2018年03月11日
「2017 SR1 アップグレード セミナー」に参加してみました
「SDL Trados Studio 2017 SR1 アップグレード Web セミナー」に参加してみました。
と言っても、実は、ちょっと急用で当日は外出してしまい、後になって録画を見ました。
セミナーの全体的なメッセージとしては、「早くアップグレードしてください」ということのようでしたが、この記事では、個人翻訳者としての感想を少し書いてみたいと思います。ちなみに、個人でフリーランス版を使っているような人のことを「フリーランサー」と呼ぶらしいです。セミナーでもたびたび「フリーランサー」という呼称が出てきました。
これまで私は「upLift テクノロジー」がなんなのかよくわからなかったのですが、このテクノロジーによって「フラグメント一致」と「あいまい一致の自動修正」が実現される、ということのようです。
この upLift についての説明で最も気になったのは、日本語も「文字」ではなく「単語」のレベルで解析されるようになったという点です。セミナーの中では、「ヨーロッパ言語と同じように単語単位で」というような説明が何回かありました。実際に、解析結果に表示される「割合」は、「文字数」ではなく、「単語数」で算出されているとのことでした。これ、困りますよね?? だって、日本語原文の翻訳料金は、たいてい、「文字数」ベースですから。
この文字レベルか、単語レベルかで、マッチ率が変わってくるらしいです。マッチ率が変わると、当然ながら、翻訳料金に影響してきます。翻訳料金の「文字 (C) 単価」は「単語 (W) 単価」の半分くらいかと思います。(私は、だいたいそれくらいですが、世間的にはどうなんでしょう?) なので、「単語」で解析したものに、「文字」の単価を適用するとちょっと変な結果になるのでは?と思いました。
翻訳会社さんが本格的に 2017 SR1 に移行してきたら、解析結果の数字をちょっと注意してみる必要があるかもしれないです。
「upLift テクノロジー」について、カウント数に与える影響はともかく、翻訳者にとっての最大のメリットは「フラグメント一致」かなと思います。
セミナーの中では、訳語検索 (F3 キー) を自動的にやってくれるようなもの、という説明がありました。私もこれまで使ってみてそのような印象を持ちました。用語集に登録されていない単語もなんとなく拾ってきて、AutoSuggest に表示してくれる感じです。
セミナー中の画面では、下記のように、「フラグメント一致」ウィンドウを縦長に表示していました。私も、メモリのような横長の表示ではなく、縦長の表示が使いやすいと感じています。
LookAhead は、機械翻訳などを使って翻訳作業をしているときに、作業中の分節より先の分節を前もって処理してくれる、という機能です。[ファイル] -> [オプション] -> [エディタ] -> [自動化] の [翻訳メモリ] で設定できます。
私は、これまで機械翻訳にしか有効に機能しないと思っていたのですが、サーバー TM を使っているときもこのオプションが有効なようです。サーバー TM を使う機会はたびたびあるので、これはちょっと嬉しい情報です。
と言っても、これまで、サーバー TM だから遅いと感じたことはあまりありません。遅いときは、ローカルの TM でも遅いです。
セミナーの後半は、office など原文のバージョンと、Trados のバージョンについてのちょっと細かい説明でした。一言にまとめれば、「みんなが最新版を使えば問題ない」ということのようですが、そうもいかないですよね。
翻訳会社からパッケージを受け取って作業するケースで困るのは、「翻訳会社の方が Trados のバージョンが新しい」場合です。新しいバージョンで作ったバイリンガルファイルは、古いバージョンの Trados でも翻訳作業自体はできるのですが、訳文生成、プレビュー、検証などの機能が使えない場合があります。
実際のお仕事では、「訳文生成やプレビューはできないかもしれないけど、翻訳自体はできるのでお願いします」とさらっと依頼される案件があります。文書の内容にもよりますが、アニメーション付きの PowerPoint とか、フローチャートばかりの Excel とかだったりすると、こういう案件はかなり困ります。
Trados を使うことの弊害はいろいろなところで指摘されていますが、それを少しでも解消してくれるのが、プレビューや検証の機能なのかなと私は思っています。これらが使えないとなると、翻訳者としては、Trados を使う意味があまりありません。できあがりを想像しながら苦労してバイリンガルファイルで訳して、料金はマッチ率で割り引きされて、そして最後に訳文の品質が悪い、とか言われそうです。
セミナーでは、「バイリンガルファイルの作成と訳文生成は同じバージョンで行う」ことが推奨されていました。ただ、翻訳会社からパッケージを受け取って作業する場合、この推奨事項に従うのはちょっと難しいです。まあ、翻訳会社さんより先にアップグレードしておけば問題ない、ということではあります。
今回は、以上です。この記事では、私が気になった点だけを書かせてもらいましたが、実際のセミナーでは、ほかにも「あいまい一致の自動修正」、「AdaptiveTM」、「高度な表示フィルタ」などなどたくさんの説明がありました。
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と言っても、実は、ちょっと急用で当日は外出してしまい、後になって録画を見ました。
セミナーの全体的なメッセージとしては、「早くアップグレードしてください」ということのようでしたが、この記事では、個人翻訳者としての感想を少し書いてみたいと思います。ちなみに、個人でフリーランス版を使っているような人のことを「フリーランサー」と呼ぶらしいです。セミナーでもたびたび「フリーランサー」という呼称が出てきました。
upLift テクノロジーで日本語も「単語」レベルに!?
これまで私は「upLift テクノロジー」がなんなのかよくわからなかったのですが、このテクノロジーによって「フラグメント一致」と「あいまい一致の自動修正」が実現される、ということのようです。
この upLift についての説明で最も気になったのは、日本語も「文字」ではなく「単語」のレベルで解析されるようになったという点です。セミナーの中では、「ヨーロッパ言語と同じように単語単位で」というような説明が何回かありました。実際に、解析結果に表示される「割合」は、「文字数」ではなく、「単語数」で算出されているとのことでした。これ、困りますよね?? だって、日本語原文の翻訳料金は、たいてい、「文字数」ベースですから。
この文字レベルか、単語レベルかで、マッチ率が変わってくるらしいです。マッチ率が変わると、当然ながら、翻訳料金に影響してきます。翻訳料金の「文字 (C) 単価」は「単語 (W) 単価」の半分くらいかと思います。(私は、だいたいそれくらいですが、世間的にはどうなんでしょう?) なので、「単語」で解析したものに、「文字」の単価を適用するとちょっと変な結果になるのでは?と思いました。
翻訳会社さんが本格的に 2017 SR1 に移行してきたら、解析結果の数字をちょっと注意してみる必要があるかもしれないです。
「フラグメント一致」は自動訳語検索!?
「upLift テクノロジー」について、カウント数に与える影響はともかく、翻訳者にとっての最大のメリットは「フラグメント一致」かなと思います。
セミナーの中では、訳語検索 (F3 キー) を自動的にやってくれるようなもの、という説明がありました。私もこれまで使ってみてそのような印象を持ちました。用語集に登録されていない単語もなんとなく拾ってきて、AutoSuggest に表示してくれる感じです。
セミナー中の画面では、下記のように、「フラグメント一致」ウィンドウを縦長に表示していました。私も、メモリのような横長の表示ではなく、縦長の表示が使いやすいと感じています。
LookAhead はサーバー TM にも使える!?
LookAhead は、機械翻訳などを使って翻訳作業をしているときに、作業中の分節より先の分節を前もって処理してくれる、という機能です。[ファイル] -> [オプション] -> [エディタ] -> [自動化] の [翻訳メモリ] で設定できます。
私は、これまで機械翻訳にしか有効に機能しないと思っていたのですが、サーバー TM を使っているときもこのオプションが有効なようです。サーバー TM を使う機会はたびたびあるので、これはちょっと嬉しい情報です。
と言っても、これまで、サーバー TM だから遅いと感じたことはあまりありません。遅いときは、ローカルの TM でも遅いです。
訳文生成の下位互換はほとんどない!?
セミナーの後半は、office など原文のバージョンと、Trados のバージョンについてのちょっと細かい説明でした。一言にまとめれば、「みんなが最新版を使えば問題ない」ということのようですが、そうもいかないですよね。
翻訳会社からパッケージを受け取って作業するケースで困るのは、「翻訳会社の方が Trados のバージョンが新しい」場合です。新しいバージョンで作ったバイリンガルファイルは、古いバージョンの Trados でも翻訳作業自体はできるのですが、訳文生成、プレビュー、検証などの機能が使えない場合があります。
実際のお仕事では、「訳文生成やプレビューはできないかもしれないけど、翻訳自体はできるのでお願いします」とさらっと依頼される案件があります。文書の内容にもよりますが、アニメーション付きの PowerPoint とか、フローチャートばかりの Excel とかだったりすると、こういう案件はかなり困ります。
Trados を使うことの弊害はいろいろなところで指摘されていますが、それを少しでも解消してくれるのが、プレビューや検証の機能なのかなと私は思っています。これらが使えないとなると、翻訳者としては、Trados を使う意味があまりありません。できあがりを想像しながら苦労してバイリンガルファイルで訳して、料金はマッチ率で割り引きされて、そして最後に訳文の品質が悪い、とか言われそうです。
セミナーでは、「バイリンガルファイルの作成と訳文生成は同じバージョンで行う」ことが推奨されていました。ただ、翻訳会社からパッケージを受け取って作業する場合、この推奨事項に従うのはちょっと難しいです。まあ、翻訳会社さんより先にアップグレードしておけば問題ない、ということではあります。
今回は、以上です。この記事では、私が気になった点だけを書かせてもらいましたが、実際のセミナーでは、ほかにも「あいまい一致の自動修正」、「AdaptiveTM」、「高度な表示フィルタ」などなどたくさんの説明がありました。
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