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昔は「Trados さん、頑張って!」とお祈りしながら訳文生成していませんでしたか? 今も、たまにそんな気分になるときがあります。Trados って本当にわからないことばかりです。特に、日本語の情報は少ないですよね。いくら翻訳者とはいえ、日本語の情報が欲しいのです。Trados ユーザーの方々といろいろ情報交換できたらと思っています。




2022年12月25日

【後編】タイピングを減らそう

Advent Calendar 「翻訳に役立ってくれそうなツール」の記事です。記事の公開が遅くなってしまいました。今回も、がっつり Trados です。


前編に引き続き、Trados 内でタイピングを減らす方法を考えてみます。今回は、プロジェクトの設定ではなく、[ファイル] > [オプション] から行う Trados 環境全体の設定です。これらの設定の詳細については、以前の記事「Trados の設定を変えるには − [ファイル] と [プロジェクトの設定]」を参照してください。

[ファイル] > [オプション] の設定は、プロジェクトの設定と異なり、一度設定すればどのプロジェクトで作業をしても有効です。これは便利である反面、プロジェクトごとに設定を変えることはできないということでもあります。言語の方向 (日英か、英日か) によって設定を変えたくなることはありますが、プロジェクトを変えても設定は変わらないので、そうした場合は手動で設定を変えるしかありません。(結局、プロジェクトごとに設定を変えるんじゃん! ということです。)

今回紹介する機能は、主に AutoSuggest です。AutoSuggest は、英訳をする (英語を入力する) ときはうまく機能しますが、和訳をする (日本語を入力する) ときは、IME との関係上、あまり期待どおりの動作になりません。和訳の場合は、AutoSuggest は無効にして IME の機能を活用するのも一つの選択肢です。この記事の以下の説明は、英訳をする (英語を入力する) 場合を前提としています。では、始めていきましょう。



AutoSuggest


AutoSuggest の有効無効の切り替えや詳細の設定は、[ファイル] > [オプション] > [AutoSuggest] から行います。


108_5.png


画面下部の [AutoSuggest のプロバイダ] リストで、AutoSuggest の候補をどこから持ってくるのかを指定できます。順番も変更できます。私はすべてのチェックボックスをオンにしていることが多いですが、不要なものはオフにできます。

このリストの一番上に表示されている [RegexMatchAutoSuggestProvider] は、AutoSuggest を強化するプラグインです。これについては後で説明します。[AutoText][翻訳メモリと自動翻訳] については、別の画面で詳細を設定できます。これも後述します。

[AutoSuggest 辞書] は、特定のメモリから用語を抽出した対訳集 (.bpm ファイル) のようなものです。長らく、フリーランス版ではこの辞書を生成することができなかったのですが、なんと Trados Studio 2021 からは生成できるようになっています。(私は、この記事を書いていて、辞書生成機能がフリーランス版に追加されていることを初めて知りました。びっくりしました。) これも後で簡単に説明します。

この画面の細かい設定は、正直に言って、個人の好みです。メモリや用語集の充実度にもよりますし、慣れの問題もあります。候補があまりに多く表示されるようなら [翻訳メモリと自動翻訳] をオフにするとか、作業しているプロジェクトに合わせて面倒がらずに設定を変えてください。(まあ、結局、プロジェクトごとに設定を変えることになるので面倒です。)

では、いくつかの機能を詳しく見ていきます。



翻訳メモリと自動翻訳


この機能を有効にすると、表示される候補がかなり多くなります。私は、候補を減らすため、たいてい「あいまい一致」のチェックボックスはオフにしています。

108_6.png


 
AutoText


訳文でよく使う語句を自分で登録しておくことができます。AutoText は、原文に関係なく表示されるのが特徴です。メモリや用語集は原文に該当する語句がなければ機能しませんが、AutoText は訳文の語句を登録しているので、最初の数文字を入力すれば原文に関係なく候補が表示されてきます。「person in charge」や「company/organization」など、空白やスラッシュを含む語句も登録できます。


108_7.png


AutoText のリストはファイルとして保存できます。右下にある [インポート][エクスポート] のボタンを使います。このリストは、Trados が落ちたりすると、新しく追加した語句が消えてしまうことがあるので、こまめにエクスポートしておくことをお勧めします。



Regex Match AutoSuggest Provider


Regex Match AutoSuggest Provider は、AutoSuggest を強化してくれるプラグインです。無料で使用できます。詳細については、以前の記事「■プラグイン■ 原文にある英数字を訳文にコピーする (日⇒英の場合)」を参照してください。

以前の記事では英数字をコピーする方法しか説明していませんが、もちろん、いろいろな使い方ができます。基本的には正規表現ですが、普通の語句を登録するだけなら正規表現を特に意識する必要はありません。

たとえば、日本語でよく使われる丸囲み数字を以下のように変換できます (@ を (1) に変換する)。

108_1.png


以下は、数字を月名に変換しています。全角に対応するため少しだけ正規表現を使っています (すみません、順番がばらばらなことに特に意味はありません)。

108_2.png


上図のように設定した場合、11 に対しては NovemberJanuary の両方が候補として表示されます。また、単に数字を指定しているだけなので、月名とは関係のない数字の場合も月名が候補として表示されます。その辺りは、私としては許容範囲内です。


AutoSuggest 辞書


最後に AutoSuggest 辞書です。前述のとおり、この辞書はこれまでフリーランス版では作成できなかったので、私は使ったことがありません。どの程度役立つのかは未知数ですが、大きなメモリが提供されている場合は便利に機能するのではないかと思います。

AutoSuggest 辞書の個々の設定は、[ファイル] > [オプション] ではなく、プロジェクトの設定から行います。プロジェクトの設定で [言語ペア] > [特定の言語ペア] > [AutoSuggest 辞書] をクリックすると以下の画面が表示されます (言語に依存するものなので、[すべての言語ペア] ではなく、Japanese など特定の言語ペアから設定します)。


108_3.png


まず、辞書を作成します。この画面で [生成] ボタンをクリックするとウィザードが開始されます。ウィザードを進めていけば、辞書ファイル (.bpm) ができあがります。メモリが大きいとかなり時間がかかると思われるので、設定を適宜調整してみてください。また、辞書の作成は、この画面ではなく、[翻訳メモリ] ビューから行うこともできます。

辞書ファイルが作成されたら、[追加] ボタンをクリックしてそのファイルを登録します。これで、準備は完了です。辞書の内容が候補に表示されてくるはずです。


今回は以上です。AutoSuggest は、設定によっては、期待どおりの候補が表示されなかったり、表示される候補が多すぎたりすることがあります。ベストな設定を見つけるのはなかなか難しいですが、いろいろとお試しください。作業しているプロジェクトに応じて、こまめに設定を変えることも大切かと思います (そう思ってはいますが、実際のところは面倒です)。






  




2022年12月24日

Vale を使ってみる

Advent Calendar 「翻訳に役立ってくれそうなツール」の記事です。今回は、英文校正ツール Vale についてです。


以前の記事で英文用の校正ツールとして Vale という名前だけ挙げていました。Vale はコマンドラインで実行する校正ツールです。マイクロソフトGoogle Developers などのスタイルガイドに沿ってチェックを行うことができます。Grammarly のような校正ツールにも似ていますが、それらとはまた違った観点でチェックが行われるので、役立つ場面もあるかと思い、今回使ってみることにしました。

Vale では、校正ルールの設定ファイルが「パッケージ」として提供されています。マイクロソフトや Google Developers を始めいくつかのスタイルガイド用にパッケージが用意されているので、これらをダウンロードして使えばそれぞれのスタイルガイドに合わせてチェックを行えます。

107_1.png


こうしたパッケージの操作も含めて、Vale はコマンドを打って操作する必要があります。コマンド操作は少し面倒ですが、慣れてしまえば大丈夫です。インストールも、Chocolatey を使うとか、Path を通すとか、いろいろ書いてありますが、すみません、今回その辺りのことはすべて省略します。普通にダウンロードして、プログラム本体、設定ファイル、チェック対象ファイルをすべて同じフォルダーに入れてしまえばひとまず動きます。この記事では「ひとまず動かす」ことを目標とします。

手順は、以下のとおりです。

  1. プログラムの zip ファイルをダウンロードして展開する

  2. 設定ファイルを作成する

  3. パッケージを設定する

  4. チェックを実行する


では、始めていきましょう。



1. プログラムの zip ファイルをダウンロードして展開する


Vale のプログラムをダウンロードします。GitHub ページの右側にある [Releases] から最新版をダウンロードできます。このリンクをクリックするとダウンロード ファイルの一覧が表示されるので、Windows だったら vale_2.21.3_Windows_64-bit.zip などをダウンロードします。

107_2.png


zip ファイルをダウンロードしたら、適当なフォルダーを作ってそこに展開します。プログラム本体 (vale.exe) を展開したフォルダーに、この後、設定ファイル (.ini ファイルと各種パッケージ) とチェック対象ファイル (テキスト ファイルなど) を入れ、プログラムを実行します。



2. 設定ファイルを作成する


プログラム本体 (vale.exe) を展開できたら、次に設定ファイル (.ini ファイル) を作成します。設定ファイルは Vale のサイト上にある Config Generator を使って簡単に作成できます。Vale.sh ページの上部にあるメニューから [Resource ] > [Config Generator] を選択すると、以下のようなページが表示されます。


107_3.png


上部の 3 つの項目をそれぞれ選択すると、下部に ini ファイル用のテキストが自動的に生成されて表示されます。vale.exe と同じ場所に「vale.ini」という名前のファイルを作成し、そこにこの表示されたテキストをコピペすれば設定ファイルは完成です。

3 つの項目は、ほぼ表示されている名前のとおりの意味です。[Base style] で、マイクロソフトか Google かなど基本となるスタイルを選択します。[Supplementary styles] は補助的なスタイルです。これは複数選択できます。[Static Site Generator] は特に必要なければ「None」のままで OK です。



3. パッケージを設定する


設定ファイルが完成したら、設定ファイルに指定したスタイルのパッケージをダウンロードして設定します。ここからの操作はコマンドで行います。

まず、コマンド操作用に Windows PowerShell ウィンドウを起動します。PowerShell ウィンドウの起動には Shift+右クリックを使うと便利です。vale.exe と vale.ini が格納されているフォルダーを Shift キーを押しながら右クリックし、表示されるメニューから [PowerShell ウィンドウをここで開く] を選択します。これで、PowerShell ウィンドウが起動します。

ウィンドウが起動したら、念のため vale.exe と vale.ini が格納されているフォルダーにいることを確認してください。そのフォルダーで以下のコマンドを実行します。

vale sync


これで、設定ファイルに指定したスタイルのパッケージが自動でダウンロードされ、設定されます。パッケージは styles というフォルダーに格納されます。以下のように SUCCESS と表示され、100% となれば準備完了です。これでチェックを実行できます。


107_4.png



4. チェックを実行する


設定ファイルとパッケージの準備ができたら、いよいよチェックの実行です。チェック対象のテキスト ファイルを同じフォルダー (vale.exe および vale.ini と同じ場所) に入れます。これで、コマンドを入力すればチェックが実行されます。以下は、test.txt というファイルのチェックを実行しています。

vale test.txt


コマンドを実行すると、チェックの結果が出力されます。これで完了です。出力が折り返されて見にくい場合は --no-wrap オプションを付けて実行します。

vale --no-wrap test.txt


このオプションを付けると以下のように出力されます。メッセージが折り返されずに表示されるので見やすくなります。


107_5.png


コマンドの詳細については CLI Manual を参照してください。また、設定ファイルでもいろいろと細かい設定ができます。


今回は以上です。本当に「ひとまず動かした」だけですが、けっこういろいろなエラーが検出されて驚きました。たとえば、技術英語としては「don’t などの省略形は使わない」というルールが一般的だと思いますが、マイクロソフトのスタイルガイドでは省略形を使ってよいことになっています。私は、今回のチェックで検出されて初めてこのルールに気付きました。

なお、今回は Windows PowerShell ウィンドウでコマンドを使用しましたが、Vale には VS Code 用の拡張機能も用意されています。VS Code 内で拡張機能を使った方が簡単に操作できるかもしれないです。その辺りのことは、また次の機会に調べてみたいと思います。







  


2022年12月23日

テキスト読み上げソフト

Advent Calendar 「翻訳に役立ってくれそうなツール」の記事です。今回は、テキスト読み上げソフトについてです。


せっかくの Advent Calendar なので Trados 以外のことも書こうと思い、今回はテキスト読み上げソフトの SofTalk を紹介するつもりだったのですが、なんだか、ご紹介できなそうな状況になっていました。

私は SofTalk をかなり前から使用していましたが、今回の記事を書くにあたって念のため最新版を確認したところ、SofTalk は今年の 7 月頃から音声合成エンジンが変わっていたことがわかりました。現在のバージョンでは AquesTalk (通称、ゆっくりボイス) が使用できなくなっています。うぅ、残念です。

今は手元にある古いバージョンが正常に動くのでそれを使っていますが、今後はどうしたらいいんでしょう。Word の読み上げ機能はあまり便利じゃないし、Edge の読み上げ (Ctrl+Shif+U) は流暢すぎて訳文のチェックには向かない気がしています。「ずんだもん」とか使ってみたらいいのかしら。


というわけで、すみません、今回はここまでです。最新版の SofTalk でも AquesTalk 以外のエンジンで一応読み上げはできるので、その辺りのことについて調べたらまた記事にしたいと思います。






  




2022年12月20日

原文と訳文を入れ替える

Advent Calendar 「翻訳に役立ってくれそうなツール」の記事です。今回も Trados です。すみません。


前回の英単語チェックの記事で、原文と訳文を入れ替えてチェックをすると効果的という話をしました。今回は、実際に Trados で原文と訳文を入れ替える方法を説明します。

原文と訳文を入れ替えるといっても、その目的はさまざまだと思います。また、入れ替える方法も実はたくさんあります。この記事では、前回の記事で説明した英単語チェックを目的として入れ替える方法を紹介します。ここで紹介する方法は、すべての分節が含まれない、タグが消える、などの問題もあるので、原文と訳文を入れ替える目的によっては使えません。

以下の 2 つの方法を説明します。

 ・テキスト形式のメモリ (TMX ファイル) を使う

 ・Excel ファイルにエクスポートする



どちらの方法にも問題がある


すべての分節がメモリに登録されるわけではない

テキスト形式のメモリ (TMX ファイル) は、原文と訳文の入れ替えを行うには手軽に使えてとても便利です。TMX ファイルには、原文と訳文の区別だけでなく「英語」や「日本語」など言語の種類も記録されています。このため、英日メモリ (.sdltm ファイル) からエクスポートした .tmx ファイルは、そのまま反対方向の日英メモリにインポートできます。これで入れ替えができます。タグもほぼ維持されます。変更履歴が付いていてもメモリは履歴を適切に処理できます。

ただ、1 つ問題があります。それは、固定要素だけが違う分節はメモリに登録されないことです (固定要素の詳細については、以前の記事【前編】タイピングを減らそうも参照してください)。以下のような 2 つの分節があり、頭字語の「AC」と「DC」が固定要素として認識されていたとします。


105_1.png


この場合、2 つの分節を訳しても、メモリに登録される分節は「AC電源ケーブルをチェックします。」の 1 つだけです。「DC」の分節は「AC」の分節と固定要素以外がまったく同じなのでメモリに登録されません。前回の英単語チェックではこうした英単語こそチェックしたいので、1 つしかメモリに登録されない仕様は困ります。

もうメモリの形になっていて、それをチェックしたいというときは TMX ファイルを使って問題ありませんが、sdlxliff ファイルの状態でチェックをしたい場合はメモリを介さない方法が必要になります。


Excel へのエクスポートはタグと変更履歴を無視する

メモリを介さない方法の 1 つが、sdlxliff ファイルを Excel ファイルにエクスポートして原文と訳文を入れ替える方法です。これなら、sdlxliff ファイル内にある分節をすべてチェックできます。ただ、この方法にも問題があります。Excel ファイルにエクスポートするとタグがほぼ消えます。また、変更履歴が認識されないので、変更履歴を残している場合は使えません (削除した文字もすべてそのままエクスポートされます)。

今回の英単語チェックという目的では、タグは消えても構わないので、私は Excel ファイルにエクスポートする方法を使います。変更履歴があるときは悩ましいですが、変更履歴付きのファイルをバックアップした上で、変更履歴をすべて適用します。これでファイルをエクスポートし、その後で元の変更履歴付きのファイルを戻します (かなり、面倒です)。



テキスト形式のメモリ (TMX ファイル) を使う


TMX ファイルを使う方法から説明していきます。以下の説明では「英日翻訳をしているときに、日英に入れ替えてチェックを行う」という状況を想定しています。

事前に必要なもの: TMX ファイル用のファイル タイプ定義 (File type definition for TMX)

手順は、以下のようになります。

 1. すべての分節をメモリに登録する
 2. 登録した英日メモリを TMX ファイルにエクスポートする
 3. 日英メモリを作り、TMX ファイルをインポートする (ここで、入れ替えを行う)
 4. 日英メモリを TMX ファイルにエクスポートする
 5. 日英プロジェクトに TMX ファイルを追加する

では、始めていきましょう。



事前準備

事前準備として、TMX ファイル用のファイル タイプ定義を Trados にインストールします。このファイル タイプをインストールしておくと .tmx ファイルをそのまま翻訳ファイルとしてエディターで開くことができます。

ファイル タイプは、他のアプリと同様に AppStore からダウンロードしてインストールできます。バージョン 2021 以降だったら、Trados の [ようこそ] 画面から検索できます。インストールすると、プロジェクトの設定の [ファイルの種類] 画面に [新たなインストール済みのファイルの種類が存在します。] というメッセージが表示されるので、そこをクリックして TMX ファイル用のファイル タイプを有効にします。


105_2.png


事前準備はこれで完了です。では、実際の手順に進みます。


1. すべての分節をメモリに登録する

まず、念のため、現在エディターに入力してある訳文をすべてメモリに登録します。ファイル リストから、対象の翻訳ファイルを右クリックして [一括タスク] > [メインの翻訳メモリの更新] を選択します。画面の指示に従ってウィザードを進めます。メモリに登録する分節のステータスなども必要に応じて設定できます。なお、この操作を行っても、最初に説明した「固定要素以外がまったく同じ分節」は登録されません。


2. 英日メモリを TMX ファイルにエクスポートする

メモリを更新したらエクスポートします。[プロジェクトの設定] のメモリの設定画面で、対象のメモリを選択して [エクスポート] をクリックします。既定で TMX ファイルにエクスポートされると思いますが、念のためファイル名を指定するときにファイルの形式も確認します。


3. 日英メモリを作り、TMX ファイルをインポートする

ここで、言語方向を入れ替えた日英メモリを新しく作成します。そこに、エクスポートした TMX ファイルをインポートします。英日メモリからエクスポートした TMX ファイルをそのまま日英メモリにインポートできます。これで、入れ替えは完了です。


4. 日英メモリを TMX ファイルにエクスポートする

日英メモリにインポートできたら、改めて TMX ファイルにエクスポートします。これで、日英の TMX ファイルの完成です。


5. 日英プロジェクトに TMX ファイルを追加する

最後に、日英プロジェクトを作成して、日英の TMX ファイルを翻訳ファイルとして追加します。これで、日英の TMX ファイルに対して QA Checker を実行できます。日英プロジェクトは、チェック用のものを 1 つ作り、そこに QA Checker の設定などをしておくと便利です。 毎回、そのプロジェクトにファイルを追加してチェックできます。


TMX ファイルを使う手順は以上です。書いてみると、意外と手順が多くなってしまいました。英日の TMX ファイルをそのまま日英プロジェクトに追加できないかと思って試してみたのですが、それはできませんでした。メモリ (.sdltm ファイル) にインポートして入れ替えるという処理がどうしても必要なようです。次の Excel ファイルを使う方が手順は少ないです。



Excel ファイルにエクスポートする


次に、メモリを介さず、sdlxliff ファイルを Excel ファイルにエクスポートして入れ替えをする方法を説明します。

事前に必要なもの: Excel にエクスポートするアプリ (Export to Excel)

手順は、以下のようになります。

 1. Excel ファイルにエクスポートする
 2. 日英プロジェクトに Excel ファイルを Bilingual Excel として追加する (ここで、入れ替えを行う)



事前準備

事前準備として、sdlxliff ファイルを Excel ファイルにエクスポートしてくれるアプリ Export to Excel をインストールします。Excel ファイルへのエクスポートを行う方法はこのアプリを使う以外にもいくつかありますが、このアプリはいろいろな設定もできて便利なので私はこれを使っています。

では、始めましょう。


1. Excel ファイルにエクスポートする

Export to Excel アプリをインストールすると、ファイル リストの [一括タスク][Export to Excel] というコマンドが表示されるようになります。このコマンドをクリックしてエクスポートします。


105_3.png


エクスポートする対象などを設定できます。ロックされている分節をチェックしない場合は、[Exclude locked segments] を選択して、ロックされている分節がエクスポートされないようにします。

以下のような Excel ファイルがエクスポートされます。この Excel ファイルはエクスポート元の sdlxliff ファイルと同じ場所に生成されます。残念ながら、この時点でタグはなくなっています。


105_4.png



2. 日英プロジェクトに Excel ファイルを Bilingual Excel として追加する

Excel ファイルへのエクスポートができたら、今度はそれを日英プロジェクトに翻訳ファイルとして追加します。このとき、Excel ファイルを通常の Excel ファイルではなく「Bilingual Excel」として追加します。

ファイルを追加する前に、ファイルの種類として Bilingual Excel が選ばれるように設定をします。日英プロジェクトの [プロジェクトの設定] から [ファイルの種類] 画面を開き、拡張子「.xlsx」に対してBilingual Excel だけが有効になるように他の Excel 関連のチェックボックスをオフにします。


105_5.png


このリストは、上から順番に適用されていくので、チェックボックスをオフにするのではなく、Bilingual Excel を一番上に移動することでも Bilingual Excel が選ばれるように設定できます。

Bilingual Excel が選ばれるように設定したら、次に、Bilingual Excel の中身を設定します。 左側のリストから [Bilingual Excel] > [全般設定] を選択すると、以下の画面が表示されます。


105_6.png


[原文列:] には、先ほどエクスポートした Excel ファイルで日本語が入力されている「C」列を指定し、[訳文列:] には英語が入力されている「B」列を指定します。ここで、原文と訳文の入れ替えを行います。

これで準備は完了です。後は、エクスポートした Excel ファイルをプロジェクトに追加すれば、原文が日本語、訳文が英語の翻訳ファイルができあがります。これで QA Checker を実行できます。



今回は以上です。「原文と訳文を入れ替える」というタイトルにしていますが、それ以外の説明が少し多くなってしまいました。原文と訳文を入れ替える方法はその目的によっていろいろあると思いますので、目的に合った方法を探してみてください。







  





2022年12月18日

CamelCase と ALLUPPER CASE を自作する

Advent Calendar 「翻訳に役立ってくれそうなツール」の記事です。今回は、Trados と正規表現です。


私はしつこく Xbench の無料版 (V2.9) を使っていますが、無料版で一番残念なのが QA チェックの CamelCase Mismatch と ALLUPPER CASE Mismatch を有効にできないことです。有料版の V3 以降では有効にできるらしいですが、V2.9 では DISABLED と表示されるだけで、これを有効にするオプションがありません。このチェックは、大文字の単語 (WAF や HTTP など) とキャメルケースの単語 (GetStatus や SetTranslationMemory など) が原文と訳文で一致しているかを確認してくれるものだと思います。英単語は「必ず原文からコピーする」というルールを徹底していれば間違うはずはないのですが、それでも抜けてしまったりすることがあるので、こうしたチェックはどうしても必要になります。

そこで、今回はこのチェックを Trados の QA Checker を使って再現することに挑戦します。日英翻訳と英日翻訳の両方向について再現する方法を考えてみました。で、考えてみたので今回はその方法を紹介しますが、実はあまりうまく機能しないケースがあります。どうしても誤検出が増えてしまいます。もし、改善案などありましたら、教えて頂けると嬉しいです。



QA Checker の正規表現


QA Checker の詳細については、以前の記事「正規表現なしで、検証機能を使う」を参照してください。この記事でも書いているとおり、QA Checker の設定はファイルにエクスポートして保存しておくことができます。同じように、正規表現にも [アクション] の中に [アイテムのエクスポート][アイテムのインポート] が用意されています。この画面のエクスポートは正規表現のみをエクスポートします。また便利な点として、この画面のインポートは削除をせず、追加と更新だけをしてくれます。つまり、既存のアイテムはそのまま残り、新しいアイテムは追加され、そして更新されたアイテムは更新されます。QA Checker 全体のプロファイルからインポートをすると、総入れ替えになるので古いアイテムは削除されます。


104_1.png




日本語 -> 英語の場合


日英翻訳の場合は、大文字やキャメルケースなど関係なく単純に「英単語を抜き出す」と考えればよいので簡単です。


英単語

104_2.png


原文: ([a-zA-Z0-9\-\.]+)
訳文: $1

私は、数字、ハイフン、ピリオドも含めて上記のように設定しています。これで、英語の小文字、大文字、数字、ハイフン、ピリオドで構成される単語を原文から抽出できます。訳文の $1 は「原文の ( ) 内とまったく同じ内容」ということを意味します。原文から CAT が抽出されたら、訳文でも CAT を探します。


全角の英単語

ここまでは簡単ですが、日英翻訳で問題になるのは全角です。原文が日本語の場合、英数字が全角で書かれていることがあります。上記の式は全角にはマッチしません。そこで、私は以下の式も追加しています。

原文: ([a-zA-Z0-9]+)
訳文: $1

これで全角の英数字も抽出できます。抽出はできますが、訳文の $1 はうまく機能しません。訳文の英語では英数字は半角にするので、原文の全角 CAT を訳文で正しく半角 CAT に変換していてもすべてエラーとして検出されます。安全のためにこの式を使ってはいますが、誤検出が多くなります。



英語 -> 日本語の場合


原文が英語の場合は、当然ながらすべてが英単語なので上記のように単純にはいきません。大文字とキャメルケースを指定する必要があります。


大文字で構成される単語

大文字は比較的簡単です。私は、ハイフンも含めて以下のように指定しています。「大文字かハイフンが 2 回以上連続する」という意味です。

原文: ([A-Z\-]{2,})


1 文字の英数字

上記の条件は「2 回以上」という指定なので server A などにはマッチしません。そこで、英数字 1 文字だけを抽出する式も追加します。

原文: (\b[\w\d]\b)

\b は単語の始まりまたは終わりを示します。\w は英文字、\d は数字です。この式は「単語の始まりがあって、英数字が 1 つあって、単語の終わりになる」という条件になります。私は数字も含めていますが、数字は数字チェックの機能が別にあるのでここに含めなくても OK です。


キャメルケース

いよいよキャメルケースです。少し複雑になります。私は、考えていたら複雑すぎてよくわからなくなったので「小文字始まり」と「大文字始まり」の 2 つに分けることにしました。

・小文字始まりキャメルケース (getTableStatus など)

原文: (\b[a-z]+\-*[A-Z]+[a-z\-]*)

\b は単語の始まりなので「小文字で始まって、大文字が 1 回以上登場して、また小文字がある」という条件です。念のため、ハイフンもありということにしています。

・大文字始まりキャメルケース (GetTableStatus など)

原文: (\b[A-Z]+\-*[a-z]+\-*[A-Z]+[\w\d\-]*)

こちらは「大文字で始まって、小文字が登場して、また大文字が登場する」という条件です。「大文字で始まって、小文字が登場する」だけでは、先頭を大文字にする通常の文すべてに一致してしまうので、2 度目の大文字が必要です。


文頭以外の大文字始まり (This is a Windows server など)

大文字の連続やキャメルケースではなく、単に文の中で大文字で始まる単語もチェックしたい場合があります。ただ、英語の文は通常大文字で始まるのでこれがなかなか大変です。文頭の大文字は抽出しないようにする必要があります。

原文: ^.+([A-Z]+\-*[a-z0-9]+\-*\b)

先頭の ^ は正規表現で「文頭」を意味します。この式は「文頭から何か文字があった後に大文字が登場する」という条件になります。すみません、これも考えてはみたものの、かなり誤検出が多くなります。文頭以外に大文字が登場する文は実はかなりあります。たとえば、見出しでヘッドライン スタイルが使われている、文全体が丸括弧で囲まれている、Note: のようなコロンの後に文が書かれている、などです。こうしたケースを除外しようとするとなかなか面倒です。



原文と訳文を入れ替えてチェックする


さて、いろいろなチェックをしても、コマンドやプロパティ名などが満載の IT 系文書のときは英単語の記述にどうしても不安が残ります。そんなときは、原文と訳文を入れ替えてチェックをしてみます。これはかなり有効です。

Trados の正規表現の一部は「原文から訳文」方向のチェックしか行いません。正規表現の条件をよく見てみると「グループ化された検索表現」は以下の 2 つしか条件がありません。


104_3.png


訳文に $1 などと記述するケースが「グループ化された検索表現」にあたりますが、この場合は必ず原文を先に検索する必要があります。それ以外の場合は「訳文は一致するが〜」や「訳文チェックのみ」が可能ですが、$1 などを使う場合はそれができません (この画面上ではどの条件も選択できますが、期待どおりの動作になりません)。このため、通常は「訳文に余計な英単語が入っている」というケースは検出できませんが、原文と訳文を入れ替えてチェックをすれば検出できます。

また、上記のとおり、英語 -> 日本語のチェックはかなり複雑で False positive も False negative も多くなります。これを、日本語 -> 英語に変えるとチェックが単純になり、エラーも見つかりやすくなります。英語 -> 日本語の場合、setget などの小文字始まりのプログラム コマンドは普通の英語と区別がつかないので検出できませんが、訳出後に日本語 -> 英語に変えて英単語のチェックをすれば検出できます。このチェックは、私の経験上、けっこう有効に機能します。



今回は以上です。Trados で原文と訳文を入れ替える方法については、次回とりあげたいと思います。正規表現をいろいろ考えていると、素直に新しい Xbench を購入した方がいいんじゃないかという考えが頭をよぎらないこともないですが、とりあえず、もう少し頑張ってみます。正規表現はよくわからないことが多いので、アドバイス頂けるととても嬉しいです。






  







2022年12月14日

【前編】タイピングを減らそう

Advent Calendar 「翻訳に役立ってくれそうなツール」の記事です。今回は、がっつり Trados です。


翻訳作業を効率化しようと考えたとき、私が真っ先に思いつくのは「タイピングの量を減らす」ことです。少ないタイピングで正確に入力できれば作業スピードは確実に上がるでしょう。しかし、そうは思いつつも、タイピングの 1 回 1 回はわずかな時間なので対策をついつい後回しにしがちです。

そんな私も、IME の単語登録と AutoHotkey は使っています。ただ、IME は基本的に日本語を入力するためのものなので英訳をしているときはあまり役立ちません。また、AutoHotkey はとても便利ですがスクリプトの記述はどうしても面倒です。というわけで、今回は Trados の中でタイピングを減らすために使用できる機能をまとめてみました。Trados の外でタイピングを減らす方法は数多くあると思いますが、まずは Trados に付いている機能だけでも十分に活用していきましょう。ここに挙げた以外にも良いアイデアがあれば、ぜひぜひお聞かせください。


設定の種類: [プロジェクトの設定] と [ファイル] > [オプション]

さて、Trados 内だけとはいっても、タイピングを減らす効果が期待できる機能はけっこうたくさんあります。今回は Trados の設定を 2 つに分け、それらを前編と後編の 2 つの記事で説明したいと思います。Trados の設定は大きく分けると、プロジェクトごとの設定である [プロジェクトの設定] と、Trados 環境全体の設定である [ファイル] > [オプション] の 2 つになります。この 2 つの詳細については、以前の記事「Trados の設定を変えるには − [ファイル] と [プロジェクトの設定]」を参照してください。

[ファイル] > [オプション] の設定は一度設定すればその後ずっと有効ですが、[プロジェクトの設定] はプロジェクトごとに設定を行う必要があります。つまり、プロジェクトの設定は新しいパッケージを開くたびに設定をします。ファイルが追加になりましたなどと言われて更新パッケージを受け取ったときも、残念ながら、設定をやり直さなければなりません。

では、今回の前編ではこのプロジェクトの設定を見ていきます。



フラグメント一致


設定の場所: [言語ペア] > [すべての言語ペア] > [翻訳メモリと自動翻訳] > [検索] > [upLIFT 用のフラグメント一致のオプション]


フラグメント一致の機能は既定で有効ですが、一部無効になっているオプションがあります。フラグメント一致や upLIFT の詳細については、以前の記事「フラグメント一致に関する設定」や、Trados の公式ブログを参照してください。


32-8.png


上図の [TU のフラグメント] をオンにします。これをオンにすると、分節全体ではなく、語句の単位でマッチが検出されるので、[フラグメント一致] ウィンドウに表示されるマッチが多くなります。[フラグメント一致] ウィンドウに表示された語句は、ショートカット キー Ctrl+Alt+M で訳文に挿入できます。

単語数のフィールドは、上記の公式ブログの推奨に従ってどちらも「2」に設定します。あまりにマッチが多く表示されるようなら「3」に変更します。数字を大きくするとマッチが減ります。



固定要素を「認識」する


設定の場所: [言語ペア] > [すべての言語ペア] > [翻訳メモリと自動翻訳]、メモリを選択して [設定] > [言語リソース] > [次を認識する]


「固定要素」とは、数字、日付、大文字の英単語などのことです。「認識済みトークン」と呼ばれることもあります。私にとっては、Trados の中でよくわからない機能のトップにあがるものですが、自動認識とか、自動置換とか、 QuickPlace (ショートカット キーは Ctrl+Alt+下矢印または Ctrl+カンマ) とか、繰り返し処理とか、いろいろなところに影響するので注意が必要です。詳細については、公式ヘルプの「固定要素」を参照してください。(ただ、参照してもよくわかりません。)

固定要素の設定は 2 段階で行います。最初に「認識」を有効にし、その後で「置換」を有効にします。では、まず「認識」を有効にする方法です。

エディターの原文で、数字や日付などに青色の下線が引かれていることがあると思います。これが、固定要素が「認識されている」状態です。認識された要素は、QuickPlace 機能 (ショートカット キーは Ctrl+Alt+下矢印または Ctrl+カンマ) で訳文にコピーできます。

103_1.png


認識を有効にする設定は、メモリに付属する「言語リソース」で行います。メモリの設定画面で [言語リソース][次を認識する] の各チェックボックスをオンにします。これで、それぞれの要素が認識されるようになります。

103_2.png




固定要素を「置換」する


設定の場所: [言語ペア] > [特定の言語ペア] > [翻訳メモリと自動翻訳] > [自動置換]


では次に、認識された固定要素の「置換」を有効にする設定を行います。これは、日付や通貨などの形式を自動的に変換してくれる機能です。詳細については、公式ヘルプの [翻訳メモリと自動翻訳] > [自動置換] を参照してください。

置換の設定は、[すべての言語ペア] ではなく、Japanese->English など、特定の言語ペアで行います。日付や通貨の形式は言語に依存するので、言語ごとに設定する必要があります。以下の [自動置換] ページに表示される項目のチェックボックスをオンにすると、それぞれの要素の置換が有効になります。


103_4.png


ただ、自動置換の動作はあまり信用できないので、より安全な方法をとるなら「認識は有効、置換は無効」と設定するのもよいと思います。認識を有効にして青色の下線が引かれていれば、置換は無効でも QuickPlace 機能のショートカット キーで入力が可能です。

実は、私は今回の記事を書いていて初めてこの置換設定ページの存在に気づきました。以前の繰り返し処理の記事でも固定要素については説明していますが、この自動置換の有効/無効はすっかり抜け落ちていました (すみません)。繰り返し処理の動作にもこの「認識」と「置換」の 2 段階の設定が影響します。

ちなみに、私は毎回「認識」と「置換」の全チェックボックスをオンにしていますが、これはあくまでタイピングを減らすためです。決して、自動で訳文を作ってもらおうとしているわけではありません。「Windows」は OS ではなくて複数のウィンドウかもしれないし、「SW」はスイッチかもしれないけどソフトウェアかもしれないし、「バージョン 100 は 100 億個のファイルを 100 分の 1 の時間で処理する」みたいな文があるかもしれません。自動的な変換は信頼できないのですべて確認が必要です。このため、ペナルティとの併用は必須です。自動置換を有効にするとマッチ率が上がったりしますが、それで料金を割り引きできると考えるのは間違いです (と私は思っています)。翻訳会社側で解析をするときは「自動置換なし、もし置換するならペナルティを付ける」が原則です (と私は思っています)。



置換の詳細を設定する


設定の場所: [言語ペア] > [特定の言語ペア] > [翻訳メモリと自動翻訳] > [自動置換]
(必要に応じて、[言語ペア] > [すべての言語ペア] > [翻訳メモリと自動翻訳]、メモリを選択して [設定] > [言語リソース])


自動置換の設定画面には、[日付と時刻][単位][数字と通貨] の 3 つが用意されています。ここでは、[日付と時刻] についてだけ説明したいと思います。[単位] については、以前の記事「単位記号の前にスペースを入れる」を参照してください。[数字と通貨] については、すみません、よくわからないことだらけなので今回は省略します。

日付と時刻は、以下の画面で形式を設定できます。スタイルガイドなどを確認して、適切な形式を選びます。ただ、自動置換は原文も正しい形式で入力がされていないと適切に機能しません。月と日だけ、または日だけ、というような場合は認識されず、置換もされません。


103_6.png


この設定画面のドロップダウンに表示されるオプションは自分で設定が可能です。たとえば、[日付 (長い形式)] にはかなりたくさんのオプションがありますが、スタイルガイドが「全角と半角の間にスペースを入れる」というルールの場合、これに合ったオプションはありません。

このルールにあったオプションを作成するには、メモリの言語リソースの設定に戻ります。


103_3.png


この表から [日付][日本語] をクリックして編集画面を開きます。ここで、必要な形式を追加します。yyyy などの要素が親切にプロンプトされてくるので、それを組み合わせていけば設定できます。


103_5.png


「全角と半角の間にスペースを入れる」というルールの場合は、以下を設定します (コピペできます)。

yyyy' 年 'M' 月 'd' 日 ('ddd')'


これで、先ほどの自動置換の設定画面に戻ると、追加した形式がドロップダウンに表示されるようになります。



まとめ


「プロジェクトの設定」でタイピングを減らすための機能の説明は以上です。最後に、まとめとしていくつか注意点を挙げておきます。固定要素の認識や置換は、私の経験上、なぜか設定がうまくいかないことが多いです。必ず解決するとは限りませんが、何かのときの参考にしてください。


言語リソースは 1 番上にあるメモリで設定する

言語リソースの設定はメモリに付属しますが、プロジェクトには複数のメモリが設定されていることがあります。その場合は、メモリのリストで 1 番上に表示されているメモリで設定を行ってください。たぶん、1 番上のメモリの設定が優先的に使われていると思います。(すみません、あくまで、私の経験則です。)

ただし、翻訳会社から提供されるサーバー TM の言語リソースは翻訳者側では設定を変更できません。このため、受け取ったパッケージでサーバー TM が 1 番上に設定されている場合は少し対応に困ります。私がよく行う対策は「自作のメモリを 1 番上に追加する」ですが、これによって翻訳ファイルが開かなくなったこともあります。メモリの順番を変えると、マッチの優先度も変わるので、その辺りも注意が必要です。


特定の言語ペアの設定が優先される

上記の説明では、「すべての言語ペア」と「特定の言語ペア」の設定を使用していますが、多言語プロジェクトの場合で「特定の言語ペア」に既に何らかの設定がされている場合は「すべての言語ペア」より「特定の言語ペア」の設定が優先されます。このため、自分で設定を変更するときも、「特定の言語ペア」で設定を変更する必要があります。詳細については、以前の記事「最近の Trados のワナ: メモリがヒットしてこない」を参照してください。


設定を変えたら、エディターをいったん閉じて、開き直す

固定要素などのメモリの設定は、設定画面で変更をしても、すぐに動作が変わらないことがあります。私は、設定がうまくできていないのではないかと思って、何回も確認や変更をしていたことがあります。そんなときはいったんエディター画面を閉じて、改めて翻訳ファイルを開き直すと動作が変わることがあります。


メモリをアップグレードする??

言語リソースの設定を変更すると、メモリにアップグレードを促す警告マークが表示されます。アップグレードしなくても正常に機能しているように見えますが、とにかく少しでも設定を変更すると警告マークが付きます。アップグレードの処理はメモリが大きいとかなり時間がかかるので、私はいろいろ設定してから、最後に念のためアップグレードするようにしています。


以上です。とてつもなく長くなってしまいました。「タイピングを減らすためにどれだけ設定が必要なんだよ!」という感じですが、これをパッケージを受け取るたびに行う必要があります。はっきりいって面倒です。とても面倒です。ですが、AutoHotkey など他の手段ですべて実現しようとすると、それも難しいので、とりあえずは Trados さんの設定に頼っています。次回は、プロジェクトの設定ではなく、エディターの設定を取り上げます。こちらは、プロジェクトごとに設定する必要がなく、若干ですが楽かもしれません。





  


2022年12月12日

Visual Studio Code を使ってみよう

Advent Calendar 「翻訳に役立ってくれそうなツール」の記事です。今回は、プログラミングのためのエディター「Visual Studio Code」の紹介です。

Visual Studio Code (VS Code) はマイクロソフトが無償で提供しているテキスト エディターで、主にプログラムのソースコードを編集することを目的としたものです。一般的にはプログラミングに使用するものなので複雑な機能が搭載されてはいますが、私は「無料で使えるテキスト エディター」と考えてごくごく簡単な用途に使っています。

概要、ダウンロード、インストールなどについては、以下のようなサイトが参考になります。


 ・Visual Studio Code – コード エディター | Microsoft Azure
  公式サイトです。ここからダウンロードできます。

 ・【VSCode】インストール/日本語化/基本的な使い方 (senseshare.jp)

 ・開発の定番「VSCode」とは? インストールから使い方までを解説 (1/3)|CodeZine(コードジン)
  まだ、連載の第1回しかありませんが、今後追加されるようです。

 ・VSCode | Visual Studio Codeのダウンロードとインストール (javadrive.jp)



インストールと日本語化

VS Code は、上記にも挙げた公式サイトからダウンロードできます。インストーラーが用意されているので、それをダウンロードして、画面の指示に従ってなんとなく進めていけば OK です。特に難しい手順はありません。上記の 2 番目に挙げているサイトの説明がわかりやすいと思います (が、特に参照しなくても普通にインストールできます)。

ただ、単にインストールしただけでは UI が英語です。日本語表示にしたい場合は日本語用の拡張機能を別途インストールする必要があります。これの手順も上記のサイトに説明されていますが、おそらく読まなくても大丈夫です。英語のまま使っていると VS Code からしつこいくらい「日本語にしますか」というプロンプトが表示されてきます。プロンプトが表示されたら、それに従って操作すれば日本語表示にできます。



拡張機能

VS Code で何かしたいときは、たいてい「拡張機能」をインストールします。Trados の「アプリ」のようなものですが、Trados とは比較にならないくらい種類がたくさんあります。ただ、検索もインストールも簡単なので心配は無用です。


102_1.png


左側のメニューから、四角いパズルのようなアイコンをクリックすると拡張機能のパネルが表示されます。このパネルから、検索、インストールとアンインストール、設定など、いろいろな操作が行えます。

では、ここからは私が VS Code をどのように使っているのかを紹介していきます。最初に紹介する AutoHotkey のスクリプト以外は、特にプログラミングとは関係のない用途です。




AutoHotkey のスクリプトを書く


AutoHotkey のスクリプトは普通のテキスト エディターで書けますが、VS Code を使った方がコードの色分けやオートコンプリート機能などが使えるので便利です。


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私は上記の拡張機能をインストールしていますが、拡張機能はこれ以外にもいくつかあります。拡張子が 「.ahk」のファイルを VS Code で開くと「AutoHotkey 用の拡張機能を入れますか」というようなプロンプトが表示されてきます。それに従って適当な拡張機能をインストールします。



Windows の仮想デスクトップを使う

AutoHotkey のスクリプトを書き換えたくなることはよくありますが、スクリプトを書くのはどうしても面倒なのでついつい後回しにしがちです。その対策として、私はよく使うスクリプト ファイルを常に VS Code で開きっぱなしにしています。いちいち開く手間がなくなり手軽に更新できるので、後回しにせず小まめに更新するようになります。

とはいえ、翻訳作業をしているときはウィンドウをたくさん開いていてデスクトップは常に一杯の状態です。そこに VS Code まで開くと切り替えの操作などが面倒になります。そこで使うのが Windows の仮想デスクトップ機能です。これは、仮想的にデスクトップ画面を追加して、複数のデスクトップを使えるようにする機能です (詳細については、こちらのサイトが参考になります)。私は、通常の翻訳作業に使っているデスクトップの他に、仮想デスクトップを 1 つ追加し、そこに VS Code を開いています。

デスクトップの追加は、ショートカットキー Windows+Ctrl+D で行います。追加した後の切り替えは、Windows+Ctrl+右矢印/左矢印 です。これで、スクリプトの変更が必要になったら、さっと画面を切り替えて編集できます。(といっても、スクリプトを書くのはやっぱりちょっと面倒です。)



Markdown ファイルをプレビューする


最近、Markdown の翻訳を依頼されることがたまにあります。Markdown ファイルは VS Code で開けば簡単にプレビューできます。拡張機能もいくつかありますが、何も入れなくても既定でプレビューできます。(詳しい方法については、@IT の VS CodeでMarkdownをプレビューするには?:Visual Studio Code TIPS が参考になります。)

拡張子が「.md」のファイルを開くと、エディターの右上に以下のようなアイコンが表示されます。これをクリックするとプレビューが表示されます。

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日本語のチェックをする


チェック機能は CAT ツールにも付属していますし、いろいろなツールがあるのでわざわざ VS Code を使う必要はないのですが、たまに違うツールを使うと思わぬ指摘があったりします。私がたまに使っているのは「テキスト校正くん」という拡張機能です。



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これは、テキスト ファイルの日本語をチェックしてくれる拡張機能です。Word ファイルなどをそのままチェックすることはできませんが、Word ファイルのテキストをコピーしてテキスト ファイル (.txt ファイル) に貼り付ければチェックできます。Trados ならエディターからすべてのテキストをコピーして貼り付ければ OK です。

テキスト ファイルを開くと、自動でチェックが実行され、エディターの左下にエラー数が表示されます。それをクリックすると [問題] パネルが開き、そこにエラーの詳細が表示されます。



102_6.png



本格的な校正は期待できませんが、「することができます」などの冗長表現のチェックは便利です。たまに使うと、びっくりするほど指摘されることがあり、自分の文章のクセがわかります。

校正ツールとしては、これ以外にも Vale (英語用)、textlint (日本語用) などがあります。が、すみません、記事にするほど理解できていないので、これらについてはまた今度にしたいと思います。もし「使っているよ」という方がいらしたら、ぜひ情報のご共有をお願い致します。



今回は以上です。VS Code のごくごく簡単な活用例を紹介しました。VS Code はプログラミングをまったくしたことのない人にとってはとっつきにくいかもしれませんが、単なる「テキスト エディター」と考えれば難しくありません。AutoHotkey のスクリプトも、VS Code で書くと、なんとなくすばらしいスクリプトが書けそうな気がしてきます。雰囲気だけでも気分を高めていきましょう!






  


2022年12月04日

AutoHotkey の簡単な使用例

Advent Calendar 「翻訳に役立ってくれそうなツール」の記事です。今回は、AutoHotkey の紹介です。

AutoHotkey は、スクリプトを書いてキーボードの操作を便利にカスタマイズしよう、というようなことを目的にしているツールです。既にいろいろなところで取り上げられているので、概要や設定方法などについては以下を参考にしてください。

AutoHotKeyを使ってみよう|翻訳者の引き出し (honyaku-hikidashi.net)

AutoHotkeyを導入して、翻訳作業の効率を上げる | Koujou Blog

AutoHotkeyのつぼの記事一覧 | つぼログ。 | シーブレインスタッフによる技術情報ブログ (c-brains.jp)


検索すると他にもたくさん情報が見つかりますが、私のこの記事では細かいことはすっ飛ばして、現在私が使っているごくごく簡単なスクリプトをそのままお見せしたいと思います。本当にかなり適当なスクリプトなので、もし改善案などありましたらぜひご連絡ください。


Phrase (Memsource) の訳語検索


最近、Memsource から名前が変わった Phrase は、全体的にとてもシンプルなのが特徴ですが、シンプルなだけに設定やオプションが少なく、少し使いにくく感じることもあります。その 1 つが訳語検索です。

訳語検索はショートカット キー Ctrl+k で実行できます。ただし、カーソルが原文側にあるときは原文を検索、訳文側にあるときは訳文を検索するという動作になっていて、これを変更することはできません。翻訳作業中、カーソルは編集をしている訳文側にたいていあるので、カーソルが訳文側にある状態で原文を検索するという操作が最も多くなりますが、これをキーボードだけで行おうとするとなかなか面倒です。


98_1.png


日英翻訳 (ja → en) をしている場合、訳文 (en) 側にカーソルがある状態で Ctrl+k を押すと、上記のように、選択していた語句を訳文 (en) から検索します。(この UI の [原文:][訳文:] は、あくまでどこを検索しているかを表しています。翻訳作業自体の原文と訳文ではありません。)

この状態で、原文 (ja) を検索したい場合は、入力フィールドの横にある [<->] をクリックして、再度 [検索] ボタンを押す必要があります。この [<->] を操作するショートカット キーが Phrase には用意されていないので、AutoHotkey の登場となります。

AutoHotkey で行っている操作は、以下のとおりです。

 1. タブを 2 回押して、フォーカスを入力フィールドから [<->] に移動
 2. スペースを押して、[<->] をクリックしたことにする
 3. Shift+タブを押して、フォーカスを [<->] から [検索] ボタンに移動
 4. スペースを押して、[検索] ボタンをクリックしたことにする


スクリプトは、こんな感じです。


SendInput, {Tab 2} ;タブ 2 回
SendInput, {Space} ;スペース
SendInput, +{Tab} ;Shift+タブ
SendInput, {Space} ;スペース

Return


スクリプトは、いたって単純です。私はこれを Ctrl+Alt+k に割り当てています。普通に Ctrl+k を押して訳語検索をした後、Ctrl+Alt+k を押すと、原文と訳文を入れ替えて再度検索ができます。

「キーボード操作じゃなくて、マウスでクリックすればいいんじゃない?」というご指摘はあるかと思いますが、私はマウスを使うと肩がこるので、できるだけキーボードを使いたいのです。ちなみに、Trados と memoQ はもう少し簡単に検索対象を切り替えられます (訳語検索の詳しい方法については、また別記事で取り上げたいと思います)。


URL の言語指定を切り替える


ウェブサイトで英語ページと日本語ページを切り替えたいことはよくあると思います。多言語対応のサイトなら、一般的に URL 内の特定の文字を変換することで切り替えられます。

 98_2.png

言語指定に使われることが多い文字列は「en-us」や「ja-jp」ですが、 これは各サイトによって異なります。すみません、私はその辺りはすべて手動対応で、必要になったものをその都度追加しています。そのため、下記のように、スクリプトが else if でどんどん長くなっていきます (が、ひとまず動いているので OK としています)。


Send, ^c
ClipWait 1

Sleep, 300

keyword = %clipboard%

; E to J
if InStr(keyword, "en-us") <> 0
{
StringReplace, keyword, keyword, en-us, ja-jp, All
}
else if InStr(keyword, "hl=en") <> 0
{
StringReplace, keyword, keyword, hl=en, hl=ja, All
}
; J to E
else if InStr(keyword, "ja-jp") <> 0
{
StringReplace, keyword, keyword, ja-jp, en-us, All
}
else if InStr(keyword, "hl=ja") <> 0
{
StringReplace, keyword, keyword, hl=ja, hl=en, All
}

Clipboard := keyword

Sleep, 300

Send, ^v

Return



キーに割り当てるスクリプトを変更する


AutoHotkey の定番の使い方として、括弧で文字を囲む、読点とカンマを置換するといった操作がありますが、日英と英日の両方向で作業をする場合、全角半角の区別や、読点とカンマのどちらからどちらに置換するのかなどを考えると、わりと面倒なことになります。また、英日の単方向だとしてもスタイルガイドによって括弧が半角だったり全角だったりするので、作業のたびに切り替えが必要になります。

私は、同じショートカット キーに対して両方のスクリプトを書いておき、特定の作業を始めるときに、スタイルガイドを確認しながら、コメントを使ってどちらかのスクリプトを有効にするようにしています。


;Hotkey, vk1D & 8, InParentheses_HAN
Hotkey, vk1D & 8, InParentheses_ZEN

;Hotkey, vk1D & [, InSquare_HAN
Hotkey, vk1D & [, InSquare_ZEN

;Hotkey, ^!w, Replace_Ten
Hotkey, ^!w, Replace_Comma



この記事を書きながら考えてみたら、読点とカンマは、いちいち切り替えなくても自動処理できそうな気もしてきました。それは、今後の課題としたいと思います。


今回は以上です。AutoHotkey が初めてという方にはよくわからない内容だったかもしれません (すみません)。ただ、AutoHotkey は、少し時間をかけても習得して使ってみる価値があると思います。ぜひ挑戦してみてください。スクリプトはその辺からのコピペでもわりとちゃんと動きます。大丈夫です。