2010年10月30日
ウイリー・ネルソンにダグ・サームの隠し味
今まで、気になっていながら、入手していなかったアルバムを、とうとう買いました。
アマゾンで690円でした。安いです。
このアルバムは、73年にアトランテイックへの移籍第一作としてリリースされたものですが、残念ながら商業的には成功作とは言えないものです。
![](/eltetti1/file/121/d2lsbGllLW5lbHNvbjF4Zg.jpg)
1. Shotgun Willie
2. Whiskey River / J.Bush、P.Stroud
3. Sad Songs And Waltzes
4. Local Memory
5. Slow Down Old World
6. Stay All Night (Stay A Little Longer) / B.Wills、T.Duncan
7. Devil In A Sleepin' Bag
8. She's Not For You
9. Bubbles In My Beer / B.Wills、C.Walker、T.Duncan
10. You Look Like The Devil / L.Russell
11. So Much To Do
12. A Song For You / L.Russell
このあと、同レーベルからもう一枚出しますが、本作同様空振りに終わり、あえなくアトランティックを去ることになります。
当初から、2枚の契約だったのかも知れませんが、Willie Nelsonは、もっぱら黒人音楽で成功してきた、ジェリー・ウェクスラーが、Doug Sahmとともにスカウトしてきた、彼にとってこれまでのキャリアにないタイプのシンガーでした。
ちなみに、同じ73年に、Doug Sahm And Bandがリリースされています。
そして、ダグ・サームもまた、もう一枚のアルバムを残してアトランティックを去ることになります。
ワーナーの傘下に入ってから、ロックにも参入したアトランティックですが、ジェリーが選んだ、この2組のアーティストは、いかにも彼にふさわしいポリシーでチョイスされていたと思います。
大きな成功を収められなかった、ウイリーのアトランティック時代でしたが、直後のコロンビア移籍第一弾アルバム、75年「赤毛のよそもの」が、ウイリー初のNO.1カントリー・アルバムとなりました。
私が初めて買ったウイリー・ネルソンのアルバムがこれです。
これは、西部のアウトロー伝説を主題にしたような、オムニバス風のアメリカーナ・アルバムでしたが、収録曲のBlue Eyes Crying In The Rainでグラミーを取り、時の人となったのでした。
さて、Shotgun Willieですが、このアルバムは、前述のとおり、商業的な成功作とは言えませんが、注目すべき点がいくつかあります。
まず、その後のウイリーのライヴの定番曲となる、Whiskey Riverが取り上げられています。
この曲は、Johnny Bush作で、本人盤は、聴いていて思わず陶然とさせられる、伝統的なスタイルの4ビート・カントリーで、私のフェイバリット・カントリー・ナンバーのひとつです。
この曲を聴いてから、私はジョニー・ブッシュを追いかけ始めたのでした。
そして、Bob Willsの曲が2曲、Leon Russellの曲が2曲選曲されています。
特に、ラッセル作のA Song For Youは、誰もが知る大有名曲ですね。
しかし、私の興味は別の視点からのものです。
このアルバムには、ダグ・サームが参加している曲が2曲あるのです。
Stay All Night (Stay A Little Longer) と、Devil In A Sleepin' Bagです。
これこそ、私が以前からこのアルバムに注目していた理由なのでした。
今回、クレジットを見て、この2曲にダグ・サームがギターで参加していることが分かりました。
ボブ・ウィルズ・ナンバーのStay All Night (Stay A Little Longer)では、ウェイロン・ジェニングスもギターで参加していて、ともにコーラスでもクレジットされています。
ただ、ダグのコーラスは、コーラス隊の中に紛れて、聴きとれず残念です。
この曲では、オーギー・メイヤースもギターを弾いており、さらにジョニー・ギンブルがフィドルで参加しています。
曲の構成としては、エレキの音圧が控えめで、アコーステイック・スイング風に聴こえ、出来はいまいち印象が薄いです。
ダグ・サームが参加していない、もうひとつのボブ・ウィルズのナンバー、 Bubbles In My Beerの方は、ウエスタン・スイングらしい楽しい雰囲気がでていて、良い仕上がりになっています。
こちらには、オーギーがピアノで、ジャック・バーバーがベース、ジョージ・レインズがドラムスで参加しています。
このバックは、完全にダグ・サーム人脈ですので、ダグの不参加が不思議です。
このアルバムは、ダグ・サーム・ファンの視点で聴くと、欲求不満になります。
なぜかと言いますと、折角ダグがギターを弾いているにも関わらず、基本的にリード・ギターは、アルバム全体を通して、ウイリー本人なのです。
これは、ウイリーのアルバムではごく普通のことですが、やはりダグの出番をもっと派手なものにしてほしかったというのが、正直なダグ・ファンの声でしょう。
ウイリーのギターは、ナイロン弦のガット・ギターにピック・アップを付けたもので、ワン・アンド・オンリーのヘタウマ系(実は味があって上手い)なのですが、このアルバムでは、音の録り方が違うのか、あるいは珍しくスチール弦を張っているのか、いつもの胸に染みいるようなサウンドには聞こえず、私は不満です。
Stay All Night (Stay A Little Longer)では、ウェイロンがセカンド・バースでアクースティック・リードを弾いており、こちらは聴きものです。
返す返すも、ダグにリードを弾く機会を与えてほしかったです。
その他の曲では、1曲のみですが、冒頭のShotgun Willieで、ウェイン・ジャクスン、アンドリュー・ラヴ以下のメンフィス・ホーンズが参加しており、アトランティックらしさが表れています。
私の聴き方は、ダグ・サーム目当てで、決して正しい聴き方ではないです。
しかし、ウイリー・ネルソンのアルバムとして、まっとうに聴いても、彼の売り物である、ガット・ギター・リードの魅力が、このアルバムでは希薄だったと思います。
ただ、この時期に、ボブ・ウィルズを2曲も取り上げていたことは、嬉しい発見でした。
70年代初頭くらいから、ナッシュビル・サウンドに対する、オースティンのアウトロー・カントリーの芽が実を付け始めていたとは思いますが、ウェイロン・ジエニングスが、「テキサスでは、ボブ・ウィルズは今でも王様だ」と歌い、話題になったのは、70年代半ばのことだったと思います。
ボブ・ウィルズが、最後のアルバムの録音中に倒れ、天に召されたのは、75年のことでした。
ボブ・ウィルズの関連記事はこちら 最後のときに
アマゾンで690円でした。安いです。
このアルバムは、73年にアトランテイックへの移籍第一作としてリリースされたものですが、残念ながら商業的には成功作とは言えないものです。
![](/eltetti1/file/121/d2lsbGllLW5lbHNvbjF4Zg.jpg)
Shotgun Willie
Willie Nelson
Willie Nelson
1. Shotgun Willie
2. Whiskey River / J.Bush、P.Stroud
3. Sad Songs And Waltzes
4. Local Memory
5. Slow Down Old World
6. Stay All Night (Stay A Little Longer) / B.Wills、T.Duncan
7. Devil In A Sleepin' Bag
8. She's Not For You
9. Bubbles In My Beer / B.Wills、C.Walker、T.Duncan
10. You Look Like The Devil / L.Russell
11. So Much To Do
12. A Song For You / L.Russell
このあと、同レーベルからもう一枚出しますが、本作同様空振りに終わり、あえなくアトランティックを去ることになります。
当初から、2枚の契約だったのかも知れませんが、Willie Nelsonは、もっぱら黒人音楽で成功してきた、ジェリー・ウェクスラーが、Doug Sahmとともにスカウトしてきた、彼にとってこれまでのキャリアにないタイプのシンガーでした。
ちなみに、同じ73年に、Doug Sahm And Bandがリリースされています。
そして、ダグ・サームもまた、もう一枚のアルバムを残してアトランティックを去ることになります。
ワーナーの傘下に入ってから、ロックにも参入したアトランティックですが、ジェリーが選んだ、この2組のアーティストは、いかにも彼にふさわしいポリシーでチョイスされていたと思います。
大きな成功を収められなかった、ウイリーのアトランティック時代でしたが、直後のコロンビア移籍第一弾アルバム、75年「赤毛のよそもの」が、ウイリー初のNO.1カントリー・アルバムとなりました。
私が初めて買ったウイリー・ネルソンのアルバムがこれです。
これは、西部のアウトロー伝説を主題にしたような、オムニバス風のアメリカーナ・アルバムでしたが、収録曲のBlue Eyes Crying In The Rainでグラミーを取り、時の人となったのでした。
さて、Shotgun Willieですが、このアルバムは、前述のとおり、商業的な成功作とは言えませんが、注目すべき点がいくつかあります。
まず、その後のウイリーのライヴの定番曲となる、Whiskey Riverが取り上げられています。
この曲は、Johnny Bush作で、本人盤は、聴いていて思わず陶然とさせられる、伝統的なスタイルの4ビート・カントリーで、私のフェイバリット・カントリー・ナンバーのひとつです。
この曲を聴いてから、私はジョニー・ブッシュを追いかけ始めたのでした。
そして、Bob Willsの曲が2曲、Leon Russellの曲が2曲選曲されています。
特に、ラッセル作のA Song For Youは、誰もが知る大有名曲ですね。
しかし、私の興味は別の視点からのものです。
このアルバムには、ダグ・サームが参加している曲が2曲あるのです。
Stay All Night (Stay A Little Longer) と、Devil In A Sleepin' Bagです。
これこそ、私が以前からこのアルバムに注目していた理由なのでした。
今回、クレジットを見て、この2曲にダグ・サームがギターで参加していることが分かりました。
ボブ・ウィルズ・ナンバーのStay All Night (Stay A Little Longer)では、ウェイロン・ジェニングスもギターで参加していて、ともにコーラスでもクレジットされています。
ただ、ダグのコーラスは、コーラス隊の中に紛れて、聴きとれず残念です。
この曲では、オーギー・メイヤースもギターを弾いており、さらにジョニー・ギンブルがフィドルで参加しています。
曲の構成としては、エレキの音圧が控えめで、アコーステイック・スイング風に聴こえ、出来はいまいち印象が薄いです。
ダグ・サームが参加していない、もうひとつのボブ・ウィルズのナンバー、 Bubbles In My Beerの方は、ウエスタン・スイングらしい楽しい雰囲気がでていて、良い仕上がりになっています。
こちらには、オーギーがピアノで、ジャック・バーバーがベース、ジョージ・レインズがドラムスで参加しています。
このバックは、完全にダグ・サーム人脈ですので、ダグの不参加が不思議です。
このアルバムは、ダグ・サーム・ファンの視点で聴くと、欲求不満になります。
なぜかと言いますと、折角ダグがギターを弾いているにも関わらず、基本的にリード・ギターは、アルバム全体を通して、ウイリー本人なのです。
これは、ウイリーのアルバムではごく普通のことですが、やはりダグの出番をもっと派手なものにしてほしかったというのが、正直なダグ・ファンの声でしょう。
ウイリーのギターは、ナイロン弦のガット・ギターにピック・アップを付けたもので、ワン・アンド・オンリーのヘタウマ系(実は味があって上手い)なのですが、このアルバムでは、音の録り方が違うのか、あるいは珍しくスチール弦を張っているのか、いつもの胸に染みいるようなサウンドには聞こえず、私は不満です。
Stay All Night (Stay A Little Longer)では、ウェイロンがセカンド・バースでアクースティック・リードを弾いており、こちらは聴きものです。
返す返すも、ダグにリードを弾く機会を与えてほしかったです。
その他の曲では、1曲のみですが、冒頭のShotgun Willieで、ウェイン・ジャクスン、アンドリュー・ラヴ以下のメンフィス・ホーンズが参加しており、アトランティックらしさが表れています。
私の聴き方は、ダグ・サーム目当てで、決して正しい聴き方ではないです。
しかし、ウイリー・ネルソンのアルバムとして、まっとうに聴いても、彼の売り物である、ガット・ギター・リードの魅力が、このアルバムでは希薄だったと思います。
ただ、この時期に、ボブ・ウィルズを2曲も取り上げていたことは、嬉しい発見でした。
70年代初頭くらいから、ナッシュビル・サウンドに対する、オースティンのアウトロー・カントリーの芽が実を付け始めていたとは思いますが、ウェイロン・ジエニングスが、「テキサスでは、ボブ・ウィルズは今でも王様だ」と歌い、話題になったのは、70年代半ばのことだったと思います。
ボブ・ウィルズが、最後のアルバムの録音中に倒れ、天に召されたのは、75年のことでした。
ボブ・ウィルズの関連記事はこちら 最後のときに
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