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ハリウッドのサニー

 Sunny and the Sunlinersのライヴ盤を聴きました。
 クレジットが全くありませんので、すべて憶測になりますが、おそらくは60年代後半から70年代前半の録音ではないかと推察します。

 ただ、この手のアルバムは、常に疑似ライヴではないかという懸念がつきまといます。
 オープニングに司会者とおぼしき人物のMCがあり、主として曲のアタマと終わりに歓声が入っていて、それらしい盛り上がりもありますし、サニーのボーカルもワイルドな感じを受けますので、リアル・ライヴ盤であると思いたいです。


Live in Hollywood
Sunny And The Sunliners

1. The Thing
2. Mercy, Mercy, Mercy 
3. Run Away 
4. Going To L.A. 
5. Let Me Love You 
6. Forget About Me
7. Guess Who (Hunter, Hunter) 
8. Give Me Time  
9. It Takes Two (Moy, Stevenson)
10. Night Owl (Tonny Allen)
11. The One Who's Hurtin' Is You
12. I'm A Practical Guy (Abner, Hanks, Parker, Robinson, Rogers)

 リアル・ライヴではないかと考える根拠として、もうひとつは選曲の問題があります。
 今作に収録されている曲は、よくあるサンライナーズのレパートリーではなく、すべて英語詞によるR&B中心で、いわばソウル・レビューのようなスタイルになっています。

 観客がそういう曲を好む対象なのかも知れません。
 とはいえ、チカーノのR&B好きはわりと知られていることですので、観客がヒスパニック系でないとも言い切れないところです。

 今作の収録曲はノークレジットで、私が知らない曲が多く(作者名はわかるもののみ、私が追加しました。)、原曲が判明すれば、そこからこの公演(だと仮定します。)の収録時期も推測できるかも知れないのですが…。

 まず、冒頭、司会者によるバンド紹介「サンライナーッ、バンドッ」のMCに続き、2曲のインスト・ナンバーが演奏されます。

 アタマの"The Thing"は、かっこいいリズム&ブルースで、ホーンとオルガンのリフをバックに、トランペットがテーマを高らかに奏で、サックスのリフがあおり続けます。
 初期のJBのインストみたいな感じを受けます。

 続く"Mercy, Mercy, Mercy"もインストですが、こちらはオルガンがメロを担当する、MGs風のミディアムです。
 アシッドな雰囲気も漂わせ、硬軟とりまぜた曲調の遷移が魅力的です。

 そして、改めてMCから「サニー・オッズーナッ」と紹介され、ボーカル曲が始まります。
 "Run Away"は、「Run Away、Run Away…」「Go Away、Go Away…」というリフレインが耳に残るスムースなバラードで、いかにもチカーノ好みのスイート・ソウルという印象を受けます。
 ぜひ、原曲が知りたいものです。

 ただ、これはアルバム全体に言えることですが、アップはもちろん、バラードを歌っても、サニーは合間合間で「ハッ」「ウッ」というような、ソウル・シンガーを思わせる間投詞を入れていて、いかにも汗だくのソウル・レビューというイメージを喚起させてくれます。

 "Going To L.A."も原曲不明ですが、こちらは一転してファンク調の曲で、初期のJBを連想します。
 「That's What Thing、I'm Gonna L.A.…」「Ha!」「Woh!」と煽り立て、汗が飛び散っていそうです。

 一転して、続く"Let Me Love You"では、優しく語りかけるように歌うスイートなバラードで、ボーカルにレスポンスするホーンとオルガンのリフ、そしてメロディックなベースが印象的です。
 サニーが、ものうげに囁くように歌っています。
 
 "Forget About Me"もスムースなバラードですが、優しい出だしから、ワイルドにシャウトする展開が新鮮です。
 ここでのサニーは、ジェントルさとワイルドさを織り交ぜて歌いこんでいます。
 いかにも黒人シンガーからの影響を感じさせる展開だと思いました。

 "Guess Who"は、アイヴォリー・ジョー・ハンターの有名曲ですね。
 私は、ハンターという人は、テキサスっぽさが薄いような気がして、あまり積極的に聴いていませんが、さすがに知っている曲が登場してうれしいです。
 ハンターは、最新のリマスタによる新しい編集盤が出れは、今度こそじっくり聴いてみたいと思いました。

 "Give Me Time"は、「Give Me Time、I Need Time…」と歌われる、これまたスイートなバラードです。
 サニーがしゃくりあげるように歌う、感傷的なバラードに仕上がっています。
 
 "It Takes Two"は、元気一杯のノーザン・ダンサーで、サニーに加え、もう一人の男性シンガーが一緒にリードを歌います。
 原曲は、Marvin GayeとKim Westonのデュオ・ナンバーです。

 マーヴィン・ゲイは、歌手人生の中で、幾人かの女性シンガーとデュエット曲を録音しています。
 ダイアナ・ロス、タミー・テレル、メリー・ウェルズ、そしてキム・ウェストンです。

 最も有名なのが、タミー・テレルとのコンビで、有名ヒットも多いですが、キム・ウェストンとはそれほど多く吹き込んでいないと思われ、多分、この"It Takes Two"が代表曲だと思います。
 はじけるような輝きが感じられるダンス・ナンバーです。

 "Night Owl"は、古いスタイルのリズム&ブルースで、私はこういうのが好きです。
 チカーノ向けコンピ、"East Side Story"の第一集にも選曲されていました。
 ウォーキング・テンポのリズム&ブルースで、オルガンのリフが効果的に使われています。

 原曲は、ウエストコーストのR&Bシンガー、Tonny Allenで、彼はソロ・シンガーではありますが、スタイルの多くはドゥワップといってよく、曲によってはそのものずばり「シュドゥビ、ドゥビダー」といったコーラスを従えていることもしばしばです。
 この曲はコーラスがないですが、トニー・アレンの代表曲ですね。

 "The One Who's Hurtin' Is You"は、再びスイートなバラードです。
 原曲は不明ですが、コーラス・グループものだと思います。
 メイン・テーマと合わせ、「ウー、ウー」という厚いコーラスが入ります。
 また、ここでも、しっとり歌いながらも、ブレスでサニーが「ハッ」「ウッ」とやっています。

 ラストの"I'm A Practical Guy"は、力強いノーザン・ダンサーです。
 原曲は、デトロイトのシンガー、Lee Rogersだと思われ、私はこの人のアルバムを持っているような気がするのですが、見つかりません。
 ですので、当該のアルバムを購入すべきか、さらに探すべきか悩んでいるところです。
 
 このアルバムは、サニー・オズナの音楽性のうち、リズム&ブルース・サイドが堪能できる、恰好の1枚です。
 スペイン語曲をやるサニーも好き、だけどやっぱり、英語でのR&Bがより好きという人には堪らないアルバムだと思います。



Marvin GayeとKim WestonのIt Takes Twoです。



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