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ジョー・ジャマの音楽と人生

 今回は、Joe Jamaのソロ・アルバムを聴きました。
 多分、この人のことをご存じの方は少ないのではないかと思います。
 私は、この人の曲をあるバンドのカバーで知り、それからずっと本人のフル・アルバムが聴きたいと思っていました。

 流通が少ないのが残念ですが、テキサス、ルイジアナの音楽がお好きな方には推薦したい、最近の私の一押しです。


My Life
Joe Jama

1. Night Train (Jimmy Forest, Oscar Washington)
2. Hopeless Case (Louie Prima)
3. My Life (Joe Perales)
4. What's Goin' On (Marvin Gaye, Al Cleveland, Reynaldo Benson)
5. Ooh Pooh Pah-Doo (Jesse Hill)
6. When Something Is Wrong With My Baby (Issac Hays, David Porter)
7. Come And Get Your Love (Lorry Vegas)
8. Mustang Sally (Bonny Rice)
9. What Does It Take (To Win Your Love) (Johnny Bristol, Vernon Bullock, Harvey Fuqua)
10. Sleep Late My Lady Friend  (Harry Edward Nillson)

 私がJoe Jamaの名前を初めて知ったのは、それほど前のことではありません。
 サンアントニオのテキサス、ルイジアナ音楽大好きバンド、Larry Lange and his Lonely Knightsの、10年リリースの最近作"San Antonio Selenade"で、Joe Jama作の"My Life"のカバーを聴いたのが最初です。

 この"San Antonio Selenade"というアルバムは、Larry Langeが尊敬する先達への抑えきれない愛情を発露した、ファン・レター的なアルバムでした。
 そこでは、彼がリスペクトする先輩チカーノ・シンガーや、メキシコのバンド・リーダーたちへの愛情に溢れるカバーが「ぎゅっ」と詰め込まれていたのです。

 Larry Langeのペンによるライナーには、各曲への想いを綴った短いコメントが記されていて、私は初めて知る名前に、わくわくしながら文章を眼で追ったのでした。

 そんな中に、Larry Langeが"Classic San Antonio Soul Sound"と紹介していた曲が入っていました。
 それが、01年リリースの本作のタイトル・ナンバーである"My Life"です。

 この曲のオリジナル録音は、チカーノ・ソウルのコンピ、"Chicano Soul San Antonio's Westside Sound Vol.3 Sweet Soul Chicano Style! 1961-1970"で聴くことが出来ます。
 このコンピ・シリーズは、そろそろ入手しにくくなりつつあると思いますので、同好の志は、見かけたら速攻Getしましょう。

 Joe Jamaは、チカーノ・シンガーの中でも、とりわけリズム&ブルースに強い影響を受けた人だと思われ、私はこの人を知ってから、Sunny Ozunaに次ぐ存在はこの人ではないか、とまで思うようになりました。

 現在、私のチカーノ・シンガーの推しメンのツー・トップは、Little Joeを押さえて、Sunny Ozunaとこの人です。
 英語でソウルフルに歌う曲が多いのも、とっつきやすいと思います。

 Joe Jamaは、本名をJoe Peralesといい、49年にサン・アントニオで生まれています。
 幼いころから黒人音楽に親しみ、16才のとき、地元のボーカル・グループのRoyal Jestersに加入したようです。

 最初のギグのとき、安ホテルに泊まってはしゃぎ回ったメンバーは、彼のパジャマ姿が滑稽だとからかって、彼のことをジョー・パジャマと呼び始め、それがいつしかジョー・ジャマと短縮されるようになったようです。
 公演では、ベースを弾きながら歌うシンガーです。

 Royal Jestersの音源は、先に触れたチカーノ・ソウルのコンピ・シリーズにも数曲収録されていて、その内Joe Jama在籍時のものが何曲あるのかは不明ですが、1曲だけ"Joe Jama & Royal Jesters"名義のものがあり、興味深いです。

 その曲は69年(Joe 20才)のリリースとなっていて、おそらく、その頃はグループの中で大きな存在になっていたのでしょう。
 翌70年にはソロ名義で、"My Life"をリリースしています。

 さて、本作をかんたんに見ていきましょう。
 曲目をご覧ください。
 それだけで、顔がにやつく方もいらっしゃると思います。
 私もそうです。
 聴く前から期待で胸が一杯になりました。

 冒頭の"Night Train"は、Jimmy Forestの51年のNo.1R&Bインスト・ヒットのカバーで、元々はデューク・エリントンが元祖らしいですが、ここでのジャンプ・アレンジは、明らかにJames Brownのバージョンが元ネタです。
 それが証拠に、JBと同じタイミングで、各地の地名を叫んでいます。
 
 JBは、曲が始まるとまもなく、「マイアミ フロリダ、アトランタ ジョージア、ラレー(Raleigh) ノースキャロライナ !」と叫びますが、Joe Jamaは、「マイアミ フロリダ」のあと、「シカゴ イリノイ、(不明) イーストL.A.、マイホームタウン、サンアントニオ テキサス ! ハッ」と叫んでいて、頬が緩む思いです。
 この曲は、ホーン・リフの鳴りがかっこよく、ノリの良さもあって、一発で虜にさせられました。

 私は、比較するために久々にJBのバージョンを聴いて興奮しました。
 少し前に、この曲からファンクの香りがすると書きましたが、実は聴き返さずに記憶で書きました。
 これは、私の感覚ではファンクではなく、古いスタイルのジャンプ・ナンバーで、私は大好きです。
 実は、私はファンクとか、ファンキー・ソウルとかいったものがよく分かっていません。

 私が快感を感じるのは、横ノリのスイング・ビートで、黒人音楽の根幹だと思っています。
 ファンクが、横ノリのビートを含むのなら、そのスタイルは好きです。
 私には、縦ノリのビートは、退屈でうるさいだけの場合がほとんどです。 

 次の"Hopeless Case"は、クレジットでは作者がLouie Primaとなっていますが、そうなんでしょうか?
 ルイ・プリマは、白人のスイング・バンドのリーダー、シンガーで、私は彼の"Just A Gigolo〜I Ain't Got Nobody"が好きです。

 ルイ・プリマの曲では、近年"Jump, Jive, An'Wail"がネオ・スイング・バンドにこぞってカバーされ、リバイバルしました。
 ブライアン・セッツァー・オーケストラのバージョンが大きなヒットになっています。

 "Hopeless Case"は、Sunny Ozunaがやっていて、自作とクレジットされている場合があります。
 ただ、Sunny Ozunaの(テキサスローカルの)レコードやCDのクレジットは、あまり信憑性が高くなく、迷うところですが、ルイ・プリマ風の曲でないのは確かです。
 はねるリズムを持つ曲で、ニューオリンズR&Bをブリティッシュ・ロック風にやったような感じ(?)に仕上がっています。
 Sunny Ozunaのバージョンもほぼ同じアレンジです。

 ルイ・プリマは、1曲前の"Night Train"をレパートリーにしていましたので、混乱したのでしょうか?
 真相の追及は、後日に預けたいと思います。
 
 次の"My Life"は、先に触れた彼の自作曲です。
 これが彼の代表曲なのかも知れません。
 ノーザン・ソウル風のはつらつとしたアップ・ナンバーで、本作のための新録音が収録されています。

 続く"What's Goin' On"は、言うまでもなくマービン・ゲイの代表作のひとつです。
 ほとんどフェイクすることなく、オリジナルに近いアレンジでやっています。
 スウィートなコーラスが入り、ソウル・ボーカル・グループ風のつくりに仕上がっています。

 ジェシー・ヒルがレイ・チャールズのパターンをいただいた曲、"Ooh Pooh Pah-Doo"に続いて、Sam & Daveの名作メンフィス・ソウル・バラード、"When Something Is Wrong With My Baby"が歌われます。
 ほぼ原曲と同じアレンジで、Loretta Bliueという女性シンガーとデュエットしています。
 ここまでの流れは、もう最高といってよく、気持ちいい音楽のシャワーに身を任せる気分です。
 
 ここで、私にとって馴染みのない曲が初めて登場します。
 "Come And Get Your Love"です。
 ハイ・テナー調で歌っていて、ウキウキするようなノリが素敵な曲です。
 サビでは、Billy Stewart風のフレーズが出てきて楽しいです。

 原曲は、Staxのボーカル・グループ、Tempreesのようで、このグループはチカーノ向けのコンピ・シリーズ"East Side Story"に複数の曲が収録されているグループです。

 チカーノ好みのスウィート・ソウルということでしょう。
 Staxの9枚組シングル・コレクション(第1集)には未収録なので、70年代のグループなのでしょう。
 多分、Staxがフィラデルフィアで契約したか、さもなくばフィリー詣でをさせたグループなんだと思います。
 Five Royalsのカバー、"Dedicated To The One I Love"が代表曲のようです。

 "Mustang Sally"は有名曲ですね。
 オリジナルは、Blue Rock(晩年のJunior Parkerが録音を残したマーキュリー系の会社)から65年にリリースされた、Sir Mack Riceです。
 私は、再録音盤は聴きましたが、今のところ原曲のバージョンを収録したCDを知りません。
 
 ソウル・ファンには、何と言ってもWilison Pickett盤です。
 マック・ライスが、ピケットとデトロイトのボーカル・グループ、The Falconsで同僚だったことはよく知られています。
 この人は、なぜ"Sir"と名乗っているんでしょう?
 Joe Jamaは、ピケットを抑え目にした感じで、メンフィス・ソウル風に歌っています。

 "What Does It Take (To Win Your Love)"は、全く知らない曲です。
 作者名にHarvey Fuquaの名前があり、Johnny Bristolというのは、割と聞く名前ですが、モータウンのシンガーですか?

 ラストの"Sleep Late My Lady Friend"は、Nilssonの曲で、この選曲は以外です。
 この曲を収録したニルソンの69年の1st、「パンディモニアム・シャドウ・ショウ」は、私が初めて買ったニルソンのアルバムでした。

 私は久々に、大好きな「ニルソン・シュミルソン」が聴きたくなりました。
 「ニルソン・シュミルソン」は、初期のバッドフィンガーと共通の匂いが感じられて好きでした。
 ビートルズ・ファンならみんな好きですよね。

 本作は、LA LUZ Recordsというサン・アントニオの会社からリリースされていますが、プロデュースがしっかりしていて、テキサスの会社を見直しました。
 ぜひ、Sunny Ozunaにも、こういったプロデュースで制作してほしいです。

 全体のつくりは、ホーンを中心に、生音を大切したサウンドのように感じられ、好感が持てます。
 これは、キーボード奏者がもう一つの鍵のようで、ハモンド・オルガンをフィーチャーした曲に強く感じます。
 一方、シンセっぽいチャカポコ音を弾いている曲は、少し気になりますが、ここでも力強いホーン陣が頼もしく、チープになることを救っています。

 Joe Jamaは、私にとって新たな強い関心の対象になっています。
 彼が在籍していたRoyal Jestersは、テキサスのローカル・レーベル、Harlem Recordsからシングルを出していて、興味深いです。
 なぜなら、Harlem Recordsは、Doug SahmがSir Douglas Quintetを組む前に、数枚のシングルを出していた会社のひとつだからです。

 当分は、近作もヴィンテージ期も、追いかけたいアーティストです。


My Lifeです。




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