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昔は「Trados さん、頑張って!」とお祈りしながら訳文生成していませんでしたか? 今も、たまにそんな気分になるときがあります。Trados って本当にわからないことばかりです。特に、日本語の情報は少ないですよね。いくら翻訳者とはいえ、日本語の情報が欲しいのです。Trados ユーザーの方々といろいろ情報交換できたらと思っています。




2018年04月01日

Trados のエディタが落ちる!

最近、Trados のエディタがよく落ちます。
何やら、いつのまにかエディタの画面がなくなっていることがたびたびあり、困ったなぁと思っていました。

で、ようやく、1 つの傾向に気づきました。
外部プログラムで表示したプレビューの画面を手動で閉じると Trados のエディタが落ちる!


エディタがよく落ちるのは、office 文書のときです。特に、PowerPoint が最悪な気がします。Word のときも落ちる気がしますが、PowerPoint よりはいいかもしれないです。Excel はあまり落ちない気がします。

Trados のプレビュー機能には、Trados 内のプレビュー画面に訳文を表示する方法と、Word や PowerPoint など原文のプログラムを使って完全に別画面で訳文を表示する方法の 2 種類があります。

Trados 内でプレビュー画面を表示しているとエディタ全体の動きが不安定になるような感じがするので、私は、もっぱら、別画面でプレビューしています。


原文のプログラムを使って別画面で訳文をプレビューする手順は、以下のとおり。

マウス操作なら、[ファイル] > [印刷 & 表示] > [表示方法] > [訳文の XXX]

キーボード操作なら、Ctrl+Shit+P


この方法で表示された PowerPoint などの画面を、右上端の [x] をクリックして閉じると、Trados のエディタがエラーで落ちてしまうのです。
表示されるエラーは、Trados でよくあるこんな感じです。

12-1.png

訳文を入力して、Ctrl+Shit+P でプレビューして、さてさてもう一度エディタに戻ろうと思うと、エディタがない! ということになります。

対処方法は、以下に気を付ける以外、今のところ思いつきません。

1. エディタ上で保存してから、プレビューする。
2. プレビューの画面を手動で閉じない。

実は、プレビューで表示された画面は自ら手動で閉じる必要はありません。前の画面を開いたまま、再度 Ctrl+Shit+P を押すと、自動で前のプレビューを閉じて新しいプレビューを表示してくれます。(起動しなおしているようなので、時間はかかります。)

最近、プレビューの前に保存する癖がついてきましたが、うっかりすることもたまにあり、泣きたくなります。




2018年03月18日

Trados のエディタの動きが遅い!

最近、少し大きめの HTML ファイルの翻訳をしているのですが、エディタの動きが遅く、メモリも用語集も「検索しています」のままなかなか返ってこないのでかなり困っていました。

使っているバージョンは SDL Trados Studio 2017 SR1 です。 2015 もまだ使える環境ではあるのですが、フラグメント一致の便利さに慣れてしまったので、なかなか 2015 に戻る気にはなれず、何か改善の方法がないものかと考えていました。

いくつか設定を変えることで、ようやく普通に耐えられる動きになったので、今回はその方法を紹介したいと思います。

「あいまい一致の修正」を無効にする


これまで「あいまい一致の修正」を有効にしていたのですが、ちょっと違うなぁと感じる修正が多かったので、思い切ってこの機能は無効にしました。私の今回のプロジェクトでは、この変更の効果が最も大きかったように思います。

「あいまい一致の修正」はプロジェクトの設定で無効にできます。

[プロジェクトの設定] -> [言語ペア] -> [すべての言語ペア] -> [一致の修正]

12ー1.png

[Match Repair の使用] が表示されるので、[エディタ] の設定を [オフ] にします。
デフォルトでは、[エディタ] はオン、[一括タスク] はオフです。


用語集を減らす (用語集ファイルの数と、登録されている用語の数)


まず、用語集そのもののファイルの数を減らしました。今回のプロジェクトは翻訳会社さんから支給の用語集だけで 4 つもあったので、いつも使っている自作の用語集は外し、支給された用語集だけにしました。

さらに、用語集の中の用語も減らしました。今回の用語集は主に UI だったので、同じ用語が複数含まれていました。この重複した用語を削除しました。

MultiTerm で重複を削除する方法がないものかと少し探してみたのですが、結局見つからず
今回は、用語集の元データが Excel ファイルで支給されていたので、Excel の機能で削除*1して、用語集を作り直しました。

これで動きが速くなったのかどうかは微妙ですが、「用語認識」の画面に用語が重複して表示されることがなくなったので、見やすくなりました。


分節を確定したときの検証を無効にする


メモリや用語集の読み込み以外にも、分節を確定したときの動作が遅いと思ったのでこの設定を変えました。
[ファイル] -> [オプション] -> [エディタ] -> [自動化] で、[手動で分節が確定されたら次の操作を行う] の [分節の検証を有効にする] を選択解除します。

12-3.png

これは、分節を確定したタイミングで毎回検証を実行するという機能ですが、私はわりと好きなので普段は有効にしています。ただ、今回は動きが遅く耐えられなかったので無効にしました。実際の効果は微妙かもしれませんが、「用語検証」だけはかなり影響があるのでは?!と思いました。用語集の設定にもよりますが、「用語検証」を無効にする*2だけで少し速くなるような気がします。


今回は以上です。2017 SR1 は便利なのですが、やはり少し動きが遅いように思います。「フラグメント一致」はそれでも使いたいですが、「あいまい一致の修正」はそこまでして使う効果はないかなぁ、というのが今のところの私の印象です。

なお、今回のケースは日->英の翻訳で AutoSuggest が便利に機能することが前提の話です。英->日の場合は苦労して 2017 SR1 にこだわる必要はないかもしれないです。


注記*1:Excel には重複データを削除する機能があるので、それを使えば簡単です。(ただし、この方法では、大文字小文字は区別されません。)
リボンで [データ] -> [重複の削除] と選択すると下図の設定画面が表示されるので、「重複」と判断する列を指定します。

12-2.png


この例では、「備考」だけ選択を解除しています。これで、「備考」の値が違っていても「重複」と判断されます。結果は、1 行目と 2 行目の「Change」と「Edit」が残り、3 行目の「Change」だけが削除されます。

ちなみに、Excel ファイルから用語集への変換には、SDL MultiTerm Convert を使いました。この辺りの詳細は、また後日、機会があれば。


注記*2:検証機能は 3 種類あり、それぞれ別々に有効無効を切り替えられます。

12-4.png

[プロジェクトの設定] の [検証] で、使用したい検証だけを選択します。デフォルトではすべて有効になっていますが、不要なら選択を解除します。






2018年03月11日

「2017 SR1 アップグレード セミナー」に参加してみました

「SDL Trados Studio 2017 SR1 アップグレード Web セミナー」に参加してみました。
と言っても、実は、ちょっと急用で当日は外出してしまい、後になって録画を見ました。

セミナーの全体的なメッセージとしては、「早くアップグレードしてください」ということのようでしたが、この記事では、個人翻訳者としての感想を少し書いてみたいと思います。ちなみに、個人でフリーランス版を使っているような人のことを「フリーランサー」と呼ぶらしいです。セミナーでもたびたび「フリーランサー」という呼称が出てきました。

upLift テクノロジーで日本語も「単語」レベルに!?


これまで私は「upLift テクノロジー」がなんなのかよくわからなかったのですが、このテクノロジーによって「フラグメント一致」と「あいまい一致の自動修正」が実現される、ということのようです。

この upLift についての説明で最も気になったのは、日本語も「文字」ではなく「単語」のレベルで解析されるようになったという点です。セミナーの中では、「ヨーロッパ言語と同じように単語単位で」というような説明が何回かありました。実際に、解析結果に表示される「割合」は、「文字数」ではなく、「単語数」で算出されているとのことでした。これ、困りますよね?? だって、日本語原文の翻訳料金は、たいてい、「文字数」ベースですから。

この文字レベルか、単語レベルかで、マッチ率が変わってくるらしいです。マッチ率が変わると、当然ながら、翻訳料金に影響してきます。翻訳料金の「文字 (C) 単価」は「単語 (W) 単価」の半分くらいかと思います。(私は、だいたいそれくらいですが、世間的にはどうなんでしょう?) なので、「単語」で解析したものに、「文字」の単価を適用するとちょっと変な結果になるのでは?と思いました。

翻訳会社さんが本格的に 2017 SR1 に移行してきたら、解析結果の数字をちょっと注意してみる必要があるかもしれないです。


「フラグメント一致」は自動訳語検索!?


「upLift テクノロジー」について、カウント数に与える影響はともかく、翻訳者にとっての最大のメリットは「フラグメント一致」かなと思います。


セミナーの中では、訳語検索 (F3 キー) を自動的にやってくれるようなもの、という説明がありました。私もこれまで使ってみてそのような印象を持ちました。用語集に登録されていない単語もなんとなく拾ってきて、AutoSuggest に表示してくれる感じです。

セミナー中の画面では、下記のように、「フラグメント一致」ウィンドウを縦長に表示していました。私も、メモリのような横長の表示ではなく、縦長の表示が使いやすいと感じています。

11-1.png


LookAhead はサーバー TM にも使える!?


LookAhead は、機械翻訳などを使って翻訳作業をしているときに、作業中の分節より先の分節を前もって処理してくれる、という機能です。[ファイル] -> [オプション] -> [エディタ] -> [自動化] の [翻訳メモリ] で設定できます。

11-2.png

私は、これまで機械翻訳にしか有効に機能しないと思っていたのですが、サーバー TM を使っているときもこのオプションが有効なようです。サーバー TM を使う機会はたびたびあるので、これはちょっと嬉しい情報です。

と言っても、これまで、サーバー TM だから遅いと感じたことはあまりありません。遅いときは、ローカルの TM でも遅いです。


訳文生成の下位互換はほとんどない!?


セミナーの後半は、office など原文のバージョンと、Trados のバージョンについてのちょっと細かい説明でした。一言にまとめれば、「みんなが最新版を使えば問題ない」ということのようですが、そうもいかないですよね。

翻訳会社からパッケージを受け取って作業するケースで困るのは、「翻訳会社の方が Trados のバージョンが新しい」場合です。新しいバージョンで作ったバイリンガルファイルは、古いバージョンの Trados でも翻訳作業自体はできるのですが、訳文生成、プレビュー、検証などの機能が使えない場合があります。

実際のお仕事では、「訳文生成やプレビューはできないかもしれないけど、翻訳自体はできるのでお願いします」とさらっと依頼される案件があります。文書の内容にもよりますが、アニメーション付きの PowerPoint とか、フローチャートばかりの Excel とかだったりすると、こういう案件はかなり困ります。

Trados を使うことの弊害はいろいろなところで指摘されていますが、それを少しでも解消してくれるのが、プレビューや検証の機能なのかなと私は思っています。これらが使えないとなると、翻訳者としては、Trados を使う意味があまりありません。できあがりを想像しながら苦労してバイリンガルファイルで訳して、料金はマッチ率で割り引きされて、そして最後に訳文の品質が悪い、とか言われそうです。

セミナーでは、「バイリンガルファイルの作成と訳文生成は同じバージョンで行う」ことが推奨されていました。ただ、翻訳会社からパッケージを受け取って作業する場合、この推奨事項に従うのはちょっと難しいです。まあ、翻訳会社さんより先にアップグレードしておけば問題ない、ということではあります。

今回は、以上です。この記事では、私が気になった点だけを書かせてもらいましたが、実際のセミナーでは、ほかにも「あいまい一致の自動修正」、「AdaptiveTM」、「高度な表示フィルタ」などなどたくさんの説明がありました。