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ダグ・サームの青春

 私には、Doug Sahmについて、以前から知りたいと願っていることがあります。
 CD時代になって、Doug Sahmの初期の音源の発掘は、それなりに進展しました。
 95年に、コレクタブルズからHis Early Yearsが出され、00年には、ノートンから、San Antonio Rockと言うCDが出されました。
 これらにより、61年以前の録音は、CDでもかなり聴けるようになりました。
 さて、時は遡り、アナログ時代において、私たちが初めて接したDougの初期音源は、このアルバムでした。


Way Back When He Was Just
Doug Sahm

Side One
1.Just A Moment : S. Ozuna
2.Sapphire : J.Corduway
3.Why Why Why
4.Whirlaway (Instrumental)
5.Baby Tell Me

Side Two
1.More And More : Sahm/Reed
2.Slow Down : L.Williams
3.If You Ever Need Me
4.Crazy Daisey : Warner/Sahm
5.Can't Believe You WAnna Leave : L. Price
6.Crazy Daisey : Warner/Sahm

 79年に出されたものですが、私が持っているのは、81年のフランス盤(RockHouse)です。
 先に名前を挙げたCDは、基本的にこのアルバムの収録曲に数曲を追加したものでした。
 
 曲名のあとの名前は、作者を表しています。
 そして、記入のないものは、Doug Sahmが単独で書いた作品です。
 今回、注目したいのは、Dougの自作以外の曲です。

 まず、Just A Momentですが、作者名でわかるとおり、Sunny&Sunlinersのナンバーで、Just A Moment Of Your Timeとも表記される曲です。
 チカーノの人気曲で、色々とカヴァーがあると思います。

 Sapphireは、よくわかりません。(…いつか追いかけたい課題です。)



 Slow Downは、Beatlesにレコーディングされたことで、世界的有名曲になりました。
 Beatlesにカヴァーされた曲の作者は、宝くじに当たったような幸運ですね。


 そして、Just A Momentとともに、初めて聴いたときから、私が気になっていたのが、ロイド・プライス作となっている、Can't Believe You Wanna Leaveです。
 ニューオリンズR&Bスタイルのミディアム・テンポのナンバーで、Dougのオリジナル曲の傾向をみても分かるとおり、彼の嗜好が表れていると思います。

 Doug Sahmは、天才ちびっこカントリー・シンガーとして、Little Dougの名前で、レコード・デビューしましたが、すぐに黒人音楽、それもニューオリンズR&Bに夢中になったようです。
 また、シカゴ・ブルースにも、影響を受けた時期があったようです。

 しかし、64年頃のブリティッシュ・インベイションの来襲によって、全米中がブリティッシュ・ビートという流感に罹ります。
 英国60sビート・バンドのスタイルこそが、米国のティーンネイジャーの憧れになったのでした。
 それは、Doug Sahmも同様で、ヒューイ・モーによって、ニセ英国バンド、Sir Douglas Quintetがでっち挙げられたというわけです。

 さて、Can't Believe You Wanna Leaveですが、私はLloyd Price盤を聴いたことがありません。
 単にリサーチ不足なのかも知れませんが、私が親しんだバージョンは、Little Richardの1stアルバム、Here's Little Richardの収録曲としてでした。


 このアルバムは、駄曲が一切ない名盤中の名盤ですが、ジャケット写真も最高で、リチャードの素晴らしい表情を切り取っています。

 Doug Sahmが参考にしたのは、このリトル・リチャード盤だったのでしょうか?
 それとも、私が知らない、ロイド・プライスの本人盤が存在しているのでしょうか?
 これが、私が知りたいDoug Sahmのトリビアのひとつなのでした。



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