2011年07月18日
毎日がスワンプ・ポップ
今回は、最近の私のお気に入りの一人、Van Broussardの70年代の音源集を聴きました。
Van Broussardは、60年代から活動している人ですが、近年もアルバムをリリースしている、現役のSwamp Popシンガーです。
1. Lord I Need Somebody Bad (Peters)
2. Oooh Poo Pah Doo (Jessie Hill)
3. Pledging My Love (Don Robey, Washington) *
4. Everything's Gonna Be Alright (Broussard, Rogers) *
5. Tell Me What You Want Me to Do (Jimmy Reed)
6. Crazy Baby (Maltais) *
7. Baby Moroni (Williams)
8. Feed the Flame (Oldham, Pen) *
9. Little Boy Blue (Harper)
10. Blueberry Hill (Lewis, Rose, Stock)
11. Tonight's the Night (Gonna Be Alright) (Rod Stewart)
12. That's My Desire (Allan, Russel)
13. Mojo (M. Morganfield) *
14. Why Can't You (R. Guidry)
15. Record Machine (Huey)
16. Mathilda (Kloury, Thierry)
17. Don't Take It So Hard (Boudreaux)
18. Kidnapper (Douglas) *
19. One Night of Sin (Bartholomew, King, Steiman)
20. If You Don't Love Me (Tommy McLain)
21. There Goes That Train (McGill)
アルバム・ジャケットの右側の男性がVanです。
クレジットによれば、演奏を務めたのは、その名も"The Fabulous Bayou Boogie Band"といい、メンツは以下の通りです。
Lead Vocals : Van Broussard、(track3,4 only with) Grace Broussard
Guitar : Van Broussard
Saxophone : Harvey Monson、Bobby Lovless、Allan Gautreaux、Dale Dugas
Trumpets : Joe Guedry、Mike Steen
Keyboards : Henry Broussard、Paul Breaux、Gene Foster
Bass : Dale Babin、Dee Braud
Drums : Junior Bergeron
Background Vacals : Deep South
さて、この人は、特段の全国ヒットはないはずですが、何曲か60年代に吹き込んだ曲を再度録音しています。
「*」を付けた曲がそれに当たります。
このへんは、本人のお気に入りなのかもしれませんし、あるいは、地元ではヒットしたレパートリーなのかもしれません。
ちなみに、英Aceの定番コンピ、"Louisiana Saturday Night"に収録されていたのは、本盤収録バージョンの"Feed The Flame"でした。
今回も、何曲か私の注目曲をチョイスしたいと思います。
以下の通りです。
1. Lord I Need Somebody Bad
3. Pledging My Love
4. Everything's Gonna Be Alright
5. Tell Me What You Want Me to Do
6. Crazy Baby
9. Little Boy Blue
11. Tonight's the Night
15. Record Machine
19. One Night of Sin
20. If You Don't Love Me
まず、冒頭の"Lord I Need Somebody Bad"ですが、どうもこの曲が、Vanの最大のヒット曲らしいです。
タイトルから察するところ、カントリー・ゴスペルなのでしょうか?
曲調は完全にゆるいカントリー・ソングで、黒っぽさはありません。
しかし、伴奏のニューオリンズ・スタイルの三連ピアノと、ユニゾンで絡んでくるホーン陣がしっかりと主張していて、ナッシュビル産カントリーとの違いは明らかです。
"Pledging My Love"と"Everything's Gonna Be Alright"は、60年代に、Van & Graceとして吹き込んでいた曲です。
ここでも、この2曲のみ、妹のGrace Broussardとデュエットしています。
"Pledging My Love"は、60年代盤と同様のアレンジで、恋人にみたてた男女のセリフ入りになっています。
そして、"Everything's Gonna Be Alright"は、テキサスの好きものバンド、Larry Lange and his Lonely Knightsが、最新作でカバーしていました。
妹のGrace Broussardは、兄貴とのペアよりも、Dale & Graceという別のペアで、全国ヒットを持っています。
"Tell Me What You Want Me to Do"は、何となくタイトルが違うような気がしますが、Jimmy Reedの曲です。
ゆるーいウォーキン・ブギ・リズムが快感の曲で、歌終わりのインスト・パートで、バンドがバスター・ブラウンの「ファニー・メイ」のリフをやっています。
"Crazy Baby"は、テキサス、ルイジアナではみんな大好きな(多分)、Buck Rogersの名作バラードです。
別の記事でも何度か書いていますが、ここでも作者名が誤記されています。
Maltais作となっていますが、同名異曲で、そちらは、ヒーカップしまくりのワイルドなロカビリーです。
パフォーマーは、作者である、Gene Maltais自身で、Deccaから57年にリリースされています。
Crazy Crazyと繰り返す女性コーラスと、Geneの口笛が印象的なナンバーでした。
いったいどうしてこうなったのでしょうか。
正しい作者名は、Buck Rogersもしくは、Rogersの本名である、L.M.Rodriguezが正解です。
"Little Boy Blue"は、もちろんBobby Blandの初期の名作のひとつですね。
Vanは、特段すごいことをやっているわけではありませんが、曲の良さもあって、やはり惹きつけられます。
"Tonight's the Night"は、Rod Stewartの有名バラードのカバーです。
こういうメジャーな曲をやるのは似つかわしくない気がしますが、意外にSwamp Popシンガーは、ロッドが好きかも知れません。
トミー・マクレインには、確か「ケイジャン・ロッド・スチュワート」という、ふざけたタイトルのアルバムがあったはずです。
"Record Machine"という曲は、初めて聴いた曲だと思いますが、気に入りました。
気持ちのいいギターのリフから入って、キーボードとホーンが素晴らしい伴奏をつけています。
くせになるリズム・リフを持つ曲で、軽快なボーカルも、うまくのっています。
ぜひとも原曲が知りたいものです。
作者が、Hueyとなっていますが、誰でしょう?
姓がHueyという人は、すぐに思いつきません。
"One Night of Sin"は、Smiley Lewisの名作です。
Elvisのバージョンは、忘れられない名唱でした。
これらと比較するのは酷ですが、Vanも頑張っています。
私は最近、Fats Dominoの新しい編集盤や、Dave Barthoromewの作品集を聴いたばかりなので、この曲にもはまります。
"If You Don't Love Me"は、Tommy Mclainの作品で、本人の録音もありますが、おそらくは、Freddy Fenderのバージョンで有名になった曲だと思います。
Tommy Mclainは、Sweet Dreamsなど、他人のカバーの方でより有名ですが、自作曲もかなりよくて、多分自作では、この曲が最高作ではないかと思います。
全体を通して聴いてみて、60年代の作品が持っていた、一種独特な空気感は希薄になった気がしましたが、また別の味わいが出ていると感じました。
さらに近年の作品を追いかけたいと思います。
追記
YouTubeで、Gene Maltaisの"Crazy Baby"を見つけました。
私は、Bear Familyの人気(?)ロカビリー・コンピ・シリーズ、"That'll Flat Git It ! のVol.2で聴いていましたが、どうも単独CDが出ているようで驚きました。
関連記事はこちら
ヴァンとグレース再び
土曜の夜はバイユー・ポップ
愛してないなら、なぜそっとしておいてくれない
バック・ロジャースを求めて
Van Broussardは、60年代から活動している人ですが、近年もアルバムをリリースしている、現役のSwamp Popシンガーです。
The Legendary Bayou Boogie Recordings 1977-79
Van Broussard
Van Broussard
1. Lord I Need Somebody Bad (Peters)
2. Oooh Poo Pah Doo (Jessie Hill)
3. Pledging My Love (Don Robey, Washington) *
4. Everything's Gonna Be Alright (Broussard, Rogers) *
5. Tell Me What You Want Me to Do (Jimmy Reed)
6. Crazy Baby (Maltais) *
7. Baby Moroni (Williams)
8. Feed the Flame (Oldham, Pen) *
9. Little Boy Blue (Harper)
10. Blueberry Hill (Lewis, Rose, Stock)
11. Tonight's the Night (Gonna Be Alright) (Rod Stewart)
12. That's My Desire (Allan, Russel)
13. Mojo (M. Morganfield) *
14. Why Can't You (R. Guidry)
15. Record Machine (Huey)
16. Mathilda (Kloury, Thierry)
17. Don't Take It So Hard (Boudreaux)
18. Kidnapper (Douglas) *
19. One Night of Sin (Bartholomew, King, Steiman)
20. If You Don't Love Me (Tommy McLain)
21. There Goes That Train (McGill)
アルバム・ジャケットの右側の男性がVanです。
クレジットによれば、演奏を務めたのは、その名も"The Fabulous Bayou Boogie Band"といい、メンツは以下の通りです。
Lead Vocals : Van Broussard、(track3,4 only with) Grace Broussard
Guitar : Van Broussard
Saxophone : Harvey Monson、Bobby Lovless、Allan Gautreaux、Dale Dugas
Trumpets : Joe Guedry、Mike Steen
Keyboards : Henry Broussard、Paul Breaux、Gene Foster
Bass : Dale Babin、Dee Braud
Drums : Junior Bergeron
Background Vacals : Deep South
さて、この人は、特段の全国ヒットはないはずですが、何曲か60年代に吹き込んだ曲を再度録音しています。
「*」を付けた曲がそれに当たります。
このへんは、本人のお気に入りなのかもしれませんし、あるいは、地元ではヒットしたレパートリーなのかもしれません。
ちなみに、英Aceの定番コンピ、"Louisiana Saturday Night"に収録されていたのは、本盤収録バージョンの"Feed The Flame"でした。
今回も、何曲か私の注目曲をチョイスしたいと思います。
以下の通りです。
1. Lord I Need Somebody Bad
3. Pledging My Love
4. Everything's Gonna Be Alright
5. Tell Me What You Want Me to Do
6. Crazy Baby
9. Little Boy Blue
11. Tonight's the Night
15. Record Machine
19. One Night of Sin
20. If You Don't Love Me
まず、冒頭の"Lord I Need Somebody Bad"ですが、どうもこの曲が、Vanの最大のヒット曲らしいです。
タイトルから察するところ、カントリー・ゴスペルなのでしょうか?
曲調は完全にゆるいカントリー・ソングで、黒っぽさはありません。
しかし、伴奏のニューオリンズ・スタイルの三連ピアノと、ユニゾンで絡んでくるホーン陣がしっかりと主張していて、ナッシュビル産カントリーとの違いは明らかです。
"Pledging My Love"と"Everything's Gonna Be Alright"は、60年代に、Van & Graceとして吹き込んでいた曲です。
ここでも、この2曲のみ、妹のGrace Broussardとデュエットしています。
"Pledging My Love"は、60年代盤と同様のアレンジで、恋人にみたてた男女のセリフ入りになっています。
そして、"Everything's Gonna Be Alright"は、テキサスの好きものバンド、Larry Lange and his Lonely Knightsが、最新作でカバーしていました。
妹のGrace Broussardは、兄貴とのペアよりも、Dale & Graceという別のペアで、全国ヒットを持っています。
"Tell Me What You Want Me to Do"は、何となくタイトルが違うような気がしますが、Jimmy Reedの曲です。
ゆるーいウォーキン・ブギ・リズムが快感の曲で、歌終わりのインスト・パートで、バンドがバスター・ブラウンの「ファニー・メイ」のリフをやっています。
"Crazy Baby"は、テキサス、ルイジアナではみんな大好きな(多分)、Buck Rogersの名作バラードです。
別の記事でも何度か書いていますが、ここでも作者名が誤記されています。
Maltais作となっていますが、同名異曲で、そちらは、ヒーカップしまくりのワイルドなロカビリーです。
パフォーマーは、作者である、Gene Maltais自身で、Deccaから57年にリリースされています。
Crazy Crazyと繰り返す女性コーラスと、Geneの口笛が印象的なナンバーでした。
いったいどうしてこうなったのでしょうか。
正しい作者名は、Buck Rogersもしくは、Rogersの本名である、L.M.Rodriguezが正解です。
"Little Boy Blue"は、もちろんBobby Blandの初期の名作のひとつですね。
Vanは、特段すごいことをやっているわけではありませんが、曲の良さもあって、やはり惹きつけられます。
"Tonight's the Night"は、Rod Stewartの有名バラードのカバーです。
こういうメジャーな曲をやるのは似つかわしくない気がしますが、意外にSwamp Popシンガーは、ロッドが好きかも知れません。
トミー・マクレインには、確か「ケイジャン・ロッド・スチュワート」という、ふざけたタイトルのアルバムがあったはずです。
"Record Machine"という曲は、初めて聴いた曲だと思いますが、気に入りました。
気持ちのいいギターのリフから入って、キーボードとホーンが素晴らしい伴奏をつけています。
くせになるリズム・リフを持つ曲で、軽快なボーカルも、うまくのっています。
ぜひとも原曲が知りたいものです。
作者が、Hueyとなっていますが、誰でしょう?
姓がHueyという人は、すぐに思いつきません。
"One Night of Sin"は、Smiley Lewisの名作です。
Elvisのバージョンは、忘れられない名唱でした。
これらと比較するのは酷ですが、Vanも頑張っています。
私は最近、Fats Dominoの新しい編集盤や、Dave Barthoromewの作品集を聴いたばかりなので、この曲にもはまります。
"If You Don't Love Me"は、Tommy Mclainの作品で、本人の録音もありますが、おそらくは、Freddy Fenderのバージョンで有名になった曲だと思います。
Tommy Mclainは、Sweet Dreamsなど、他人のカバーの方でより有名ですが、自作曲もかなりよくて、多分自作では、この曲が最高作ではないかと思います。
全体を通して聴いてみて、60年代の作品が持っていた、一種独特な空気感は希薄になった気がしましたが、また別の味わいが出ていると感じました。
さらに近年の作品を追いかけたいと思います。
追記
YouTubeで、Gene Maltaisの"Crazy Baby"を見つけました。
私は、Bear Familyの人気(?)ロカビリー・コンピ・シリーズ、"That'll Flat Git It ! のVol.2で聴いていましたが、どうも単独CDが出ているようで驚きました。
Crazy Baby by Gene Maltais
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愛してないなら、なぜそっとしておいてくれない
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