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遊び人ら 国境の南にたむろする

 今回は、初物です。(もちろん、私にとって)
 初めてこのバンドの名前を知った時、字づらから間違った覚え方をしてしまいました。
 よく見ればすぐにわかるのですが、Tejano Gigolos(テハーノ・ジゴロズ)だと思ったのです。
 当然、頭にあったのはTex-Mex系のバンドでした。

 しかし、二度見するまでもなく、正しくはTijuana Gigolosです。
 Tijuanaはメキシコの街の名前、Gigoloはもう英語化してるのでしょうが、もともとはフランス語で、意味はまあ分かりますよね。
 一体、どういうバンドなんでしょうか?


Do Ya Wanna Go ?
Tijuana Gigolos

1. Blind Man Walkin' (Marty Steinhausen)
2. Oh Me Oh My (Marty Steinhausen)
3. Ice Cream Cone (Marty Steinhausen)
4. Le Bigga Mack (Marty Steinhausen)
5. Cajun Jukebox (Marty Steinhausen)
6. Haley's Comet (Dave Alvin)
7. 25 to Life (Marty Steinhausen)
8. Mas Fina (Marty Steinhausen)
9. The Letter (Marty Steinhausen)
10. Days and Days (Marty Steinhausen)  
11. El Fuego Del Sol (Marty Steinhausen)
12. Knock Knock (Marty Steinhausen)
13. South of the Border (Marty Steinhausen)
14. Jeff's Banana (Pick Your Own Damn Fruit) (Jeff Boehmer)
15. Do Ya Wanna Go? (Marty Steinhausen)

 Tijuanaという街からは、レイモンド・チャンドラーの小説(「長いお別れ」?)を連想します。
 私立探偵フィリップ・マーロウが、テリー・レノックスの事件で関わりを持った(?)街でした。

 この街のカナ表記は、ティファナか、ティワナかなんて、訳者のあとがきでしたか、書評だったかで話題になっていたのではないかと思います。

 当時、私は中2くらいだったと思います。
 中1でエドガー・ライス・バローズ(John Carter, Tarzan)に出会い読書の面白さを知り、中2でハワード(Conan)やチャンドラーを知って、さらに夢中になって翻訳小説を読みまくったものでした。
 あれっ 何の話でしたっけ?

 メキシコは、アメリカの4つの州と接していて、東端はテキサス、西端はカリフォルニアに接しています。
 Tijuana(ティファナ)は、メキシコの北西端にあって、カリフォルニア州の南端と接する街です。

 このバンドの本拠地ですが、ウェブから限られた情報を見る限り、ネブラスカ州リンカーンのような気がします。
 それでは、なぜティファナと名乗っていいるのか、という話になりますが、よくわかりません。
 でも、少なくともメキシコのバンドではないだろうと思います。

 本盤を聴いたところ、予想と違う展開で進行し、驚きました。
 当初、Tex-Mex系のバンドだ思っていたのですが、アーシーなカントリー・ロック("Oh Me Oh My")だったり、ケイジャン・カントリー("Cajun Jukebox")だったり、シャープなインスト・ブルース("Jeff's Banana")だったりして、「えっ」という感じです。

 マカロニ・ウエスタンのテーマみたいな曲("El Fuego Del Sol")までやっています。
 さらに、ロカビリーっぽい曲("Days and Days")もあり、ヒーカップ、マンブルを屈指したボーカルが聴けます。
 
 本盤は、05年にリリースされたもので、あるいは、このバンドの1stかも知れません。
 (この後に、もう1枚出でいます。)

 参加メンバーは、以下の通りです。

Marty Steinhausen : guitars, vocals(1,2,3,5,,8,9,11,12,13,15), bass(14)
Tony Meza : congas, bongos, percussion, vocals(6,7,10,12)
Jeff Boehmer : bass, guitar(14)
Tom Harvill : organ, piano, vocals
Dave Robel : drums
guest
Justin G. Jones : cowbell on "Le Bigga Mack"
David Fowler : fiddle on "Cajun Jukebox"
Benjamin Kushner : harmonies on "The Letter"
Joyce Durand : harmonica on "South of The Border"

 メンバーの編成は、ギター、ベース、鍵盤、ドラム、パーカッションからなる5人組です。
 主としてリード・ボーカルをとるのは、ほとんどの曲を書いているギターのMarty Steinhausen(ドイツ系?)で、パーカッションのTony Mezaがセカンド・ボーカルとして4曲ほどリードをとっています。
 Tony Mazaのボーカルは、若干荒い気もしますが、アルバムの中でいいアクセントになっています。

 既に何度か聴き返しているのですが、聴き返すたびに好感度が上がります。
 
 特筆したい曲があります。
 "Oh Me Oh My"です。

 ただ、この曲は、バンドを代表する曲といえるかどうかは難しいです。
 何しろ、いろんなタイプの曲をやるバンドなので、もしかすると突然変異的な1曲かも知れません。
 (見極めるため、もっとアルバムが聴きたいです。)

 あるいは、"Ice Cream Cone"のような、疾走系で不良っぽいロックンロールこそ本質かも、とも思います。
 それでも、"Oh Me Oh My"を、ぜひとも推したい理由があります。
 それは、この曲が、John Fogertyの歌唱を連想させてくれる、最高の曲だからです。

 CCRは、私にとって、Beatlesの次に、その後のレコード漁りの指標になったバンドでした。
 Beatlesからは、50sロックンロール、ロカビリー、ブラック・ハーモニー・グループ、ガール・グループなどに導かれました。

 そして、CCR(John Fogerty)からは、MGsを始めとするメンフィス・ソウル、カントリー、ジャグ・バンド、ゴスペル・カルテットなどに関心を寄せるきっかけを得たのでした。

 "Oh Me Oh My"は、いかにもJohn Fogertyが書きそうなメロを持つ、カントリー・ロックに仕上がっています。
 だけでなく、ボーカルの高音の出し方など、雰囲気がまんまJohn Fogertyという感じで、聴き惚れました。
 全てのJohn Fogertyファンにお奨めの1曲です。

 そして、もう1曲、"Haley's Comet"にも注目です。
 この曲は、元Blastersの中心メンバーだった、Dave Alvinとルーツ系シンガー・ソングライターのTom Russellが書いた曲で、作者盤のほか、Texas Tornadosのカバーがあります。

 ロックンロール・レジェンドの一人、ビル・ヘイリーの晩年の生活、孤独な最期を歌った曲で、「彗星が落ちた」という比喩が印象的です。
 (良く知られているように、彼のパンド名はコメッツでした。)

 アメリカで落ち目になったヘイリーは、ヨーロッパに活路を見出します。
 当初、大きなリスペクトを持って迎えられたヘイリーでしたが、その人気は長続きしませんでした。
 ロックンロールの危険で反抗的なイメージは、マーロン・ブランドから、エルヴィスやジェイムズ・ディーンへと受け継がれ、髪の薄い中年のヘイリーは、時代から置いていかれようとしていたのです。 
 かつてのスターに訪れた現実のペーソスと、栄光時代の幻覚を、疾走感たっぷりのアレンジで描写するロックンロールがかっこいいです。

 アーシーなロックンロールから、カントリー・ロック、ケイジャン・カントリー、シャッフル・ブルース、ウエスタン(?)・インスト、異国情緒漂うボーダー・ソング、繊細で内省的なバラードまで、ごった煮感満載で、まだ正体がつかめない、まだまだ底が深いんじゃないか、そう期待させてくれる好バンドだと思います。

 2ndが入手困難なのが残念です。
  (MP3アルバムは購入できます。)

 まあ、あせらずにいれば、そのうちいつか入手できるでしょう。



Oh Me Oh My by Tijuana Gigolos




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