2018年05月09日
絞りの鳥獣戯画
鹿に乗る兎、 水遊びをする兎と猿の図であるが、 水から人類が誕生したとの暗示にも思える。 |
日本伝統技法の京絞りで作られた鳥獣戯画特別展を、
最終日の5月6日に京都絞り工芸館へ見に行った。
御存じ、鳥獣戯画は高山寺に伝わる国宝。
主にウサギ、カエル、サルが人間世界を風刺した日本最古の漫画とも
いわれる絵巻物だ。
馬、牛、犬の他に日本に居なかったであろうトラ、キリン、
その上 架空の動物である竜や獏まで登場する。
作者は坊主と言われ、人間の誕生から葬儀までを描いている。
弓の試合、法要でお布施を数える坊主の場面が印象に残った。
これを丹後ちりめんに、巾1メートル長さ35メートル継ぎ目なし。
縫い目絞り、小帽子絞り、中帽子絞りの技法を駆使、(これについては詳しく説明できない)。とにかく1年がかりの大作だ(1992年完成)
高山寺からは著作権を問われることもなく、当寺でお披露目までやってくれたそうだ。
一時間程の説明を聞きながら、細かな絞りの形状を見るため、
眼鏡をはずし顔すれすれまで寄せて観察。
2年前にも絞りの技法を生かした東海道53次の作を見たが、
私には今回の方が良かった。これで500円は安い。
現在、東京オリンピックを記念して柔道や最近流行りのボルダリングなど
オリンピック競技を鳥獣戯画の登場人物(いや動物か…)で描く
長さ40メートルを作成中との事。
公開は来年の予定、元気で居よう。