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サンアントニオ・ソウル・グレイツ

 これは、はずれもあるな、そう思いながらも期待半分で聴きました。
 短い曲が、わずか12曲、とりとめなく入っています。
 色んなタイプの曲を、ノー・プランでぶち込みました、とりあえず一丁上がり、そんなチープ感が漂っています。

 …しかし
 しかし、私にとっては、何気に刺激たっぷりの盤でした。

 結論
 これは良いです。


All I Could Do Was Cry
Rudy Tee Gonzales y sus Reno Bops

1. All I Could Do Was Cry (B. Davis)
2. Crazy, Crazy, Crazy Baby
3. Tell Me What You Gonna Do (B. Peterson) she's about amover
4. Have Faith (B. Ferguson)  
5. In The Palm Of Your Hand (B. Spurlock)   
6. Further On Up The Road
7. It Was Just An Illusion (Rudy T. Gonzales)
8. Oh Baby, I'm Crying (Rudy T. Gonzales)  
9. The Phillie (Rudy T. Gonzales)  
10. Only You (Can Break My Heart) (Buck Owens)
11. A Pair Of Sevens (Rudy T. Gonzales)  
12. The Tables Have Turned (Parker) 

 Rudy Tee Gonzalesは、名前だけは知っていました。
  
 まず間違いなく、サン・アントニオ出身のチカーノ・シンガー(グループ)だと思います。
 Huey P. Meauxのレーベルの一つ、Taer Drop Recordsから、60年代(多分)にアルバムを出しています。 
 (ざっくりいって、Tear Dropは60年代のテキサス中心、Crazy Cajunは70年代のルイジアナ中心だと思います。)

 私は、Sunny Ozunaのファンとして、彼のように歌えるチカーノ・シンガーを探していました。
 Sunnyのように、というのは、英語で歌うChicano Soul(R&B)を得意としている歌手ということです。

 そんな条件のもと、私が出会い、聴くようになったのが、Joe Jamaであり、Little Willie Gでした。
 そして今回、私は、Rudy Tee Gonzalesを新たにお気に入りリストに追加したのでした。

 Huey P. Meauxは、Tear Drop Labelから、Rudy Tee GonzalesのLPを4枚リリースしています。
 これは、同レーベルでは2番目に多いリリース数で、Meauxのお気に入りだったのだと思います。
 (ちなみに、最多リリースは、Sunny & Sunlinersの6枚です。)

 本盤は、05年にテキサスのGolden Eagle Recordsからリリースされました。
 録音クレジット等全く記載がないため、いろいろと推測するほかありません。

 収録曲数が12曲と少なく、LPのストレートCD化の可能性もなくはないです。
 ただ、Tear Dropの4枚のLPには、該当するタイトルがありません。
 また、ジャケが近影をコラージュしたもので、仮にLPをCD化したものだとすれば、ジャケ、アルバム・タイトルともに変更したものだということになります。

 普通に考えれば、新たに組んだ編集盤ということでしよう。
 しかし、05年のリリースで12曲入りというのは、やはり少ないですね。
 何とも、もやもやが残りますが、この真相は、Tear DropのLPの内容を確認するほかないてず。

 実は、Tear Drop盤のストレート・リイシューと思われるCDが、Golden Eagleから3枚出ています。
 これらは、LPと全く同じタイトルのCDです。
 LP盤の実物を見たわけではないため、確定とはいえませんが、おそらく間違いないでしょう。
 
 残る1枚の内容がわかれば、すっきりします。
 あせらないで、自然に明らかになることを待ちたいです。



 では、音を聴いた印象はどうでしょうか?

 正直、分からないです。
 60年代のヴィンテージ録音のような曲もあれば、70年代か80年代の音のように聴こえる曲もあります。
 ただ、音圧のレベルが曲によって不安定で、寄せ集めのような気はします。
 少なくとも、アルバム単位で録音された音源ではないと思います。

 私の印象では、70年代の音源を一部含む、60年代中心の音源をコンパイルしたものではないかと考えます。
 とはいえ、これまでの経験から、私の耳は全くあてになりません。
 そろそろ、単純に音を楽しみましょう。

 すべてが注目曲といいたいですが、あえて選ぶなら次の5曲です。

1. All I Could Do Was Cry
3. Tell Me What You Gonna Do 
5. In The Palm Of Your Hand
6. Further On Up The Road 
9. The Phillie

 いずれも個性がはっきりした曲で、全くかぶっていません。
 
 "All I Could Do Was Cry"は、Chess時代のEtta Jamesのナンバーです。
 映画「キャデラック・レコード」で、Etta James役のビヨンセが歌っていました。

 Rudy Gonzalesのバージョンは、あたかもOscar Tony Jr.が歌う、"For Your Precious Love"のようです。
 この意味、分かりますか?

 イントロから、プリーチが延々と続き、「もしかして、このまま歌詞を語り風にやるだけで終わりなのか?」と勘ぐり始めたころ、やっとメロにのせて歌いだした途端、すぐに終了してしまうという荒ら技です。
 アルバム冒頭からやってくれます。
 この曲は、RudyのR&Bバラードの代表作かも知れません。

 "Tell Me What You Gonna Do"は、誰が聴いても、Sir Douglas Quintetの"She's About A Mover"を連想してしまう作りの曲です。
 そっくりとまではいいませんが、全体のリズム、オルガンのリフなど、姉妹曲とでもいいたい曲です。
 この曲は、Rudy版のテキサス・ガレージ・ロックでしょう。

 この系統では、"The Phillie"も、楽しい曲です。 
 こちらは、Sam The Sham & The Pharaohsの"Wooly Bully"のスタイルに近く、影響力の大きさを感じます。

 "In The Palm Of Your Hand"は、三連の美しいDoo Wopバラードです。
 このスタイルこそ、Rudy Gonzalesの真価が最も出ている曲だと思います。
 バックのハーモニーが、とても効果的に使われて、Rudyのリードを引き立てています。
 同様のスタイルでやった、"Oh Baby, I'm Crying"も素晴らしい出来です。

 "Further On Up The Road"は、もちろんBobby Blandの名作のカバーです。
 こちらは、ブルージーなRudyを代表する曲でしょう。
 ここでは、奇をてらったフェイクはなく、素直にオリジナルに沿ったアレンジでやっています。
 ホーンの鳴りがいいです。
 ブルース・ギターが、ソロでペンペンとチンピラっぽい音を出していて、大好きです。

 最後に、"Only You (Can Break My Heart)"についても触れておきましょう。
 この曲は、もしやPlattersの大有名曲(Buck Ram作)ではと思いましたが、クレジットどおりBuck Owensの曲でした。
 あちらは、"Only You (And You Alone)です。 

 さて、アルバムとしては、まとまりのなさが、かえって善玉カオス(?)という感じです。
 チカーノR&Bの好アルバムだと思います。
 こういうスタイルに需要があったのは、いい時代だったですね。

 Rudy Tee Gonzalesは、初期からスペイン語での歌唱曲も多く、その意味でもSunny Ozunaとよく似ています。
 カントリーの名曲たちを全編スペイン語でカバーした、その名も"Country"というアルバム(多分、Tear Drop原盤)もお奨めです。



unknown song by Rudy Tee Gonzales y sus Reno Bops




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