私は、普段は ATOK を使っているのですが、先日、Windows Update をした後からなぜか Micorosoft IME が表示されてくるようになりかなり困っていました。そして、さっき、いろいろ試した末にやっと解決できました!
まずは、JustSystems さんの FAQ に従って、
「キーボードレイアウトの切り替え」のキーの割り当てがない
ことを確認しました。といっても、そもそも割り当てていなかったので、まあ、これでは解決しませんでした。
次に「Microsoft IME を削除する」という記事 (@IT) を見つけたので、
「キーボード」から Microsoft IME を削除
してみようと思いました。が、見てみると「キーボード」に登録されているのは ATOK だけで、Microsoft IME は登録されていませんでした。そういえば、この登録は、ATOK を最初にインストールしたときに削除した記憶があります。
というわけで、登録されていないのに Microsoft IME が表示されてくるという状態でした。仕方ないので、
いったん Microsoft IME を追加して、その後、改めて削除
してみました。そうしたら、これが大成功でした!! 削除した後は、Microsoft IME が表示されてくることがなくなりました。
この数日、何をあれこれ悩んでいたのか、、という感じではありましたが、とにかく解決できて良かったです。
Tweet
2019年07月30日
2019年07月28日
オンライン質問会から
先日、Trados のオンライン質問会に参加しました。今回は、その中から、私が気になった点をいくつか紹介したいと思います。詳しく調べてからきちんとした記事にしようかとも思ったのですが、すみません、記事をあげないと広告が表示されてしまうので、とりあえず、簡単な記事にさせてもらいます。
なりますよね!日本語のフォントを設定しても、設定画面を開くといつも Bislama が表示されてきます。私もこれには随分悩まされました。結論を言うと、表示が Bislama でも問題ありません。日本語に設定したフォントは、ちゃんと設定されています。ドロップダウンから改めて日本語を選んで、自分が設定したフォントが表示されてくれば大丈夫です。
詳しくは、こちらの記事「エディタ上のフォントを変える」もご覧ください。
XML の翻訳は、いろいろな設定がきちんとされていないととてもやりにくいです。「文書構造」を使うという案は私は思い付きませんでしたが、名案かもしれないです。SDL の方で改善要望をあげるということでしたので、早めに実装されることを期待します。
ただ、XML はファイルによっては文書構造がまったく表示されてこないこともあります。そうなると、もう何を訳しているのかわからなくて本当に困ります。そんなときに、私は次の 2 つを試してみます。
・プレビューを表示する
プレビューを表示すると、完成形の文書が見られることがあります。完成形が見られない場合でも、通常は、XML のタグがそのまま表示されます。タグが表示されれば、今何を訳しているかはわかります。Trados のプレビュー機能は、Office 文書などでは重すぎてあまり使えないですが、XML なら軽いので大丈夫です。プレビューを表示していても、エディタが変な動作になることはありません。
・表示フィルタを「すべてのコンテンツ」にする
プレビューを表示しても、エラーになってしまい XML そのものすら表示されてこないことがたまにあります。そんなときは、[レビュー] タブ > [表示フィルタ] で「すべてのコンテンツ」を選んでみると、翻訳対象文字以外のタグなどの要素が表示されてくることがあります。通常、表示フィルタは「すべての分節」に設定されていて、翻訳対象文字のある分節のみが表示されてくるようになっています。
表示フィルタを切り替えてタグが表示されてくるかどうかは、XML からバイリンガル ファイルへの変換方法によると思います。残念ながら、成功する可能性はあまり高くないですが、私はとりあえず試してみます。
SDL の回答としては、上記でも登場した表示フィルタを使用してロックを掛け、ロック部分を非表示にするというものでした。ただ、翻訳者としては非表示にすることにはあまり賛成できません。前後関係がわからなくなるので、とても訳しにくくなります。(非表示にするならまだしも、翻訳会社さんによっては、100% をそもそもバイリンガル ファイルに含めてこないことがあります。そうなると、いちいち Trados から離れて文脈を確認しないといけないので非常に効率が悪いです。)
また、ロックはとても便利ですが、翻訳者の立場からすると少し使いにくいです。というのも、翻訳会社さんからのファイルはたいてい既に一部の分節がロックされています。この状態で、翻訳者が勝手に分節をロックすると、そもそもロックされていた分節なのか、自分でロックした分節なのかがわからなくなり、元の状態に戻すことができなくなってしまいます。
ロック箇所は作業対象外として 0 円のことが多く、料金に直接関係してきます。私は、自分でロックしたいなぁと思うときは、まずコーディネーターさんに相談するか、元の状態に確実に戻せることを確認してから行うようにしています。
・それでも表示フィルタを使う
というわけで、表示フィルタとロックは、翻訳者にとってはあまり良い方法ではないのですが、それでも使いたいときはあります。Trados で使える表示フィルタは、実は 3 つあります。
@ [レビュー] タブの「表示フィルタ」
A [表示] タブから表示する「高度な表示フィルタ」
B プラグインの Community Advanced Display Filter
@「表示フィルタ」は最もシンプルで簡単に使えますが、1 つの条件しか設定できません。A「高度な表示フィルタ」は、条件も若干増え、複数の条件を設定できます。たとえば、「ロック解除されている 100%」や「100% とコンテキスト マッチ」 などの指定が可能です。B「Community Advanced Display Filter」はプラグインなのでインストールする手間がかかりますが、かなりいろいろな操作ができます。たとえば、100% 以外といった否定での条件設定も可能です。このプラグインについては、こちらの記事「■プラグイン■ フィルタで繰り返しを除外する」もご覧ください。
・ジャンプ機能を使う
分節をどうしても非表示にしたくない場合、私は表示フィルタは使わず、すべての分節を表示したままの状態でジャンプ機能を使うことがあります。
Ctrl+G で設定画面を表示して設定をしたら、Ctrl+J で次へ次へと進むことができます。「カテゴリ」と「ステータス」で表示フィルタと同じような条件を設定できます。ただ、「カテゴリ」と「ステータス」の両方の条件を同時に設定することはできません。またロックの条件はないので、ロック箇所を飛ばすことはできません。まあ、つまりはあまり使いやすくないのですが、役立つケースがないわけではないと思います。
今回は以上です。なんともまとまりのない感じになってしまいました。もし、何か良いアイデアや情報などありましたら、ぜひお知らせください。
Tweet
日本語のフォントを設定しても Bislama になってしまう
なりますよね!日本語のフォントを設定しても、設定画面を開くといつも Bislama が表示されてきます。私もこれには随分悩まされました。結論を言うと、表示が Bislama でも問題ありません。日本語に設定したフォントは、ちゃんと設定されています。ドロップダウンから改めて日本語を選んで、自分が設定したフォントが表示されてくれば大丈夫です。
詳しくは、こちらの記事「エディタ上のフォントを変える」もご覧ください。
XML で属性値を訳すときにタグを文書構造に表示して欲しい
XML の翻訳は、いろいろな設定がきちんとされていないととてもやりにくいです。「文書構造」を使うという案は私は思い付きませんでしたが、名案かもしれないです。SDL の方で改善要望をあげるということでしたので、早めに実装されることを期待します。
ただ、XML はファイルによっては文書構造がまったく表示されてこないこともあります。そうなると、もう何を訳しているのかわからなくて本当に困ります。そんなときに、私は次の 2 つを試してみます。
・プレビューを表示する
プレビューを表示すると、完成形の文書が見られることがあります。完成形が見られない場合でも、通常は、XML のタグがそのまま表示されます。タグが表示されれば、今何を訳しているかはわかります。Trados のプレビュー機能は、Office 文書などでは重すぎてあまり使えないですが、XML なら軽いので大丈夫です。プレビューを表示していても、エディタが変な動作になることはありません。
・表示フィルタを「すべてのコンテンツ」にする
プレビューを表示しても、エラーになってしまい XML そのものすら表示されてこないことがたまにあります。そんなときは、[レビュー] タブ > [表示フィルタ] で「すべてのコンテンツ」を選んでみると、翻訳対象文字以外のタグなどの要素が表示されてくることがあります。通常、表示フィルタは「すべての分節」に設定されていて、翻訳対象文字のある分節のみが表示されてくるようになっています。
表示フィルタを切り替えてタグが表示されてくるかどうかは、XML からバイリンガル ファイルへの変換方法によると思います。残念ながら、成功する可能性はあまり高くないですが、私はとりあえず試してみます。
パーフェクト マッチや 100% を除いて翻訳したい
SDL の回答としては、上記でも登場した表示フィルタを使用してロックを掛け、ロック部分を非表示にするというものでした。ただ、翻訳者としては非表示にすることにはあまり賛成できません。前後関係がわからなくなるので、とても訳しにくくなります。(非表示にするならまだしも、翻訳会社さんによっては、100% をそもそもバイリンガル ファイルに含めてこないことがあります。そうなると、いちいち Trados から離れて文脈を確認しないといけないので非常に効率が悪いです。)
また、ロックはとても便利ですが、翻訳者の立場からすると少し使いにくいです。というのも、翻訳会社さんからのファイルはたいてい既に一部の分節がロックされています。この状態で、翻訳者が勝手に分節をロックすると、そもそもロックされていた分節なのか、自分でロックした分節なのかがわからなくなり、元の状態に戻すことができなくなってしまいます。
ロック箇所は作業対象外として 0 円のことが多く、料金に直接関係してきます。私は、自分でロックしたいなぁと思うときは、まずコーディネーターさんに相談するか、元の状態に確実に戻せることを確認してから行うようにしています。
・それでも表示フィルタを使う
というわけで、表示フィルタとロックは、翻訳者にとってはあまり良い方法ではないのですが、それでも使いたいときはあります。Trados で使える表示フィルタは、実は 3 つあります。
@ [レビュー] タブの「表示フィルタ」
A [表示] タブから表示する「高度な表示フィルタ」
B プラグインの Community Advanced Display Filter
@「表示フィルタ」は最もシンプルで簡単に使えますが、1 つの条件しか設定できません。A「高度な表示フィルタ」は、条件も若干増え、複数の条件を設定できます。たとえば、「ロック解除されている 100%」や「100% とコンテキスト マッチ」 などの指定が可能です。B「Community Advanced Display Filter」はプラグインなのでインストールする手間がかかりますが、かなりいろいろな操作ができます。たとえば、100% 以外といった否定での条件設定も可能です。このプラグインについては、こちらの記事「■プラグイン■ フィルタで繰り返しを除外する」もご覧ください。
・ジャンプ機能を使う
分節をどうしても非表示にしたくない場合、私は表示フィルタは使わず、すべての分節を表示したままの状態でジャンプ機能を使うことがあります。
Ctrl+G で設定画面を表示して設定をしたら、Ctrl+J で次へ次へと進むことができます。「カテゴリ」と「ステータス」で表示フィルタと同じような条件を設定できます。ただ、「カテゴリ」と「ステータス」の両方の条件を同時に設定することはできません。またロックの条件はないので、ロック箇所を飛ばすことはできません。まあ、つまりはあまり使いやすくないのですが、役立つケースがないわけではないと思います。
今回は以上です。なんともまとまりのない感じになってしまいました。もし、何か良いアイデアや情報などありましたら、ぜひお知らせください。
2019年06月25日
用語ベースの設定
以前の記事 (前編、後編) でマイクロソフト提供の用語集を Trados の用語ベースに変換する方法を説明しました。そのときに、用語ベースを実際に使用するときに気を付ける設定を紹介すると予告していたのですが、遅くなりました (_ _) ようやくまとめました。
Trados の用語ベースや用語認識の機能はとても便利ですが、設定や動作を理解しないまま使っていると、せっかくの情報をうまく生かせず用語の見落としなどにつながることがあります。私個人的には、用語認識機能はあくまで補助的なものと考え、面倒でも自分で検索するのが安全かなと思っています。
今回は、マイクロソフトの用語集を使うときに特に注意したい設定も含め、用語ベース全般の設定をいくつか紹介します。
まず、[プロジェクトの設定] > [言語ペア] > [用語ベース] > [検索設定] の設定です。ここにある [用語の重複を許可する] をオンにします。この設定は、以前の記事「パッケージを受け取ったら、ココの設定を変えます」でも紹介しましたが、私はパッケージを受け取ったら必ず変更しています。
原文に「system administrator」という用語があったとします。[用語の重複を許可する] がオフの場合は、下図の左側のように「system administrator」という 2 語の一致しか表示されてきません。用語集に「system」や「administrator」という 1 語だけで登録があっても、それは用語認識ウィンドウに表示されてきません。つまり、長い用語が一致するとその長い用語だけが表示され、短い用語は表示されてこないのです。[用語の重複を許可する] をオンにしておくと、右側のように、長い用語に加えて短い用語も表示されてきます。
長い用語だけ表示されれば十分かと思いがちですが、翻訳会社さんから提供された用語集とマイクロソフトの用語集の両方を使う場合はこのオプションが欠かせません。たとえば、以下のように administrator が両方の用語集に登録されているとします。
・マイクロソフトの用語集: system administrator -> システム アドミニストレーター
・翻訳会社提供の用語集: administrator -> 管理者
[用語の重複を許可する] がオフの場合、「system administrator」という原文に対して用語認識ウィンドウに表示されてくるのは「システム アドミニストレーター」だけです。提供された用語集にある「管理者」は表示されてきません。これは非常に困ります。提供された用語集の用語を見落とす原因となってしまいます。
[プロジェクトの設定] > [言語ペア] > [用語ベース] > [検索設定] の設定をもう 1 つ紹介します。
マイクロソフトの用語集は大量なのでヒットする用語がかなり多くなります。また、上記の [用語の重複を許可する] をオンにすることもヒットが多くなる要因になります。一覧に用語が大量に表示されていると、用語を見落とす危険性が高まるので注意が必要です。
翻訳会社さんから提供された用語集とマイクロソフトの用語集の両方を使う場合は、用語ベースごとに表示を分けると安全です。そのための設定が [用語ベースごとにグループ化する] です。
同じ用語が上下に並ぶ表示の方がわかりやすいときもありますが、マイクロソフトの用語集はかなり大量にヒットしてくるので、「用語ごとにグループ化」にしていると、マイクロソフトの用語がずらっと並ぶ中に別の用語がポツポツと挟まるという表示になりがちです。そうなると、どうしても見落とす危険性があるので、私は「用語ベースごとにグループ化」を使っています。
しかし、この設定には 1 つ問題があります。それは、この設定が入力補助用のリスト ([翻訳の表示] コマンドまたは Ctrl+Shif+L で表示される) には適用されないことです。入力補助用のリストと用語認識ウィンドウで表示順序が違うことになるので、選択して入力するときに注意が必要です。ヒットが大量にあるとスクロールの量がかなり増え、返って手間になることもあります。
次は、マイクロソフトの用語集ではなく、主に翻訳会社さんから提供される用語集に役立つ設定です。用語認識ウィンドウには用語ベースに設定されている「フィールド」を表示できます。下図の「UI文言」や「一般用語」と表示されている部分がフィールドです。各用語についてのコメントなどが設定されていることが多いです。
参照する必要のあるフィールドがある場合は、たいてい、翻訳会社さんからそのように指示されます。おそらく、パッケージで事前に設定されていることが多いと思いますが、自分で設定する場合は、以下のようにします。
これで、設定されているフィールドの内容が表示されるようになります。ただ、用語認識ウィンドウは小さいので表示できてもあまり読みやすいとは言えません。用語ベースの元データが Excel などで提供されているなら元データを直接参照する方が便利な場合もあります。
さて、用語認識ウィンドウの設定をいろいろ説明してきましたが、一番重要なポイントは「用語認識を信用しすぎないこと」です。この機能は便利ですが、すべての用語が必ず認識されてくるわけではありません。
用語ベースの [検索設定] を見るとわかりますが、いろいろ設定があり、この設定によって用語認識の動作は変わります。用語認識は単純なテキストの一致で用語を見つけてくるわけではありません。
[2 文字の用語の認識を有効にする] はデフォルトでオフです。これがオフの場合、「in」や「my」など 2 文字の用語は用語集に登録されていても用語認識ウィンドウには表示されてきません。
また [一致率の最小値] という設定からわかるとおり、用語認識はメモリと同じようにあいまい一致の用語も表示してきます。単数形と複数形や動詞の活用などを考えるとあいまい一致は便利ですが、あいまい一致と気付かずそのまま使っていると危険です。
その他の設定についてもヘルプにはいろいろと説明がありますが、とにかく通常のテキスト検索とは動きが違うということを意識しておく必要があります。私は、用語認識はあくまで補助的なものと考え、単純なテキスト検索が行える Xbench などのツールを併用しています。
最後に、翻訳作業中に用語ベースに用語を追加するときの注意点です。原文と訳文でそれぞれの用語を選択して Ctrl+Shift+F2 または Ctrl+F2 を押すと、選択した用語を用語ベースに追加できます。この機能はワンアクションで用語を登録できるのでとても便利ですが、[プロジェクトの設定] で設定している用語ベースの順序に注意しておく必要があります。Ctrl+Shift+F2 と Ctrl+F2 はどちらも、プロジェクトの設定の一覧で一番上にある用語ベースに追加を行います。どの用語ベースに追加するかを選ぶことはできません。
このため、翻訳作業中に用語を追加したい場合は、あらかじめ追加用の用語ベースを一番上に置いておく必要があります。翻訳会社から提供された用語ベースは自分では変更を加えず参照だけする方が安全なので、追加用の用語ベースを自分で作成し、プロジェクトの設定で一覧の一番上に設定しておきます。
ただ、追加用の用語ベースを一番上に置くことには少し問題があります。それは、プロジェクトの設定の順序は用語認識ウィンドウに表示される順序に影響するからです。プロジェクトの設定で一番上に置いた用語ベースは、用語認識ウィンドウの一番最初に表示されてきます。なので、本来なら、翻訳会社さんから提供された用語ベースを一番上に置きたいところです。ですが、そうするとワンアクションで用語を登録することができません。まあ、そういう動きになるのはなんとなく理解はできるのですが、実際に作業していると、これがどうも気になって気になってイラッとしてきます。
以上です。ちょっと長くなりました。用語ベースの機能はとても便利ですが、それだけでは不安なこともあります。翻訳会社さんによっては、用語ベースをプロジェクトに設定してくるだけで、用語ベースの元データを提供してくれない場合があります。用語ベースの設定はもちろん必須ですが、それと合わせて元データも参照できる方がより安全です。
Tweet
Trados の用語ベースや用語認識の機能はとても便利ですが、設定や動作を理解しないまま使っていると、せっかくの情報をうまく生かせず用語の見落としなどにつながることがあります。私個人的には、用語認識機能はあくまで補助的なものと考え、面倒でも自分で検索するのが安全かなと思っています。
今回は、マイクロソフトの用語集を使うときに特に注意したい設定も含め、用語ベース全般の設定をいくつか紹介します。
用語の重複を許可する
まず、[プロジェクトの設定] > [言語ペア] > [用語ベース] > [検索設定] の設定です。ここにある [用語の重複を許可する] をオンにします。この設定は、以前の記事「パッケージを受け取ったら、ココの設定を変えます」でも紹介しましたが、私はパッケージを受け取ったら必ず変更しています。
原文に「system administrator」という用語があったとします。[用語の重複を許可する] がオフの場合は、下図の左側のように「system administrator」という 2 語の一致しか表示されてきません。用語集に「system」や「administrator」という 1 語だけで登録があっても、それは用語認識ウィンドウに表示されてきません。つまり、長い用語が一致するとその長い用語だけが表示され、短い用語は表示されてこないのです。[用語の重複を許可する] をオンにしておくと、右側のように、長い用語に加えて短い用語も表示されてきます。
長い用語だけ表示されれば十分かと思いがちですが、翻訳会社さんから提供された用語集とマイクロソフトの用語集の両方を使う場合はこのオプションが欠かせません。たとえば、以下のように administrator が両方の用語集に登録されているとします。
・マイクロソフトの用語集: system administrator -> システム アドミニストレーター
・翻訳会社提供の用語集: administrator -> 管理者
[用語の重複を許可する] がオフの場合、「system administrator」という原文に対して用語認識ウィンドウに表示されてくるのは「システム アドミニストレーター」だけです。提供された用語集にある「管理者」は表示されてきません。これは非常に困ります。提供された用語集の用語を見落とす原因となってしまいます。
用語ベースごとにグループ化する
[プロジェクトの設定] > [言語ペア] > [用語ベース] > [検索設定] の設定をもう 1 つ紹介します。
マイクロソフトの用語集は大量なのでヒットする用語がかなり多くなります。また、上記の [用語の重複を許可する] をオンにすることもヒットが多くなる要因になります。一覧に用語が大量に表示されていると、用語を見落とす危険性が高まるので注意が必要です。
翻訳会社さんから提供された用語集とマイクロソフトの用語集の両方を使う場合は、用語ベースごとに表示を分けると安全です。そのための設定が [用語ベースごとにグループ化する] です。
同じ用語が上下に並ぶ表示の方がわかりやすいときもありますが、マイクロソフトの用語集はかなり大量にヒットしてくるので、「用語ごとにグループ化」にしていると、マイクロソフトの用語がずらっと並ぶ中に別の用語がポツポツと挟まるという表示になりがちです。そうなると、どうしても見落とす危険性があるので、私は「用語ベースごとにグループ化」を使っています。
しかし、この設定には 1 つ問題があります。それは、この設定が入力補助用のリスト ([翻訳の表示] コマンドまたは Ctrl+Shif+L で表示される) には適用されないことです。入力補助用のリストと用語認識ウィンドウで表示順序が違うことになるので、選択して入力するときに注意が必要です。ヒットが大量にあるとスクロールの量がかなり増え、返って手間になることもあります。
フィールドを表示する
次は、マイクロソフトの用語集ではなく、主に翻訳会社さんから提供される用語集に役立つ設定です。用語認識ウィンドウには用語ベースに設定されている「フィールド」を表示できます。下図の「UI文言」や「一般用語」と表示されている部分がフィールドです。各用語についてのコメントなどが設定されていることが多いです。
参照する必要のあるフィールドがある場合は、たいてい、翻訳会社さんからそのように指示されます。おそらく、パッケージで事前に設定されていることが多いと思いますが、自分で設定する場合は、以下のようにします。
- 用語認識ウィンドウの上部にある [検索結果の設定] アイコンをクリックする。
- [検索結果の設定] ウィンドウが開くので、[フィールド] ボタンをクリックする。
- [フィールドの選択] ウィンドウが表示されたら、必要なフィールドのチェックボックスをオンにする。
これで、設定されているフィールドの内容が表示されるようになります。ただ、用語認識ウィンドウは小さいので表示できてもあまり読みやすいとは言えません。用語ベースの元データが Excel などで提供されているなら元データを直接参照する方が便利な場合もあります。
用語認識を信用しすぎない
さて、用語認識ウィンドウの設定をいろいろ説明してきましたが、一番重要なポイントは「用語認識を信用しすぎないこと」です。この機能は便利ですが、すべての用語が必ず認識されてくるわけではありません。
用語ベースの [検索設定] を見るとわかりますが、いろいろ設定があり、この設定によって用語認識の動作は変わります。用語認識は単純なテキストの一致で用語を見つけてくるわけではありません。
[2 文字の用語の認識を有効にする] はデフォルトでオフです。これがオフの場合、「in」や「my」など 2 文字の用語は用語集に登録されていても用語認識ウィンドウには表示されてきません。
また [一致率の最小値] という設定からわかるとおり、用語認識はメモリと同じようにあいまい一致の用語も表示してきます。単数形と複数形や動詞の活用などを考えるとあいまい一致は便利ですが、あいまい一致と気付かずそのまま使っていると危険です。
その他の設定についてもヘルプにはいろいろと説明がありますが、とにかく通常のテキスト検索とは動きが違うということを意識しておく必要があります。私は、用語認識はあくまで補助的なものと考え、単純なテキスト検索が行える Xbench などのツールを併用しています。
追加したい場合は、用語ベースの順序に注意
最後に、翻訳作業中に用語ベースに用語を追加するときの注意点です。原文と訳文でそれぞれの用語を選択して Ctrl+Shift+F2 または Ctrl+F2 を押すと、選択した用語を用語ベースに追加できます。この機能はワンアクションで用語を登録できるのでとても便利ですが、[プロジェクトの設定] で設定している用語ベースの順序に注意しておく必要があります。Ctrl+Shift+F2 と Ctrl+F2 はどちらも、プロジェクトの設定の一覧で一番上にある用語ベースに追加を行います。どの用語ベースに追加するかを選ぶことはできません。
このため、翻訳作業中に用語を追加したい場合は、あらかじめ追加用の用語ベースを一番上に置いておく必要があります。翻訳会社から提供された用語ベースは自分では変更を加えず参照だけする方が安全なので、追加用の用語ベースを自分で作成し、プロジェクトの設定で一覧の一番上に設定しておきます。
ただ、追加用の用語ベースを一番上に置くことには少し問題があります。それは、プロジェクトの設定の順序は用語認識ウィンドウに表示される順序に影響するからです。プロジェクトの設定で一番上に置いた用語ベースは、用語認識ウィンドウの一番最初に表示されてきます。なので、本来なら、翻訳会社さんから提供された用語ベースを一番上に置きたいところです。ですが、そうするとワンアクションで用語を登録することができません。まあ、そういう動きになるのはなんとなく理解はできるのですが、実際に作業していると、これがどうも気になって気になってイラッとしてきます。
以上です。ちょっと長くなりました。用語ベースの機能はとても便利ですが、それだけでは不安なこともあります。翻訳会社さんによっては、用語ベースをプロジェクトに設定してくるだけで、用語ベースの元データを提供してくれない場合があります。用語ベースの設定はもちろん必須ですが、それと合わせて元データも参照できる方がより安全です。
Tweet