2012年02月15日
サニーの歌声にダグを偲ぶ
今回は、ひとつの呼びかけです。
Doug Sahmのファンの皆さん、Sunny Ozunaを聴きましょう。
音楽ファンの中には、アーティストが好きになっても、その本人の作品や同傾向の音楽にしか興味がないという方が、ときたまいらっしゃいます。
私の場合、好きなアーティストが影響を受けた音楽が気になります。
例えば、その彼がカバー曲をやり、それが気に入ったりすると、原曲を追っかけずにはいられないのでした。
私を音楽好きにさせてくれたのは、ビートルズです。
ビートルズのアルバムを少しずつ舐めるように聴き進めつつ、並行してやっていたのは、彼らに影響を受けたバンドを探して聴くことでした。
しかし、所詮ビートルズを超える存在などないと気付いたとき、私はベクトルの向きを変えたのでした。
ビートルズが影響を受けた音楽、ロックンロール、R&B、カントリー、ガール・グループなどをあさるようになったのです。
それが全ての始まりでした。
その後、CCRを知り、Doug Sahmを知って、この二組がまた大きな節目になりました。
彼らの音楽の背景を追っかけることによって、私の嗜好は広がっていったのです。
今回のアルバムは、Doug SahmのアイドルだったSunny Ozunaが04年にリリースした編集盤です。
1. Reyna de Mi Amor (Sunny Ozuna)
2. El Resbalon (Irma Ramirez)
3. Al Baile Me Fui (R. De La Garza)
4. Mi Secretito
5. Tu Movida (B. M. Heredia)
6. Con Golpes de Pecho (Felipe Jimmenez)
7. Ven Que Te Quiero
8. Ya Nunca Vuelvas (J. Antonio Lopez)
9. Carino Nuevo (Jose Espinosa)
10. La Del Monito Blanco
11. Lastima Es Mi Mujer (Juan Gabriel)
12. El Wiri-Wire
13. Pago Al Cantado (Juan Hernandez)
14. El Reganado (Juan Compusno)
15. Triste y Lastimado (Sunny Ozuna)
16. El Chiflidito
17. Besando Botellas (R. Ortega Contreras)
18. El Golpe Traidor (Manuel Valdez)
19. El Bodeguero
20. Lady (L. Richie)
21. Como Es El
22. La Movida
23. Que Se Junten Nuestros Brazos (Cornelio Reyna)
24. Amorcito de Mi Vida (Ramon Ayala)
25. Que Voy Hacer (Freddie Martinez)
26. Yo Quiero Saber de Ti
27. Borracho Perdido (R. Buendia)
28. Los Besos Que Te Di
29. Just Because (Lloyd Price)
30. Ay Amorcito
全30曲、たっぷりとSunny Ozunaの魅力が詰まったアルバムになっています。
もともとのソースは、Freddie Recordsで過去に吹き込んだ音源からのチョイスなのではないかと思います。
曲名から分かりますように、ほとんどがスペイン語で歌われているもので、ブラス勢を含むビッグ・バンドで演奏される、ラテン系音楽(テハーノ・ミョージック)で構成されています。
そのキャリアの初期には、チカーノR&Bを多くのレパートリーにしていたSunnyですが、近年は、スパニッシュ・コミュニティへ向けた活動が中心になっているようです。
さて、そんな近年の活動を俯瞰できる本盤にも、珍しく英語の題名の曲がひっそりと収録されていました。
トラック29の"Just Because"です。
原曲は、もちろんLloyd Priceで、私はジョン・レノンの名盤「ロックンロール」で初めて知った曲です。
歌前にジョンが語りから入る演出が素晴らしく、「スタンド・バイ・ミー」を始め、かのアルバムは名演ぞろいですが、私は特に好きな1曲です。
思い出せないのですが、私がジョンのバージョンを聴いて感激していた頃、ロイド・プライスのオリジナルは容易に聴くことが出来たのでしょうか?
当時、ロイド・プライスのABC時代の音源が流通していたのか、今となってはよく分かりません。
私の関心は、Chuck BerryやLittle Richard、Sam Cookeらへの方が高かったのは間違いありません。
結果として、私がオリジナルを聴いたのは、かなり経ってからのことになります。
Lloyd PriceのABC時代といえば、私はずっと88年リリースのMCA盤を愛聴していましたが、昨年、英Jasmineから、スペシャルティ、ABC時代をまたぐ2枚組CDが出て、廉価ということもあって買いました。
両時代のシングルの両面を順に収録した優れもので、オリジナル版"Lawdy Miss Clawdy"から、ABC時代の代表曲、"Just Because"、"Stagger Lee"、"Parsonality"、ついでに"The Chicken and The Bop"(Doug Sahmが"Juke Box Music"でカバー)も一気に聴けます。
英Jasmineは、米国のノスタルジー音楽のリイシューを精力的に行っている会社で、パッケージに「メイド・イン・チェコ」と記されているのが興味深いです。
(英Jasmineが対象としている音楽は、ビッグ・バンド・ジャズ、ジャズ(ポピュラー)・ボーカル、ラテン、ウエスタン、ヒルビリー、ブルーグラスなどが中心でしたが、近年はロックンロール、R&B、ティーン・ポップなどにも力を入れています。)
さて、"Just Because"というと、Elvisのレパートリーに同名曲があって、私の原曲探求は、思わず脇道へそれたりしたものでした。
Lloyd Priceの作品は、R&Bバラードの名曲のひとつだと思いますが、実はDoug Sahmもカバーを出しています。
(すみません。やはり、話はそっちへと向かうのでした。)
Doug Sahm盤は、Dougのキャリアの初期、62年のRenner Records時代の45s、"Two Hearts In Love"のB面にカップリングされていました。
これは、アナログLPでは、Renner音源をコンパイルした86年の"Texas Road Runner"、CDでは、00年の"In The Begginnings"(豪AIM盤…音が悪く残念)でしか聴けません。
(AIM盤は、他盤でCD化されているHarlem音源を含むもので、Renner音源のコンプリートCDはまだ作られていません。)
さて、本題に戻ります。
Sunny Ozunaの"Just Because"を聴きましょう。
一見無造作ながら、印象的なピアノのイントロに続いて、ラップ・スチールをバックに曲が始まると驚きます。
なんと、タイトル表記こそ英語ですが、中身はスペイン語で同曲を歌ったものなのでした。
想定出来たはずなのですが、ここは英語を予想(期待)していたので、驚きです。
しかし、すぐにそんなことはどうでもよくなります。
Sunnyの力強い喉の響きに、その魅力ある歌い回しに、一瞬でとりこにさせられました。
そして、ここからが、今回私が本当に言いたかったことです。
この曲でのSunny Ozunaのボーカルが、Doug Sahmにそっくりなのです!!
(同志のみなさん そう思いませんか !?)
Doug Sahmの歌声を、一度も聴いたことがない方には申し訳ないです。
Dougがスペイン語で全編歌うことはまずないですが、仮にもし歌ったら、きっとこんな風になるに違いない、いえ、眼を閉じて聴けば、Doug Sahmにしか聴こえない、そう言い切りたいくらいです。
この場合、ガチで聴き比べるのは止めましょう。
ガチに比べればそれは違うでしょう。
でも、声のかすれ具合や、高いパートを歌う時の声の張り方、しばしば鼻にかかり声がこもるところなど、とにかく雰囲気が似ているのです。
私は、かつてレフティ・フリーゼルの比較的後期のヒット曲、"Saginaw Michigan"を初めて聴いたとき、マール・ハガードの歌い方にそっくりだと感じたことを思い出しました。
レフティがハグのアイドルであり、ハグがレフティのように歌いたいと努力したことは(カントリー・ファンの間では)有名です。
これなどは、往年のスターが、一周回って、かつて自分の影響下に出てきて、新しい波を起こして成功した後輩に、逆に影響を受けたという代表例です。
Sunny Ozunaが、Doug Sahmに特別な感情を持っていたかどうか、私には分かりません。
でも、きっとお互いを刺激しあう、親密な関係だったに違いない、と二人のファンとしては、幸福な想像をめぐらせずにはいられないのでした。
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Doug Sahmのファンの皆さん、Sunny Ozunaを聴きましょう。
音楽ファンの中には、アーティストが好きになっても、その本人の作品や同傾向の音楽にしか興味がないという方が、ときたまいらっしゃいます。
私の場合、好きなアーティストが影響を受けた音楽が気になります。
例えば、その彼がカバー曲をやり、それが気に入ったりすると、原曲を追っかけずにはいられないのでした。
私を音楽好きにさせてくれたのは、ビートルズです。
ビートルズのアルバムを少しずつ舐めるように聴き進めつつ、並行してやっていたのは、彼らに影響を受けたバンドを探して聴くことでした。
しかし、所詮ビートルズを超える存在などないと気付いたとき、私はベクトルの向きを変えたのでした。
ビートルズが影響を受けた音楽、ロックンロール、R&B、カントリー、ガール・グループなどをあさるようになったのです。
それが全ての始まりでした。
その後、CCRを知り、Doug Sahmを知って、この二組がまた大きな節目になりました。
彼らの音楽の背景を追っかけることによって、私の嗜好は広がっていったのです。
今回のアルバムは、Doug SahmのアイドルだったSunny Ozunaが04年にリリースした編集盤です。
30 Grandes Exitos
Sunny Ozuna
Sunny Ozuna
1. Reyna de Mi Amor (Sunny Ozuna)
2. El Resbalon (Irma Ramirez)
3. Al Baile Me Fui (R. De La Garza)
4. Mi Secretito
5. Tu Movida (B. M. Heredia)
6. Con Golpes de Pecho (Felipe Jimmenez)
7. Ven Que Te Quiero
8. Ya Nunca Vuelvas (J. Antonio Lopez)
9. Carino Nuevo (Jose Espinosa)
10. La Del Monito Blanco
11. Lastima Es Mi Mujer (Juan Gabriel)
12. El Wiri-Wire
13. Pago Al Cantado (Juan Hernandez)
14. El Reganado (Juan Compusno)
15. Triste y Lastimado (Sunny Ozuna)
16. El Chiflidito
17. Besando Botellas (R. Ortega Contreras)
18. El Golpe Traidor (Manuel Valdez)
19. El Bodeguero
20. Lady (L. Richie)
21. Como Es El
22. La Movida
23. Que Se Junten Nuestros Brazos (Cornelio Reyna)
24. Amorcito de Mi Vida (Ramon Ayala)
25. Que Voy Hacer (Freddie Martinez)
26. Yo Quiero Saber de Ti
27. Borracho Perdido (R. Buendia)
28. Los Besos Que Te Di
29. Just Because (Lloyd Price)
30. Ay Amorcito
全30曲、たっぷりとSunny Ozunaの魅力が詰まったアルバムになっています。
もともとのソースは、Freddie Recordsで過去に吹き込んだ音源からのチョイスなのではないかと思います。
曲名から分かりますように、ほとんどがスペイン語で歌われているもので、ブラス勢を含むビッグ・バンドで演奏される、ラテン系音楽(テハーノ・ミョージック)で構成されています。
そのキャリアの初期には、チカーノR&Bを多くのレパートリーにしていたSunnyですが、近年は、スパニッシュ・コミュニティへ向けた活動が中心になっているようです。
さて、そんな近年の活動を俯瞰できる本盤にも、珍しく英語の題名の曲がひっそりと収録されていました。
トラック29の"Just Because"です。
原曲は、もちろんLloyd Priceで、私はジョン・レノンの名盤「ロックンロール」で初めて知った曲です。
歌前にジョンが語りから入る演出が素晴らしく、「スタンド・バイ・ミー」を始め、かのアルバムは名演ぞろいですが、私は特に好きな1曲です。
思い出せないのですが、私がジョンのバージョンを聴いて感激していた頃、ロイド・プライスのオリジナルは容易に聴くことが出来たのでしょうか?
当時、ロイド・プライスのABC時代の音源が流通していたのか、今となってはよく分かりません。
私の関心は、Chuck BerryやLittle Richard、Sam Cookeらへの方が高かったのは間違いありません。
結果として、私がオリジナルを聴いたのは、かなり経ってからのことになります。
Lloyd PriceのABC時代といえば、私はずっと88年リリースのMCA盤を愛聴していましたが、昨年、英Jasmineから、スペシャルティ、ABC時代をまたぐ2枚組CDが出て、廉価ということもあって買いました。
両時代のシングルの両面を順に収録した優れもので、オリジナル版"Lawdy Miss Clawdy"から、ABC時代の代表曲、"Just Because"、"Stagger Lee"、"Parsonality"、ついでに"The Chicken and The Bop"(Doug Sahmが"Juke Box Music"でカバー)も一気に聴けます。
英Jasmineは、米国のノスタルジー音楽のリイシューを精力的に行っている会社で、パッケージに「メイド・イン・チェコ」と記されているのが興味深いです。
(英Jasmineが対象としている音楽は、ビッグ・バンド・ジャズ、ジャズ(ポピュラー)・ボーカル、ラテン、ウエスタン、ヒルビリー、ブルーグラスなどが中心でしたが、近年はロックンロール、R&B、ティーン・ポップなどにも力を入れています。)
さて、"Just Because"というと、Elvisのレパートリーに同名曲があって、私の原曲探求は、思わず脇道へそれたりしたものでした。
Lloyd Priceの作品は、R&Bバラードの名曲のひとつだと思いますが、実はDoug Sahmもカバーを出しています。
(すみません。やはり、話はそっちへと向かうのでした。)
Doug Sahm盤は、Dougのキャリアの初期、62年のRenner Records時代の45s、"Two Hearts In Love"のB面にカップリングされていました。
これは、アナログLPでは、Renner音源をコンパイルした86年の"Texas Road Runner"、CDでは、00年の"In The Begginnings"(豪AIM盤…音が悪く残念)でしか聴けません。
(AIM盤は、他盤でCD化されているHarlem音源を含むもので、Renner音源のコンプリートCDはまだ作られていません。)
さて、本題に戻ります。
Sunny Ozunaの"Just Because"を聴きましょう。
若き日のSunny Ozuna
一見無造作ながら、印象的なピアノのイントロに続いて、ラップ・スチールをバックに曲が始まると驚きます。
なんと、タイトル表記こそ英語ですが、中身はスペイン語で同曲を歌ったものなのでした。
想定出来たはずなのですが、ここは英語を予想(期待)していたので、驚きです。
しかし、すぐにそんなことはどうでもよくなります。
Sunnyの力強い喉の響きに、その魅力ある歌い回しに、一瞬でとりこにさせられました。
そして、ここからが、今回私が本当に言いたかったことです。
この曲でのSunny Ozunaのボーカルが、Doug Sahmにそっくりなのです!!
(同志のみなさん そう思いませんか !?)
Doug Sahmの歌声を、一度も聴いたことがない方には申し訳ないです。
Dougがスペイン語で全編歌うことはまずないですが、仮にもし歌ったら、きっとこんな風になるに違いない、いえ、眼を閉じて聴けば、Doug Sahmにしか聴こえない、そう言い切りたいくらいです。
この場合、ガチで聴き比べるのは止めましょう。
ガチに比べればそれは違うでしょう。
でも、声のかすれ具合や、高いパートを歌う時の声の張り方、しばしば鼻にかかり声がこもるところなど、とにかく雰囲気が似ているのです。
私は、かつてレフティ・フリーゼルの比較的後期のヒット曲、"Saginaw Michigan"を初めて聴いたとき、マール・ハガードの歌い方にそっくりだと感じたことを思い出しました。
レフティがハグのアイドルであり、ハグがレフティのように歌いたいと努力したことは(カントリー・ファンの間では)有名です。
これなどは、往年のスターが、一周回って、かつて自分の影響下に出てきて、新しい波を起こして成功した後輩に、逆に影響を受けたという代表例です。
Sunny Ozunaが、Doug Sahmに特別な感情を持っていたかどうか、私には分かりません。
でも、きっとお互いを刺激しあう、親密な関係だったに違いない、と二人のファンとしては、幸福な想像をめぐらせずにはいられないのでした。
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