2021年12月27日
ハイパーリンクは書式タグ
徐々に迫ってくるオミクロン株を気に掛けつつ、一応クリスマスは楽しみ、同時にもう仕事納めとしてしまった私ですが、この少し前は訳文生成が正常にできない問題に久々にはまっていました。かなり大きな PowerPoint ファイルで、訳文生成の処理自体は成功するのに、生成されたファイルを開くとファイルが壊れているというメッセージが表示されてスライドが空白になっているという最悪のパターンでした。Trados を使っていて、一番困る問題が訳文生成の問題です。これが、納品直前だったりすると本当に冷や汗ものです。
今回の失敗の原因は、ハイパーリンクのタグでした。訳文上で不要になったハイパーリンク タグが自動で削除され、検証でもエラーとして検出されず、訳文生成が失敗したということです。こうなってしまうそもそもの原因は、Trados が PowerPoint ファイルのハイパーリンク タグを「書式タグ」とみなすことにあるような気がしています。ハイパーリンクは「書式」じゃないと思うんですが、どうなんでしょう。
ただ、今回のハイパーリンク タグが削除されると訳文生成が正常にできないという現象は、必ず発生するわけではなさそうです。実は、この記事を書くために自分でサンプル ファイルを作ってみたら、正常に訳文生成できてしまいました。実際の仕事で使っていたエラーになるファイルと見比べても、結局どこが違うのかわかりませんでした。ですので、以下の説明は「そういう場合もある」程度のものとしてご解釈ください。
Trados のエディターは空の書式タグを自動で削除します。翻訳では、訳文で語順が変わるなどすると、タグが不要になることがよくあります。このようなときにタグの中身を空にしておくと、分節を確定したタイミングでそのタグは自動的に削除されます。
タグが自動的に削除されるこの動作は、太字や文字の色など本当に「書式」の場合は問題ありませんが、ハイパーリンクの場合は困ったことになります。ハイパーリンク タグには属性があり、その属性が翻訳対象であることがあるからです。よくあるのは、リンク先の URL が翻訳対象のケースです。リンク先は、訳文の言語に合わせて変えることが多いので、Trados の既定設定でも翻訳対象となり、該当部分が別の分節に書き出されます。
上図では、1 番上の分節にハイパーリンクが 2 つあり、そのリンク先の URL が下の 2 つの分節に書き出されています。このように URL が独立した分節として存在している状態で本体のハイパーリンク タグを削除してしまうと、URL の行き場がなくなりエラーになるのではないかと私は考えています (実際のところは、エラーにならない場合もあり、よくわかりません)。実際の仕事でエラーになったファイルは、ハイパーリンク タグが空にならないように訳文を調整したら、タグが削除されることがなくなり、無事に訳文生成されるようになりました。
ちなみに、Trados には書式タグを一気に削除するショートカット キー (Ctrl+Alt+Space) がありますが、ハイパーリンク タグはこのショートカット キーでも削除されてしまいます。もう、完全に「書式」とみなされています。
実は、ハイパーリンク タグに限らず、タグが原因で訳文生成できないことはよくあります。よくあるというより、私の経験ではタグが原因であることが最も多い気がします。ですので、訳文生成が失敗したら、私は真っ先にタグの検証をします。もちろん、今回も検証はしました。でも、タグのエラーは検出されませんでした。
エラーにならなかった原因は、上図の設定です。既定で [書式タグを無視する] はオンになっています。検証機能でもハイパーリンクは書式タグとみなされるようで、この設定がオンになっているとハイパーリンクはエラーとして検出されません。
[書式タグを無視する] をオフにすると、ハイパーリンク タグを削除したことがエラーとして検出されます。後から考えれば簡単なことですが、訳文生成ができなくてあせっていた私には、なかなかのトラップでした。
ちなみに、3 つの検証機能 (QA Checker、タグ、用語集) の中で、タグ検証機能だけはロックされた分節を既定で無視しません。おそらく、ロックされた分節でもタグのエラーがあると訳文生成が失敗するので、ロックにかかわらず検証する設定になっているのだと思います。私自身、ロックされた分節内のエラーで訳文生成できないケースにたまに遭遇するので、この設定はありがたい場合もあります。
今回は以上です。この記事では、PowerPoint ファイルのハイパーリンク タグに注目しましたが、この他にもいろいろなケースがあると思います。Office 文書でもタグはいろいろですし、HTML や XML になればもっと種類が増えます。すみません、他のケースはまったく検証していないのですが、<xx> </xx> という形式のタグはすべて書式タグという認識ですかね。どうだろう。
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今回の失敗の原因は、ハイパーリンクのタグでした。訳文上で不要になったハイパーリンク タグが自動で削除され、検証でもエラーとして検出されず、訳文生成が失敗したということです。こうなってしまうそもそもの原因は、Trados が PowerPoint ファイルのハイパーリンク タグを「書式タグ」とみなすことにあるような気がしています。ハイパーリンクは「書式」じゃないと思うんですが、どうなんでしょう。
ただ、今回のハイパーリンク タグが削除されると訳文生成が正常にできないという現象は、必ず発生するわけではなさそうです。実は、この記事を書くために自分でサンプル ファイルを作ってみたら、正常に訳文生成できてしまいました。実際の仕事で使っていたエラーになるファイルと見比べても、結局どこが違うのかわかりませんでした。ですので、以下の説明は「そういう場合もある」程度のものとしてご解釈ください。
空の書式タグは自動で削除される
Trados のエディターは空の書式タグを自動で削除します。翻訳では、訳文で語順が変わるなどすると、タグが不要になることがよくあります。このようなときにタグの中身を空にしておくと、分節を確定したタイミングでそのタグは自動的に削除されます。
タグが自動的に削除されるこの動作は、太字や文字の色など本当に「書式」の場合は問題ありませんが、ハイパーリンクの場合は困ったことになります。ハイパーリンク タグには属性があり、その属性が翻訳対象であることがあるからです。よくあるのは、リンク先の URL が翻訳対象のケースです。リンク先は、訳文の言語に合わせて変えることが多いので、Trados の既定設定でも翻訳対象となり、該当部分が別の分節に書き出されます。
上図では、1 番上の分節にハイパーリンクが 2 つあり、そのリンク先の URL が下の 2 つの分節に書き出されています。このように URL が独立した分節として存在している状態で本体のハイパーリンク タグを削除してしまうと、URL の行き場がなくなりエラーになるのではないかと私は考えています (実際のところは、エラーにならない場合もあり、よくわかりません)。実際の仕事でエラーになったファイルは、ハイパーリンク タグが空にならないように訳文を調整したら、タグが削除されることがなくなり、無事に訳文生成されるようになりました。
ちなみに、Trados には書式タグを一気に削除するショートカット キー (Ctrl+Alt+Space) がありますが、ハイパーリンク タグはこのショートカット キーでも削除されてしまいます。もう、完全に「書式」とみなされています。
検証機能は既定で書式タグを無視する
実は、ハイパーリンク タグに限らず、タグが原因で訳文生成できないことはよくあります。よくあるというより、私の経験ではタグが原因であることが最も多い気がします。ですので、訳文生成が失敗したら、私は真っ先にタグの検証をします。もちろん、今回も検証はしました。でも、タグのエラーは検出されませんでした。
エラーにならなかった原因は、上図の設定です。既定で [書式タグを無視する] はオンになっています。検証機能でもハイパーリンクは書式タグとみなされるようで、この設定がオンになっているとハイパーリンクはエラーとして検出されません。
[書式タグを無視する] をオフにすると、ハイパーリンク タグを削除したことがエラーとして検出されます。後から考えれば簡単なことですが、訳文生成ができなくてあせっていた私には、なかなかのトラップでした。
ちなみに、3 つの検証機能 (QA Checker、タグ、用語集) の中で、タグ検証機能だけはロックされた分節を既定で無視しません。おそらく、ロックされた分節でもタグのエラーがあると訳文生成が失敗するので、ロックにかかわらず検証する設定になっているのだと思います。私自身、ロックされた分節内のエラーで訳文生成できないケースにたまに遭遇するので、この設定はありがたい場合もあります。
今回は以上です。この記事では、PowerPoint ファイルのハイパーリンク タグに注目しましたが、この他にもいろいろなケースがあると思います。Office 文書でもタグはいろいろですし、HTML や XML になればもっと種類が増えます。すみません、他のケースはまったく検証していないのですが、<xx> </xx> という形式のタグはすべて書式タグという認識ですかね。どうだろう。
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