パッケージが開けない問題が解決されました
以前からたびたび書いていたパッケージが開けない問題ですが、バージョン 2017 でも解決したそうです。コミュニティでは、以下に投稿されていました。
Translation Productivity > SDL Trados Studio
Studio2017をアップデート後、返却パッケージが開けない
SDL Trados Studio 2017 SR1 CU18 (Build 14.1.10018.54792) に更新すればこの問題は解決します。私は、問題が発生していたパッケージを 2 つを試してみましたが、正常に開くことができました。当初は、バージョン 2017 での修正予定はないなどと冷たい対応でしたが、ちゃんと修正されたようです。良かったです。
カタカナの長音に関する正規表現
カタカナの長音は悩ましいスタイルの 1 つです。最近の私の仕事の範囲では長音を省略しない傾向が強くなってきているような気がしますが、面倒であることにあまり変わりはありません。今回の質問会では、便利な正規表現の例として、「サーバー」と「サーバ」が混在しているときに「サーバ」のみを検出する以下の表現が紹介されていました。
サーバ[^ー]
私も以前はこの正規表現をよく使っていましたが、実は、これでは「サーバ」をすべて検出することはできません。この正規表現は、分節の最後にある「サーバ」にマッチしないのです。
下図は、サーバ[^ー] を QA Checker に指定した場合の例ですが、「サーバ」で終わっている分節はエラーになりません。「サーバ環境」と後ろに文字がある場合のみエラーになります。
私は、代わりに以下を使うようにしています。
サーバ(?!ー)
私の理解の範囲で、ごくごく簡単にこの 2 つの正規表現の意味を説明すると、こんな感じです。
サーバ[^ー] は、「サーバ」の後ろが「ー」以外の文字だったらマッチする
サーバ(?!ー) は、「サーバ」の後ろに「ー」がある場合のみマッチしない
[^ー] は、「長音以外の文字」という意味なので、何か文字が存在していないとマッチしません。このため「サーバ」の後ろに何もなく分節が終わってしまっているケースは検出されません。後ろに存在する文字は、通常の文字でなくても、改行でもスペースでもいいんですが、とにかく何か文字っぽいものが存在する必要があります。
通常のエディター上のテキストの場合は、行末に改行があるので サーバ[^ー] でもあまり問題になりません。 しかし Trados の場合は、分節の最後に改行がないので今回のような問題が生じてきます。私は、以下のような正規表現を使っていたこともあります。
サーバ($|[^ー])
「$」は、一般的には文末を意味しますが、Trados の分節の終わりにもマッチします。なので、この正規表現を使えば分節の最後にある「サーバ」も検出されます。「$」が分節の終わりにマッチするというのは覚えておくとけっこう便利です。たとえば、「ピリオドで終わっている分節」などを検索できます。
パッケージを作り直してもらおう
今回の質問会で説明されていた機能の中には、パッケージを受け取る翻訳者は使えず、パッケージの作成者だけが使える機能がいくつかありました。SDL Trados Studio は、クライアントから、翻訳会社のコーディネーター、個人の翻訳者まで、さまざまな役割の人が使うツールです。全員がすべての機能を使うわけではなく、役割によって、よく使う機能、使う権限がない機能、使う権限はあるけれども使わない機能、などが変わってきます。SDL からの説明はとにかく全体を対象としていることが多いので、個人翻訳者、特にパッケージを受け取って作業するという人は、説明されている機能が自分に使える機能なのか、使えるとしても個人として使うべき機能なのか、といった点に注意する必要があります。
たとえば、今回の質問会では、以下のような説明がありました。
・略語の設定や分節規則で分節の区切りを調整する方法
・ファイルタイプを作成する方法
・Excel を翻訳ファイルに変換するときにセルの順序を変える方法
(質問会の中では順序は変えられないと説明されていましたが、ある程度は設定で変えられると思います。)
これらの機能は、パッケージを受け取って作業する翻訳者は使えません。もし、分節の区切りを変えて欲しい場合は、パッケージの作成者にお願いして作り直してもらう必要があります。
実際の仕事で翻訳会社さんに「パッケージを作り直してください」とお願いするのはちょっと勇気がいりますが、意外と簡単に対応してくれることもあります。単にコーディネーターさんが設定を忘れているだけ、という場合もあるので、「もし可能だったらでいいんですが〜」という感じで確認してみるといいかと思います。
ただ、複数の翻訳者さんがかかわっているプロジェクトの場合は難しいかもしれません。また、パッケージの再作成に応じてくれたとしても納期まで延ばしてくれることはまずないので、翻訳作業自体は進めておく必要があります。作業できるところの作業を進め、訳文をメモリにためておき、新しいパッケージがきたら自分のメモリから訳文あてる、といった対応は必要になります。
今回は、以上です。思っていたより長文になってしまいました。この記事では取り上げませんでしたが、今回の質問会では、最新バージョンである 2019 だけの機能がいくつか登場していました。もう 2020 年だし、アップグレードした方が良さそうな雰囲気ではあるのですが、私はもう少し 2017 で頑張ってみようと思っています。
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