2011年04月05日
ウエストサイド・ソウル
60年代のChicano R&Bを聴くなら、まずこのシリーズから聴きましょう。
TexasはSan AntonioのWestside Townで好んで聴かれていた音楽のコンピレーションです。
主として、地元グループによるスイート系のR&B、ソウルのカバー曲が中心です。
これは、そのシリーズの第三集にあたります。
4枚目は出ませんでしたので、これが最終盤となります。
ただし、同じ会社から、ほぼ同傾向の"Chicano Soul : Texas Group Tresures Vol.1"というコンピが出されており、こちらも合わせて聴きたいところです。
こちらは、ついに第2集が出ませんでした。
1. My Life - Joe Jama
2. Love and Care - Cold Four
3. Hello Stranger - Little Joe & the Latinaires
4. A Love That's Real - Eptones
5. Let's Make a Celebration - Vic Love & the Lovells
6. Please Come Home - Cheaters
7. The Best Man Cried - J. Jay & the Dell-Tones
8. To Be My Girl - Casino Royale
9. Crying in the Chapel - Little Joe & the Harlems
10. Something On Your Mind - Tony Rey
11. Gee Baby - George Jay & the Rockin' Ravens
12. Don't Be Afraid to Love Me - Commands
13. Sitting in the Park - Sunny & the Sunliners
14. The Day I Found You - Ricky Davila & the Laveers
15. Use Your Head - Royal Jesters
16. Pledging My Love - Lovells
17. The Day She Went Away - J.V. & the Velvetones
18. Uh-Huh Un-Huh Oh Yea - Fabulous Moonlighters
19. Don't Mistake Me For a Fool - Casino Royale
20. Give Him Up - Little Jr. Jesse & his Teardrop Tears
はっきりいって、ほとんど無名のバンド(ないしはコーラス・グループ)ばかりです。
この中で、最も名前が知られているのは、Sunny & the Sunlinersでしょう。
それに次ぐのが、Little Joeですね。
Little Joeは、Little Joe & the Latinaires名義の録音は貴重ですので嬉しいです。
サニー・オスナとリトル・ジョー・エルナンデスは、この分野(テハーノ・オルケスタ)の大物で、しかも嬉しいことに現役です。
彼らに共通するのは、若いころ、リズム&ブルースやファンクから大きな影響を受けていることです。
中でもこの時代は、ドゥワップやスイート・ソウルからの直接的なカバーが多いのが特徴です。
Sunny & the Sunlinersは、Little Willie Johnの"Talk To Me"のカバーが有名です。
原曲よりヒットして、この曲を全国に広めました。
Doug Sahmの愛唱歌としても有名ですね。
また、Freddy Fenderのレパートリーでもあります。
ダグ・サームは、サニー・オスナとさほど年齢が離れていないと思いますが、彼のヒーローだったに違いありません。
Talk To Meは、もちろんサニー盤がお手本です。
ダグ・サームは、この他にも、"Just A Moment(Of Your Time)"、"Golly Gee"をカバーしています。
これらは、サニー・オスナのオリジナル曲のカバーで、その素晴らしいパフォーマンスから、ダグのサニー好きがよく分かります。
Golly Geeは、二度も吹き込んでいるほどです。
オープニングの"Love Is A Mystery"というフレーズが始まると、文字通り日常を離れた不思議な世界へといざなってくれる名曲です。
このコンピでは、サニーによる"Sittin In The Park"を聴く事が出来ますが、これも名曲といいたいです。
原曲は、チェス録音が有名なBilly Stewartで、本人が書いた曲です。
ハイ・トーン・ボイスの持ち主で、日本での人気はほとんどないと思いますが、ワン・アンド・オンリーの魅力を持った名シンガーだと思います。
一人エコーとでも呼びたい比類のないボーカル・スタイルの人で、私は、"Strange Feeling"という曲が昔から好きです。
ちなみに、Sittin In The Parkは、NRBQもライヴ盤でやっていました。
一方、リトル・ジョーがやっているHello Strangerという曲は、私はよく知らない曲ですが、コーラスの「シュバッ、シュバッ」というリフレインが耳に残ります。
女性がリード・ボーカルをとっていて、これはPaula Estradaという人らしいです。
普段のリトル・ジョーは、自身でリードを歌うこともありますが、この時代は、弟のジョニー・エルナンデスがリードを取ることが多かったのではないかと思います。
ジョニー・エルナンデスも現役で、アーティストとしてだけでなく、プロデューサーとしても多くの仕事をしているようです。
サニー・オスナ、リトル・ジョー以外では、Royal Jestersが最近の私の関心を惹いているグループです。
このグループは、単独アルパムがあるはずですので、出来れば聴いてみたいと思っています。
その他のグループも、おしなべて「いい感じ」です。
それぞれの個性があり、ひとくくりには出来ませんが、「いい感じ」とは、その雰囲気といいますか、地域の特異性や、時代の空気感といった「あわあわ」とした何とも表現しがたい要素が堪らない魅力を醸し出しています。
このシリーズには、複数回登場するグループがいますが、この第三集での注目は、何と言っても"Joe Jama"です。
黒人音楽に強い影響を受けた、ソウルフルなチカーノ・シンガーで、ベーシストでもあります。
本コンピの冒頭に、"My Life"という曲が収録されています。
今回の一押しと言いたいです。
この人の日本語表記は何なのかと考えた時期がありましたが、どうもジョー・ジャマでいいのではないかと思います。
"My Life"の作者は、Joe Peralesとクレジットされていますが、これはジョー・ジャマの本名です。
Jamaというのは、芸名というわけですが、そもそもは若いころ(子どものころ?)のニックネームから来ているそうです。
「ジャマ」は「パジャマ」から来ているそうで、由来の詳細はよく分かりませんが、英語風の表記でいいのだと思います。
チカーノ・ミュージシャンは、メキシカン・ルーツへの傾倒度によって、音楽性に違いがあります。
中には、ほとんどスペイン語のみでやっている人もいます。
このコンピに収録されているのは、英語の歌詞で歌う、黒人音楽に強い影響を受けたグループが中心ですが、70年代以降も長く活躍している人はまれです。
私は最近、サニー・オスナとリトル・ジョーに次ぐ存在は、このジョー・ジャマではないかと考えるようになりました。
実は、この人も現役で、地元のミュージシャンからリスペクトを受けている人なのでした。
私は以前、テキサスのローカル・チカーノ・バンド、Larry lange And His Lonely Knightsを取り上げたことがありました。
テキサスやルイジアナの音楽に深く根差した素晴らしいバンドです。
彼らが最近作、"San Antonio Serenade"でカバーしていたのが、"My Life"でした。
ラリー・レインジは、この曲をアルバムのライナーで"Classic San Antonio Soul"と称し、讃えていました。
ラリー・レインジのカバーで出会い、本コンピで本人盤と遭遇できたジョー・ジャマは、今私が最も関心を持って追いかけているアーティストです。
関連記事はこちら
ハイウェイ90サウンドに酔いしれて
ようこそ、イヴァンジリン・カフェへ
チカーノ魂の片りんをみました
TexasはSan AntonioのWestside Townで好んで聴かれていた音楽のコンピレーションです。
主として、地元グループによるスイート系のR&B、ソウルのカバー曲が中心です。
これは、そのシリーズの第三集にあたります。
4枚目は出ませんでしたので、これが最終盤となります。
ただし、同じ会社から、ほぼ同傾向の"Chicano Soul : Texas Group Tresures Vol.1"というコンピが出されており、こちらも合わせて聴きたいところです。
こちらは、ついに第2集が出ませんでした。
Chicano Soul
San Antonio's Westside Sound Volume 3
Sweet Soul Chicano Style! 1961-1970
San Antonio's Westside Sound Volume 3
Sweet Soul Chicano Style! 1961-1970
1. My Life - Joe Jama
2. Love and Care - Cold Four
3. Hello Stranger - Little Joe & the Latinaires
4. A Love That's Real - Eptones
5. Let's Make a Celebration - Vic Love & the Lovells
6. Please Come Home - Cheaters
7. The Best Man Cried - J. Jay & the Dell-Tones
8. To Be My Girl - Casino Royale
9. Crying in the Chapel - Little Joe & the Harlems
10. Something On Your Mind - Tony Rey
11. Gee Baby - George Jay & the Rockin' Ravens
12. Don't Be Afraid to Love Me - Commands
13. Sitting in the Park - Sunny & the Sunliners
14. The Day I Found You - Ricky Davila & the Laveers
15. Use Your Head - Royal Jesters
16. Pledging My Love - Lovells
17. The Day She Went Away - J.V. & the Velvetones
18. Uh-Huh Un-Huh Oh Yea - Fabulous Moonlighters
19. Don't Mistake Me For a Fool - Casino Royale
20. Give Him Up - Little Jr. Jesse & his Teardrop Tears
はっきりいって、ほとんど無名のバンド(ないしはコーラス・グループ)ばかりです。
この中で、最も名前が知られているのは、Sunny & the Sunlinersでしょう。
それに次ぐのが、Little Joeですね。
Little Joeは、Little Joe & the Latinaires名義の録音は貴重ですので嬉しいです。
サニー・オスナとリトル・ジョー・エルナンデスは、この分野(テハーノ・オルケスタ)の大物で、しかも嬉しいことに現役です。
彼らに共通するのは、若いころ、リズム&ブルースやファンクから大きな影響を受けていることです。
中でもこの時代は、ドゥワップやスイート・ソウルからの直接的なカバーが多いのが特徴です。
Sunny & the Sunlinersは、Little Willie Johnの"Talk To Me"のカバーが有名です。
原曲よりヒットして、この曲を全国に広めました。
Doug Sahmの愛唱歌としても有名ですね。
また、Freddy Fenderのレパートリーでもあります。
ダグ・サームは、サニー・オスナとさほど年齢が離れていないと思いますが、彼のヒーローだったに違いありません。
Talk To Meは、もちろんサニー盤がお手本です。
ダグ・サームは、この他にも、"Just A Moment(Of Your Time)"、"Golly Gee"をカバーしています。
これらは、サニー・オスナのオリジナル曲のカバーで、その素晴らしいパフォーマンスから、ダグのサニー好きがよく分かります。
Golly Geeは、二度も吹き込んでいるほどです。
オープニングの"Love Is A Mystery"というフレーズが始まると、文字通り日常を離れた不思議な世界へといざなってくれる名曲です。
このコンピでは、サニーによる"Sittin In The Park"を聴く事が出来ますが、これも名曲といいたいです。
原曲は、チェス録音が有名なBilly Stewartで、本人が書いた曲です。
ハイ・トーン・ボイスの持ち主で、日本での人気はほとんどないと思いますが、ワン・アンド・オンリーの魅力を持った名シンガーだと思います。
一人エコーとでも呼びたい比類のないボーカル・スタイルの人で、私は、"Strange Feeling"という曲が昔から好きです。
ちなみに、Sittin In The Parkは、NRBQもライヴ盤でやっていました。
一方、リトル・ジョーがやっているHello Strangerという曲は、私はよく知らない曲ですが、コーラスの「シュバッ、シュバッ」というリフレインが耳に残ります。
女性がリード・ボーカルをとっていて、これはPaula Estradaという人らしいです。
普段のリトル・ジョーは、自身でリードを歌うこともありますが、この時代は、弟のジョニー・エルナンデスがリードを取ることが多かったのではないかと思います。
ジョニー・エルナンデスも現役で、アーティストとしてだけでなく、プロデューサーとしても多くの仕事をしているようです。
サニー・オスナ、リトル・ジョー以外では、Royal Jestersが最近の私の関心を惹いているグループです。
このグループは、単独アルパムがあるはずですので、出来れば聴いてみたいと思っています。
その他のグループも、おしなべて「いい感じ」です。
それぞれの個性があり、ひとくくりには出来ませんが、「いい感じ」とは、その雰囲気といいますか、地域の特異性や、時代の空気感といった「あわあわ」とした何とも表現しがたい要素が堪らない魅力を醸し出しています。
このシリーズには、複数回登場するグループがいますが、この第三集での注目は、何と言っても"Joe Jama"です。
黒人音楽に強い影響を受けた、ソウルフルなチカーノ・シンガーで、ベーシストでもあります。
本コンピの冒頭に、"My Life"という曲が収録されています。
今回の一押しと言いたいです。
この人の日本語表記は何なのかと考えた時期がありましたが、どうもジョー・ジャマでいいのではないかと思います。
"My Life"の作者は、Joe Peralesとクレジットされていますが、これはジョー・ジャマの本名です。
Jamaというのは、芸名というわけですが、そもそもは若いころ(子どものころ?)のニックネームから来ているそうです。
「ジャマ」は「パジャマ」から来ているそうで、由来の詳細はよく分かりませんが、英語風の表記でいいのだと思います。
チカーノ・ミュージシャンは、メキシカン・ルーツへの傾倒度によって、音楽性に違いがあります。
中には、ほとんどスペイン語のみでやっている人もいます。
このコンピに収録されているのは、英語の歌詞で歌う、黒人音楽に強い影響を受けたグループが中心ですが、70年代以降も長く活躍している人はまれです。
私は最近、サニー・オスナとリトル・ジョーに次ぐ存在は、このジョー・ジャマではないかと考えるようになりました。
実は、この人も現役で、地元のミュージシャンからリスペクトを受けている人なのでした。
私は以前、テキサスのローカル・チカーノ・バンド、Larry lange And His Lonely Knightsを取り上げたことがありました。
テキサスやルイジアナの音楽に深く根差した素晴らしいバンドです。
彼らが最近作、"San Antonio Serenade"でカバーしていたのが、"My Life"でした。
ラリー・レインジは、この曲をアルバムのライナーで"Classic San Antonio Soul"と称し、讃えていました。
ラリー・レインジのカバーで出会い、本コンピで本人盤と遭遇できたジョー・ジャマは、今私が最も関心を持って追いかけているアーティストです。
Joe JamaのMy Lifeです。
こんな曲もやってます。
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