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昔は「Trados さん、頑張って!」とお祈りしながら訳文生成していませんでしたか? 今も、たまにそんな気分になるときがあります。Trados って本当にわからないことばかりです。特に、日本語の情報は少ないですよね。いくら翻訳者とはいえ、日本語の情報が欲しいのです。Trados ユーザーの方々といろいろ情報交換できたらと思っています。




2023年09月13日

【解決!】テンキーから数字の入力ができない

前回の記事で挙げていた問題が 1 つ解決しました。それも、最大の問題としていた「テンキーから数字の入力ができない」問題です。いやぁ、ブログも書いてみるもんです。

原因はショートカット キーの競合でした。わかってしまえば、なんてことはないよくある問題です。Trados には字幕翻訳用に Studio Subtitling というプラグインがあります。これの映像を操作するショートカット キーが既定でテンキーに割り当てられていました。ショートカット キーは [ファイル] > [オプション] > [エディタ] > [ショートカット キー] で確認できます。


121_1.png


私がこのプラグインをインストールしたのは随分前だったので、すっかり存在を忘れていました。先日、久しぶり (たぶん、1 年ぶりくらい) にこのプラグインを使う案件があり、ショートカット キー何だったかなぁと思って見てみたら、上図の設定になっていたので「これか!!!」と一人で思わず叫んでしまいました。



このショートカット キーはそのまま使う


このショートカット キーの設定を変更すればテンキーからの入力はできるようになりますが、全部の設定を変えるのは少し面倒です。また、映像の再生を操作するものなので、キーを 2 つも 3 つも同時押しするより、1 つのキーで操作できる方が断然便利です。というわけで、Studio Subtitling を使うときは、テンキーからの入力はあきらめ、このショートカット キーをそのまま使うことにしました。



使わないときはプラグインを無効にする


で、ショートカット キーの設定を残したまま競合を回避するにはどうするかというと、プラグインを無効にします。メニューの [アドイン] > [プラグイン] から、プラグインは個別に有効/無効を切り替えられます (切り替えには Trados の再起動が必要です)。


121_2.png


Studio Subtitling を無効にすればショートカット キーの設定も無効になるので、競合もなくなり、正常にテンキーから数字を入力できるようになります。有効/無効の切り替えは少し手間ですが、ショートカット キーを設定し直すよりは少ない手間で済みます。まあ、Studio Subtitling を有効にするとまた競合が発生しますが、これは仕方ないのであきらめます。



日本語入力のときのショートカット キー


今回の字幕案件は英日翻訳だったので、IME で日本語入力をオンにしている時間が長くなりました。実は、日本語入力をオンにしている場合、この Studio Subtitling のショートカット キーは機能しません。キーをタイプしても確定前の状態だとショートカット キーとして認識されないようです。

ちなみに、この日本語入力がオンのときにショートカット キーが効かない現象は Studio Subtitling に限ったものではなく、他のプラグインでも (あるいは Trados 以外のアプリケーションでも) 発生することがあります。おそらく、プラグインの開発時に IME のことなどあまり考えられていないのではないかと思います。英訳の場合は英語を入力するのであまり問題になりませんが、和訳の場合は困ることが結構あります。

ただ、テンキーに限っては、解決策があります。私は ATOK を使っているので ATOK での方法になりますが、以下のような設定があります。


121_3.png


[確定文字で入力する] チェックボックスをオンにしておくと、日本語入力がオンになっている状態でもテンキーからの入力は確定した状態で入力され、ショートカット キーとして認識されます。


今回は以上です。私がショートカット キーの競合になかなか気付けなかったのは、Trados の使用頻度が全体的に落ちてきていることも原因かもしれません。あまり使わないので原因に考えが及ばないし、問題があってもとりあえず放っておくことになりがちです。いやいや、それでも今のところ Trados 以上に便利なツールはないと思っているので、Trados さん、なんとか頑張ってください。




  



2023年08月28日

私が遭遇している問題いろいろ

このブログの記事を書くときは、何か少しでも役立つ情報を含めたいと考え、バグや不具合を取り上げるときも、なるべく解決方法や回避手段を一緒に書くようにしてきました。ただ、すみません、このところ私用でいろいろありあまり時間が取れないので、今回は私が遭遇したことのある問題をとりあえず羅列してみたいと思います。

本来なら少し調査をしてから記事を書くところですが、今回はほとんど何も調べたりしていません。私の環境特有のものも含まれているかと思いますが、もし「同じような問題が発生する!」とか、「こうやったら直った!」などの情報がありましたら共有してもらえると嬉しいです。


ライセンスのアクティベーション画面で、ショートカット キーを使ってライセンス キーを貼り付けられない

ライセンス キーを貼り付けるときにキーボードの Ctrl+V は機能せず、貼り付けのアイコンをマウスでクリックする必要があります。マウス操作をしなければならないのは、私にとっては非常に面倒です。



スペル チェッカーに MS Word を選択できない

MS Word を選択するとエラーになるので、仕方なく既定の Hunspell を使っています。MS Word の方が精度が良さそうな気がするので MS Word に切り替えたいのですが、それができません。

Trados をいったん閉じて、Word も開いているファイルをすべて閉じて、その後で改めて Trados を起動すると、MS Word を選択できることが (たまに) あります。



変更履歴をオンにして作業しているときに、エディターがよく強制終了する

メッセージも何もなく画面が消えてしまうことがあります。特に、Shift+F3 で大文字小文字の変換をしたときに画面が消えることが多い気がします。ただ、Shift+F3 を押したときは裏に「分節を挿入できません」というメッセージが表示されていることがあります。



変更履歴をオンにして作業しているときに、文字列を選択してコメントを追加できない

分節全体に対するコメントは追加できますが、分節内の文字列に対してのコメントは追加できないことが多いです。



Quick Insert で、ショートカット キーが Ctrl+Shift+0 に割り当てられると機能しない

これは以前の記事「QuickInsert を設定するときに注意したいこと」でも紹介しました。もうかなり長期間この状態が続いている気がします。1 回登録して、Ctrl+Shift+0 が割り当てられたら、それはそのままにしてもう一度登録します。面倒です。



Word ファイルをプレビューした後、プレビューのファイルを閉じるときに「Normal.dot が 〜〜」というメッセージが表示されてウィンドウをすぐに閉じられない

これは Word のマクロを設定しているのが原因だと思います。自分で設定するマクロを Normal.dot 以外に登録すればいいのではないか、と思ってはいるのですが、今のところ放置しています。



Trados の画面を最大化しても、画面下部の文字数などの数字が完全に表示されない

Trados を起動した直後は画面右下の数字が半分くらいしか表示されません。いったん画面の大きさを手動で変えて、改めて最大化すると完全に表示されるようになります。



テンキーから数字の入力ができない

現在のところ、私にとって最大の問題はこれかもしれないです。Trados 上でテンキーからの入力ができない場合でも、他のアプリに画面を切り替えると正常に入力ができるので、NumLock とかの問題ではないと思うのですがよくわかりません。

ちなみに、数字が入力できないだけで、テンキーの Enter キーなどは機能します。これがまたやっかいで、数字を入力して Enter キーを押したつもりが、Enter キーだけが押された状態になります。



プロジェクトの設定画面で、画面の遷移がものすごく遅くなるときがある

どういうときに遅くなるのかなどはわからないのですが、とにかく、ものすごく遅くて待ちきれないときがあります。



ファイル リスト画面で、「ステータス情報」タブの数字を単語数と文字数で切り替えられない

日英翻訳の場合は基準が単語数ではなく文字数になるので、ステータスなども文字数で表示してほしいのですが、これを切り替えるドロップダウン リストが表示されません。いったん別のタブを表示してから戻ってくると、このドロップダウン リストが表示されます。



リアルタイム プレビューを使うと、Trados のエディター上のカーソルが消えてしまう

バージョン 2022 でプレビューは改善されているらしいのですが、本当でしょうか 。(私が試した限りは改善されていないようでした。)

カーソルが消えてしまった場合は、Ctrl+0 を押すとカーソルが訳文欄に復活します。復活はしますが、いちいち面倒くさくてやってられません。



プラグインの MSWord Grammer Checker が遅すぎて使えない

ある会社さんに MSWord Grammer Checker を使って検証を行うように指示されたのですが、検証にかかる時間がとても長くなります。大きなファイルになると、まあ、待っていられません。



プラグインの SDLXLIFF Compare を使うと、エディター画面に移っても、このプラグインの残像が表示される

SDLXLIFF Compare を使った後、エディター上にこのプラグインの操作画面が表示されてしまい、たまたまその部分をクリックしたりすると、そのクリックがプラグインに対して効いてしまいます。ただ、しばらくするとこの現象はなくなる気がします。



以上です。何か解決したり詳細がわかったりしたら、また改めて記事を書きたいと思います。こんなにいろいろあっても Trados を使い続けている状態はどうなんだろうと思わなくもないですが、たぶん、まだしばらくは使い続けてしまう気がします。




2023年07月03日

Xbench と TBX ファイル

Trados のメモリや用語ベースの検索機能はかなり貧弱なので、私は Xbench をよく使用しています。Xbench の使用方法については以前に記事を書いていますが、実は、そこで説明した方法ではうまく検索できない用語ベースがあることに今頃になって気付いたので、今回はその対処法などを紹介したいと思います。

前提事項として、私は Xbench の無料版 (バージョン 2.9) を使用しています。有料版だったら、もしかしたら今回の問題は起きないのかもしれないですが、どうでしょう。ちょっと自分では試せないので、何か情報がありましたらぜひご提供ください。

さて、Xbench でうまく検索できないのは、原語と訳語の組み合わせが 1 対 1 でない用語ベースです。このような用語ベース (.sdltb) を Glossary Converter を使って TBX ファイルに変換し、Xbench で検索を行うと、複数の訳語があっても 1 つの訳語しかヒットしてきません。

たとえば、用語ベースで、以下のように interlock に対して「インターロック」と「安全装置」という 2 つの単語が登録されていたとします。


118_1.png


これを単純に TBX ファイルに変換して Xbench に取り込むと、「安全装置」しかヒットしてきません。


118_2.png


ただし、この場合でも TBX ファイルには「インターロック」と「安全装置」の両方が正常に記述されています。つまり、Xbench の検索機能が 1 つしか見つけられないということのようです。

で、どうしたものかと考えた末、今回は、TBX ファイルではなく、タブ区切りファイルを使うことにしました。手順はこんな感じです。

 1. Glossary Converter を使って用語ベースを Excel ファイルに変換する
 2. Excel でデータを編集し、タブ区切り形式で保存する

では、手順を順番に説明していきましょう。



1. Glossary Converter を使って用語ベースを Excel ファイルに変換する


Glossary Converter での変換方法については、以前の記事「【前編】Xbench を便利に使う」と「【後編】マイクロソフトの用語集を使いたい」も参考にしてください。

まず、[setting] > [General] で 「Excel 2007 Workbook」を選択します。これで、用語ベース (.sdltb ファイル) が Excel ファイルに変換されるようになります。

さらに、[Spreadsheet] タブで [Synonyms in Excel Tables] を設定します。[Multi-line format (one row per synonym)] オプションを選択し、[Repeat source term] チェックボックスをオンにします。これで、複数の用語がある場合は複数の行が作成され、それぞれの行に原語が記述されるようになります。([Column/Language name] は空白のままでも大丈夫です。設定が必要な場合には、変換の実行時にプロンプトが表示されてきます。)


118_5.png


ここまで設定をしたら、Glossary Converter のアプリ上に対象の用語ベース ファイルをドラッグアンドドロップします。これで、元の用語ベースと同じフォルダーに Excel ファイルが作成されます。



2. Excel でデータを編集し、タブ区切り形式で保存する


作成された Excel ファイルを開いて、Xbench が検索できる形にデータを整えます。手の込んでいる用語ベースの場合は、たいてい、原語と訳語以外に参考情報のフィールドがいくつか設定されています。それらのフィールドは Excel ファイルの列として出力されますが、Xbench は常に A 列を原語、B 列を訳語として検索を行うので、Excel ファイル上でそのように列を並べ変える必要があります。不要な列は削除して構いませんが、参考情報も Xbench で表示したい場合は C 列以降にその情報を残しておきます。


118_7.png


列を整えたら [名前を付けて保存] をしますが、このときに [ファイルの種類] として「テキスト (タブ区切り) (*.txt)」を選択します。これで、Xbench に読み込めるタブ区切りファイルができあがります。

作成したタブ区切りファイル (.txt) を Xbench に「Tab-delimited Text File」として取り込むと、以下のように複数の用語がヒットしてきます。これで完成です。


118_3.png



今回は以上です。1 対 1 でない用語ベースの TBX ファイルをうまく検索できないことになぜ今まで気付かなかったのか、ちょっと恐ろしくなったので確認してみたところ、そんな形式の用語ベースは実はほとんどありませんでした。たいていの場合、Excel ファイルが基にあり、その時点で 1 対 1 になっているか、なっていない場合は Excel ファイル上で編集をして無理やり 1 対 1 にしていました。とはいえ、検索モレを防ぐため、TBX ファイルは 1 対 1 であることを確認してから Xbench に取り込む必要があります。