2018年01月04日
パッケージを受け取ったら、ココの設定を変えます
パッケージにはいろいろな設定が含まれており、翻訳者側で細かな設定をする必要がないのでとても便利です。
ただ、翻訳者には嬉しくない設定になっているところがいくつかあります。今回は、そんな設定を 3 つ紹介します。翻訳メモリの設定が 2 つと、用語集の設定が 1 つです。用語集の設定は、Trados Studio 2017 からの新機能です。
なお、今回のサンプルはすべて日本語⇒英語を前提としています。また、設定はすべて [プロジェクトの設定] から行います。
まずは、メモリの設定の [検索] です。
メモリの設定の [検索] → [100% 一致が見つかった場合でもあいまい一致を検索する]
このチェックボックスは Trados のデフォルトでは選択されていませんが、選択した方が断然便利です!
この設定がオンになっていない場合、100% マッチの訳文が 1 つ見つかるとそこで検索が終了します。他に 99% マッチの訳文があってもそれは翻訳結果に表示されません。見つかった 100% マッチの訳文が信用できるかわからないし、他にも訳文があるなら見たいですよね。
特に、作業途中で、自分の入力した訳文が 100% マッチになってしまうと、メモリ内にもともと他の訳文が入っていても気付かないことになります。これは、かなり致命的です。
もう 1 つのメモリの設定は [ペナルティ] です。
メモリの設定の [ペナルティ]
→ [自動ローカリゼーションによるペナルティ]
→ [テキスト置換によるペナルティ]
この 2 つのペナルティを 0 から変更します。
なぜか、この 2 つのペナルティだけデフォルトが 0 なんです。
この 2 つのペナルティが何かというと、自動置換で数字やテキストが変更されたときにマッチ率を差し引くかどうかの設定です。「自動ローカリゼーション」が数字や日付などの置換で、「テキスト置換」は変数や頭文字の置換です。
ペナルティ 0 の場合
ペナルティ 1 の場合
「バージョン 1」を先に訳していて、「バージョン 2」が出てくると、数字が自動的に置換されますが、ペナルティが「0」の場合は、何も表示されないので置換されたのかどうかよくわかりません。ペナルティを「1」にしておくと、マッチ率の下に青色のマーキングが表示され、自動置換が行われたことがわかります (どこが置換されたのかはわかりません ) 。
Trados Studio 2015 では、「バージョン 1」と「バージョン 2」は、ペナルティが「0」の場合 100% マッチになってしまいますが、Trados Studio 2017 では 100% マッチにはならないようです。(100% マッチにならないことに私は最近気付きました!! 翻訳者にとってはちょっと嬉しいかも。この辺りのカウントの詳細については、また後日、検証してみたいと思います。)
ちなみに、「自動ローカリゼーション」ではなく、「テキスト置換」の場合は、下のように、矢印が循環しているようなマークが表示されます。
さて、ペナルティを変更するとマッチ率が変わるので、翻訳料金に影響してきます。特に、「100% は作業対象外です」と言われている場合は要注意です (本当に対象外でいいの??と疑問には思いますが、そう言われれば仕方ありません)。ペナルティを変更する前に、作業対象外の分節がロックされているか、もしくは一括翻訳がされて 100% マッチの分節に訳文が入っているかを確認します。
パッケージを受け取った後で翻訳者がこのペナルティを変更しても、既に一括翻訳されている 100% マッチやコンテキスト マッチの分節が変わることはありません。この設定は、あくまで、今後、エディタで分節を開いたときにどうのように動作するかの設定です。最近のパッケージでは、作業対象外の箇所がロックされている場合も多いかと思います。ロックされていれば、もちろんその分節が変わることはないので、ペナルティの設定は自分のやりやすいように変更して大丈夫です。
事前にロックされていない、一括翻訳もされていない、でも 100% マッチは作業対象外、という場合はペナルティを変更しない方がいいでしょう。(そんなひどい状態のときは、そもそも作業を始める前にコーディネーターさんに相談した方がいいです。)
最後の設定は、用語集の設定です。これは、Trados Studio 2017 からの新機能です。
用語ベースの [検索設定] → [用語の重複を許可する]
これは、用語認識の動作の設定です。この設定をオンにすると、同じ単語が、長い用語と短い用語で登録してある場合に、両方とも用語認識で認識されるようになります。たとえば、用語集に「ファイル ウィンドウ」と「ファイル」という 2 つの用語が登録されていた場合、この設定がオフだと、「ファイル ウィンドウ」という長い用語しか認識されません。この設定をオンにしておくと、ちゃんと 2 つの用語が認識されます。
[用語の重複を許可する] が選択されていないと、長い用語しか表示されません。
[用語の重複を許可する] が選択されていると、短い用語も表示されます。
この機能のおかげで、用語集の見落としがかなり防げると思います。私は、この機能だけでも、2017 にアップグレードして良かったなぁ と思っています。
今回は、以上です。最後に 1 つ注意点があります。ここで紹介した設定は、すべて「プロジェクトの設定」 なので、パッケージ内に設定されているものです。つまり、「ファイルが追加になったので新しいパッケージを送ります」などと言われて追加のパッケージを開くと、すべての設定が上書きされてしまいます。ですので、追加のパッケージを開いた後は、設定をし直します。本当は、パッケージを作るときに設定してきてくれるととても助かるのだけど(なかなか翻訳会社にそこまでは言えないですよね)。
ただ、翻訳者には嬉しくない設定になっているところがいくつかあります。今回は、そんな設定を 3 つ紹介します。翻訳メモリの設定が 2 つと、用語集の設定が 1 つです。用語集の設定は、Trados Studio 2017 からの新機能です。
なお、今回のサンプルはすべて日本語⇒英語を前提としています。また、設定はすべて [プロジェクトの設定] から行います。
1. 100% 一致が見つかった場合でもあいまい一致を検索する
まずは、メモリの設定の [検索] です。
メモリの設定の [検索] → [100% 一致が見つかった場合でもあいまい一致を検索する]
このチェックボックスは Trados のデフォルトでは選択されていませんが、選択した方が断然便利です!
この設定がオンになっていない場合、100% マッチの訳文が 1 つ見つかるとそこで検索が終了します。他に 99% マッチの訳文があってもそれは翻訳結果に表示されません。見つかった 100% マッチの訳文が信用できるかわからないし、他にも訳文があるなら見たいですよね。
特に、作業途中で、自分の入力した訳文が 100% マッチになってしまうと、メモリ内にもともと他の訳文が入っていても気付かないことになります。これは、かなり致命的です。
2. メモリのペナルティ
もう 1 つのメモリの設定は [ペナルティ] です。
メモリの設定の [ペナルティ]
→ [自動ローカリゼーションによるペナルティ]
→ [テキスト置換によるペナルティ]
この 2 つのペナルティを 0 から変更します。
なぜか、この 2 つのペナルティだけデフォルトが 0 なんです。
この 2 つのペナルティが何かというと、自動置換で数字やテキストが変更されたときにマッチ率を差し引くかどうかの設定です。「自動ローカリゼーション」が数字や日付などの置換で、「テキスト置換」は変数や頭文字の置換です。
ペナルティ 0 の場合
ペナルティ 1 の場合
「バージョン 1」を先に訳していて、「バージョン 2」が出てくると、数字が自動的に置換されますが、ペナルティが「0」の場合は、何も表示されないので置換されたのかどうかよくわかりません。ペナルティを「1」にしておくと、マッチ率の下に青色のマーキングが表示され、自動置換が行われたことがわかります (どこが置換されたのかはわかりません ) 。
Trados Studio 2015 では、「バージョン 1」と「バージョン 2」は、ペナルティが「0」の場合 100% マッチになってしまいますが、Trados Studio 2017 では 100% マッチにはならないようです。(100% マッチにならないことに私は最近気付きました!! 翻訳者にとってはちょっと嬉しいかも。この辺りのカウントの詳細については、また後日、検証してみたいと思います。)
ちなみに、「自動ローカリゼーション」ではなく、「テキスト置換」の場合は、下のように、矢印が循環しているようなマークが表示されます。
さて、ペナルティを変更するとマッチ率が変わるので、翻訳料金に影響してきます。特に、「100% は作業対象外です」と言われている場合は要注意です (本当に対象外でいいの??と疑問には思いますが、そう言われれば仕方ありません)。ペナルティを変更する前に、作業対象外の分節がロックされているか、もしくは一括翻訳がされて 100% マッチの分節に訳文が入っているかを確認します。
パッケージを受け取った後で翻訳者がこのペナルティを変更しても、既に一括翻訳されている 100% マッチやコンテキスト マッチの分節が変わることはありません。この設定は、あくまで、今後、エディタで分節を開いたときにどうのように動作するかの設定です。最近のパッケージでは、作業対象外の箇所がロックされている場合も多いかと思います。ロックされていれば、もちろんその分節が変わることはないので、ペナルティの設定は自分のやりやすいように変更して大丈夫です。
事前にロックされていない、一括翻訳もされていない、でも 100% マッチは作業対象外、という場合はペナルティを変更しない方がいいでしょう。(そんなひどい状態のときは、そもそも作業を始める前にコーディネーターさんに相談した方がいいです。)
3. 用語の重複を許可する
最後の設定は、用語集の設定です。これは、Trados Studio 2017 からの新機能です。
用語ベースの [検索設定] → [用語の重複を許可する]
これは、用語認識の動作の設定です。この設定をオンにすると、同じ単語が、長い用語と短い用語で登録してある場合に、両方とも用語認識で認識されるようになります。たとえば、用語集に「ファイル ウィンドウ」と「ファイル」という 2 つの用語が登録されていた場合、この設定がオフだと、「ファイル ウィンドウ」という長い用語しか認識されません。この設定をオンにしておくと、ちゃんと 2 つの用語が認識されます。
[用語の重複を許可する] が選択されていないと、長い用語しか表示されません。
[用語の重複を許可する] が選択されていると、短い用語も表示されます。
この機能のおかげで、用語集の見落としがかなり防げると思います。私は、この機能だけでも、2017 にアップグレードして良かったなぁ と思っています。
今回は、以上です。最後に 1 つ注意点があります。ここで紹介した設定は、すべて「プロジェクトの設定」 なので、パッケージ内に設定されているものです。つまり、「ファイルが追加になったので新しいパッケージを送ります」などと言われて追加のパッケージを開くと、すべての設定が上書きされてしまいます。ですので、追加のパッケージを開いた後は、設定をし直します。本当は、パッケージを作るときに設定してきてくれるととても助かるのだけど(なかなか翻訳会社にそこまでは言えないですよね)。
タグ:用語集 メモリ ペナルティ 用語の重複を許可する コンテキスト マッチ テキスト置換 自動ローカリゼーション 2017 100% 一致が見つかった場合でもあいまい一致を検索する プロジェクトの設定 パッケージ 100% マッチ メモリがヒットしてこない トラブルシューティング
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