2011年03月25日
きみたちはひとりじゃない
Roy Hamiltonをじっくり聴いてみました。
これは、英Jasmineから10年にリリースされた編集盤で、2枚組の50年代シングル・コレクションです。
これを聴いて、私は自分の思いこみの誤りに気が付きました。
私は、ロイ・ハミルトンという人は、もっと退屈な歌手だと思っていたのです。
しかし、実際に聴いた彼は、私の予想とは違い、思ったより良い歌手だったのでした。
Disc: 1
1. You'll Never Walk Alone (Rodgers, Hammerstein) R&B#1
2. I'm Gonna Sit Right Down And Cry (Biggs, Thomas)
3. If I Loved You (Rodgers, Hammerstein) R&B#4
4. So Let There Be Love (Cook)
5. Ebb Tide (Maxwell, Sigman) R&B#5
6. Beware (Twomey, Wise, Weisman)
7. Hurt (Jacobs) R&B#8
8. Star Of Love (Hinkson, Hamilton)
9. I Believe (Graham, Stillman, Drake)
10. If You Are But A Dream (Fulton, Jaffe, Bonx)
11. Unchained Melody (North, Zaret) R&B#1, Pop#9
12. From Here To Eternity (Wells, Karger)
13. Forgive This Fool (Cook) R&B#10, Pop#30
14. You Wanted To Change Me (Freed, Moore)
15. A Little Voice (Hamilton)
16. All This Is Mine (Richards, Reid)
17. Without A Song (Youmans, Eliscu, Rose) Pop#77
18. Cuban Love Song (Fields, McHugh, Stothart)
19. Everybodys Got A Home (Rodgers, Hammerstein) Pop#42
20. Take Me With You (David, Carr)
21. There Goes My Heart (Davis, Silver)
22. Walk Along With Kings (Merrill)
23. Somebody Somewhere (Loesser)
24. Since I Fell For You (Johnson)
25. I Took My Grief To Him (Horton, Laverne, Cook)
26. Chained (Hamilton)
Disc: 2
1. A Simple Prayer (Kohen)
2. A Mothers Love (Owens)
3. My Faith My Hope My Love (Burford, Ronald)
4. So Long (Morgan, Harris, Melsher) R&B#14
5. The Aisle (Dawn Smith, Weiner)
6. That Old Feeling (Fain, Brown)
7. (All Of A Sudden) My Heart Sings (Rome, Herpin)
8. I'm Gonna Lock You In My Heart (Thomas)
9. The Right To Love (Raleigh, Wolf)
10. Don't Let Go (Stone) R&B#2, Pop#13
11. Crazy Feelin (Sharp, Teifer)
12. In A Dream (Otis, Benton, Colacral)
13. Lips (Leiber, Staller)
14. Jungle Fever (Cook)
15. Wait For Me (Stone)
16. Everything (Benton, Otis)
17. Pledging My Love (Robey, Washington) Pop#45
18. My One And Only Love (Mellin, Wood)
19. It's Never Too Late (Cook)
20. Somewhere Along The Way (Gallop, Adams)
21. I Need Your Lovin (Cook) R&B#14, Pop#62
22. Blue Prelude (Bishop, Jenkins)
23. Time Marches On (Sedaka) Pop#84
24. Take It Easy Joe (Cook)
25. A Great Romance (Dixon, Dean, Schowalter)
26. I'm On My Way Back Home (Singleton, Bell, Watkins)
黒人シンガーではありますが、あくの強さがないです。
むしろ、その音楽は白っぽいとさえいえるかも知れません。
しかし私は、思いのほか気に入りました。
そして、そのロイのサウンドを聴きながら、ある考えが頭をよぎっていたのです。
ロイのパフォーマンスのいくつかは、仮に白人シンガーによるものだとすれば、充分以上に黒っぽいと言われたに違いないと…。
ライナーによれば、彼は若かりし日、ジョージアの教会のクワイアで歌っていたとのことです。
白人向けのスムースな歌声を聴かせているイメージが強いロイですが、この人もルーツは教会にあったのでした。
さて、2枚組のうち、ディスク1は主として50年代前半、ディスク2は後半の録音を収録しています。
ロイの代表曲の大半はディスク1に収められていますが、この50年代前半の時期は、ロイが(あるいはプロデューサーが)ナット・コールあたりを意識していた時期だと思われます。
代表曲、You'll Never Walk Aloneは、54年のNo,1リズム・アンド・ブルース・ヒットです。
この曲は、多分カバーが多数あると思いますが、60sビート・ファンとしては、ジェリー&ペイスメイカーズ盤ですね。
まあ、当時はそれほど好きではなかったですが…。
そして、ヒットこそしていませんが、I'm Gonna Sit Right Down And Cryがいいです。
この曲は、エルヴィス盤の印象が強く、大好きな曲です。
ビートルズには、BBC録音がありました。
ロイのバージョンはおとなしめですが、曲そのものが良く聴き惚れずにはいられません。
その他、Ebb TideやUnchained Melodyといった有名なヒットもありますが、私にはそれほど迫ってきません。
それよりも、ディスク2の方が、私には好感度が高い曲が多いです。
50年代後半になると、教会への回帰といいますか、あるいはアーリー・ソウル時代到来ということでしょうか、私好みのパフォーマンスが増えているように思います。
こちらは、曲によっては、チャーリー・リッチや、60年代後半の原点回帰時代のエルヴィスあたりを思わせる、ソウルフルな咽喉を聴かせています。
私の思うところ、エルヴィスのアップのパフォーマンスに大きな影響を与えたのが、ジャッキー・ウイルソンだとすれば、スローのそれはロイ・ハミルトンかも知れない、そう私は思うようになりました。
この二人に共通するのは、時にセミ・オペラチックになる歌い方でしょうか。
後期のエルヴィスのバラードを好まない方もいるでしょうが、いまいちど聴き返してみましょう。
ディスク2では、ステレオ録音の最初のR&Bヒットといわれている(らしい)、58年のDon't Let Goが最高にいかしています。
この曲は、ジェシー・ストーン(チャールズ・カルホーン他別名多数)が書いた曲で、私は長い間、てっきり白人ライターの手によるヒルビリー・ブギだと思っていました。
私には、アスリープ・アット・ザ・ホイール盤や、ビル・カーチェン盤の印象が強い名曲です。
これは何度聴いても良いですね。
声の出し方など、エルヴィスが憧れたのも分かる気がします。
オーギー・マイヤースもソロ・アルバムでやっていました。
アップでは、I'm Gonna Lock You In My Heartも調子のいい曲で、私などは、ボブ・ウィルズあたりにウエスタン・スイング・スタイルでやってほしかった曲です。
また、もうひとつのスートン作品、Wait For Meでは、いかしたゴスペル調コーラスとロカビリー風のギターがミックスされた、これも再評価したい佳曲です。
ある意味、ロイは、カントリー・ソウルの隠れた(?)パイオニアかも、などと思ったりもします。
そういった認識のもと聴き返すと、スローの曲がソウルフルに聴こえてくるから不思議です。
この時期の録音は、こ綺麗なストリングスや、お上品なコーラスなどが若干気にかかるとはいえ、ロイのボーカルからは色気が感じられます。
ジョニー・エイスのPredging My Loveは、誰がやっても名曲ですが、間奏でロイのジェントルなモノローグが入り、アダルトな雰囲気で迫ります。
50年代最後のヒット曲、I Need Your Lovinでは、野卑にやろうとしても上品さが隠しきれないといったきらいもありますが、ボップな魅力が出たパフォーマンスだと思います。
ポップな魅力といえば、A Great Romanceも好きな曲です。
そして、ラストのスロー、I'm On My Way Back Homeは、ソロモン・バークの初期のカントリー・カバー曲と共通するアーリー・ソウルの魅力を感じます。
ロイは40歳で早世した人で、60年代が晩年ということになりますが、私はぜひ聴いてみたいと思うようになりました。
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オーギーに首ったけ
これは、英Jasmineから10年にリリースされた編集盤で、2枚組の50年代シングル・コレクションです。
これを聴いて、私は自分の思いこみの誤りに気が付きました。
私は、ロイ・ハミルトンという人は、もっと退屈な歌手だと思っていたのです。
しかし、実際に聴いた彼は、私の予想とは違い、思ったより良い歌手だったのでした。
The Difinitive '50s Singles Collection
Roy Hamilton
Roy Hamilton
Disc: 1
1. You'll Never Walk Alone (Rodgers, Hammerstein) R&B#1
2. I'm Gonna Sit Right Down And Cry (Biggs, Thomas)
3. If I Loved You (Rodgers, Hammerstein) R&B#4
4. So Let There Be Love (Cook)
5. Ebb Tide (Maxwell, Sigman) R&B#5
6. Beware (Twomey, Wise, Weisman)
7. Hurt (Jacobs) R&B#8
8. Star Of Love (Hinkson, Hamilton)
9. I Believe (Graham, Stillman, Drake)
10. If You Are But A Dream (Fulton, Jaffe, Bonx)
11. Unchained Melody (North, Zaret) R&B#1, Pop#9
12. From Here To Eternity (Wells, Karger)
13. Forgive This Fool (Cook) R&B#10, Pop#30
14. You Wanted To Change Me (Freed, Moore)
15. A Little Voice (Hamilton)
16. All This Is Mine (Richards, Reid)
17. Without A Song (Youmans, Eliscu, Rose) Pop#77
18. Cuban Love Song (Fields, McHugh, Stothart)
19. Everybodys Got A Home (Rodgers, Hammerstein) Pop#42
20. Take Me With You (David, Carr)
21. There Goes My Heart (Davis, Silver)
22. Walk Along With Kings (Merrill)
23. Somebody Somewhere (Loesser)
24. Since I Fell For You (Johnson)
25. I Took My Grief To Him (Horton, Laverne, Cook)
26. Chained (Hamilton)
Disc: 2
1. A Simple Prayer (Kohen)
2. A Mothers Love (Owens)
3. My Faith My Hope My Love (Burford, Ronald)
4. So Long (Morgan, Harris, Melsher) R&B#14
5. The Aisle (Dawn Smith, Weiner)
6. That Old Feeling (Fain, Brown)
7. (All Of A Sudden) My Heart Sings (Rome, Herpin)
8. I'm Gonna Lock You In My Heart (Thomas)
9. The Right To Love (Raleigh, Wolf)
10. Don't Let Go (Stone) R&B#2, Pop#13
11. Crazy Feelin (Sharp, Teifer)
12. In A Dream (Otis, Benton, Colacral)
13. Lips (Leiber, Staller)
14. Jungle Fever (Cook)
15. Wait For Me (Stone)
16. Everything (Benton, Otis)
17. Pledging My Love (Robey, Washington) Pop#45
18. My One And Only Love (Mellin, Wood)
19. It's Never Too Late (Cook)
20. Somewhere Along The Way (Gallop, Adams)
21. I Need Your Lovin (Cook) R&B#14, Pop#62
22. Blue Prelude (Bishop, Jenkins)
23. Time Marches On (Sedaka) Pop#84
24. Take It Easy Joe (Cook)
25. A Great Romance (Dixon, Dean, Schowalter)
26. I'm On My Way Back Home (Singleton, Bell, Watkins)
黒人シンガーではありますが、あくの強さがないです。
むしろ、その音楽は白っぽいとさえいえるかも知れません。
しかし私は、思いのほか気に入りました。
そして、そのロイのサウンドを聴きながら、ある考えが頭をよぎっていたのです。
ロイのパフォーマンスのいくつかは、仮に白人シンガーによるものだとすれば、充分以上に黒っぽいと言われたに違いないと…。
ライナーによれば、彼は若かりし日、ジョージアの教会のクワイアで歌っていたとのことです。
白人向けのスムースな歌声を聴かせているイメージが強いロイですが、この人もルーツは教会にあったのでした。
さて、2枚組のうち、ディスク1は主として50年代前半、ディスク2は後半の録音を収録しています。
ロイの代表曲の大半はディスク1に収められていますが、この50年代前半の時期は、ロイが(あるいはプロデューサーが)ナット・コールあたりを意識していた時期だと思われます。
代表曲、You'll Never Walk Aloneは、54年のNo,1リズム・アンド・ブルース・ヒットです。
この曲は、多分カバーが多数あると思いますが、60sビート・ファンとしては、ジェリー&ペイスメイカーズ盤ですね。
まあ、当時はそれほど好きではなかったですが…。
そして、ヒットこそしていませんが、I'm Gonna Sit Right Down And Cryがいいです。
この曲は、エルヴィス盤の印象が強く、大好きな曲です。
ビートルズには、BBC録音がありました。
ロイのバージョンはおとなしめですが、曲そのものが良く聴き惚れずにはいられません。
その他、Ebb TideやUnchained Melodyといった有名なヒットもありますが、私にはそれほど迫ってきません。
それよりも、ディスク2の方が、私には好感度が高い曲が多いです。
50年代後半になると、教会への回帰といいますか、あるいはアーリー・ソウル時代到来ということでしょうか、私好みのパフォーマンスが増えているように思います。
こちらは、曲によっては、チャーリー・リッチや、60年代後半の原点回帰時代のエルヴィスあたりを思わせる、ソウルフルな咽喉を聴かせています。
私の思うところ、エルヴィスのアップのパフォーマンスに大きな影響を与えたのが、ジャッキー・ウイルソンだとすれば、スローのそれはロイ・ハミルトンかも知れない、そう私は思うようになりました。
この二人に共通するのは、時にセミ・オペラチックになる歌い方でしょうか。
後期のエルヴィスのバラードを好まない方もいるでしょうが、いまいちど聴き返してみましょう。
ディスク2では、ステレオ録音の最初のR&Bヒットといわれている(らしい)、58年のDon't Let Goが最高にいかしています。
この曲は、ジェシー・ストーン(チャールズ・カルホーン他別名多数)が書いた曲で、私は長い間、てっきり白人ライターの手によるヒルビリー・ブギだと思っていました。
私には、アスリープ・アット・ザ・ホイール盤や、ビル・カーチェン盤の印象が強い名曲です。
これは何度聴いても良いですね。
声の出し方など、エルヴィスが憧れたのも分かる気がします。
オーギー・マイヤースもソロ・アルバムでやっていました。
アップでは、I'm Gonna Lock You In My Heartも調子のいい曲で、私などは、ボブ・ウィルズあたりにウエスタン・スイング・スタイルでやってほしかった曲です。
また、もうひとつのスートン作品、Wait For Meでは、いかしたゴスペル調コーラスとロカビリー風のギターがミックスされた、これも再評価したい佳曲です。
ある意味、ロイは、カントリー・ソウルの隠れた(?)パイオニアかも、などと思ったりもします。
そういった認識のもと聴き返すと、スローの曲がソウルフルに聴こえてくるから不思議です。
この時期の録音は、こ綺麗なストリングスや、お上品なコーラスなどが若干気にかかるとはいえ、ロイのボーカルからは色気が感じられます。
ジョニー・エイスのPredging My Loveは、誰がやっても名曲ですが、間奏でロイのジェントルなモノローグが入り、アダルトな雰囲気で迫ります。
50年代最後のヒット曲、I Need Your Lovinでは、野卑にやろうとしても上品さが隠しきれないといったきらいもありますが、ボップな魅力が出たパフォーマンスだと思います。
ポップな魅力といえば、A Great Romanceも好きな曲です。
そして、ラストのスロー、I'm On My Way Back Homeは、ソロモン・バークの初期のカントリー・カバー曲と共通するアーリー・ソウルの魅力を感じます。
ロイは40歳で早世した人で、60年代が晩年ということになりますが、私はぜひ聴いてみたいと思うようになりました。
Don't Let Goです。
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