえます。
"Another Saturday Night In Wardville"では、再びTommy McLainが素晴らしい喉を聴かせます。
今度はミディアム〜アップで、改めてひとつ抜けたボーカルの力を見せてくれます。
この曲でも、バンドがぐっとひきしまっているように感じました。
"Two Hearts In Love"は、なんと、ここへきてDoug Sahmの作品です。
しかも、選曲が渋すぎます。
この曲は、Dougが62年にリリースしたもので、アナログの編集盤"Texas Road Runner"に収録されていました。
Doug Sahmが10代のときに書いた作品ですね。
これは、オーストラリア盤の初期作品集でCD化されたと思いますが、私は持っていません。
まあ、アナログLPで聴きましょう。
10代であったにしても、すでにきれいなメロディを書いていて流石です。
"Once Upon a Time"は、Marvin GayeとMary Wellsの64年のデュオ・ヒットのカバーです。
当然ながら、LarryとJoannaがデュエットしています。
今作では、いくつもデュエットしている二人ですが、あえて選ぶならこの曲でしょう。
モータウン・ナンバーですが、ダンスものではなく、バラードです。
"Between Here and Baton Rouge"は、Larryの作品ですが、Doug Sahmの作風を思わせるTex-Mexで、これはよいです。
「こことバトン・ルージュのあいだで」とは何のことを歌っているのでしょう。
ラストの"Love Me"は、ブラス陣中心のムーディーなインストです。
クロージング・テーマといったところでしょうか。
ダンス・ホールの終了を告げるように、サックスの甘い響きで幕が下ろされるのでした。
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このC級感、B級感がたまりません。
前作からさほどブランクを開けずにリリースされた、Larry Lange and his Lonely Knightsの最新作です。
私は、ここ数日ヘビロテしています。
前作、"San Antonio Serenade"は、チカーノR&B、Tex-Mex、そしてメキシコ音楽の先達への愛情と敬意をまっすぐに表わしたアルバムでした。
対して、この最新作は、ニューオリンズR&BやSwanp Popへと接近した内容になっています。
Wiggle Room
Larry Lange and his Lonely Knights
Larry Lange and his Lonely Knights
1. Jail In San Antone (Neal Walden)
2. Ooh La La (Dave Bartholomew)
3. What's So Hard About Love (Cam King, Freddie Krc)
4. Everything's Gonna Be Alright (Van Broussard)
5. Welcome To the Wiggle Room (Larry Lange)
6. Once In a While (Michael Edwards, Bud Green)
7. Feel So Good (Leonard Lee)
8. Don't Make Me Leave New Orleans (Tommy McLain)
9. How Many Midnights (Larry Lange, Joanna Ramirez, Grady Pinkerton)
10. I'll Try One More Time (J.Janot) al frrier
11. Another Saturday Night In Wardville (Tommy McLain)
12. Two Hearts In Love (Doug Sahm)
13. Once Upon a Time (Paul, Stevenson, Hamilton, Ales)
14. Between Here and Baton Rouge (Larry Lange)
15. Love Me (Glover, Nix)
Larry Lange and his Lonely Knightsについて、おさらいしておきましょう。
彼らは、テキサスのオースティン〜サンアントニオを本拠とする、テキサス、ルイジアナ音楽大好きバンドです。
歴戦の職人集団ではありますが、いい意味でアマチュアイズムを失わない、何とも愛すべきバンドです。
その編成は以下のとおりです。
Larry Lange : vocals, guitar, bass
Michael Christian : drums
Grady Pinkerton : lead guitar
Kenny Hayes : keyboard
Jesse Botello : tenor saxophone
Paul Klemperer : tenor, baritone saxophone
Michael Prillaman : trunpet, pfugel horn, trombone
ギター、ベース、ドラムス、キーボードに、3管のホーンを擁するバンドです。
リーダーのLarry Langeは、ベースを弾きながらリード・ボーカルをとります。
ソウル・レビューっぽい編成で、Tex-MexからニューオリンズR&B、ノーザン・ソウルまで、めちゃくちゃイナタく迫ってくる愛しさ満点のバンドなのでした。
さらに、今作のセッションでは、以下のゲストが参加しています。
featuring
Joanna Ramirez : vocals
Tommy McLain : vocals, piano
女性シンガーのJoanna Ramirezは、前作に続いての参加ですね。
Larryとのデュエットがひとつの売りになりつつあり、もはや準メンバー的存在になっているように思います。
そして、今作では、Swamp Popレジェンドのひとり、Tommy McLainが参加しています。
この人は、Don Gibsonのカバー、"Sweet Dreams"のヒットが有名ですが、自作曲も多く、すぐれたソング・ライターでもあります。
私は、Swamp Popでは、Johnnie AllanやClint Westなどよりも、この人の方が好みかも知れません。
今作では、ボーカルのほか、キーボードでも演奏に加わっています。
さて、前作では、ハイウェイ90サウンドと称して、テキサス、ルイジアナからメキシコ湾まで、仮想の音楽の旅を巡ったわけで、ライナーでのLarryの愛情あふれるコメントもあり、アカデミック(?)なたたずまいも漂わせていました。
しかし、今作ではバンド本来の猥雑さが戻ってきた感じがします。
スタジオ盤ではありますが、ライヴ盤"Live At Evangeline Cafe"に近い匂いを感じさせるものがあります。
とりあえず聴いてみましょう。
初めて聴いたとき、まずアタマの2曲で、このアルバムの性格がわかった気がしました。
バンドの音は勢いがあっていいと思います。
しかし、ボーカルがへなちょこです。
ありがちな表現を使えば、「良く言えば味がある、別の言い方をするならヘタうま」なのでした。
Larryのボーカルがヘタうまなのは分かってたことです。
でも、2曲めでリードをとるゲストのJoannaが、今作ではいまいちです。
前作では、躍動感あるノーザンで、はじけるようなボーカルを聴かせてくれた彼女ですが、今回はちょっと地味気味なのでした。
冒頭の"Jail In San Antone"は、Larryが早口でまくしたてる、ニューオリンズR&Bタイプのロックンロールです。
これを聴いて、私は「あー このぬるい世界へ帰ってきた」と嬉しくなったものでした。
はて、「サンアントンの監獄」というのは、オリジネイターは誰でしょう?
続く"Ooh La La"は、女性シンガーのJoanna Ramirezがリード・ボーカルをとります。
原曲は、Smiley Lewisで、この選曲は渋いです。
ちなみに、フェイセスのアルバム・タイトル曲とは同名異曲です。
ここでのJoannaのボーカルは、キュートさや溌剌さに乏しく、せっかく女声ボーカルを起用している効果はあまり出ているとは言い難いです。
私は、この2曲を聴いた時点で、逆に頬が緩んでいました。
このピリっとしないゆるさは、このあとのぐたぐたな展開を予感させて、思わず嬉しくなってしまうのでした。
この聴き方って変ですか?
とにかく聴きましょう。
"What's So Hard About Love"は、のどかなアコーディオンの響きで進行するポップなTex-Mexです。
ここでアコを弾いているのは、ゲストのBradley Williamsという人です。
LarryとJoannaがデュエットするこの曲は、テキサスの面白バンド、Freddie Steady 5のレパートリーです。
このバンドは、最近私が関心を持っているバンドで、原曲は、リーダーの"Freddie KrcとギターのCam Kingが書いた曲です。
Freddie Steady 5の最新作"Live From Sugarhill Studio"のライナーでは、ライターが"The Spirit of Sir Doug pops"という言葉を使って、彼らをSir Douglas Quintetになぞらえていました。
"Everything's Gonna Be Alright"は、またもLarryとJoannaのデュオ曲です。
この軽快に進行するニューオリンズR&Bスタイルの曲は、Swamp Popの兄妹デュオ、Van & Graceのカバーです。
兄貴のVan Broussardは、ソロで何枚もアルバムを出しているSwamp Popシンガーです。
多くの録音がある人ですが、英AceのSwamp Popの名コンピ、"Louisiana Saturday Nightでは、サザン・ソウルのカバー、"Feed The Flame"が収録されていました。
一方、妹のGrace Broussardは、兄とは別の男女コンビ、Dale & Graceとして、あの"I'm Leavin' It All Up To You"を全国ヒットさせた人なのでした。
"Welcome To the Wiggle Room"は、バンドのオリジナルで、R&Bインストです。
ここでは、ホーン陣のリフが延々と響くなか、ブルージーなギターとハープのブロウが印象的です。
そして、この曲のみライヴなのか、あるいはそれ風の録音なのか、酒場での喧噪のようなSEが聴こえます。
続いて、Joannaのリードで、ポピュラー・スタンダードの"Once In a While"が歌われます。
おとなしめの曲調ですが、しかし、お上品さなど一切ないバー・バンド・サウンドで、他の曲との違和感は全く感じさせません。
"Feel So Good"は、またまたLarryとJoannaのデュオ曲です。
ニューオリンズR&Bスタイルの快調に乗せるアップ・ナンバーで、原曲はShirly & Leeです。
"Let The Good Times Roll"で有名な男女R&Bデュオですね。
しかし、ここでお手本にしたのは、Van & Graceのバージョンかも知れません。
Van & Graceは、この曲を60年代に録音しています。
"Everything's Gonna Be Alright"をやっていることからして、そんな想像をしてしまいます。
さて、次の曲が始まると、一転別のアルバムになったのかと思わず確認しそうになります。
"Don't Make Me Leave New Orleans"は、Tommy McLainがリード・ボーカルをとる彼の自作曲です。
そのハスキーな声は、得も言われぬ魅力に溢れていて、一気に別世界へといざなってくれます。
Tommy自身によるピアノの伴奏にのせて、静かに美しいバラードが流れます。
バンドは当然同じですが、彼と息を合わせ、完全にTommy McLain Worldを展開していて、流石というほかないです。
"How Many Midnights"は、再びバンドのオリジナルです。
歌うのはJoannaで、ブルージーなバラードを決めますが、やはり彼女には元気なノーザン・ソウル系がよい気がします。
"I'll Try One More Time"は、ルイジアナ・ロカビリアンのAl Ferrierもやっていた、のどかなワルツです。
ホンキートンク・カントリーを、流麗なペダル・スチールの音にのせて、Larryがせつせつと歌います。
この曲調の転換は効果的で、出来以上によく聴こえます。
"Another Saturday Night In Wardville"では、再びTommy McLainが素晴らしい喉を聴かせます。
今度はミディアム〜アップで、改めてひとつ抜けたボーカルの力を見せてくれます。
この曲でも、バンドがぐっとひきしまっているように感じました。
"Two Hearts In Love"は、なんと、ここへきてDoug Sahmの作品です。
しかも、選曲が渋すぎます。
この曲は、Dougが62年にリリースしたもので、アナログの編集盤"Texas Road Runner"に収録されていました。
Doug Sahmが10代のときに書いた作品ですね。
これは、オーストラリア盤の初期作品集でCD化されたと思いますが、私は持っていません。
まあ、アナログLPで聴きましょう。
10代であったにしても、すでにきれいなメロディを書いていて流石です。
"Once Upon a Time"は、Marvin GayeとMary Wellsの64年のデュオ・ヒットのカバーです。
当然ながら、LarryとJoannaがデュエットしています。
今作では、いくつもデュエットしている二人ですが、あえて選ぶならこの曲でしょう。
モータウン・ナンバーですが、ダンスものではなく、バラードです。
"Between Here and Baton Rouge"は、Larryの作品ですが、Doug Sahmの作風を思わせるTex-Mexで、これはよいです。
「こことバトン・ルージュのあいだで」とは何のことを歌っているのでしょう。
ラストの"Love Me"は、ブラス陣中心のムーディーなインストです。
クロージング・テーマといったところでしょうか。
ダンス・ホールの終了を告げるように、サックスの甘い響きで幕が下ろされるのでした。
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