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夢はキングサイズベッドで

 コンピレーション・アルバムが好きです。
 たとえダブリが満載でもファン心情をくすぐるものがあれば、たとえコンセプトが究極にニッチでも、いーえ、それならかえって「その意気やよし!」と嬉しくなってしまうのでした。

 つい先だって、これは誰得なんだろう? そう思うコンピCDを見つけました。
 テキサスはサン・アントニオのガレージ・ロックをコンパイルしたアルバムです。
 Home Cooking Recordsが編纂して、Collectables Recordsが95年にリリースしたものです。

 このいかにも一般受けしそうにないコンセプトの仕掛け人は、Roy C. Amesさんという人で、この制作チームは、Doug Sahmの初期作品集や、Harlem Recordsのレーベル・コンピをCD化した布陣と同じです。

 うーん、Roy C. Amesさん、期待を裏切らない人ですね。
 これは入手するほかないです。


Classic Rock
from San Antonio, Texas 1958-1979

1. Sally Let Your Bangs Hang Down   (J. Olenn)  Johnny Olenn & The Jokers
2. One More Time (org. varsion)  (Head, Gibson, Bulton, Frazier, Buie, Pennington)  Roy Head & The Traits
3. One More Time (national varsion)  (Head, Gibson, Bulton, Frazier, Buie, Pennington)   Roy Head & The Traits
4. Sapphire   (J. Corduway)  Doug Sahm
5. Little Girl  (Gerick, Jones)   Pandora'Box
6. I Want You To Love Me (Ray Libert, T. Calderon) Ray Libert
7. Crazy Baby (R. London) Robb London
8. Henrietta (Fore, Hichfield) J. Dee & The Offbeats
9. Why Why Why (Doug Sahm) Doug Sahm
10. Don't Be Blue : Roy Head & The Traits
11. You're Late Miss Kate (Fore, Hichfield) J. Dee & The Offbeats
12. Mary Jane (R. London) Robb London
13. Set Me Free (B. Morrison) Bill Morrison & His Band
14. Don't Be Shy (Allison) Gary Middleton

 このCDは、残念ながら、全体的に音がよくないです。
 とはいえ、音なんて、アナログLP時代は細かいことはいいませんでした。
 そうですよね、同世代の皆さん。
 最近は、私もついつい言ってしまいがちですが…。

 もう、聴けるだけで嬉しい、そんな風に考えられたのは、思えば幸せな時代だったのかも知れません。
 ジャンプ・ブルースが手に入らなくて、スウェーデン盤のブートを漁ったことが懐かしい想い出です。
 今の若者たちは、スクラッチ・ノイズの彼方から聴こえる憧れの音楽なんて、そんな感慨を味わうことはないんだろうなあ…。

 さて、構えることなく聴きましょう。
 まあ、構えるような内容でもないです。

 Doug Sahmの初期作品が2曲入っていますが、この時期の作品は、いまやNorton Recordsから、ほぼコンプリート集が出て、有難みは少なくなりました。
 本盤リリースと同じ95年に、Roy C. AmesさんがDoug Sahmの初期音源のCD化への最初の仕掛けを行っています。
 このあたりの復刻CD化の流れは、だいたいこんな感じです。

95年 "Doug Sahm His Early Years" (Collectables COL-5559)
Roy C. Ames編纂14曲入り、別テイク1曲収録。

00年(98年?) "Doug Sahm In The Begining" (AIM 1308) 
豪盤。同じく14曲入りだが、上記盤とは2曲が別の曲。

00年 "Doug Sahm San Antonio Rock" (Norton ced-274) 
18曲入り。10代のとき他人の伴奏をやった4曲を収録。

 Doug Sahmの話になると脱線しそうなので、軌道修正します。

 期待していなかったのに、興味深かったのは、Roy Headの"One More Time"が2バージョン収録されていて、しかも続けて収録されているため、その違いがよく分かることです。

 オリジナル(TNT)は、思いのほかブルージーで攻撃的なギターをバックに、手拍子とタンバリンの連打を重ねるという手作り感満載のつくりです。
 …音がこもりまくっています。

 一方、全国盤(Septer?)のほうは、まずボーカル・エコーが深めで、なおかつブラス陣を前面にたてたアレンジです。
 アグレッシブなギターは、歌伴ではホーン・リフに隠れてオフ気味のため、間奏でのソロが引きたってとても効果的です。

 そして、終わったと見せかけるブレイクのあと、サビをもう一回繰り返すアレンジになっています。
 聴きやすさでは全国盤の圧勝ですね。
 ローカル盤は、比較するとチープなつくりが際立ちますが、それよりも音がこもりすぎだと感じました。

 Jimmy Deeの"Henrietta"が聴けるのも嬉しいです。
 この曲は、一時期かなり追っかけた曲でした。
 "Henrietta"は、海外サイトではロカビリーと紹介されることが多いですが、日本人の感覚ではスクリーム系ロックンロールじゃないでしょうか?

 この曲は、John Fogertyがお蔵入りになった幻の3rdソロ・アルバム(アサイラム)でカバーしていた曲で、Doug Sahmもライヴ盤でやっていたため(未入手ですが、"Country Groove"をB面とするDoug Sahm名義の76年の7インチ盤があるようです。)、一時期、私がたいへん関心を寄せていた曲です。

 過去記事で、この当たりのことをくだくだと書いていますので、よければご覧ください。
 当時は、ようつべでしか聴けないと思っていましたが、今なら本盤以外でも、以下のCDで聴けることが分かっています。

96年 "Dot Rock 'n' Roll" (英Ace) 
Dot Recordsのレーベルロックンロール・コンピ。
元はTNTですが、全国盤はDotから配給されました。

99年 "That'll Flat Git It! Vol.5" (独Bear Family) 
熊家族のレーベル別ロカビリー・コンピのDot編。

07年 "The Golden Age Of American Rock 'n' Roll, Vol.11" (英Ace) 
ビートルズ登場以前のヒットを網羅したコンピ・シリーズの1枚。

 ちなみに、Jimmy Deeの59年リリースのシングル、"Rock-Tick-Tock"(TNT 161)では、17歳のDoug Sahmがリード・ギターを弾いているらしいです。
 (上記のNorton盤、"Doug Sahm San Antonio Rock"に収録。)

 その他の曲は、いかにもローカルな感じがしますが、案外心地よく和めたります。
 時代の空気感みたいなものに、理由不明の好感を持ちます。

 もしかすると、今はその価値にさほど気付いていないだけかも知れません。
 このレアな無名曲たちを、いつか宝物と感じるときがくるかも知れないな、そんなことを夢想すると楽しいです。



Henritta by Jimmy Dee & The Offbeats




Henrietta by John Fogerty




Henrietta by Doug Sahm







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