2018年05月08日
Trados の設定を変えるには − [ファイル] と [プロジェクトの設定]
Trados Studio になって「プロジェクト」という概念が導入されたとき、いろいろ設定が増え、私はかなり混乱した覚えがあります。
Trados の設定は大きく 2 か所に分かれます。
簡単に言うと、[ファイル] は全プロジェクトに共通する Trados 全体の設定、[プロジェクトの設定] は、その名前のとおり、プロジェクトごとの設定です。パッケージを受け取って作業する個人翻訳者の場合、何か設定を変えたいと思ったら、まず [プロジェクトの設定] を探す、そこに希望の項目がなければ [ファイル] の設定を探す、という感じになると思います。
1 つ目の [ファイル] の設定は、メニュー バーの [ファイル] をクリックして設定します。[ファイル] をクリックすると以下のような画面が表示されます。[ファイル] から表示されるこの設定画面を Office では Backstage ビューと呼びますが (この呼び名、あまり浸透してないですけど)、ここでは Trados 環境全体の設定を行います。どのプロジェクトにも共通のエディタの動作設定や、プロジェクトを新規作成するときのデフォルト設定、と考えておけばよいかと思います。
2 つ目の [プロジェクトの設定] は、いずれかのプロジェクトを選択してから、リボン上の [プロジェクトの設定] をクリックします。
この設定は、選択したプロジェクトのみに適用され、[ファイル] からの設定を上書きします。既に作成されている特定のプロジェクトの設定を変更するときは、[ファイル] ではなく、こちらの [プロジェクトの設定] を使用します。
[ファイル] の設定から [オプション] を選択すると、下の図の左側のようなメニューが表示されます。右側は、[プロジェクトの設定] からのメニューです。
ご覧のとおり、この 2 つはとてもよく似ており、重複している設定がいくつかあります。重複しているのは、「ファイルの種類」、「埋め込みコンテンツ プロセッサ」、「検証」、「言語ペア」です。この中で、パッケージを受け取って作業する個人翻訳者が気を付ける設定は「検証」と「言語ペア」の 2 つくらいだと思いますが、これらの設定を変えたいときは、[ファイル] ではなく、必ず [プロジェクトの設定] を使用します。
たとえば、パッケージを開いた後で、検証やメモリの設定を変えたいと思ったら、[プロジェクトの設定] を使用します。パッケージを開いた後に [ファイル] から設定を変えても、その変更はプロジェクトには適用されません。[ファイル] は、あくまで、プロジェクトを新規作成するときに使用されるデフォルト設定と考えてください。自分でプロジェクトを作成しない限り、[ファイル] の設定は意味がありません。
さて、重複していない設定ももちろんあります。上の図のとおり、[ファイル > オプション] の方がメニューが多く、エディタの動作、AutoSuggest、ショートカット キーなどは [ファイル > オプション] からしか設定できません。
これらの設定は、すべてのプロジェクトに共通して使用されます。言い換えると、エディタの動作や AutoSuggest の設定はプロジェクトごとには変えられない、ということになります。AutoSuggest は、プロジェクトごと変えられた方が便利な気もするのですが、そのようなことはできません。
ユーザー名に関する記事でも取り上げましたが、メモリに登録されるユーザー名は要注意です。これは、[ファイル] と [プロジェクトの設定] の両方から設定できますが、[プロジェクトの設定] の方が優先ということはありません。どちらか一方で設定を変えると、もう一方の設定も自動的に変わります。
この設定に注意が必要になるのは、プロジェクトごとに異なるサーバー TM に接続する場合です。サーバー TM 自体の設定は [プロジェクトの設定] からプロジェクトごとに行うことができますが、メモリに登録されるユーザー名はプロジェクトごとに設定しておくことができません。その都度、手動で変える必要があります。
パッケージを受け取って作業していると、ときどき「ファイルが追加になったので追加のパッケージを送ります」と言われ、作業の途中で追加のパッケージを開かなくてはならないことがあります。パッケージに含まれているプロジェクトの名前が同じ場合、パッケージを開くと同名の既存プロジェクトを上書きしようとします。このとき、バイリンガル ファイルについては「上書きしますか」というような確認メッセージがありますが、メモリ、用語集、各種設定は問答無用で上書きされます。
つまり、[プロジェクトの設定] からせっかく自分の好みに合わせて設定を変えていても、追加のパッケージを開くと、自分の設定はすべて上書きされてしまいます。検証の設定をエクスポートする、メモリをどこかに退避するなど、ある程度の対策はできますが、どうしても上書きされてしまうものもあります。もっとも、翻訳会社さんは使って欲しいメモリや設定をパッケージに含めてきているので、一応それには従う必要があり、「上書きする」という仕様は当然と言えなくもありません。仕方ないので、追加のパッケージを開いたら、必要に応じて、もう一度設定し直します。
なお、追加のパッケージを開いても [ファイル] からの設定には影響がありません。エディタの動作や AutoSuggest の設定は、パッケージによって上書きされる心配は無用です。
今回は、以上です。いろいろなところに、いろいろな設定があって、私はかなり混乱しましたが、まず [プロジェクトの設定]、その後で [ファイル] という順番で見ていけばいいかと思います。
Trados の設定は大きく 2 か所に分かれます。
- メニュー バーの [ファイル]
- 各プロジェクトの [プロジェクトの設定]
簡単に言うと、[ファイル] は全プロジェクトに共通する Trados 全体の設定、[プロジェクトの設定] は、その名前のとおり、プロジェクトごとの設定です。パッケージを受け取って作業する個人翻訳者の場合、何か設定を変えたいと思ったら、まず [プロジェクトの設定] を探す、そこに希望の項目がなければ [ファイル] の設定を探す、という感じになると思います。
1 つ目の [ファイル] の設定は、メニュー バーの [ファイル] をクリックして設定します。[ファイル] をクリックすると以下のような画面が表示されます。[ファイル] から表示されるこの設定画面を Office では Backstage ビューと呼びますが (この呼び名、あまり浸透してないですけど)、ここでは Trados 環境全体の設定を行います。どのプロジェクトにも共通のエディタの動作設定や、プロジェクトを新規作成するときのデフォルト設定、と考えておけばよいかと思います。
2 つ目の [プロジェクトの設定] は、いずれかのプロジェクトを選択してから、リボン上の [プロジェクトの設定] をクリックします。
この設定は、選択したプロジェクトのみに適用され、[ファイル] からの設定を上書きします。既に作成されている特定のプロジェクトの設定を変更するときは、[ファイル] ではなく、こちらの [プロジェクトの設定] を使用します。
重複する設定は [プロジェクトの設定] から
[ファイル] の設定から [オプション] を選択すると、下の図の左側のようなメニューが表示されます。右側は、[プロジェクトの設定] からのメニューです。
ご覧のとおり、この 2 つはとてもよく似ており、重複している設定がいくつかあります。重複しているのは、「ファイルの種類」、「埋め込みコンテンツ プロセッサ」、「検証」、「言語ペア」です。この中で、パッケージを受け取って作業する個人翻訳者が気を付ける設定は「検証」と「言語ペア」の 2 つくらいだと思いますが、これらの設定を変えたいときは、[ファイル] ではなく、必ず [プロジェクトの設定] を使用します。
たとえば、パッケージを開いた後で、検証やメモリの設定を変えたいと思ったら、[プロジェクトの設定] を使用します。パッケージを開いた後に [ファイル] から設定を変えても、その変更はプロジェクトには適用されません。[ファイル] は、あくまで、プロジェクトを新規作成するときに使用されるデフォルト設定と考えてください。自分でプロジェクトを作成しない限り、[ファイル] の設定は意味がありません。
重複しない設定は [ファイル] から
さて、重複していない設定ももちろんあります。上の図のとおり、[ファイル > オプション] の方がメニューが多く、エディタの動作、AutoSuggest、ショートカット キーなどは [ファイル > オプション] からしか設定できません。
これらの設定は、すべてのプロジェクトに共通して使用されます。言い換えると、エディタの動作や AutoSuggest の設定はプロジェクトごとには変えられない、ということになります。AutoSuggest は、プロジェクトごと変えられた方が便利な気もするのですが、そのようなことはできません。
メモリに登録されるユーザー名は例外
ユーザー名に関する記事でも取り上げましたが、メモリに登録されるユーザー名は要注意です。これは、[ファイル] と [プロジェクトの設定] の両方から設定できますが、[プロジェクトの設定] の方が優先ということはありません。どちらか一方で設定を変えると、もう一方の設定も自動的に変わります。
この設定に注意が必要になるのは、プロジェクトごとに異なるサーバー TM に接続する場合です。サーバー TM 自体の設定は [プロジェクトの設定] からプロジェクトごとに行うことができますが、メモリに登録されるユーザー名はプロジェクトごとに設定しておくことができません。その都度、手動で変える必要があります。
[プロジェクトの設定] はパッケージを開くたびに上書きされる
パッケージを受け取って作業していると、ときどき「ファイルが追加になったので追加のパッケージを送ります」と言われ、作業の途中で追加のパッケージを開かなくてはならないことがあります。パッケージに含まれているプロジェクトの名前が同じ場合、パッケージを開くと同名の既存プロジェクトを上書きしようとします。このとき、バイリンガル ファイルについては「上書きしますか」というような確認メッセージがありますが、メモリ、用語集、各種設定は問答無用で上書きされます。
つまり、[プロジェクトの設定] からせっかく自分の好みに合わせて設定を変えていても、追加のパッケージを開くと、自分の設定はすべて上書きされてしまいます。検証の設定をエクスポートする、メモリをどこかに退避するなど、ある程度の対策はできますが、どうしても上書きされてしまうものもあります。もっとも、翻訳会社さんは使って欲しいメモリや設定をパッケージに含めてきているので、一応それには従う必要があり、「上書きする」という仕様は当然と言えなくもありません。仕方ないので、追加のパッケージを開いたら、必要に応じて、もう一度設定し直します。
なお、追加のパッケージを開いても [ファイル] からの設定には影響がありません。エディタの動作や AutoSuggest の設定は、パッケージによって上書きされる心配は無用です。
今回は、以上です。いろいろなところに、いろいろな設定があって、私はかなり混乱しましたが、まず [プロジェクトの設定]、その後で [ファイル] という順番で見ていけばいいかと思います。
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