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昔は「Trados さん、頑張って!」とお祈りしながら訳文生成していませんでしたか? 今も、たまにそんな気分になるときがあります。Trados って本当にわからないことばかりです。特に、日本語の情報は少ないですよね。いくら翻訳者とはいえ、日本語の情報が欲しいのです。Trados ユーザーの方々といろいろ情報交換できたらと思っています。




2024年09月01日

Trados Studio 2024 へのアップグレード (環境の準備)

先日、Trados Studio を 2022 から 2024 にアップグレードしました。ただ、実際に 2024 を使う段階にはまだ至っていないので、今回の記事では、アップグレードして環境を整えるまでの手順をざっと説明したいと思います。私は、Freelance 版 (Plus なし) を使用しているので、以下の説明はすべてこのエディションでのお話です。

手順は、ざっとこんな感じです。
 1. インストール後、アクティベーションはしない
 2. 一括タスクの「連続タスク」を作成
 3. ショートカット キーなどの設定を移行
 4. 各種アプリをインストール

 
1. インストール後、アクティベーションはしない

Trados Studio 2024 をインストールすると、製品のアクティベーション画面が表示されますが、この時点ではアクティベーションは行いません。初めて 2024 をインストールした場合限定ですが、インストール後の 30 日間は試用期間として Professional 版を利用できます。Freelance 版のライセンスしか持っていなくても、Professional 版を利用できるので、試用期間中はアクティベーションをせずに、試用を続けます。Professional 版では、パッケージの作成や、完全一致の適用が可能です。そして何より、一括タスクの「連続タスク」を作成できます (これについては、後述します)。


133_1.png


ライセンスを持っていても、30 日間の試用期間中はアクティベーションを行わず、画面右下の [トライアルを継続する] をクリックしてください。起動のたびにこの画面が表示されてしまうので少し面倒ですが、30 日間は頑張りましょう。



 
2. 一括タスクの「連続タスク」を作成

試用期間中の Professional 版を使ってやっておきたいことのひとつが、一括タスクの「連続タスク」の作成です。Professional 版では、各種の一括タスクを自由に選択してカスタムの連続タスクを作成できます。Freelance 版では、自分で連続タスクを作成することはできず、既定の連続タスクをそのまま使うことしかできません。

ただ、少し裏技的ですが、試用期間中の Professional 版で連続タスクを作成しておけば、その後、Freelance 版でアクティベーションをしても、作成した連続タスクはそのまま使用し続けることができます。すみません、今回の 2024 へのアップグレードで本当に使用し続けられるかどうかはまだわからないですが、前回のアップグレードではこれができたので、今回もできるのではないかと期待しています。

さて、私が欲しい連続タスクは、単純に「翻訳形式への変換」と「訳文言語へのコピー」だけをしてくれるタスクです。私が自分でプロジェクトを作成するときは、メモリの適用などはせず、まっさらな状態から作業を始めたいことが多いので、この単純な連続タスクはどうしても欲しいと思っています。

タスクが 2 つだけなら手動でそれぞれ実行してもよいのでは? と思うかもしれませんが、実際にやってみると個別に実行するのはかなり面倒です。新しい文書の翻訳を始めるときは、設定を変えながら「翻訳形式への変換」を何回か試すこともあるので、変換とコピーを一気に実行してくれるタスクがあると便利です。


連続タスクの作成方法

1) ファイル ビューで、対象のファイルを右クリックして [一括タスク] > [カスタム] と選択し、表示された画面で [連続タスク] ボタンをクリックします。


133_9.png


2) [連続タスク] 画面で [追加] ボタンをクリックすると、下図の連続タスクの編集画面が表示されます。ここで、新しい連続タスクを作成します。


133_3.png


3) 作成したら、ファイル ビューに戻り、[一括タスク] を選択すると、作成した連続タスクが表示されます。(今回は、「変換とコピーと解析」という連続タスクも作成しました。)


133_8.png


これで、連続タスクの設定は完了です。あとは、Freelance 版でアクティベーションした後も、このタスクが表示されてくることをお祈りしておきます。 (たぶん、大丈夫だろうと思っているけど、ちょっと不安です。)


 
3. ショートカット キーなどの設定を移行

次に、ショートカット キーなどの設定を以前のバージョンから移行します。今回は、ユーザー プロファイルを使って設定全体を一気に移行しました。ユーザー プロファイルの中には、ショートカット キーだけでなく、AutoText のエントリーや、エディターの色の設定も含まれています。

ユーザー プロファイルは設定全体を移行できて便利ですが、正直にいうと、この中にどのような設定が含まれているのかはよくわかりません。ショートカット キーも、私は長年使っているので、自分が設定したキーが原因で、Trados の動きがおかしくなっている可能性がないとも言い切れません。アップグレードを機会に、過去の設定をいったん忘れてクリーンな状態で始める、というのもよいかと思います。

それでも、やっぱり設定を一気に移行したい、という場合は、以下の手順でユーザー プロファイルを移行できます。


ユーザー プロファイルの移行方法

1) まず、2022 で現在のユーザー プロファイルをエクスポートします。[ファイル] > [設定] > [ユーザー プロファイルの管理] を選択し、以下の画面が表示されたら、[ユーザーの設定のエクスポート] を選択します。


133_5.png


2) 次の画面で、ファイルのパスと名前を指定し、設定をファイルにエクスポートします。

3) 次に、2024 でユーザー プロファイルをインポートします。エクスポート時と同じように、[ファイル] > [設定] > [ユーザー プロファイルの管理] を選択し、以下の画面が表示されたら、今度は [ユーザープロファイルの変更] を選択します。


133_6.png


4) 次の画面で、2022 でエクスポートしたファイルを指定します。あとは、ウィザードを進めていけば、設定が移行されます。

これで、以前に使用していたショートカット キーなどを新しいバージョンでも使用できるようになります。



 
4. 各種アプリをインストール

最後に、各種のアプリをインストールします。アプリは、[ようこそ] 画面の [RWS AppStore] からインストールできます。左側のメニューで [AppStore] を選択すると、インストールが可能なアプリが一覧されます。

この一覧には、2024 に対応していないアプリは表示されてきません。前回の記事で、2024 年 8 月 28 日現在の対応状況を紹介していますが、いつ対応するかはアプリによって異なります。RWS のチームが公式に提供しているものは、さすがに対応も早いですが、個人から提供されているものなどは、少し時間がかかる場合もあるようです。個人的には、XbenchRegex Match AutoSuggest Provider の対応を、強く、強く、強く、希望します。


133_7.png


一覧に表示されたアプリは、[ダウンロード] アイコンをクリックするだけで、自動的にインストールされます。インストールが終わったら、メッセージに従って Trados を再起動して完了です。


今回は、以上です。2024 を実際に使うようになったら、その機能なども徐々に紹介していきたいと思います。



  



  





2024年08月28日

Trados Studio 2024 アプリの対応状況

少し前に Trados Studio 2024 がリリースされたので、先日インストールしてみました。まだ、本格的には使っていませんが、次回あたりにはインストール手順などの記事を上げたいなと思っています。

今回は、現時点での各種アプリの対応状況だけ紹介しておきます。私はかなりアプリを使っているので、それらが 2024 に対応してくれるまで、2024 を実際の業務に使うことはできません。特に、以下に挙げた Xbench と Regex Match AutoSuggest Provider は、私の場合、必須です。RWS さん、どうか、早めの対応をお願い致します。

なお、以下の「未対応」と「対応」は、あくまで AppStore に表示されている情報です。実際に動くかどうかは試していませんので、あしからず。


未対応


Xbench
Xbench のプロジェクトを自動で作ってくれます。

Regex Match AutoSuggest Provider
AutoSuggest 機能を強化するアプリです(とっても便利です! これなしでの作業は考えられません)。

Comment View Plugin
コメントを Excel ファイルにエクスポートします。

SegmentSearcher
検索して、結果を別画面に一覧します。




対応済み


SDLXLIFF Compare
sdlxliff ファイルを比較して、差分を表示してくれます。

Trados Batch Anonymizer
コメントの作成者の名前を変更するために使っています。

DSI Viewer
文書構造情報を表示します。

Export to Excel
sdlxliff ファイルを Excel ファイルにエクスポートできます。

Studio Subtitling
字幕翻訳用アプリです。

Trados Translation Memory Management Utility
メモリ(sdltm ファイル)を TMX 形式に変換するために使っています。

SDLTM Import Plus
sdlxliff ファイルをメモリ(sdltm ファイル)にインポートするために使っています。






  






2024年07月15日

QA Checker の禁止文字に対する除外設定 (無理っぽい)

ちょっと時間があったので、Trados の長年の懸念事項を調べようと思ってやってみたけど、いろいろあって、結局だめだったお話。


英日翻訳のスタイルガイドで「コロンは全角」と指定されている場合は、QA Checker の禁止文字に半角コロン (:) を指定します。ただ、禁止文字に半角コロンを指定すると、ハイパーリンクに設定されている URL などの https:// もエラーになってしまいます。この false positive のエラーが長年の懸念事項でした。


除外の設定があるので、[文字列に基づく除外] に、URL を表す正規表現を指定してみる。(実は、この正規表現の指定にも少し苦労したのですが、それは Trados とは関係ないので、ここでは省略します。一応、この時点で、正規表現に間違いがないことは確認しました。)

[文字列に基づく除外] を設定しても、https:// は相変わらずエラーになる。Trados の画面上に [ヘルプ] ボタンがあったので、とりあえず、ヘルプを参照する。

日本語のヘルプが表示されたので、該当の説明を読むが、よくわからない。ヘルプを読むかぎり、やはり、[文字列に基づく除外] に URL を表す式を指定すれば、除外されそうな気がする。

それならばと、英語のヘルプを見ようと思ったが、ヘルプの表示言語をすぐには切り替えられない。言語の設定では English が選択されているのに、画面上は日本語が表示されている状態。

117_1.png


いったん言語の設定を日本語に切り替えると、ヘルプのトップページに戻される。そこで、表示言語を英語に切り替え、改めて目次をたどって、先ほどのページを表示する。(多言語対応のヘルプとしては、最悪の UX ですね、、)

英語のヘルプをよくよく読んでみて、もしかしたらこの除外は [原文のままの分節や空白の分節がないかチェックする][原文と訳文が同一] のチェックにしか適用されないのではないかと思い付く。

禁止文字のチェックにこの除外設定が適用されるかどうかを確かめようと思って、いつも自分で実験用に使っているサンプル プロジェクトを開く。

QA Checker の設定を開いてみると、読み取り専用だと怒られる。

117_2.png

ここで、先日クラウド機能を調べようと思って、プロジェクトをクラウドにアップロードしたことを思い出す。仕方がないので、メッセージに従い、クラウドの設定画面を開いてみる。

クラウドの設定画面はすぐに開けたが、そこには [文字列に基づく除外] の設定が存在しない。細かく探せばどこかにあるのかもしれないが、ざっと見た感じなさそうなので、クラウドでの設定をあきらめる。

117_3.png


クラウドにアップロードしたプロジェクトをローカルに戻す方法はないかと思って、右クリックのメニューなどを見てみるがなさそう。

プロジェクトをローカルに戻す方法を調べようかと思ったけれど、今使っているバージョンは 2022 で、少し前に新しいバージョンの 2024 もリリースされているので、クラウド機能をせっかく調べるなら、2024 をインストールした方がいいんじゃないかという考えが頭をよぎる。


と、ここまできたところで、もう時間もなくなってしまったので、あきらめました。結局、半角コロンの false positive は解決していません。一応、[文字列に基づく除外] 設定のことは後で調べてみようと思いますが、私の予想があたっているとすれば「解決しない」ことがわかるだけなので、その後はどうしたらいいでしょう?? 除外はできないですかねぇ。