2010年12月05日
心の鍵を開けてくれ
なかなかに、豪華なメンツを揃えたコンピレーションです。
このアルバムは、ドン・アイマスというトーク・ショウのホストの呼びかけで作られた、難病患者への支援を目的とした、チャリティ・アルバムのようです。
大物アーティストが多数参加していますが、収益の全ては、慈善団体に寄付されるとのことです。
1. Silver Springs : Patty Loveless
2. Lay Down Sally : Delbert McClinton
3. Mamas Don't Let Your Babies Grow Up To Be Cowboys : Lucinda Williams
4. You Better Move On : Levon Helm
5. Life Has Its Little Ups And Downs : Raul Malo
6. I Ain't Never : Little Richard
7. I Don't See Me In Your Eyes Anymore : Randy Travis
8. Fight For Your Right To Party : Big & Rich
9. What A Difference A Day Makes : Willie Nelson
10. Give Back The Key To My Heart : Dwight Yoakam
11. What Happened : Bekka Bramlett
12. Welfare Music : John Hiatt
13. Satisfied Mind : Vince Gill
私がこのアルバムに興味を持ったのは、ドワイト・ヨーカムが歌う、Give Back The Key To My Heartが収録されているからです。
しかし、他のメンツもすごいです。
収録曲は、それぞれ、このアルバムのために吹き込まれたもののようです。
収録アーティストのファンなら、贔屓のアーティストの1曲のために、購入する価値は充分あると思います。
参加しているのは、ルーツ・ミュージックの大物ばかりですので、おそらくは、贔屓以外の曲も楽しめると思います。
私がもうけものだと思ったのは、デルバート・マクリントンのLay Down Sallyが、そして、リヴォン・ヘルムのYou Better Move Onが聴けることです。
もちろん、ジョン・ハイアットのアルバム未収録曲が聴けるのも嬉しいです。
変わり種では、カントリーをカバーした、リトル・リチャードなんていうのもありますし、ベッカ・ホワイトの曲の作者の一人が、アル・アンダースンだということも興味深いです。
ウイリー・ネルソンは、いつもながらの歌声を聴かせてくれています。
まさにアメリカの国民的歌手ですね。
私がこのアルバムで、最も気にいったのは、ランディ・トラヴィスのI Don't See Me In Your Eyes Anymoreです。
ランディは、昔聴いていましたが、私はかなりご無沙汰でしたので、懐かしさがつのるとともに、その素晴らしさに驚きました。
ランディの歌の背後で聴ける、流麗なストリングスは、レイ・チャールズのABC録音のそれを連想させるもので、既視感にとらわれたような懐かしい感覚に包まれます。
私は、必ずしもレイのABC録音を好むわけではありませんが、あの空気感を再現したような音づくりには、感激せずにいられませんでした。
このあたりの感覚は、実際に聴いていただく以外、私の貧困な語彙では伝えきれません。
さて、当初の目的であるドワイト・ヨーカムの曲に話を移したいと思います。
私は、ドワイトが好きですが、今回の真の目的は収録曲そのものにあります。
彼が歌っているGive Back The Key To My Heartは、ダグ・サームの曲なのでした。
ダグ・サーム好きの私としては、彼の曲のカバーというだけで、触手が動くのです。
この曲は、76年のTexas Rock For Country Rollersで初めて録音され、その後、98年のSDQ'98(又は同年、Get ALife)で再吹き込みされました。
ダグは、翌99年に天に召されています。
ダグが、自分のお気に入りの曲を繰り返し録音することは、ままあることですが、この曲の場合は、少し別の事情があるように思います。
この曲は、アンクル・テュペロが93年のAnodyneで取り上げ、同アルバムでは、ダグ・サームがリード・ボーカルで参加したのでした。
つまり、SDQ'98の5年前、Anodyneへのゲスト参加が、実は2度めの吹き込みになるのです。
若い世代からのリスペクトは、ダグの心を動かすものがあったのだと思います。
そのことが、SDQ'98での再演への動機となったのかも知れません。
これが、他の再演曲とは、少し事情を異にするのではないかと私が考える中身です。
その後、私の知る限りでは、オージー・バンドのThe Revelatorsが、01年のアルバム、Floating Bridgeでカバーしています。
そして、今コンピでのドワイト盤の登場は03年でした。
ドワイト盤は、ニュー・トラディション・カントリー風になっていて、他のバージョンとは印象が違います。
ただ、ロッキン・リズムに乗ろうとも、男女の別れを暗示する歌であることに変わりはありません。
少なくとも1番の歌詞は…。
ぼくの写真を 壁から外してくれ
ぼくのテレビを 返してくれ
そんなこと なんでもないさ
でも 返しているあいだに
ぼくの心へとつなぐ 鍵を開けてくれ
そして ぼくの愛を川のように
まっすぐ君の心へ流してくれ
このあたりまでは、愛の終わりに抗う比喩のようです。
でも、2ndヴァースでは、「君はコカインという友を得た」と急展開して、ヘヴィになります。
しかも、英語の歌詞って、韻を踏んでいるので、うまいなぞかけみたいに、「整いました」ならいいですが、そうでない場合は、一生懸命訳しても徒労の場合がありますので、注意が必要ですね。
ランディがやった曲は、スタンダードっぽいですが、チャーリー・リッチ盤がありました。
関連記事はこちら
コレクタブルズのつらいお仕事
白夜の国から
ダグ・サームの青春パート2
ダグ・サームの青春
この人だれ? プラス1
ストックホルムで会おう
涙でにじんだ手紙
Hey Baby !
心の声が叫んでる
ジーン・トーマスを探して
このアルバムは、ドン・アイマスというトーク・ショウのホストの呼びかけで作られた、難病患者への支援を目的とした、チャリティ・アルバムのようです。
大物アーティストが多数参加していますが、収益の全ては、慈善団体に寄付されるとのことです。
The Imus Ranch Record
1. Silver Springs : Patty Loveless
2. Lay Down Sally : Delbert McClinton
3. Mamas Don't Let Your Babies Grow Up To Be Cowboys : Lucinda Williams
4. You Better Move On : Levon Helm
5. Life Has Its Little Ups And Downs : Raul Malo
6. I Ain't Never : Little Richard
7. I Don't See Me In Your Eyes Anymore : Randy Travis
8. Fight For Your Right To Party : Big & Rich
9. What A Difference A Day Makes : Willie Nelson
10. Give Back The Key To My Heart : Dwight Yoakam
11. What Happened : Bekka Bramlett
12. Welfare Music : John Hiatt
13. Satisfied Mind : Vince Gill
私がこのアルバムに興味を持ったのは、ドワイト・ヨーカムが歌う、Give Back The Key To My Heartが収録されているからです。
しかし、他のメンツもすごいです。
収録曲は、それぞれ、このアルバムのために吹き込まれたもののようです。
収録アーティストのファンなら、贔屓のアーティストの1曲のために、購入する価値は充分あると思います。
参加しているのは、ルーツ・ミュージックの大物ばかりですので、おそらくは、贔屓以外の曲も楽しめると思います。
私がもうけものだと思ったのは、デルバート・マクリントンのLay Down Sallyが、そして、リヴォン・ヘルムのYou Better Move Onが聴けることです。
もちろん、ジョン・ハイアットのアルバム未収録曲が聴けるのも嬉しいです。
変わり種では、カントリーをカバーした、リトル・リチャードなんていうのもありますし、ベッカ・ホワイトの曲の作者の一人が、アル・アンダースンだということも興味深いです。
ウイリー・ネルソンは、いつもながらの歌声を聴かせてくれています。
まさにアメリカの国民的歌手ですね。
私がこのアルバムで、最も気にいったのは、ランディ・トラヴィスのI Don't See Me In Your Eyes Anymoreです。
ランディは、昔聴いていましたが、私はかなりご無沙汰でしたので、懐かしさがつのるとともに、その素晴らしさに驚きました。
ランディの歌の背後で聴ける、流麗なストリングスは、レイ・チャールズのABC録音のそれを連想させるもので、既視感にとらわれたような懐かしい感覚に包まれます。
私は、必ずしもレイのABC録音を好むわけではありませんが、あの空気感を再現したような音づくりには、感激せずにいられませんでした。
このあたりの感覚は、実際に聴いていただく以外、私の貧困な語彙では伝えきれません。
さて、当初の目的であるドワイト・ヨーカムの曲に話を移したいと思います。
私は、ドワイトが好きですが、今回の真の目的は収録曲そのものにあります。
彼が歌っているGive Back The Key To My Heartは、ダグ・サームの曲なのでした。
ダグ・サーム好きの私としては、彼の曲のカバーというだけで、触手が動くのです。
この曲は、76年のTexas Rock For Country Rollersで初めて録音され、その後、98年のSDQ'98(又は同年、Get ALife)で再吹き込みされました。
ダグは、翌99年に天に召されています。
ダグが、自分のお気に入りの曲を繰り返し録音することは、ままあることですが、この曲の場合は、少し別の事情があるように思います。
この曲は、アンクル・テュペロが93年のAnodyneで取り上げ、同アルバムでは、ダグ・サームがリード・ボーカルで参加したのでした。
つまり、SDQ'98の5年前、Anodyneへのゲスト参加が、実は2度めの吹き込みになるのです。
若い世代からのリスペクトは、ダグの心を動かすものがあったのだと思います。
そのことが、SDQ'98での再演への動機となったのかも知れません。
これが、他の再演曲とは、少し事情を異にするのではないかと私が考える中身です。
その後、私の知る限りでは、オージー・バンドのThe Revelatorsが、01年のアルバム、Floating Bridgeでカバーしています。
そして、今コンピでのドワイト盤の登場は03年でした。
ドワイト盤は、ニュー・トラディション・カントリー風になっていて、他のバージョンとは印象が違います。
ただ、ロッキン・リズムに乗ろうとも、男女の別れを暗示する歌であることに変わりはありません。
少なくとも1番の歌詞は…。
ぼくの写真を 壁から外してくれ
ぼくのテレビを 返してくれ
そんなこと なんでもないさ
でも 返しているあいだに
ぼくの心へとつなぐ 鍵を開けてくれ
そして ぼくの愛を川のように
まっすぐ君の心へ流してくれ
このあたりまでは、愛の終わりに抗う比喩のようです。
でも、2ndヴァースでは、「君はコカインという友を得た」と急展開して、ヘヴィになります。
しかも、英語の歌詞って、韻を踏んでいるので、うまいなぞかけみたいに、「整いました」ならいいですが、そうでない場合は、一生懸命訳しても徒労の場合がありますので、注意が必要ですね。
ランディがやった曲は、スタンダードっぽいですが、チャーリー・リッチ盤がありました。
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