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昔は「Trados さん、頑張って!」とお祈りしながら訳文生成していませんでしたか? 今も、たまにそんな気分になるときがあります。Trados って本当にわからないことばかりです。特に、日本語の情報は少ないですよね。いくら翻訳者とはいえ、日本語の情報が欲しいのです。Trados ユーザーの方々といろいろ情報交換できたらと思っています。




2020年01月10日

オンライン質問会から (2019年12月)

もうすっかり 2020 年ですが、去年の質問会での話題を取り上げたいと思います。

パッケージが開けない問題が解決されました


以前からたびたび書いていたパッケージが開けない問題ですが、バージョン 2017 でも解決したそうです。コミュニティでは、以下に投稿されていました。

Translation Productivity > SDL Trados Studio
Studio2017をアップデート後、返却パッケージが開けない

SDL Trados Studio 2017 SR1 CU18 (Build 14.1.10018.54792) に更新すればこの問題は解決します。私は、問題が発生していたパッケージを 2 つを試してみましたが、正常に開くことができました。当初は、バージョン 2017 での修正予定はないなどと冷たい対応でしたが、ちゃんと修正されたようです。良かったです。


カタカナの長音に関する正規表現


カタカナの長音は悩ましいスタイルの 1 つです。最近の私の仕事の範囲では長音を省略しない傾向が強くなってきているような気がしますが、面倒であることにあまり変わりはありません。今回の質問会では、便利な正規表現の例として、「サーバー」と「サーバ」が混在しているときに「サーバ」のみを検出する以下の表現が紹介されていました。

  サーバ[^ー]

私も以前はこの正規表現をよく使っていましたが、実は、これでは「サーバ」をすべて検出することはできません。この正規表現は、分節の最後にある「サーバ」にマッチしないのです。

下図は、サーバ[^ー] を QA Checker に指定した場合の例ですが、「サーバ」で終わっている分節はエラーになりません。「サーバ環境」と後ろに文字がある場合のみエラーになります。


57_1.png


私は、代わりに以下を使うようにしています。

  サーバ(?!ー)

私の理解の範囲で、ごくごく簡単にこの 2 つの正規表現の意味を説明すると、こんな感じです。

  サーバ[^ー] は、「サーバ」の後ろが「ー」以外の文字だったらマッチする
  サーバ(?!ー) は、「サーバ」の後ろに「ー」がある場合のみマッチしない

[^ー] は、「長音以外の文字」という意味なので、何か文字が存在していないとマッチしません。このため「サーバ」の後ろに何もなく分節が終わってしまっているケースは検出されません。後ろに存在する文字は、通常の文字でなくても、改行でもスペースでもいいんですが、とにかく何か文字っぽいものが存在する必要があります。

通常のエディター上のテキストの場合は、行末に改行があるので サーバ[^ー] でもあまり問題になりません。 しかし Trados の場合は、分節の最後に改行がないので今回のような問題が生じてきます。私は、以下のような正規表現を使っていたこともあります。

  サーバ($|[^ー])

$」は、一般的には文末を意味しますが、Trados の分節の終わりにもマッチします。なので、この正規表現を使えば分節の最後にある「サーバ」も検出されます。「$」が分節の終わりにマッチするというのは覚えておくとけっこう便利です。たとえば、「ピリオドで終わっている分節」などを検索できます。


パッケージを作り直してもらおう


今回の質問会で説明されていた機能の中には、パッケージを受け取る翻訳者は使えず、パッケージの作成者だけが使える機能がいくつかありました。SDL Trados Studio は、クライアントから、翻訳会社のコーディネーター、個人の翻訳者まで、さまざまな役割の人が使うツールです。全員がすべての機能を使うわけではなく、役割によって、よく使う機能、使う権限がない機能、使う権限はあるけれども使わない機能、などが変わってきます。SDL からの説明はとにかく全体を対象としていることが多いので、個人翻訳者、特にパッケージを受け取って作業するという人は、説明されている機能が自分に使える機能なのか、使えるとしても個人として使うべき機能なのか、といった点に注意する必要があります。

たとえば、今回の質問会では、以下のような説明がありました。

 ・略語の設定や分節規則で分節の区切りを調整する方法
 ・ファイルタイプを作成する方法
 ・Excel を翻訳ファイルに変換するときにセルの順序を変える方法
  (質問会の中では順序は変えられないと説明されていましたが、ある程度は設定で変えられると思います。)

これらの機能は、パッケージを受け取って作業する翻訳者は使えません。もし、分節の区切りを変えて欲しい場合は、パッケージの作成者にお願いして作り直してもらう必要があります。

実際の仕事で翻訳会社さんに「パッケージを作り直してください」とお願いするのはちょっと勇気がいりますが、意外と簡単に対応してくれることもあります。単にコーディネーターさんが設定を忘れているだけ、という場合もあるので、「もし可能だったらでいいんですが〜」という感じで確認してみるといいかと思います。

ただ、複数の翻訳者さんがかかわっているプロジェクトの場合は難しいかもしれません。また、パッケージの再作成に応じてくれたとしても納期まで延ばしてくれることはまずないので、翻訳作業自体は進めておく必要があります。作業できるところの作業を進め、訳文をメモリにためておき、新しいパッケージがきたら自分のメモリから訳文あてる、といった対応は必要になります。


今回は、以上です。思っていたより長文になってしまいました。この記事では取り上げませんでしたが、今回の質問会では、最新バージョンである 2019 だけの機能がいくつか登場していました。もう 2020 年だし、アップグレードした方が良さそうな雰囲気ではあるのですが、私はもう少し 2017 で頑張ってみようと思っています。



  


2019年12月11日

用語ベースが巨大すぎる!

先日のお仕事で Trados のプロジェクトに設定されていた用語ベースが、なんと 34 万語もありました。普通の「用語集」としてはあり得ない語数です。なぜこんなことになっていたかというと、UI のデータがそのまま用語ベースに入っていたからでした。こうした用語ベースは、翻訳者としては扱いにちょっと困ります。

UI のデータは、たいてい、画面上の要素 1 個につきレコードが 1 行存在する形になっています。たとえば「表示」というボタンが 10 画面に存在していて合計で 10 個あるとすると、データ上では「表示」というレコードが 10 行存在することになります。こうした形式のデータをそのまま用語ベースにしてしまうと、Trados の用語認識ウィンドウがこんな感じになります。


    56_7.gif


もうこうなると用語認識の意味がありません。しかも、Trados の用語認識機能は、用語ベースが大きい場合、すべての用語を検索してくれません。今回の記事では、こんな風になってしまう 34 万語の用語ベースをどう扱ったかをグチりたい、じゃなくて説明したいと思います。今回、私が行ったのは、以下の 3 つです。

 1. 重複する用語を削除する
 2. 用語ベースの検索設定を調整する
 3. Xbench を使って手動で検索する

最初から言っておきますが、最後は「手動で検索」しました。Xbench を使えばワンアクションですが、それでも多くの用語でそのワンアクションが必要でした。


1. 重複する用語を削除する


UI のデータをそのまま用語ベースにしてくる翻訳会社さんは多いので、重複を削除する処理はよく必要になります。ただ、今回はあまりにも量が多く、この削除が大変でした。私が重複を削除する方法として思い付くのは、以下の 3 つくらいです。

 (1) Glossary Converter でマージする
 (2) Excel で数式を使う
 (3) Excel で [重複の削除] を使う (大文字小文字を区別できない)


(1) Glossary Converter でマージする

用語ベース ファイル (.sdltb) を直接 Glossary Converter で処理します。これが最も簡単で便利だと思います。大文字小文字も区別できます。Glossary Converter は、SDL AppStore から無料でダウンロードできるアプリです。操作方法については、以前の記事「【後編】マイクロソフトの用語集を使いたい」も参照してください。

Glossary Converter を起動して [settings] をクリックすると設定画面が表示されます。[Merging] タブで [Merge Files] チェックボックスをオンにすると、重複する用語をマージできます。今回は日本語原文だったので、用語集の日本語のフィールドを設定してマージしてみました。


43_5.PNG


で、結果はというと、だめでした。原因は、メモリ不足。何回か試したのですが、毎回途中でエラーになってしまいました。ということで、Glossary Converter は諦めて Excel で処理することにしました。


(2) Excel で数式を使う

Excel で処理するには、当然ながら Excel ファイルが必要です。今回は、翻訳会社さんから用語ベース ファイル (.sdltb) だけでなく、Excel ファイルも提供されていたのでそれを使いました。もし、Excel ファイルが提供されていない場合は、Glossary Converter を使って用語ベースを Excel ファイルに変換します。

Excel には [重複の削除] という機能があり、実はこれを使えば重複しているデータを簡単に削除できます (後述します)。ただし、この機能は大文字小文字を区別しません。今回の用語ベースは UI であり、訳出では大文字小文字を区別する必要があったので、[重複の削除] ではなく、大文字小文字を区別できる方法を先に試しました。


56_11.gif


 A 列: 日本語
 B 列: 英語
 C 列: 日本語と英語を結合する
    数式 = A2&B2
 D 列: 日本語と英語の両方とも同じ用語が既にある場合は空白にする
    数式 = IF(SUMPRODUCT(--EXACT(C2,$D$1:$D1)),"",C2)

D 列の数式を簡単に説明すると、EXACT で大文字小文字も含めて一致しているかをチェックし、SUMPRODUCT を使った計算で D 列に既に存在していないかをチェックしています。

たいていの用語集はこれで処理できるのですが、今回はこの方法もだめでした。SUMPRODUCT は D 列全体をチェックすることになるので、34 万行は多すぎたようです。数式を入力した後、一向に結果が戻らず、カーソルがグルグルと回ったままでした。しばらく待っていましたが無理そうだったので、これも諦めました。(気長に待っていればもしかしたら成功したのかもしれないですが、待ちきれませんでした。)


(3) Excel で [重複の削除] を使う

仕方がないので、大文字小文字の区別は諦めて、[重複の削除] を使いました。さすがにこれは成功しました。で、重複を削除した後の語数はというと、約 15 万語でした。かなり減りました!


56_2.png


Excel で重複を削除した後、その Excel ファイルを用語ベース ファイルに変換し、プロジェクトに設定したら、こんな感じでした。だいぶすっきりしました。


   56_6.gif


2. 用語ベースの検索設定を調整する


でも、これで安心はできません。重複を削除しても、まだ 15 万語ですから。実は、作業をしているうちに、用語ベースに存在するのに用語認識されてこないものがあることに気付きました。そこで、用語ベースの検索設定を少し調整しました。


56_3.gif


[プロジェクトの設定] > [言語ペア] > [すべての言語ペア] > [用語ベース] > [検索設定] と選択すると上図の画面が表示されます。この画面で用語ベースの検索方法をいろいろと設定できます。この画面の設定については、以前の記事「用語ベースの設定」も参考にしてください。

用語が認識されてこない原因は、おそらく [検索レベル] です。「レベル」というのが実際に何を意味しているのかは不明ですが、数字を大きくした方が認識される用語は多くなります。ただ、すべての用語が認識されてくるとはいえないようです。

一応、ヘルプは以下のようになっていますが、「中規模」や「大規模」が具体的にどれくらいの語数を指すのかはわかりません。今回は、既定値の 200 を 500 に変更して作業しました (処理速度は、特に気になりませんでした)。ただ、あまりに用語が多いので [用語の重複を許可する] はオフにしました。


56_4.gif


いろいろ苦労したのですが、結局、用語認識で必ずすべての用語を認識するのは無理なのかなぁ、と思っています。[検索レベル] を 500 にしても、認識されてこない用語はありました。最大値は 999 ですが、ヘルプの文面からすると、最大値に設定したからといってすべて検索されるということではなさそうな気がします。


3. Xbench を使って手動で検索する


最後の手段は、Xbench での検索です。普段から、用語認識だけに頼らず、Xbench での検索を併用するようにはしていますが、それはあくまで念のためです。今回は、用語認識ウィンドウはいっぱいだし、大文字小文字を区別せずに重複を削除してしまっているし、[検索レベル] の影響で認識されていない用語もありそうだし、ということで Xbench での検索が多くなりました。

Xbench で検索をするためには、MultiTerm を使って用語ベースから xml ファイルをエクスポートして、それを Xbench に設定するという方法がベストかと思っています。この辺りの詳細は、またいずれ、ということにしたいと思います。


今回は、以上です。34 万語はとても困りました。ここで説明した方法は、あくまで「用語集に存在することを認識する」までの方法です。実際には、用語集に存在するなら元の Excel ファイルを参照してみたり、複数の選択肢があるなら前後も参照してみたり、とまだまだ作業は続きます。用語集もメモリも、適量以上にたくさんあっても翻訳者としては手間がかかるだけ、ということを強調したくて長い記事にしてみました。最後までお読みくださり、ありがとうございました。




  

2019年11月02日

新しいパソコンへの移行

もう 11 月になってしまいましたが、実は、消費税が上がる前に新しいパソコンを買っていました。我が家では同じ時期に洗濯機も購入していて、まさに「駆け込み」でした。それから、高機能な洗濯機に悪戦苦闘したり、台風が来たり、翻訳祭があったり、ということであっという間に 1 か月以上が過ぎ、ようやく今頃になって新しいパソコンへの移行が終わりに近づいてきました。

今回は、新しいパソコンを一式購入し、一から環境を構築しました。前の環境をコピーせず新規に作るのは面倒でしたが、心機一転、変なものが残っていないきれいな環境にするのもいいかなぁと思い頑張りました (というか、まだまだいろいろやり残しがあり、頑張っている最中です)。今回の環境は、Windows 10、Office 2016 (64 ビット版)、SDL Trados Studio 2017 で、手順はざっとこんな感じです。

 1. Windows のユーザー名を設定
 2. Office の 64 ビット版をインストール
 3. SDL Trados Studio 2017 をインストール
 4. Trados の設定を移行
 5. プラグインを移行、アプリは再インストール


1. Windows のユーザー名を設定


まずは、Windows の設定です。Trados を使う予定なら気を付けておきたいのが Windows のユーザー名です。 Trados では、コメントや変更履歴などに、問答無用で Windows のユーザー名が記録されてしまいます。これを Trados 側の設定で変更することはできません。詳しくは、以前の記事「Trados で使われるユーザー名」を参照してください。

私は個人の自宅で作業をしているのですが、前のパソコンではあまり考えず変な名前を付けてしまい、かなり後悔しました。コメントや変更履歴に記録されるユーザー名は、翻訳会社さん側で、誰のコメントなのか、誰の変更なのかを区別するために確認している可能性があり、変な名前にするとちょっと恥ずかしい思いをします。

ユーザー名に使う名前は、正直に本名でもいいですが、私は私本人が特定されないように「Translator A」のような汎用的な名前を使っています。コメントや変更履歴は、レビューアーなど外部の人にそのまま送られることが多いですし、sdlxliff ファイルに登録されたユーザー名は、処理方法によってはクライアントまで行ってしまう可能性があります。

実際には、知らない人の名前をメモリなどで目にしてもそれほど気にはならないですが、とは言っても自分の名前をあまり広くお知らせしたくはないので、なるべく名前が残らないように気を付けています。


2. Office の 64 ビット版をインストール


これまで Office は 32 ビット版を使っていましたが、思い切って 64 ビット版にしました。Trados が 64 ビット版をサポートしているのかどうかは調べてもはっきりとわからなかったのですが、まあ大丈夫だろうと思って入れてみました。

結果は、今のところ問題なく動いています。さすがに、Word のバイリンガル ファイルを使うことはもうないと思うので、大丈夫でしょう。

Office の 64 ビット版のインストールは少し手間取りました。「64 ビット版をインストールしよう」と決めて注意しながらインストール手順を進めたつもりでしたが、画面上の指示に従っていたらいつの間にか 32 ビット版がインストールされてしまいました。仕方ないので、32 ビット版をいったんアンインストールして、再挑戦しました。実は、下図の「その他のオプション」から選ぶことができました。わかりにくいよ〜 (T-T)


 53-1.png


3. SDL Trados Studio 2017 をインストール


いよいよ Trados のインストールです。私は、まだ 2017 のライセンスしかないので、SDL のサイトからダウンロードできる以下をインストールしました。

  SDLTradosStudio2017_SR1_44945.exe (SDL Trados Studio 2017 SR1 CU15)


これをインストールして、その後はアップデートしてはいけません!

※※※※※ 追記 2019/12/26 ※※※※※※※※※※※※※※※※※

ここで取り上げた問題は、2017 でも解決されました。

SDL Trados Studio 2017 SR1 CU18 (Build 14.1.10018.54792) に更新すれば、問題が発生しなくなると思います。私は、問題が発生していたパッケージを 2 つ試してみましたが、2 つとも無事に開くことができました。

かなり困っていたので、解決してホントに良かったです。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

アップデートすると、パッケージが開けなくなるという問題が発生します。詳しくは、こちらの記事「パッケージが「正常に」開かない」を参照してください。この問題は、全角文字がファイル名などに含まれる場合に発生しますが、かなり致命的です。(2017 で修正して欲しいので、しつこく書いてすみません。) コミュニティでの投票にご協力頂けると大変助かります (_ _)


試用版を有効に使いましょう!
さて、Trados をダウンロードしてインストールしてみたら、なんと試用版として使うことができました。試用版の存在はすっかり忘れていたので、これは嬉しい誤算でした。試用版が使えれば、同時に 2 つのパソコンで Trados を起動できるので、ライセンスのアクティベートと非アクティベートを繰り返す手間がなくなり、とても便利です。

試用版は 30 日間使えます。しかも、Professional 版の機能を使えます。試用版はライセンスをいったんアクティベートすると使えなくなるので、試用期間が終了するまでアクティベートはしないでおきます。ボタンが表示されてくると、ついつい癖でアクティベートしたくなりますが、そこは細心の注意を払って回避します。試用期間の途中でアクティベートしたらもったいないです。

で、2017 の試用期間が終わったら、今度は、2019 の試用版が使えるのではないかと思っています。そうすれば、約 2 か月は時間があることになるので、移行の面倒な作業をするのには便利そうです。


4. Trados の設定を移行


Trados をインストールできたら、ショートカット キーなどの設定を前の環境から移行します。方法は簡単です。以下のファイルを前の環境からコピーするだけです。

 C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Roaming\SDL\SDL Trados Studio\14.0.0.0\UserSettings.xml

この方法は、少し古い情報ですが「Ctrl/Shift shortcuts for cut, copy and paste」を参考にしています。今回の私の場合は特に問題ありませんでしたが、正式な方法とは言えないようなので、試す方は自己責任でお願いします (^_^;)

このファイルには、ショートカット キーだけでなく、AutoText の内容も含まれています。AutoText は、単体でインポート/エクスポートすることもできますが、このファイルをコピーしてしまえばその手間も省けます。

ただ、Trados のショートカット キーの設定は、かなり複雑で、面倒で、動きもなんだか不可解です。私は、長年使っているうちに、正直、何をどう設定したのかわからなくなってしまっています。今回は前の環境からコピーしましたが、新しい環境にしたらいっそのこと前の設定は捨ててまっさらな状態から始める、というのも一案かと思います。


5. Trados のプラグインを移行、アプリは再インストール


ここまでで Trados は使えるようになりましたが、まだプラグインとアプリが残っています。Trados に組み込んで使うプラグインは、フォルダーをコピーするだけでまとめて移行できます。1 つ 1 つインストールし直さなくても大丈夫です。Trados の外で動くアプリは、1 つ 1 つインストールし直すしか方法がなさそうです。

プラグインを移行するためにコピーするのは、以下の 2 つのフォルダーです。

 C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Roaming\SDL\SDL Trados Studio\14\Plugins\
  Packages
  Unpacked

基本的には、Packages をコピーするだけで大丈夫です。Unpacked は Trados が自動的に作成するらしいので、コピーしなくても問題ありません。

では、Unpacked は何かというと、各プラグインで行った設定などが格納されているようです。私は、Regex Match AutoSuggest Provider を使っていますが、このプラグインで設定していた正規表現は、Packages をコピーしただけでは復元されず、Unpacked をコピーしたら復元されました。

私の場合、設定が消えて困ったプラグインはこの 1 つくらいです。新しい環境での動作が不安な場合は、Packages だけをコピーして、Unpacked は Trados に作らせる、という方が安全かもしれないです。

さて、プラグインはこれで移行できたのですが、Trados の外で動くアプリは 1 つ 1 つインストールし直しました。PackageReaderSDLTMExportGlossary Converter などです。何をインストールしていたかなんてすっかり忘れているもので、実際に使おうとして、あぁこれもない、あれもない、となって徐々にインストールしていきました。


今回は、以上です。Trados 以外にも、辞書ツールとか、AutoHotkey とか、Trados 以外の CAT ツールとか、まだまだ格闘の日々は続きそうです。新しい環境を作るときはいつも、きれいに使っていこう、と思うのですが、そのうちぐちゃぐちゃになりよくわからなくなってしまうんですよね。で、もうよくわからないから、一気に新しい環境にしちゃおうとなって、結局、今回のような状態に陥っています。はぁ、進歩がないです。