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ショータイムはナイトタイム

 初めて聴いたバンドをご紹介します。
 録音はオースティンでされていて、おそらくはテキサスのバンドだと思われます。

 ただ、一聴してテキサスと感じさせる要素が少なく、その音楽性はなかなかに多彩で、一筋縄ではいかないと思いました。
 曲ごとに、様々な違った顔を見せてくれるバンドだからです。

 本盤は、11年リリースの新作なのは間違いないですが、何作目なのかとかバンドの詳細は不明です。


Nighttime Problems
The Drakes

1. Summertime
2. To Be With You  
3. Down In Texas   
4. Carny Girl
5. Amarillo Highway  
6. Right Now
7. Nighttime Man
8. I'd Rather Be Blind, Cripple, And Crazy  
9. Qualified
10. Anything You Do
11. Lakehouse Mama  
12. Last Call In Little Rock  
13. Lou-Easy-Ann

 バンドは、ギター2本、ベース、キーボード、ドラムスという5人編成です。
 パーソネルは以下のとおりです。

Matt Giles : guitar, vocals
Michael "Cornbread" Traylor : guitar, vocals
Vincente Rodriguez : drums, percussions, vocals
Ron Flynt : keyboards, guitar
Tom Gillan : bass, vocals

 全体的にアーシーな雰囲気があるのですが、ときにブリティッシュぽかったり、レーナードっぽかたっり、はたまたZ.Z.Topを連想させたりと印象がめまぐるしく変わります。

 特に、前半の導入部では、NRBQを思わせる、小粋でユーモラスなポップ・チューンが見受けられ、こんな感じなのかと思って聴き進めていくと、次第にサザン・ロック風の展開になっていき、驚きます。

 非常に各楽器の輪郭がくっきりと出ているバンドで、豪快な南部風かと思えば、コーラスもさりげなくしっかり入ったおしゃれなポップ曲もあり、既存の色々なバンドを曲ごとに次々と連想してしまいました。

 プロデュースは、ベースのRon Flyntがやっていることから、彼がバンドのカラーに強い影響力を持っているのかもと思います。

 冒頭の" Summertime"は、小粋で時に英国ぽい雰囲気も感じさせる小品です。
 ギターのリフに耳に残る特徴があり、コーラスとハンド・クラップが効果的に使われていて、アーシー系のパブ・ロックを連想させます。

 さらに、KinksやNRBQを思わせる、さりげないユーモアも感じます。
 何より、バンド全体のアンサンブルが素晴らしいです。

 続く"To Be With You"は、キーボードが活躍する、これまた小粋で楽しい雰囲気の曲です。
 ポップでキャッチーなメロを持っていて、やはりギターがいいフレーズを弾いています。
 ボーカルが、控えめにスタートしながらも、途中から男くさくなり、その後の南部的展開をうかがわせる曲です。
 しかし、この曲の段階では、まだ予想しないことでした。 

 "Down In Texas"は、先の2曲とはガラっと雰囲気が変わり、一瞬別のバンドかと思わせるほどです。
 南部志向の強かった、70年代のStonesを連想させる曲です。

 ボーカルのつきはなした歌い方からしてそうで、ミック・ジャガーみたいです。
 何となく聴いたことがあるような曲だと思って聴き進めていましたが、サビになって流石に気づきました。

 これは、Eddie Hintonの作品です。
 Eddie Hintonのバージョンは、アルバム"Playn' Around"で聴くことが出来ます。
 オールマンなどサザン・ロック勢もやっていると思いますが、Decoys盤が私の好みです。
 そして、それ以上に私がよく聴いていたのは、サザン・ソウルのOscar Tony Jr.盤、Don Varner盤などです。

 ここで一気に、やっぱり南部なんだと印象づけられました。
 ジョージアのイメージですね。
 ギターが、これまでのコンパクトで輪郭のはっきりしたフレーズから、引きずるようなルーズな音を聴かせ始めています。

 ところが、事はそのまま進みません。
 "Carny Girl"は、再び最初の2曲に戻ったような、ポップでかわいらしい曲です。
 アコ・ギターのストロークで始まる、NRBQを連想させるような爽やかな胸キュン・ポップスになっています。

 こういった曲では、やはりコーラスが効果的に使われています。
 間奏のギター・ソロが、メロディックでよく歌っていて素晴らしいです。
 私は、John Fogertyのいくつかのオブリガードを連想しました。

 "Amarillo Highway"は、Terry Allenの名作ですね。
 私は、オリジナルも聴きましたが、やはりGarrett, Sahm, Taylor Bandでのバージョンが強く印象に残っている曲です。
 基本的に原曲とあまり変えずにやっていて、ここでもアコ・ギターがいい響きを出しています。
 キーボードの隠し味もよく、ここでもバンドの連携のよさを感じます。

 ここまでは、曲ごとの変化に振り回される構成に驚いたところです。
 以下、次第にサザン・ロック風の展開になっていきます。

 以降で、特に連想させられるのは、レーナード・スキナード、Z.Z.Topなどです。
 やはり、レーナードでしょうか。
 ギターのトーンが、クリアなものからディストーションがかかったスライド風の音中心になっていきます。
 また、リードの背後で鳴っているサイド・ギターが、2本目のリードのように、魅力的なリフを繰り返しています。

 "Nighttime Man"は、曲名から、Hinky Tonk Nighttime Manを連想しました。
 レーナードがカバーした、マール・ハガードの作品ですね。

 そして、"I'd Rather Be Blind, Cripple, And Crazy"です。
 O.V.Wrightですが、渋すぎるチョイスです。
 この選曲から、このバンドにさらに興味がわいてきました。
 曲は、ほぼ原曲どおりにやっています。

 "Qualified"は、レイ・ヴォーンを思わせるヘヴィなブルース・ロックです。
 アルバム"In Step"のころのレイでしょうか。
 ボーカルがレイを連想させるだけでなく、バンドのうねるようなアンサンブルが、まさにそれ風で惹きこまれます。
 一体いくつ抽斗を持っているのかと言いたくなります。

 "Lakehouse Mama"は、再びレイナードを思わせる曲です。
 ここでは、ボーカルがロニー・ヴァン・ザントみたいです。
 曲は小粋なブギで、J.J.ケイル風のせわしないリズムにのせ、軽快に展開します。
 よく弾むピアノも効いています。

 "Last Call In Little Rock"は、少し曲調が変わって、デトロイトかフィラデルフィアのロック・バンドのような、ダンス・ロックです。
 私は、Tommy Conwellを連想しました。(久しぶりに聴きたいです。)
 といっても、覚えている人は少ないですかね。
 では、Romanticsあたりならいかがでしょう?
 ますます分かりませんか。

 ラストの"Lou-Easy-Ann"は、ルイージ・アンと聴こえます。
 ヘヴィかつレイジーな南部ロックです。
 ラストということで、改めて振り返りますと、アルバム前半とは、全く別のバンドであるかのような、この激しいスタイルの振れ幅に驚くばかりです。

 そして、結論として、とても惹きつけられました。
 次が聴きたくなるバンドです。
 このバンドが内包する「混沌」は、「雑食性」とも違う、何か不思議な魅力を感じます。

 もう少し、バンドの情報が知りたいところです。







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