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イーストサイド・ワールドへようこそ

 少し前に入手した、コンピレーション・シリーズの1枚です。
 実は、全部で第12集まであって、これがなんと紙箱入り全巻セットというのが販売されていたのです。(多分、今でも購入可能だと思います。)
 これは、その第3集にあたります。


East Side Story Vol.3

1. La La Means I Love You : Delfonics(T.Bell, W.Hart)
2. What's Your Name : Don & Juan(C.Johnson)
3. How Can I Tell My Mom & Dad : Lovelites
4. You Cheated : The Shields(D.Burch)
5. My Dearest Darling : Etta James
6. Right on the Tip of My Tongue : Brenda & The Tabulations(V.McCoy, J.Cobb)
7. It's Okay : The Sunglows(R.Gonzales)
8. Dedicated to the One I Love : The Shirelles(L.Pauling, R.Bass)
9. Sitting in the Park : Billy Stewart(B.Stewart)
10. Don't Be Afraid : Frankie Karl(G.Gozier)
11. Darling : Phil & Harv
12. Sixteen Candles : The Crests(L.Dixson, A.Khent)

 このコンピレーション・シリーズは、セットとしては、01年ころにリリースされたようで、単発のオリジナルは90年代に出されているようです。
 内容は、特段説明がないのですが、シリーズ・タイトルや、収録曲の傾向からいって、どうもイーストL.A.のヒスパニック系の人たちが好む音楽を集めたものではないか、と推察します。
 会社の住所を見ると、カリフォルニア州のSanta Fe Springsと記されていました。

 とはいえ、最近の若者は、ギャングスタ・ラップ(?)とかに夢中なのでしょうから、こちらは少し親父世代向きの選曲といえるでしょう。
 チョイスされている曲は、既存のサブ・ジャンルでくくるのが難しい雑多なイメージを受けます。
 
 収録曲の傾向ですが、基本的に、ダンサー・タイプの曲はまれで、ドリーミーでマーベラスなバラードばかりが選ばれている印象が多いです。

 あえて乱暴にいうなら、リズム&ブルース(主として50年代のドゥワップ)から、60年代のブリル・ビルディング、モータウン、シカゴのノーザン・ソウルを経て、70年代のフィリー・ソウルから、果てはニュージャージー系までを、なんの略脈もなく並べた、スイート・ソウル風のバラードのコンビということになろうかと思います。

 とはいえ、私はまだこの第3集までを聴いただけなので、あるいは全てを聴き通せば、別のコンセブトが見える可能性はあります。
 ただ、おそらくは当たっているのではないか、とも密かに思っています。

 広義には、少し前の世代のラティーノ(スペイン語を公用語とするラテン・アメリカの出身者)たちが、好んで聴いた音楽という推測もできます。
 しかし、やはり南カリフォルニアのイーストL.A.と呼ばれる地域を居住区とする人々が主たる対象ではないかと思います。

 早速、今作収録曲を聴いてみましょう。
 私が、第1集、2集を外して、あえてこの第3集をセレクトしたのには、理由があります。
 比較的、有名曲がチョイスされていること、とりわけ、ダグ・サーム関連の曲が入っていることが大きいです。

 冒頭の"La La Means I Love You"は、デルフォニックスの大有名曲ですね。
 初期のフイリー・ソウルを代表する名バラードでしょう。
 これは、もうヒット曲集に頻繁に収録されている曲で、新鮮味はないです。
 しかし、定番の名曲が冒頭に鎮座したことで、ぐっとひきしめた印象もあります。

 続く、"What Your Name"は、ドン&ファンというデュオによる、これまた名バラードです。
 ドリーミーとはこういう曲をいうんでしょう。
 ソウル・デュオではありますが、歌唱のスタイルは、明らかに伝統的なドゥワップをベースにした古いスタイルのものです。

 この曲は、ダグ・サームが、名作ソロ"Juke Box Music"で素晴らしいカバーを披露していた曲です。
 ダグ盤からあまりにも強い印象を受けたため、当時は原曲を探し回ったもでした。
 ところが、ライノのドゥワップ・ボックスに収められていたことを後で知り、急に疲れがきたことを覚えています。  
 ドゥワップ・ボックスは、私の愛聴盤でしたが、収録されていたことを失念していたのでした。

 ひとつとばして、Etta Jamesの"My Dearrest Darling"もまた、ダグが"Juke Box Music"でカバーしていた曲です。
 バラードではありますが、Ettaが歌うと、時折りハードなシャウトが聴けるのが面白いです。
 原曲は、モダンかチェスへの録音だったと思います。

 続く、Sunglowsの"It's Okey"がとても気になる曲です。
 ここでいう、Sunglowsとは、Sunny & Sunglowsの後継に当たるグループなのでしょうか?
 ここでリードをとっているのは、どうもJoe Bravoというシンガーらしいです。
 またまた、気になる存在か出てきました。
 
 ここに収められているのは、今までのグループの曲とは明らかに違う曲調です。
 テイク自体も、疑似ライヴっぽい印象を受けますが、かなりかっこいい曲で、とても興味深いです。

 ここでは、習慣性のある反復グルーヴにのせて、黒人でいえばプリーチのような語りを積み重ねて曲が進行します。
 あるいは、元ネタは、Joe Bravo & Sunglowsのライヴ盤(疑似ライヴ盤?)の1曲かも知れません。

 続く"Dedicated to the One I Love"は、ガール・グループのシレルズ盤が収められています。
 シレルズは、ビートルズが大好きだったグループですね。
 チャーミングな魅力を発散させている曲で、このバージョンは比較的有名なものです。

 実は、このシリーズの第2集には、同曲のThe Temprees盤が収録されていました。
 それだけ人気曲だという証左でしょう。
 オリジナルは、硬派のドゥワップ(ブルージーなハーモニー・グループ)のThe"5"Royales盤です。
 作者には、ステイーヴ・クロッパーのアイドルであったギタリスト、ローマン・ポーリングの名前が記されています。

 ファイヴ・ロイアルズは、ゴスペル・カルテットからの転身組であることがバレバレのグループで、JBが愛したグループでもありました。
 JBは、彼らの"Think"を、初期の模索時代にいち早くカバーしましたが、ファンキー・ソウル確立後に、再度ニュー・バージョンを吹き込んでいます。
 JBファミリーのリン・コリンズ盤も有名ですね。

 そして、Billy Stewartの"Sitting in the Park"が入っています。
 ますます、チカーノ好みの選曲だなあと感じました。
 やはり本シリーズは、ヒスバニック向けオールディーズ・コンピだろうと思いました。
 曲は、もう名曲というほかないです。
 この曲は、サニー&サンライナーズもカバーしています。

 私が知らないグループがいくつか含まれていましたが、何となくラティーノ系ではないかと想像しているもの(Phil & Harv)や、一部ルイジアナ系ではないかと思われるもの(Frankie Karl)などもあり、新たに関心を持ちました。

 そして、ラストは、オールディーズ・コンピの常連、クレスツの16キャンドルズで締めです。
 チーク・タイム向けのおセンチなバラードですね。
 リードのジョニー・マエストロは、ディオン&ベルモンツらと並び、マイノリティ系ホワイト・ドゥワップ・グループを代表する存在でしょう。
 これは、問答無用の名曲ですね。

 たくさんのカバーがあると思いますが、私はかつて、ストレイ・キャッツによるカバー盤が聴きたくて、ある映画のサントラ・ミニ・アルバム(?)を買ったような記憶があります。
 あのバージョンは、CD化されているでしょうか?

 というわけで、このシリーズは、リズム&ブルースがいかにチカーノに影響を与えたかということや、彼らの嗜好の傾向を知るうえでも大変興味深いものだと思います。
 (シリーズ・コンセプトが、私の想像どおりだとした場合の話ですが…。)

 このシリーズは、ゆっくり聴いていきたいと思っており、またいずれ別の盤をとりあげるかも知れません。


It's Okeyです。




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