2012年06月19日
スルー・ザ・ロッキン50s
久しぶりにこの人を聴きました。
現役スワンプ・ポップ・シンガーのWayne Foretさんです。
本盤は、99年にCSP Recordsからリリースされたものですが、当時の新録ではなく、73年初出のLPをCD化したものらしいです。
この人が70年代にLPデビューしていたとは知りませんでした。
Wayne Foretは、Clyde McPhattarも得意としている人ですが、スタイルとしては、ほぼFats Dominoマナーの人で、ゆったりしたその歌声にはいつも癒されます。
1. I Trusted You
2. No More Loneliness
3. Caldonia
4. I Won't Cry
5. I Cried Last Night
6. Margie
7. Just A Game
8. Stranger To You
9. Have You Ever Had The Blues
10. Somebody Show Me The Way Home
11. Mr. Sandman
12. Ready, Willing And Able
全12曲、ニューオリンズR&B、またはスワンプ・ポップのエッセンスで満たされた温泉にどっぷり浸かる、そんなひと時を過ごせるアルバムになっています。
全体的にイナタさ満点ですが、思ったほどB級ぽさは希薄です。
もっとユルイ展開かと予想していたところ、曲のテンポこそほっこりですが、バンドの演奏はタイトでした。
収録曲は、曲名のみで一切クレジットがありません。
有名曲も混じっていますが、激渋のナンバーが多数入っています。
ただ、スワンプ・ポップやニューオリンズR&Bファンなら、どこかで見かけたような曲名を見て心が騒がずにいられないでしょう。
分かる範囲で書いていきます。
まずは有名曲から
3. Caldonia
4. I Won't Cry
5. I Cried Last Night
11. Mr. Sandman
"Caldonia"は、もちろんLouie Jordanの大有名曲です。
でも、ここでのアレンジは、ルイ盤よりもゆったりとしたテンポで、ニューオリンズR&B版"Caldonia"と言いたいです。
この曲特有の挑発的なボーカル・スタイルは抑えられ、まったりゆるく歌われています。
こういうのも、たまにはありでしょう。
"I Won't Cry"は、何と言ってもDoug Sahmの名唱が忘れられません。
Doug Sahmの名盤ソロ、"Juke Box Music"のオープニング曲でした。
原曲は、Johnny Adamsで、彼は二度吹き込んでいます。
Johnny Adamsは技巧派のソウル・シンガーで、私はDoug盤を初めて聴いたとき、なるほどJohnnyらしい歌い方、フェイクをうまく取り入れてるなあ、そう感じました。
ところが、Johnny盤を聴き返すと、Dougがやっていたフェイクは、ごくごく控えめにしかやっていず、驚いたことを思い出します。
Dougは、いかにもJohnnyがやりそうな歌い方をデフォルメしていたんですね。
さすがDoug Sahmだと言うほかないです。
Wayne盤は、Doug盤、Johnny盤に比べると若干見劣りしますが、アベレージでしょう。
"I Cried Last Night"は、すぐには気付きにくいですが、よく聴けばCookie & the Cupcakesの"I Cried"だと分かります。
Cookie & the Cupcakesのレパートリーの中では、比較的ロックンロール調の曲です。
Wayne盤は、原曲よりもかなりゆったりしたテンポでやっていて、Fatsスタイルの演奏に仕上げています。
"Mr. Sandman"は、Jimmy Donleyの"Please Mr. Sandman"ですね。
この曲の作者クレジットはHeuy P. Meauxですが、Donleyが書いた曲を買い上げた可能性が高いと私は思います。
この曲は、ガルフコーストの人気曲で、Sunny & Sunlinersもやっていました。
もちろん、Doug SahmもFreddy Fenderも、ついでにJoe King Carrascoもやっています。
次に渋い選曲を…。
1. I Trusted You
2. No More Loneliness
6. Margie
7. Just A Game
8. Stranger To You
9. Have You Ever Had The Blues
"I Trusted You"と"Stranger To You"は、Johnnie Allanのレパートリーです。
"I Trusted You"は、Jimmy Clantonに同名曲がありますが、こちらは、多分Johnny Allanの方だと思います。
"No More Loneliness"は、現役スワンプ・ポップ・シンガーのGary Tが息子と組んだユニット、Duece of Heartsのレパートリーだと思います。
今、手元にアルバムがないのですが、Gary Tは自作曲が多いため、彼の作品だと思います。
"Margie"は、Fats Dominoのレパートリーですね。
ただ、元々はエリントン・ナンバーかも知れません。
Fatsスタイルの曲は、Wayneにとって安心安定の選曲で、至福の和みの時間を提供してくれます。
"Just A Game"は大好きな曲です。
Jimmy Donleyのレパートリーで、作者はやはりHeuy P. Meaux名義ですが、これは間違いなくDonleyの作品だと思います。
共作者がDonleyととても近い人で、二人は他にもいくつか共作しています。
このパターンの曲は、ほぼDonleyからMeauxが買い上げたケースだと思います。
本盤は、三連曲のオンパレードですが、この曲は、中でも私が好きな必殺の哀愁三連曲です。
"Have You Ever Had The Blues"は、Lloyd PriceのABC時代の曲ですね。
Lloyd Priceは有名曲、佳曲が数ある中、このチョイスは渋いです。
"Personality"の裏面だったような気がします(?)。
最後に不明曲を…。
10. Somebody Show Me The Way Home
12. Ready, Willing And Able
この2曲はよく分かりません。
"Somebody Show Me The Way Home"は、古いポピュラー曲が元ネタかも知れません。
でも、完全にニューオリンズR&Bスタイルでやっています。
本盤は、味のあるWayne Foretのボーカルでほのぼのと和める1枚だと思います。
ゆるゆるテンポの曲ばかりですが、リズム隊はタイトで、ホーン陣はリフもソロも聞かせます。
ときおり挿入されるコンパクトなギター・ソロも良いです。
Wayne Foretは、FatsスタイルのSwamp Popシンガーとして、特段のスリルやサプライズこそ希薄ですが、安心して聴けるアーティストだと改めて感じました。
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スワンプ少年の帰還
現役スワンプ・ポップ・シンガーのWayne Foretさんです。
本盤は、99年にCSP Recordsからリリースされたものですが、当時の新録ではなく、73年初出のLPをCD化したものらしいです。
この人が70年代にLPデビューしていたとは知りませんでした。
Wayne Foretは、Clyde McPhattarも得意としている人ですが、スタイルとしては、ほぼFats Dominoマナーの人で、ゆったりしたその歌声にはいつも癒されます。
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Wayne Foret
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4. I Won't Cry
5. I Cried Last Night
6. Margie
7. Just A Game
8. Stranger To You
9. Have You Ever Had The Blues
10. Somebody Show Me The Way Home
11. Mr. Sandman
12. Ready, Willing And Able
全12曲、ニューオリンズR&B、またはスワンプ・ポップのエッセンスで満たされた温泉にどっぷり浸かる、そんなひと時を過ごせるアルバムになっています。
全体的にイナタさ満点ですが、思ったほどB級ぽさは希薄です。
もっとユルイ展開かと予想していたところ、曲のテンポこそほっこりですが、バンドの演奏はタイトでした。
収録曲は、曲名のみで一切クレジットがありません。
有名曲も混じっていますが、激渋のナンバーが多数入っています。
ただ、スワンプ・ポップやニューオリンズR&Bファンなら、どこかで見かけたような曲名を見て心が騒がずにいられないでしょう。
分かる範囲で書いていきます。
まずは有名曲から
3. Caldonia
4. I Won't Cry
5. I Cried Last Night
11. Mr. Sandman
"Caldonia"は、もちろんLouie Jordanの大有名曲です。
でも、ここでのアレンジは、ルイ盤よりもゆったりとしたテンポで、ニューオリンズR&B版"Caldonia"と言いたいです。
この曲特有の挑発的なボーカル・スタイルは抑えられ、まったりゆるく歌われています。
こういうのも、たまにはありでしょう。
"I Won't Cry"は、何と言ってもDoug Sahmの名唱が忘れられません。
Doug Sahmの名盤ソロ、"Juke Box Music"のオープニング曲でした。
原曲は、Johnny Adamsで、彼は二度吹き込んでいます。
Johnny Adamsは技巧派のソウル・シンガーで、私はDoug盤を初めて聴いたとき、なるほどJohnnyらしい歌い方、フェイクをうまく取り入れてるなあ、そう感じました。
ところが、Johnny盤を聴き返すと、Dougがやっていたフェイクは、ごくごく控えめにしかやっていず、驚いたことを思い出します。
Dougは、いかにもJohnnyがやりそうな歌い方をデフォルメしていたんですね。
さすがDoug Sahmだと言うほかないです。
Wayne盤は、Doug盤、Johnny盤に比べると若干見劣りしますが、アベレージでしょう。
"I Cried Last Night"は、すぐには気付きにくいですが、よく聴けばCookie & the Cupcakesの"I Cried"だと分かります。
Cookie & the Cupcakesのレパートリーの中では、比較的ロックンロール調の曲です。
Wayne盤は、原曲よりもかなりゆったりしたテンポでやっていて、Fatsスタイルの演奏に仕上げています。
"Mr. Sandman"は、Jimmy Donleyの"Please Mr. Sandman"ですね。
この曲の作者クレジットはHeuy P. Meauxですが、Donleyが書いた曲を買い上げた可能性が高いと私は思います。
この曲は、ガルフコーストの人気曲で、Sunny & Sunlinersもやっていました。
もちろん、Doug SahmもFreddy Fenderも、ついでにJoe King Carrascoもやっています。
次に渋い選曲を…。
1. I Trusted You
2. No More Loneliness
6. Margie
7. Just A Game
8. Stranger To You
9. Have You Ever Had The Blues
"I Trusted You"と"Stranger To You"は、Johnnie Allanのレパートリーです。
"I Trusted You"は、Jimmy Clantonに同名曲がありますが、こちらは、多分Johnny Allanの方だと思います。
"No More Loneliness"は、現役スワンプ・ポップ・シンガーのGary Tが息子と組んだユニット、Duece of Heartsのレパートリーだと思います。
今、手元にアルバムがないのですが、Gary Tは自作曲が多いため、彼の作品だと思います。
"Margie"は、Fats Dominoのレパートリーですね。
ただ、元々はエリントン・ナンバーかも知れません。
Fatsスタイルの曲は、Wayneにとって安心安定の選曲で、至福の和みの時間を提供してくれます。
"Just A Game"は大好きな曲です。
Jimmy Donleyのレパートリーで、作者はやはりHeuy P. Meaux名義ですが、これは間違いなくDonleyの作品だと思います。
共作者がDonleyととても近い人で、二人は他にもいくつか共作しています。
このパターンの曲は、ほぼDonleyからMeauxが買い上げたケースだと思います。
本盤は、三連曲のオンパレードですが、この曲は、中でも私が好きな必殺の哀愁三連曲です。
"Have You Ever Had The Blues"は、Lloyd PriceのABC時代の曲ですね。
Lloyd Priceは有名曲、佳曲が数ある中、このチョイスは渋いです。
"Personality"の裏面だったような気がします(?)。
最後に不明曲を…。
10. Somebody Show Me The Way Home
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この2曲はよく分かりません。
"Somebody Show Me The Way Home"は、古いポピュラー曲が元ネタかも知れません。
でも、完全にニューオリンズR&Bスタイルでやっています。
本盤は、味のあるWayne Foretのボーカルでほのぼのと和める1枚だと思います。
ゆるゆるテンポの曲ばかりですが、リズム隊はタイトで、ホーン陣はリフもソロも聞かせます。
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