2018年09月21日
サーバー TM を使うときの注意点
最近、サーバー TM を使う案件が増えてきました。サーバー TM が登場してきた当初は、作業途中の訳文を登録することに抵抗があったり、信用できないメモリがあっても混乱するだけでは?と懐疑的だったりしたのですが、今ではだいぶ慣れてきてしまいました。自分の訳文はとりあえずでも登録しますし、ほかの人の訳文がヒットしてきたらラッキーと思って参考にします。(あくまで、参考ね。流用じゃないですよ。)
今回は、そんなサーバー TM を使うときの注意点を紹介したいと思います。
以前の記事でパッケージを受け取ったときに変える設定として、翻訳メモリの検索オプションの「100% 一致が見つかった場合でもあいまい一致を検索する」を紹介しました。これはデフォルトでオフなので、私はパッケージを受け取った後、必ずオンに変更しています。設定は、[プロジェクトの設定] から以下のように行います。
[プロジェクトの設定] -> [言語ペア] -> [すべての言語ペア] -> [翻訳メモリと自動翻訳] -> [検索]
これをオンにしておくと、100% 一致があっても、ほかにあいまい一致があれば、そのあいまい一致も一緒に検索結果に表示されてきます。逆にこれがオフの場合、100% 一致が 1 つでも見つかると、ほかにどんなに 99% 一致があってもそれは検索結果に表示されてきません。この動作がなぜ困るかというと、自分が登録した訳文は、当然ながら必ず 100% 一致になるからです。つまり、自分がいったん訳文を登録してしまうと、ほかに似たような文がメモリにあってもそれは表示されてこないことになります。
多くの人が訳文を入力するサーバー TM では、このオプションがとても重要だと思うのですが、なんとこのオプションがサーバー TM には効かないのです! 上記の設定でチェックボックスをオンにしても、サーバー TM からはあいまい一致が表示されてきません。(ローカルのファイル共有タイプの TM からはあいまい一致が表示されてきます。)
一応、SDL の方でもこの問題は認識しているらしく、修正される予定ではあるようです。(コミュニティのこちらの質問を参照してください。)
ただ、これは、私たちの使っている Trados Studio の問題ではなく、サーバー側の GroupShare の問題らしいので、翻訳会社さんが GroupShare を更新してくれない限り修正はされないことになりそうです。(いつになることやら・・・)
TM に登録されるユーザー名については、以前の記事「Trados で使われるユーザー名」と「Trados の設定を変えるには − [ファイル] と [プロジェクトの設定]」で取り上げました。
ローカル TM の場合、ユーザー名は特に気にしなくてもよいのですが、サーバー TM の場合は自分のユーザー名がほかの人に公開されてしまうので注意が必要です。翻訳会社によっては、使用するユーザー名を指定してくることがありますが、特に何も指示されないケースも多いので自分で気を付ける必要があります。
ユーザー名は、以下の 2 か所のいずれかで設定します。どちらで設定しても効果は同じです。
・ [ファイル] -> [設定] -> [ユーザー] の [TM ユーザー ID]
・ [プロジェクトの設定] -> [言語ペア] -> [すべての言語ペア] -> [一括処理] -> [翻訳メモリの更新] の
[TM ユーザー ID]
[プロジェクトの設定] で設定しても、プロジェクトごとの設定ではないので要注意です。同時期に複数のプロジェクトで作業していて、それぞれ違うサーバー TM に接続する場合は、毎回、手動でユーザー名を切り替える必要があります。切り替えを忘れると、他社さん用のユーザー名で訳文を登録してしまうことになり、とても困ります。私は、やってしまったことがあります (;。;)
サーバー TM は、サーバー上にあるだけでローカルにエクスポートすることができません。おそらく、サーバー側で権限の設定があるのだと思いますが、エクスポートできないと、Xbench など Trados 以外のツールで検索することができません。Trados の検索機能だけでは少し不便なので、私は、普段 Xbench (無料版の 2.9) を使っていますが、そうしたことができなくなります。
このことは翻訳会社さんでも認識しているようで、たいてい、参照用の TM はファイル共有タイプで提供され、新たに訳文を入力する TM だけがサーバー TM として提供されます。MemoQ、Translation Workspace、Memsource など、ほかの CAT ツールはサーバー TM しかないケースが多いので、一部がローカルで使用できるだけでもよしとするしかないようです。
どうしてもサーバー TM を検索したい場合は「翻訳メモリ ビュー」を使います。ここでは、サーバー TM もファイル共有タイプと同じように検索できます。
たとえば、ユーザー名を間違えて登録してしまった場合は、フィルターを使って自分のユーザー名を条件に検索することができます (詳しい操作は、また次回の機会に)。ただし、訳文の編集や削除はできません。これも、サーバー側で権限の設定があるのかもしれませんが、これまでの私の経験では、検索しか実行できませんでした。
今回は以上です。サーバー TM は便利なのかどうか、個人翻訳者としてはどうも判断しにくいところではありますが、最近は、何であっても「ない」よりは「ある」方がいいかなぁ、と思っています。
今回は、そんなサーバー TM を使うときの注意点を紹介したいと思います。
「100% 一致が見つかった場合でもあいまい一致を検索する」が効かない
以前の記事でパッケージを受け取ったときに変える設定として、翻訳メモリの検索オプションの「100% 一致が見つかった場合でもあいまい一致を検索する」を紹介しました。これはデフォルトでオフなので、私はパッケージを受け取った後、必ずオンに変更しています。設定は、[プロジェクトの設定] から以下のように行います。
[プロジェクトの設定] -> [言語ペア] -> [すべての言語ペア] -> [翻訳メモリと自動翻訳] -> [検索]
これをオンにしておくと、100% 一致があっても、ほかにあいまい一致があれば、そのあいまい一致も一緒に検索結果に表示されてきます。逆にこれがオフの場合、100% 一致が 1 つでも見つかると、ほかにどんなに 99% 一致があってもそれは検索結果に表示されてきません。この動作がなぜ困るかというと、自分が登録した訳文は、当然ながら必ず 100% 一致になるからです。つまり、自分がいったん訳文を登録してしまうと、ほかに似たような文がメモリにあってもそれは表示されてこないことになります。
多くの人が訳文を入力するサーバー TM では、このオプションがとても重要だと思うのですが、なんとこのオプションがサーバー TM には効かないのです! 上記の設定でチェックボックスをオンにしても、サーバー TM からはあいまい一致が表示されてきません。(ローカルのファイル共有タイプの TM からはあいまい一致が表示されてきます。)
一応、SDL の方でもこの問題は認識しているらしく、修正される予定ではあるようです。(コミュニティのこちらの質問を参照してください。)
ただ、これは、私たちの使っている Trados Studio の問題ではなく、サーバー側の GroupShare の問題らしいので、翻訳会社さんが GroupShare を更新してくれない限り修正はされないことになりそうです。(いつになることやら・・・)
TM に登録されるユーザー名
TM に登録されるユーザー名については、以前の記事「Trados で使われるユーザー名」と「Trados の設定を変えるには − [ファイル] と [プロジェクトの設定]」で取り上げました。
ローカル TM の場合、ユーザー名は特に気にしなくてもよいのですが、サーバー TM の場合は自分のユーザー名がほかの人に公開されてしまうので注意が必要です。翻訳会社によっては、使用するユーザー名を指定してくることがありますが、特に何も指示されないケースも多いので自分で気を付ける必要があります。
ユーザー名は、以下の 2 か所のいずれかで設定します。どちらで設定しても効果は同じです。
・ [ファイル] -> [設定] -> [ユーザー] の [TM ユーザー ID]
・ [プロジェクトの設定] -> [言語ペア] -> [すべての言語ペア] -> [一括処理] -> [翻訳メモリの更新] の
[TM ユーザー ID]
[プロジェクトの設定] で設定しても、プロジェクトごとの設定ではないので要注意です。同時期に複数のプロジェクトで作業していて、それぞれ違うサーバー TM に接続する場合は、毎回、手動でユーザー名を切り替える必要があります。切り替えを忘れると、他社さん用のユーザー名で訳文を登録してしまうことになり、とても困ります。私は、やってしまったことがあります (;。;)
サーバー TM はエクスポートできない
サーバー TM は、サーバー上にあるだけでローカルにエクスポートすることができません。おそらく、サーバー側で権限の設定があるのだと思いますが、エクスポートできないと、Xbench など Trados 以外のツールで検索することができません。Trados の検索機能だけでは少し不便なので、私は、普段 Xbench (無料版の 2.9) を使っていますが、そうしたことができなくなります。
このことは翻訳会社さんでも認識しているようで、たいてい、参照用の TM はファイル共有タイプで提供され、新たに訳文を入力する TM だけがサーバー TM として提供されます。MemoQ、Translation Workspace、Memsource など、ほかの CAT ツールはサーバー TM しかないケースが多いので、一部がローカルで使用できるだけでもよしとするしかないようです。
翻訳メモリ ビューで開くことはできる
どうしてもサーバー TM を検索したい場合は「翻訳メモリ ビュー」を使います。ここでは、サーバー TM もファイル共有タイプと同じように検索できます。
たとえば、ユーザー名を間違えて登録してしまった場合は、フィルターを使って自分のユーザー名を条件に検索することができます (詳しい操作は、また次回の機会に)。ただし、訳文の編集や削除はできません。これも、サーバー側で権限の設定があるのかもしれませんが、これまでの私の経験では、検索しか実行できませんでした。
今回は以上です。サーバー TM は便利なのかどうか、個人翻訳者としてはどうも判断しにくいところではありますが、最近は、何であっても「ない」よりは「ある」方がいいかなぁ、と思っています。
タグ:トラブルシューティング 100% 一致が見つかった場合でもあいまい一致を検索する メモリ プロジェクトの設定 サーバー TM ファイル共有タイプ 翻訳メモリビュー TM ユーザー ID ユーザー名 エクスポート Xbench [ファイル] からの設定 メモリがヒットしてこない
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