Trados で使われるユーザー名は、主に 2 つあります。
- 1. コメントや変更履歴に登録されるユーザー名
- 2. メモリに登録されるユーザー名
1. コメントや変更履歴に登録されるユーザー名
1 つ目は、コメントや変更履歴に登録されるユーザー名です。このユーザー名は自分では設定できず、Windows のユーザー名がそのまま使われてしまいます。私は、自宅の個人のパソコンで作業しているのですが、Windows のユーザーを作るときにあまり深く考えず変な名前を付けてしまい、かなり後悔しました。
レビューの仕事では、「変更履歴を残してください」と指示されることが多いですが、変更履歴にこのユーザー名が表示されてしまうのでとても困ります。
注記:どうしてもユーザー名を変えたい場合は、作業後に .sdlxliff ファイルをテキスト エディタで開いて一括置換します。これでコメントと変更履歴のユーザー名は変更できます。ただ、ファイルを壊さないように慎重に行いましょう! バックアップは必須です。また、置換後は必ず Trados で正常に開けることを確認します。
2. メモリに登録されるユーザー名
2 つ目は、訳文と一緒にメモリに登録されるユーザー名です。こちらは自分で変更することができます。
このユーザー名に注意が必要になるのは、サーバー TM を使うときです。サーバー TM には、訳文と一緒にこのユーザー名が登録されます。翻訳会社さんによっては、使用するユーザー名を指定してきます。あまり本名は使いたくないので、意味のない文字の羅列のような名前が私は好きです。
メモリに登録されるユーザー名は、2 か所から設定できます。
- @ Trados Studio のユーザー設定
- A プロジェクトの設定
この 2 つの設定は、どちらか一方を変えると、もう一方も変わります。なので、どちらかで 1 回変更するだけで大丈夫です。
方法 @ Trados Studio のユーザー設定から変更する
Step 1. [ファイル] -> [設定] -> [ユーザー] とクリックします。
以下のようにユーザーの一覧が表示されます。
Step 2. [編集] をクリックします。
以下の画面が表示されるので、一番下の [TM ユーザー ID] に、メモリに使用するユーザー名を入力します。
ここで [名前] フィールドを変更したら、メモリ以外に使われるユーザー名が変わるのでは!と期待しましたが、残念ながら変わりません。ここに何を設定しても、Windows のユーザー名が使用されます。
方法 A プロジェクトの設定から変更する
Step 1. [プロジェクトの設定] -> [言語ペア] -> [一括処理] -> [翻訳メモリの更新] とクリックします。
Step 2. [TM ユーザー ID] をクリックします。
以下の画面が表示されるので、一番下の [TM ユーザー ID] に、メモリに使用するユーザー名を入力します。
ここの [名前] フィールドは編集できません。しかも、Windows のユーザー名を変更した場合でも、変更前のユーザー名が表示されてきます。(なので、ぼやっとさせてもらいました。)
今回は、以上です。最近、たまたま 2 社からサーバー TM を使用する案件を引き受けました。注意しなければと思ってはいたのですが、ユーザー名を変更し忘れ、ちょっと焦りました。「プロジェクトの設定」から設定するのだから、ユーザー名もパッケージで設定されれば便利なのになぁと感じています。
すみません、少し補足というか、訂正を追記させてください。上記の記事では、TM ユーザー ID について、気を付けるのはサーバー TM を使うときだけ、というような書き方をしていますが、そうとは限りませんでした。ごめんなさい。
TM ユーザー ID は、メモリに登録されると同時に、sdlxliff ファイルにも記録されているのです。そうでした! そのことをすっかり失念しておりました。Trados のエディタで普通に sdlxliff ファイルを編集している限り、このユーザー ID は表示されてきません。しかし、sdlxliff ファイルをメモリにインポートすると、そのメモリ上でユーザー ID が表示されてしまうのです。
翻訳会社さんに sdlxliff ファイルを納品して、その後、翻訳会社さんがメモリを作っていたら、翻訳者が設定していたユーザー名がメモリに記録されてしまうことになります。こわいです。個人のユーザー名が保持されたままのメモリがソース クライアントやほかの翻訳者さんの手に渡る可能性を考えると、ちょっと嫌ですね〜。まあ、実際には、自分に提供されたメモリに知らない人の名前が表示されていても、それほど気にはならないですが。
このあたりのことも含め、sdlxliff ファイルに記録されるユーザー名については改めて記事を書きたいと思っていますので、詳細はもう少しお待ちくださいませ。 Tweet