2018年12月20日
Starter エディションって仕事に使える?
先日、翻訳の仕事をこれから始めようかと考えている知人に「Trados の Starter エディションって仕事に使える?」と聞かれました。その知人は、まだ継続的な仕事が確定しているわけではないので値段の高い Trados は買いたくないが、Trados を使う仕事もやってみたいということのようでした。
私自身は Starter エディションを使ったことがなく、細かいことがわからなかったのでちょっと調べてみました。
Starter エディションは年単位契約できるライセンスで、1年間で 10,000円ほどです。ただし、いろいろな制約があります。正式な情報は以下を参考にしてください。
・エディション比較表
https://www.sdltrados.com/jp/products/trados-studio/editions-comparison.html
・よくある質問
https://www.sdltrados.com/jp/products/trados-studio/starter/faqs.html
が、正直に言って、上記のページを見てもどうもよくわかりません。大まかな特徴としては、
・パッケージをもらって作業することはできる。
・パッケージ以外では、単一のファイルと単一のメモリのみ可能。
という感じですが、いろいろ疑問が残ったので、コミュニティに質問してみました。かなり丁寧な回答 (こちらを参照) があり、だいたい理解できました。
で、結局「Starter エディションって仕事に使える?」という質問への回答としては、「なんとか、使えそう」という感じです (ちょっと弱気だけど)。以下、実際の仕事で問題になりそうと思われる点です。ご参考までに。
上記の比較表などには「複数メモリを同時に開けない」、「メモリの件数に制限がある」と書いてありますが、それらはパッケージ以外で作業する場合の制限です。こうした制限は、翻訳会社からパッケージを受け取って作業するときは関係ありません。実際の仕事で受け取るパッケージでは、複数のメモリが存在することも、メモリが巨大なこともよくありますが、パッケージとして受け取っている限り、問題なく作業できるようです。
上記の比較表では「メモリのアップグレードができない」ことになっています。翻訳会社の使っている Trados のバージョンによっては翻訳者側でアップグレードが必要になるので、これは致命的かなと思っていました。(メモリのアップグレードについては、こちらの記事「メモリを 2017 SR1 用にアップグレードする」をご参照ください。)
ところが、コミュニティに質問したところ、Trados 本体ではアップグレードできないが、アプリを使えば可能、ということでした。使用するアプリは TM Lifting です。すみません、私はこのアプリを試していませんが、SDL の方の推奨ですし、SDL Community Developers さん提供のアプリなので、きっと大丈夫でしょう!?
※※※ 追記 2019/01/16 ※※※
この記事を書いていたときはまったく気付いていなかったのですが、SDL の公式ブログに既にぴったりな記事がありました。2017年の日付なので、相当前からあったということですね。見落としてましたぁ。すみません (_ _)
SDL Trados Studio Starterライセンスと翻訳メモリの互換性
https://jp.blog.sdltrados.com/upgrade-translation-memories-uplift-trados-starter/
詳しい手順も書かれているので、参考にしてください。
※※※※※※※※※※※※※※
上記の比較表の表記では、「完全一括タスク機能」が「✕」となっています。これに私は悩みましたぁ (;。;) 「完全一括タスク」という機能でもあるのかと思ったら、そうではなく、「たくさんある一括タスクのうち、いくつかは実行できない」という部分否定でした。ちなみに英語では「Full batch task functionality」となっているので、「Batch task functionality が full ではない」ということでした。
で、これもコミュニティに確認したら、かなり多くの一括タスクが実行できることがわかりました。私が翻訳者としてどうしても欲しいと思っていたのは、訳文を確認するための「訳文の生成」と、ワード数を確認するための「ファイルの解析」だったのですが、この 2 つは実行可能とのことでした。このほかにも、「ファイルのエクスポート」や「外部レビュー用にエクスポート」も実行できるので、そんなに困ることはなさそうです。
Starter エディションで最も問題となるのは、この点かなと思います。パッケージを受け取って作成したプロジェクトに自分でメモリを追加することはできないそうです。更新用のメモリがきちんと設定してあるパッケージだったら問題ありませんが、そんな翻訳会社さんばかりではありません。自分の訳文の保存用にメモリを追加できないのは、少々やりにくい気がします。 (自分の訳文の保存についての詳細は、こちらの記事「提供された訳文と自分の訳文を区別する ー @ メモリを分ける」をご参照ください。)
また、たまにですが、作業を始めた後で「やっぱり、このメモリも参照して」とメモリだけ渡されることがあります。そのような場合も、自分でメモリを追加できないと困ることになりそうです。
以上です。今回調べたところでは、Starter エディションの機能は私の予想以上でした。ただ、本来の便利な機能はやはり制限されているので、「Starter」という名前ではありますが、これから始めようと考えている人には向かないかなぁと思います。逆に「もう今回限りしか使わない」という人だったらいいのかもと思いました。
この前には 2019 の SR1 も出たし、最近 SDL からの日本語での情報発信も増えてる感じだし、いろいろ試してみたいとは思いつつ、自分の Trados は恐ろしく遅くなるし、よく落ちるし、しかも、このところの仕事は変なファイルで割に合わないものばかりだし、なんだかいろいろ行き詰まってます (T-T)
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私自身は Starter エディションを使ったことがなく、細かいことがわからなかったのでちょっと調べてみました。
Starter エディションは年単位契約できるライセンスで、1年間で 10,000円ほどです。ただし、いろいろな制約があります。正式な情報は以下を参考にしてください。
・エディション比較表
https://www.sdltrados.com/jp/products/trados-studio/editions-comparison.html
・よくある質問
https://www.sdltrados.com/jp/products/trados-studio/starter/faqs.html
が、正直に言って、上記のページを見てもどうもよくわかりません。大まかな特徴としては、
・パッケージをもらって作業することはできる。
・パッケージ以外では、単一のファイルと単一のメモリのみ可能。
という感じですが、いろいろ疑問が残ったので、コミュニティに質問してみました。かなり丁寧な回答 (こちらを参照) があり、だいたい理解できました。
で、結局「Starter エディションって仕事に使える?」という質問への回答としては、「なんとか、使えそう」という感じです (ちょっと弱気だけど)。以下、実際の仕事で問題になりそうと思われる点です。ご参考までに。
パッケージなら、複数のメモリも、大きなメモリも使える
上記の比較表などには「複数メモリを同時に開けない」、「メモリの件数に制限がある」と書いてありますが、それらはパッケージ以外で作業する場合の制限です。こうした制限は、翻訳会社からパッケージを受け取って作業するときは関係ありません。実際の仕事で受け取るパッケージでは、複数のメモリが存在することも、メモリが巨大なこともよくありますが、パッケージとして受け取っている限り、問題なく作業できるようです。
アプリを使えば、メモリのアップグレードもできる
上記の比較表では「メモリのアップグレードができない」ことになっています。翻訳会社の使っている Trados のバージョンによっては翻訳者側でアップグレードが必要になるので、これは致命的かなと思っていました。(メモリのアップグレードについては、こちらの記事「メモリを 2017 SR1 用にアップグレードする」をご参照ください。)
ところが、コミュニティに質問したところ、Trados 本体ではアップグレードできないが、アプリを使えば可能、ということでした。使用するアプリは TM Lifting です。すみません、私はこのアプリを試していませんが、SDL の方の推奨ですし、SDL Community Developers さん提供のアプリなので、きっと大丈夫でしょう!?
※※※ 追記 2019/01/16 ※※※
この記事を書いていたときはまったく気付いていなかったのですが、SDL の公式ブログに既にぴったりな記事がありました。2017年の日付なので、相当前からあったということですね。見落としてましたぁ。すみません (_ _)
SDL Trados Studio Starterライセンスと翻訳メモリの互換性
https://jp.blog.sdltrados.com/upgrade-translation-memories-uplift-trados-starter/
詳しい手順も書かれているので、参考にしてください。
※※※※※※※※※※※※※※
訳文の生成やファイルの解析もできる
上記の比較表の表記では、「完全一括タスク機能」が「✕」となっています。これに私は悩みましたぁ (;。;) 「完全一括タスク」という機能でもあるのかと思ったら、そうではなく、「たくさんある一括タスクのうち、いくつかは実行できない」という部分否定でした。ちなみに英語では「Full batch task functionality」となっているので、「Batch task functionality が full ではない」ということでした。
で、これもコミュニティに確認したら、かなり多くの一括タスクが実行できることがわかりました。私が翻訳者としてどうしても欲しいと思っていたのは、訳文を確認するための「訳文の生成」と、ワード数を確認するための「ファイルの解析」だったのですが、この 2 つは実行可能とのことでした。このほかにも、「ファイルのエクスポート」や「外部レビュー用にエクスポート」も実行できるので、そんなに困ることはなさそうです。
パッケージにメモリを追加することはできない
Starter エディションで最も問題となるのは、この点かなと思います。パッケージを受け取って作成したプロジェクトに自分でメモリを追加することはできないそうです。更新用のメモリがきちんと設定してあるパッケージだったら問題ありませんが、そんな翻訳会社さんばかりではありません。自分の訳文の保存用にメモリを追加できないのは、少々やりにくい気がします。 (自分の訳文の保存についての詳細は、こちらの記事「提供された訳文と自分の訳文を区別する ー @ メモリを分ける」をご参照ください。)
また、たまにですが、作業を始めた後で「やっぱり、このメモリも参照して」とメモリだけ渡されることがあります。そのような場合も、自分でメモリを追加できないと困ることになりそうです。
以上です。今回調べたところでは、Starter エディションの機能は私の予想以上でした。ただ、本来の便利な機能はやはり制限されているので、「Starter」という名前ではありますが、これから始めようと考えている人には向かないかなぁと思います。逆に「もう今回限りしか使わない」という人だったらいいのかもと思いました。
この前には 2019 の SR1 も出たし、最近 SDL からの日本語での情報発信も増えてる感じだし、いろいろ試してみたいとは思いつつ、自分の Trados は恐ろしく遅くなるし、よく落ちるし、しかも、このところの仕事は変なファイルで割に合わないものばかりだし、なんだかいろいろ行き詰まってます (T-T)
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