2011年04月09日
奇妙な感覚
私は整理が出来ません。
また、私は段どりが悪い人間です。
かつて、そのことを指摘されたとき、あまりにも痛いところをつかれたため、相手が先輩だったにもかかわらず、「二度手間が好きなんです。」と逆切れしたことがありました。
そんな私が、人生何度目かの「整理をする」という決意をしました。
昨年の7月のことです。
いつものよくある決意でしたが、ひとつだけ初めてのことを行いました。
それが、このブログを始めるということだったのです。
1. Billy's Blues, Part Two (Billy Stewart, Williams)'56 Chess1625
2. Fat Boy (Billy Stewart, Ellas McDaniel)'62 Chess1820
3. Reap What You Sow (Billy Stewart)'62 Chess1820
4. Sugar & Spice (Billy Stewart)'62 Chess1868
5. Strange Feeling (Billy Stewart)'63 Chess1868
6. Count Me Out (F.McKinly, C.Smith)'63 Chess1888
7. I Do Love You (Billy Stewart)'64 Chess1922
8. Keep Lovin' (Smith, Davis, Miner)'64 Chess1922
9. Sitting In The Park (Billy Stewart) '64 Chess LP1496
10. Love Me (Shena De Mell, Suger Pie DeSanto)'66 Chess1960
11. Summertime (George Gershwin, Dubose Heyward)'65 Chess LP1499
12. How Nice It Is (Billy Stewart)'65 Chess1941
13. Because I Love You (Miner, Smith, Davis)'65 Chess1948
14. Every Day I Have The Blues (Peter Chatman)'66 Chess LP1513
15. Secret Love (Sammy Fain, Paul F.Webster)'66 Chess1978
16. Cross My Heart (Pinchback, Henderson, Haygood)'67 Chess2002
17. One More Time (Willie Dixon)rec'68 previously unreleased
18. Golly Golly Gee (unknown)rec'67 previously unreleased
19. Tell Me The Truth (Johnnie Mae Dunson)'68 Chess2053
20. I'm In Love (Oh, Yes I Am) (Paul Gayten, Bobby Russell, Clarrence Henry)'69 Chess2063
Billy Stewartは、日本ではほとんど人気がない人だと思います。
日本では、ハイ・テナーの人って、人気が出にくいですね。
これがファルセットになると、また別の需要があるんでしょうが、バリトン系のディープ・ソウル・シンガーが強い日本では、なかなかに苦戦します。
そんななかで、私が好きなのは、クライド・マクファターです。
ハイ・テナー・シンガーの王道を行く人ですね。
その点、ビリー・スチュワートは、異端かも知れません。
歌い方にすごい特徴があって、ワン・アンド・オンリーの魅力を感じます。
それに、今回聴き返してみて思ったのですが、ハイ・テナーというほどは、常時高い声を出してませんね。
思いこみはこわいです。
さて、今回、初めて作者クレジットを意識して聴いたのですが、思いのほか自作がいいと思いました。
"Reap What You Sow"、"Sugar & Spice"、"Strange Feeling"、"I Do Love You"など、すべてが水準以上の出来だと思います。
なかでも、"Strange Feeling"が素晴らしいです。
出だしから、いきなりトップ・ギアで突っ走るような、手加減なしのすごさです。
声をあたかも楽器のように、縦横無尽に屈指しています。
いろんなポジションを瞬時に行き来するさまに、圧倒されます。
この世界は、ビリーにしか出させない独特のものだと思います。
この曲は、コンピにもよくチョイスされているんじゃないでしょうか。
ビリーの代表曲のひとつだと思います。
そして、スイートなスロー・バラードでは、"I Do Love You"がいいですね。
ここでは、かなり高い声を出しています。
いかにも、チカーノに好まれそうなサウンドだと思いました。
チカーノといえば、Sunny & Sunlinersとビリー・スチュワートの関係も、私の関心を高めてくれます。
サニー・オスナに影響を与えた黒人シンガーとしては、しばしばリトル・アンソニーの名前が出されますが、ビリー・スチュワートも忘れてはいけない一人だと思います。
サニー&サンライナーズは、"Sittin In The Park"と、"Cross My Heart"をカバーしていました。
このアルバムの収録曲は、60年代の録音がほとんどですが、1曲だけ56年リリースの曲があり、たいへん興味深いです。
なぜかといいますと、この曲のバックには、ボ・ディドリーと相棒のジェロームが参加しているのです。
もちろん、ボがギターを、ジェロームがマラカスを担当しています。
ここでのギターが、50sロカビリーか、サーフかという感じで、他の曲とまるで違う雰囲気を作っています。
ただ、ボ得意のジャングル・ビートも、トレモロ・リフも出てきません。
リバーブ(?)のかかったドラムスをバックに、ギターが飛びまくって単弦弾きをしまくっています。
クレジットを見なければ、ボだとは気付かないです。
この曲のギターが、ボだと思って聴くと、次の"Fat Boy"も、ボが参加しているのではないかと想像してしまいます。
この曲の伴奏者はUnkwonとなっていますが、同じようなギターが聴けます。
"Fat Boy"での、ビリーの共作者Ellas McDanielが、ボ・ディドリーの本名であるのは、よく知られているところです。
ただ、ボとビリーの相性はどうでしょうか。
まあ、他の曲が良すぎると言っておきましょう。
他にも、作者クレジットで気になる曲がいくつかあります。
Love Meは、シュガー・パイ・デサントの名前があり、驚きます。
これは、ビリーのスタイルに合わせたような曲で、彼の魅力を引き出していると感じました。
そして、ウイリー・ディクスンが書いた"One More Time"は、未発表曲だったようですが、ビリーの通常のスタイルとは違うタイプの曲です。
しかし、このリズム&ブルース臭は、別の魅力を見せてくれていてよいです。
このタイプがもっとあるなら聴いてみたいです。
ポール・ゲイトン、クラレンス・ヘンリー作の曲があるのも興味深いですね。
I'm In Love (Oh, Yes I Am) という曲です。
これがなんとも、王道のスイート・ソウル・バラードに仕上がっていて、ニューオリンズのセカンド・ラインとかを想像して身構えていると、肩すかしをくらわされます。
曲としては満足です。
しかし、ニューオリンズR&Bスタイルのビリーも聴きたかったなと思います。
最後に、"Summertime"にも触れておきたいと思います。
この大スタンダードを、ビリーは唯我独尊の世界で調理しています。
バックのオケが大仰な気もしますが、この世界は誰も真似できないと思いますので、やはり「有り」です。
さまざまな魅力を見せてくれる、美味しい1枚です。
この時代が最盛期なのでしょうが、たとえ習作時代であったとしても、私は50年代の録音がもっと聴いてみたいなと、密かに考えています。
関連記事はこちら
ウエストサイド・ソウル
また、私は段どりが悪い人間です。
かつて、そのことを指摘されたとき、あまりにも痛いところをつかれたため、相手が先輩だったにもかかわらず、「二度手間が好きなんです。」と逆切れしたことがありました。
そんな私が、人生何度目かの「整理をする」という決意をしました。
昨年の7月のことです。
いつものよくある決意でしたが、ひとつだけ初めてのことを行いました。
それが、このブログを始めるということだったのです。
One More Time
Billy Stewart
Billy Stewart
1. Billy's Blues, Part Two (Billy Stewart, Williams)'56 Chess1625
2. Fat Boy (Billy Stewart, Ellas McDaniel)'62 Chess1820
3. Reap What You Sow (Billy Stewart)'62 Chess1820
4. Sugar & Spice (Billy Stewart)'62 Chess1868
5. Strange Feeling (Billy Stewart)'63 Chess1868
6. Count Me Out (F.McKinly, C.Smith)'63 Chess1888
7. I Do Love You (Billy Stewart)'64 Chess1922
8. Keep Lovin' (Smith, Davis, Miner)'64 Chess1922
9. Sitting In The Park (Billy Stewart) '64 Chess LP1496
10. Love Me (Shena De Mell, Suger Pie DeSanto)'66 Chess1960
11. Summertime (George Gershwin, Dubose Heyward)'65 Chess LP1499
12. How Nice It Is (Billy Stewart)'65 Chess1941
13. Because I Love You (Miner, Smith, Davis)'65 Chess1948
14. Every Day I Have The Blues (Peter Chatman)'66 Chess LP1513
15. Secret Love (Sammy Fain, Paul F.Webster)'66 Chess1978
16. Cross My Heart (Pinchback, Henderson, Haygood)'67 Chess2002
17. One More Time (Willie Dixon)rec'68 previously unreleased
18. Golly Golly Gee (unknown)rec'67 previously unreleased
19. Tell Me The Truth (Johnnie Mae Dunson)'68 Chess2053
20. I'm In Love (Oh, Yes I Am) (Paul Gayten, Bobby Russell, Clarrence Henry)'69 Chess2063
Billy Stewartは、日本ではほとんど人気がない人だと思います。
日本では、ハイ・テナーの人って、人気が出にくいですね。
これがファルセットになると、また別の需要があるんでしょうが、バリトン系のディープ・ソウル・シンガーが強い日本では、なかなかに苦戦します。
そんななかで、私が好きなのは、クライド・マクファターです。
ハイ・テナー・シンガーの王道を行く人ですね。
その点、ビリー・スチュワートは、異端かも知れません。
歌い方にすごい特徴があって、ワン・アンド・オンリーの魅力を感じます。
それに、今回聴き返してみて思ったのですが、ハイ・テナーというほどは、常時高い声を出してませんね。
思いこみはこわいです。
さて、今回、初めて作者クレジットを意識して聴いたのですが、思いのほか自作がいいと思いました。
"Reap What You Sow"、"Sugar & Spice"、"Strange Feeling"、"I Do Love You"など、すべてが水準以上の出来だと思います。
なかでも、"Strange Feeling"が素晴らしいです。
出だしから、いきなりトップ・ギアで突っ走るような、手加減なしのすごさです。
声をあたかも楽器のように、縦横無尽に屈指しています。
いろんなポジションを瞬時に行き来するさまに、圧倒されます。
この世界は、ビリーにしか出させない独特のものだと思います。
この曲は、コンピにもよくチョイスされているんじゃないでしょうか。
ビリーの代表曲のひとつだと思います。
そして、スイートなスロー・バラードでは、"I Do Love You"がいいですね。
ここでは、かなり高い声を出しています。
いかにも、チカーノに好まれそうなサウンドだと思いました。
チカーノといえば、Sunny & Sunlinersとビリー・スチュワートの関係も、私の関心を高めてくれます。
サニー・オスナに影響を与えた黒人シンガーとしては、しばしばリトル・アンソニーの名前が出されますが、ビリー・スチュワートも忘れてはいけない一人だと思います。
サニー&サンライナーズは、"Sittin In The Park"と、"Cross My Heart"をカバーしていました。
このアルバムの収録曲は、60年代の録音がほとんどですが、1曲だけ56年リリースの曲があり、たいへん興味深いです。
なぜかといいますと、この曲のバックには、ボ・ディドリーと相棒のジェロームが参加しているのです。
もちろん、ボがギターを、ジェロームがマラカスを担当しています。
ここでのギターが、50sロカビリーか、サーフかという感じで、他の曲とまるで違う雰囲気を作っています。
ただ、ボ得意のジャングル・ビートも、トレモロ・リフも出てきません。
リバーブ(?)のかかったドラムスをバックに、ギターが飛びまくって単弦弾きをしまくっています。
クレジットを見なければ、ボだとは気付かないです。
この曲のギターが、ボだと思って聴くと、次の"Fat Boy"も、ボが参加しているのではないかと想像してしまいます。
この曲の伴奏者はUnkwonとなっていますが、同じようなギターが聴けます。
"Fat Boy"での、ビリーの共作者Ellas McDanielが、ボ・ディドリーの本名であるのは、よく知られているところです。
ただ、ボとビリーの相性はどうでしょうか。
まあ、他の曲が良すぎると言っておきましょう。
他にも、作者クレジットで気になる曲がいくつかあります。
Love Meは、シュガー・パイ・デサントの名前があり、驚きます。
これは、ビリーのスタイルに合わせたような曲で、彼の魅力を引き出していると感じました。
そして、ウイリー・ディクスンが書いた"One More Time"は、未発表曲だったようですが、ビリーの通常のスタイルとは違うタイプの曲です。
しかし、このリズム&ブルース臭は、別の魅力を見せてくれていてよいです。
このタイプがもっとあるなら聴いてみたいです。
ポール・ゲイトン、クラレンス・ヘンリー作の曲があるのも興味深いですね。
I'm In Love (Oh, Yes I Am) という曲です。
これがなんとも、王道のスイート・ソウル・バラードに仕上がっていて、ニューオリンズのセカンド・ラインとかを想像して身構えていると、肩すかしをくらわされます。
曲としては満足です。
しかし、ニューオリンズR&Bスタイルのビリーも聴きたかったなと思います。
最後に、"Summertime"にも触れておきたいと思います。
この大スタンダードを、ビリーは唯我独尊の世界で調理しています。
バックのオケが大仰な気もしますが、この世界は誰も真似できないと思いますので、やはり「有り」です。
さまざまな魅力を見せてくれる、美味しい1枚です。
この時代が最盛期なのでしょうが、たとえ習作時代であったとしても、私は50年代の録音がもっと聴いてみたいなと、密かに考えています。
Strange Feelngです。
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