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昔は「Trados さん、頑張って!」とお祈りしながら訳文生成していませんでしたか? 今も、たまにそんな気分になるときがあります。Trados って本当にわからないことばかりです。特に、日本語の情報は少ないですよね。いくら翻訳者とはいえ、日本語の情報が欲しいのです。Trados ユーザーの方々といろいろ情報交換できたらと思っています。




2022年09月30日

繰り返し処理にメモリは不要

しばらく更新が滞っておりました。今回は、繰り返しの処理を詳しく見ていきたいと思います。繰り返される文を自動的に処理することは翻訳メモリの代表的な機能のように思えますが、Trados に限っていえば、繰り返しの処理にメモリは不要です。メモリがなくても、エディタの機能だけで繰り返しは自動処理できます。

自動処理はできるのですが、この「自動」というのがやっかいです。実際に作業をしていると、自分が想定している「自動」と違って戸惑うことがよくあります。今回は、この自動動作に影響を与えている設定をいくつか紹介します。

まず、繰り返し処理の基本的な設定は [ファイル] > [オプション] > [エディタ] > [自動反映] で行います。これについては、以前の記事「CAT ツール比較:繰り返しの自動入力」を参照してください。今回は、これ以外の設定で自動反映の動作に影響を与えるものを主に取り上げます。



メモリは使わないが、メモリの設定は使う


最初に書いたように、繰り返しの自動反映にメモリは不要です。プロジェクトにメモリを 1 つも設定していなくても、以下のように自動反映は行われます。

97_image1.png


しかし、メモリがなくても、メモリの設定は使われます。この辺りが Trados のよくわからないところですが、メモリにはいろいろと重要な設定が存在し、それが使われます。

使われる設定は、メモリの [設定] から設定する「言語リソース」と、プロジェクト設定の [翻訳メモリと自動翻訳] から設定する「ペナルティ」です。どちらも、本来はメモリのための設定であり、繰り返しの自動反映のための設定ではありませんが、これらの設定が自動反映の動作に影響を与えます。


言語リソース


では、言語リソースの設定から見ていきます。この設定はメモリに付属するものですが、下図のように、メモリを 1 つも指定していないプロジェクトでは「既定の言語リソース」が使用されます。


97_image3.png




プロジェクトにメモリを設定した場合は、そのメモリの [設定] 画面から以下のような設定が可能になります。

97_image6.png




今回は、言語リソースの設定のためにダミーのメモリを 1 つ設定しました。おそらく、言語リソースを直接編集することも可能でしょうが、言語リソースをどう編集するのかとか、プロジェクトを作った後に編集してもその変更は反映されるのかとか、パッケージを受け取った場合はどうなるのかとか、いろいろ考えることが多くなりそうなのでダミーのメモリを使うことにしました。ただし、メモリとの 100% 一致が発生すると検証が面倒になるので、今回は [更新] チェックボックスをオフにしてメモリが登録されないようにしています。


97_image5.png




さて、言語リソースの設定で注意するのは [次を認識する] です。ここでチェックボックスがオンになっていないと繰り返しの自動反映でも認識がされません。ここに表示されている「日付」「頭字語」「変数」「英数字文字列」の詳細については、Trados のヘルプ「自動置換の例」を参照してください。ただ、その他の項目も含め、自動置換の動作はなかなか複雑でよくわからないことがたくさんあります。本当によくわからないので、すみません、今回は数字と頭字語だけに着目したいと思います。頭字語は、簡単にいうと「大文字の英字のみ」で構成される単語です。


97_15.png



たとえば、[数字][頭字語] のチェックボックスをオフにすると、自動反映の結果は以下のようになります。


97_image9.png


分節 6 〜 10 は数字の例です。数字を認識しない設定の場合、分節 6 と 7 はまったく同一なのでそれでも繰り返しと見なされますが、分節 8 〜 10 は繰り返しになりません。分節 11 〜 14 は頭字語の例です。これらも頭字語を認識しない設定にしていると、まったく同一でない限り繰り返しになりません。

認識しない設定にすると、むやみに自動反映されることがないので安全にはなりますが、正直にいって不便です。この設定は、繰り返しの自動反映だけでなく、メモリとのマッチや QuickPlace 機能 (ショートカット キーは Ctrl+Alt+下矢印または Ctrl+カンマ) にも影響します。ワード数やマッチ率への影響は要検討ですが、入力時の負荷だけを考えれば、たくさん認識してくれた方が助かります。

というわけで、私はいつもすべてのチェックボックスをオンにして作業しています。しかし、そうしていると繰り返しが無条件に自動反映されてしまうので、それを防ぐための手段は必要です。


少し余談ですが、プロジェクトの [翻訳メモリと自動翻訳] の設定や、メモリの [設定] から行う設定は、反映されるタイミングが実はよくわかりません。[次を認識する] のチェックボックスをオンにしても認識されなかったり、逆に、オフにしているのに認識されたりします。私が何回か試してみた結果としては、設定をした後、エディタでいったんファイルを閉じ、改めて開き直すと設定が反映されるような気がしています。今回の記事を書くためにいろいろ試したのですが、かなり混乱しました。


※※※※※※ 追記 2022/12/14 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

上記では、[次を認識する] のチェックボックスについてしか記述していませんでしたが、実は [自動置換] のチェックボックスも併せてオンにする必要がありました。すみません、[自動置換] の存在にまったく気づいていませんでした。詳細については、こちらの記事「タイピングを減らそう」を参照してください。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※





ペナルティ


むやみな自動反映を防ぐ手段の 1 つとして使えるのがペナルティです。設定する場所は、[プロジェクトの設定] > [言語ペア] > [すべての言語ペア] > [翻訳メモリと自動翻訳] > [ペナルティ] です。ペナルティを設定しておくと、マッチ率をペナルティ分だけ引き下げられます。「1」を設定しておけば、100% マッチでも 99% と見なされるのでさまざまな自動処理の予防になります。


97_16.png



今回注目するのは、既定でゼロになっている [自動ローカリゼーションによるペナルティ][テキスト置換によるペナルティ] の 2 つです。簡単に説明すると、「自動ローカリゼーション」は日付や数値の置換、「テキスト置換」は頭字語や英数字文字列の置換です。詳細については、Trados のヘルプ「TM ペナルティ」を参照してください。

先に説明した言語リソースで数字と頭字語を認識する設定にしていても、この 2 つのペナルティを「1」に設定すれば、繰り返しの自動反映は下図のように制限されます。まったく同一でない限り、ペナルティが効くので 100% マッチにならず自動反映はされません。


97_image9.png



でも、やっぱり自動反映したい


上記のペナルティは、当然ながら、繰り返しの自動反映だけでなく、メモリから訳文を入力するときの動作に影響します。このため、私は必ず全項目に「1」を設定して作業しています。数字が複数あったりすると自動置換の動作は信用できないので、必ず確認する必要があります。

必ず確認する必要はあるのですが、数字だけが違う分節がずらずらと並ぶ場合など、やっぱり自動反映してほしいときはあります。その場合は、最初に挙げたエディタの設定を変えます。


97_image12.png


[一致率の最小値] を「99」に設定し、[ユーザーへの確認メッセージ] が「常に」表示されるようにします。これで、ペナルティが効いて 99% マッチになっても自動反映が行われ、確認メッセージが毎回表示されるようになります。

注意点として、一致率の最小値を引き下げるとかなり危険な動作になることを心しておいてください。ペナルティではなく、通常の文字の違いで 99% マッチになっているものも自動反映されるので、これはあくまで一時的な設定という扱いにし、必要でなくなったらすぐに元に戻します。

確認メッセージは下図のように表示されます。「99%」の下に表示されている青色のマークは自動ローカリゼーションで置換が行われたことを示しています。(ただし、どこが置換されたのかはわかりません。そこは自分で確認するしかありません。)


97_image14.png


このメッセージはすべての繰り返しについて毎回表示されますが、本当に確認が不要な場合は、[すべてはい] をクリックすることで一気に自動反映を適用できます。



で、結局どう設定すればいいの?


繰り返しの自動反映に関する設定の説明は以上です。繰り返しの処理にメモリは不要ですが、メモリの設定は使われるのでいろいろな注意が必要です。

私は、たいてい以下のように設定して作業しています。


  言語リソース
    ・ すべての項目を認識する (すべてのチェックボックスをオン)

  ペナルティ
    ・ すべての項目に「1」を設定する

  エディタ
    ・ 一致率の最小値は「100」
    ・ 確認メッセージは「常に」表示する


上記のように設定した場合、まったく同一でない限り繰り返しの自動反映は行われません。ただ、今回は検証のためにメモリの更新をオフにしていましたが、通常はメモリに訳文を登録しているので、繰り返しとして自動反映がされなくても、メモリから訳文を入力できます。どうしても不便な場合は「一致率の最小値」を引き下げますが、これは危険なのでむやみには行いません。


今回は以上です。繰り返し処理の設定はかなり複雑で、私は今も試行錯誤することがあります。繰り返しがほとんど発生しない文書も多いので、設定しては忘れ、またいろいろ試す、ということを繰り返しています。





  


2022年08月15日

パッケージを受け取ったら、まずココを確認しよう

今回は、このブログの開設当初に書いた記事を書き直してみました。Trados のバージョンが上がるにつれてインターフェイスが少しずつ変わってきていることに加えて、当時書いた記事を今になって見ると少々お粗末な内容に思えたので、改めて書くことにしました。

翻訳会社さんからパッケージを受け取ったら、まずはそれを開き、中に含まれている翻訳ファイル、メモリ、用語ベースを確認します。パッケージでのデータの受け渡しは、何かの都合でうまくできないこともあるので、パッケージを受け取ったらなるべく早く中身を確認します。いざ作業を始めようとしたらパッケージが開かなかった、なんてことにならないようにしましょう。



翻訳ファイル


まずは、翻訳ファイルを確認します。翻訳ファイルはプロジェクトの [ファイル] ビューから確認できますが、最初に [ファイル] ビューの表示設定を整えておかないと見たい情報がうまく表示されません。詳細については、以前の記事「ファイル ビューをカスタマイズする」を参照してください。



確認の前に ― ファイル ビューの設定を変える

[サブフォルダを含める] チェックボックスをオンにする: このチェックボックスは既定でオフです。この状態では、フォルダーごとにしかファイルを表示できずとても不便です。オンにすると、全フォルダー内の全ファイルを一気に表示できるようになります。ファイルが階層構造になっている場合の表示方法については、上に挙げた記事「ファイル ビューをカスタマイズする」を参照してください。

レイアウトを [ファイルの詳細のレイアウト] に変える: 選択しているレイアウトによって、一覧に表示される項目が変わってきます。[ファイルの詳細のレイアウト] を選択すると、パス、サイズ、翻訳対象かどうか、などが表示されるので便利です。

95_1.png

[ファイル] ビューの準備が整ったら、早速、詳しい確認をしていきましょう。



ファイルがすべて揃っているかを確認する

最初に、ファイルがすべて揃っているかを指示書や発注書を参照しながら確認します。ファイルが多くて 1 つ 1 つ確認できない場合は、ファイルの総数だけでも確認します。総数を確認するには、画面上部の一覧で全ファイルを選択し、画面下部で [ファイルの詳細] タブを表示します。これで、ファイルの総数が表示されます。

95_2.png

翻訳会社は、1 つのプロジェクトを複数の翻訳者に分割することがあり、そのときのファイルの分配は手動で行っている場合があります。ファイルが間違っているなんてことはさすがにめったにありませんが、それでも念のため確認しましょう。



ファイルを開いてみる

ファイルが揃っていることが確認できたら、次は実際にファイルを開いてみます。まれに、エラーでファイルが開けないこともあるので、実際に開いてみることをお勧めします。よくあるエラーは「依存関係ファイルが見つかりません」です。このエラーが出た場合の対処方法については、他のブログなどでも紹介されているので検索してみてください。

ファイルがたくさんあって全ファイルを開くことが難しい場合は、「ファイルの種類」ごとに、「サイズが最も大きいもの」を開いてみます。Trados は「ファイルの種類」が違うと動作が大きく変わるため、たとえば、プロジェクトの中に Word ファイルと HTML ファイルがある場合は、最低でも、Word ファイルと HTML ファイルを 1 つずつ開いてみます。そして、サイズが大きいほどエラーになる可能性が高いので、サイズが大きいファイルを試すようにします。



プレビューをしてみる

ファイルを開くことができたら、次に、プレビューまたは訳文生成ができるかを確認します。プレビューができれば、たいていは訳文生成もできるので、私は手軽なプレビューを試してみます。私の経験上、Trados でプレビューができないことはよくあります。Trados さんを過信せず、確認してみるのが安全です。

PowerPoint などの場合、プレビューなしで翻訳するのはかなり難しくなります。このため、私はプレビューができないときは早めに「自分の環境ではプレビューができません」と翻訳会社に連絡するようにしています。

プレビューができない原因は、Trados のバージョンだったり、原文ファイルを作成するアプリケーション (Office など) のバージョンだったり、何か特殊なデータ構造だったり、といろいろあって翻訳者側で調べてもわからないケースがほとんどです。パッケージの作成者はプレビューができないことに気付いていない (もしくは、作成者の環境ではプレビューができる) こともあるので、まずは連絡してみることが大切です。




翻訳メモリ


翻訳ファイルの確認ができたら、次にメモリを確認します。確認する場所は、[プロジェクトの設定] -> [言語ペア] -> [すべての言語ペア] -> [翻訳メモリと自動翻訳] です。



アップグレードする

Trados は 2017 SR1 あたりからメモリの構造が大きく変わっているので、それ以前のバージョンで作成されたメモリを使う場合はメモリをアップグレードする処理が必要になります。翻訳会社さんが古いバージョンを使い、自分が新しいバージョンを使っているようなケースでこのアップグレードが必要になります。メモリのアイコンに黄色い警告マークが表示されていたら、そのメモリを選択し、右上の [アップグレード] ボタンを押してアップグレードします。(ただし、メモリのサイズによっては処理に相当な時間がかかります。)

95_3.png



エラーがなく有効であることを確認する

各メモリについて、エラーが表示されていないこと、 [有効] チェックボックスがオンになっていることを確認します。[有効] チェックボックスがオンになっていないと、メモリが設定されていてもそのメモリは使用されません。

95_4.png

もしエラーが表示されている場合は、メモリ名の上にマウスポインターを置くとメモリのパスが表示されるので、正しいパスになっているかを確認します。ごくたまにですが、パッケージ作成者のローカルのパスになってしまっていることがあります。



メイン メモリは提供されないこともある

翻訳会社によっては、メイン メモリの一部を抽出した「プロジェクト用翻訳メモリ」を使用してくる場合があります (プロジェクト用翻訳メモリの詳細については、公式ブログを参照してください)。この場合、メモリが巨大すぎるなどの理由から、翻訳会社側が意図的にメイン メモリをパッケージに含めてこないことがあります。

もちろん、翻訳者としてはメイン メモリも提供して欲しいので、メイン メモリが無効になっていたら、私は念のため、意図的なのかどうかを翻訳会社に確認するようにしています。




用語ベース


最後に用語ベースを確認します。用語ベースは、設定がされていなくても普通に作業を進められてしまうので、作業を進めてしまってからあれっと思ったりすることがないよう、最初にきちんと確認しましょう。確認する場所は、翻訳メモリの場合と同じく [プロジェクトの設定] の中です。[言語ペア] -> [すべての言語ペア] と選択して [用語ベース] を確認します。

95_5.png

緑色のチェックマークが表示されていれば OK です。エラーが表示されていたら、メモリのときと同じように、用語ベース名の上にマウスポインターを置いてパスを確認します。メモリと同様、[有効] チェックボックスも確認してください。



用語認識されるかを確認する (この確認は、後回しでもよい)

できれば、翻訳ファイルを開いて、用語認識機能が正常に機能するかを確認します。ただ、この確認を行うには、用語ベースに登録されている用語を含む分節を見つけなければならず、少し手間がかかります。また、用語認識の動作はかなり不安定で、まったく認識しなかったり、画面を開き直したら認識するようになったり、といった現象もしばしばです。

このため、パッケージを受け取った時点の確認としては、用語ベースのファイルが存在するかだけでもよいと思います。その後、作業を始める段階になって、詳しい確認をするようにします。



今回は以上です。私のこれまでの経験からすると、翻訳メモリと用語ベースの設定ミスはそれなりの頻度で遭遇します。コーディネーターさんは複数のプロジェクトを同時進行していて、非常に、非常に忙しいこともあるので、翻訳者としては「たぶん大丈夫だろう」ではなく、「何か間違っているかもしれない」と思って確認するほうが安全です。






  




2022年07月05日

ブラウザーを便利に使おう

今回は、Trados をちょっと離れて、私が普段使っているブラウザーを紹介したいと思います。「ブラウザー」をご存じない方はいないと思いますが、IT に詳しい人に「インターネット見るやつ」とか、「検索するやつ」とか言って渋い顔をされた経験のある人はいるのではないでしょうか。私は、「へぇ。インターネット見れちゃうんだ、すごいね」などと返されたことがありますが、最近はいろいろと多機能なので、ただ「インターネットを見る」のも大変です。

私が最近使っているブラウザーは、Edge、Chrome、Vivaldi の 3 つです。仕事用アカウントを関連付けてメインに使っているのは Edge、プライベート用アカウントを関連付けて適当に使っているのが Chrome、そして Vivaldi は、つい先日になって使い始めました。Vivaldi は、だいぶ以前に翻訳者さんたちの間で辞書を並べて見るのに便利と紹介されていたのをちらっと見かけたことがあったのですが、最近になってそのことを思い出して使ってみました。この「並べて見る」機能は辞書の参照に限らず本当に便利なので、まずは Vivaldi から紹介します。


Vivaldi ― タイル表示がとても便利


Vivaldi をインストールして起動してみると、その機能の多さに圧倒されます。ただのブラウザーのはずなのにボタンがたくさんあって、正直、どこからどう操作したらよいのかよくわかりません。とりあえず、私が Vivaldi でしたかったことは、「並べて見る」機能を使って日本語ページと英語ページを同時に参照することだったので、まずはその方法を調べて使ってみました。今のところ、まだその機能を使ってみただけです。設定などもすべて既定のままです。

複数のページを並べて表示することを、各ページをタイルのように表示するという意味で「タイル表示」または「タイリング」といいます。たとえば、2 つのページを並べて表示するには、表示したい 2 つのページをそれぞれ普通に表示し、その 2 つのタブを選択して、右クリックのメニューから [2 個のタブをタイリング] を選択します。


94_1.png




これだけで、下図のように 2 つのページが並んで表示されます。左右の位置は、タブをドラッグすれば入れ替えられます。もちろん、タブを増やせば、同時にたくさんのページを日英のセットで開くことが可能です。


94_2.png




ウェブページだけでなく、ローカルにある PDF ファイルも並べて表示できます。これは、参考資料として日英のファイルが提供されているときなどにとても便利です。


94_3.png




同じファイルを 2 つずつ開いて 4 つのタブをタイリングしておけば、同じファイル内で別のページを見比べたいときなどに役立ちます。


94_5.png




さらに、たくさん開いたタブは「ウィンドウ」として履歴に残ります。左端の [ウィンドウ] アイコンをクリックするとメニューが開くので、そこから対象のウィンドウを右クリックして [再度開く] を選択すれば、そのウィンドウ内のすべてのタブを一気に再表示できます。タイリングした状態もそのまま維持されています。


94_6.png




ただ一つ問題なのは、同時スクロールができないことです。タイリングしたタブは「タイル」として個別に表示されているだけで、同時スクロールのような連携機能はないようです。日本語と英語でページの構造が大きく異なる場合もあるので、同時スクロールが毎回必ず便利に機能するとは限りませんが、それでも、同時スクロールができたらいいなあと思います。



Chrome ― 拡張機能を追加する


さて、次に Chrome です。といっても Chrome はあまりに定番すぎて、ここで改めて取り上げる機能は思い付かないので、私が使っている拡張機能を少しだけ紹介します。なお、構成の都合上「Chrome」の拡張機能として紹介しますが、今は Edge も Chromium ベースになっているので同じ拡張機能を Edge にも追加できます。実際、私も両方に追加して使っています。


Google 検索キーボード ショートカット

Google 検索の結果ページをキーボードで操作するための拡張機能です。この拡張機能を追加すると、下図のように青色の矢印アイコンが表示されるようになります。これを、キーボードの矢印キーなどで移動し、Enter キーを押してリンク先にジャンプします。この拡張機能はその名前のとおり、Google 検索の結果ページでしか機能しません。私は当初、何とかブラウザーをキーボードで操作したいと思って機能を探していたのですが、いろいろと複雑であまり良いものが見つからず、結局この拡張機能を使うようになりました。Google 検索以外のページは今のところマウス操作です。


94_7.png



私は、この拡張機能を使うようになって初めて [Tools] の [Verbatim] という機能を知りました (恥ずかしながら、今まで [Tools] の存在にも気付いていませんでした)。英語の Verbatim は「一言一句そのままに」というような意味ですので、このオプションを選択すると検索語と完全一致する結果を得られます。二重引用符と効果はほぼ同じように思えますが、Verbatim は、スペルミスの修正なども行われず、二重引用符よりさらに強力な完全一致のようです。複数の単語を検索する場合に、1 つ 1 つ二重引用符で囲むのが面倒なときは Verbatim を使うと便利です。

94_8.png




Pasty: クリップボード内の URL を新規タブで開く


94_9.png


Pasty は、クリップボードにコピーした URL を新しいタブで開いてくれる拡張機能です。複数の URL をコピーすると、一気に複数のタブが開かれます。アイコンのクリックでも機能するようですが、私はキーボード ショートカット キーを設定しています。ショートカット キーを設定するには、拡張機能をインストールした後、ブラウザー右上の設定アイコンから、[その他ツール] > [拡張機能] と選択し、右側のメニューで [キーボード ショートカット] を選択します。

ただ、Chrome にショートカット キーを設定するだけでは、毎回 Chrome のウィンドウをアクティブにしてからショートカット キーを入力する必要があり、少し面倒です。このため、私は Chrome に設定したショートカット キーをさらに AutoHotkey に設定して使用しています。もちろん、AutoHotkey だけでも「クリップボード内の URL をブラウザーで開く」操作は可能だと思いますが、それを実行するスクリプトは私にとっては少々高度なものになってしまいます。そこで、この拡張機能の力を借りて、AutoHotkey 側は「Chrome のウィンドウをアクティブにして、設定したショートカット キーを入力する」という操作だけで済むようにしています。これなら、スクリプトも難しくありません。(難しくはないですが、すみません、私は AutoHotkey のスクリプトについては人に説明するほど詳しくないので、具体的な方法はご自身で検索してみてください。詳しい解説がたくさん見つかるはずです。)



Edge ― 新しい機能もある


では、最後に Edge です。先日、IE がサポート切れになりましたが、私は IE からの流れでそのまま Edge を使っています。企業内では、IE のみという環境も珍しくなかったですし、今も Edge が主流の環境はあると思います。昔は、Chrome と Edge で表示が大きく異なることがたびたびありました。今はどちらも同じ Chromium ベースになり以前ほどではなくなったと思いますが、それでもブラウザーによる違いが生じる可能性はあるので、念のため両方のブラウザーを使うようにしています。


垂直タブ

Edge では、開いているタブをウィンドウの上部ではなく、左端に縦に並べることができます。私はたくさんのタブを開きっぱなしにすることが多いですが、垂直タブのほうが使いやすいような気がします。といっても、機能性に劇的な違いはないので、私の場合は単に、Chrome と Edge の両方を開いているときにどちらなのかをすぐに見分けるための目印となっています。垂直タブを表示するかどうかの設定は、[設定] > [外観] > [ツール バーのカスタマイズ] で行います。


94_10.png



コレクション

[設定] > [コレクション] と選択すると、下図のようなペインが右側に表示され、開いているタブをいくつかのコレクション (グループのようなもの) に分けて保存できます。案件ごとに関連するサイトをまとめて保存しておくと便利です。後から参照するために保存するという点ではブックマークと同じような機能ですが、コレクションのほうが、ページのサムネイルのようなものが表示され、一覧性もあるので見やすいかもしれません。(詳細については、Microsoft Edge「コレクション」機能の使い方。「お気に入り」との違いは? | できるネット の記事がわかりやすいです。)


94_11.png


私は、案件ごとに参考になるページをまとめたりしていましたが、Vivaldi を使い始めてからはあまり使わなくなっています。Vivaldi では、複数のタブが 1 つの「ウィンドウ」として履歴に残るので、いちいちコレクションに保存するのが面倒になってしまいました。まあ、Vivaldi の機能はあくまで履歴なので、きちんと残しておきたければ、やはりちゃんと保存しておく必要があるでしょう (ただ、そうなると今までのブックマークでよくない?と思わなくもないです)。


今回は以上です。ブラウザーはほぼ毎日使うとても重要なツールですが、あまりにもよく使うので、慣れきってしまっていて、実は非効率的になっているかもしれません。今回、Vivaldi という新しいブラウザーを使い始めたことからこの記事を書いてみましたが、これを機に少し見直してみようかと思っています。