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昔は「Trados さん、頑張って!」とお祈りしながら訳文生成していませんでしたか? 今も、たまにそんな気分になるときがあります。Trados って本当にわからないことばかりです。特に、日本語の情報は少ないですよね。いくら翻訳者とはいえ、日本語の情報が欲しいのです。Trados ユーザーの方々といろいろ情報交換できたらと思っています。




2018年03月18日

Trados のエディタの動きが遅い!

最近、少し大きめの HTML ファイルの翻訳をしているのですが、エディタの動きが遅く、メモリも用語集も「検索しています」のままなかなか返ってこないのでかなり困っていました。

使っているバージョンは SDL Trados Studio 2017 SR1 です。 2015 もまだ使える環境ではあるのですが、フラグメント一致の便利さに慣れてしまったので、なかなか 2015 に戻る気にはなれず、何か改善の方法がないものかと考えていました。

いくつか設定を変えることで、ようやく普通に耐えられる動きになったので、今回はその方法を紹介したいと思います。

「あいまい一致の修正」を無効にする


これまで「あいまい一致の修正」を有効にしていたのですが、ちょっと違うなぁと感じる修正が多かったので、思い切ってこの機能は無効にしました。私の今回のプロジェクトでは、この変更の効果が最も大きかったように思います。

「あいまい一致の修正」はプロジェクトの設定で無効にできます。

[プロジェクトの設定] -> [言語ペア] -> [すべての言語ペア] -> [一致の修正]

12ー1.png

[Match Repair の使用] が表示されるので、[エディタ] の設定を [オフ] にします。
デフォルトでは、[エディタ] はオン、[一括タスク] はオフです。


用語集を減らす (用語集ファイルの数と、登録されている用語の数)


まず、用語集そのもののファイルの数を減らしました。今回のプロジェクトは翻訳会社さんから支給の用語集だけで 4 つもあったので、いつも使っている自作の用語集は外し、支給された用語集だけにしました。

さらに、用語集の中の用語も減らしました。今回の用語集は主に UI だったので、同じ用語が複数含まれていました。この重複した用語を削除しました。

MultiTerm で重複を削除する方法がないものかと少し探してみたのですが、結局見つからず
今回は、用語集の元データが Excel ファイルで支給されていたので、Excel の機能で削除*1して、用語集を作り直しました。

これで動きが速くなったのかどうかは微妙ですが、「用語認識」の画面に用語が重複して表示されることがなくなったので、見やすくなりました。


分節を確定したときの検証を無効にする


メモリや用語集の読み込み以外にも、分節を確定したときの動作が遅いと思ったのでこの設定を変えました。
[ファイル] -> [オプション] -> [エディタ] -> [自動化] で、[手動で分節が確定されたら次の操作を行う] の [分節の検証を有効にする] を選択解除します。

12-3.png

これは、分節を確定したタイミングで毎回検証を実行するという機能ですが、私はわりと好きなので普段は有効にしています。ただ、今回は動きが遅く耐えられなかったので無効にしました。実際の効果は微妙かもしれませんが、「用語検証」だけはかなり影響があるのでは?!と思いました。用語集の設定にもよりますが、「用語検証」を無効にする*2だけで少し速くなるような気がします。


今回は以上です。2017 SR1 は便利なのですが、やはり少し動きが遅いように思います。「フラグメント一致」はそれでも使いたいですが、「あいまい一致の修正」はそこまでして使う効果はないかなぁ、というのが今のところの私の印象です。

なお、今回のケースは日->英の翻訳で AutoSuggest が便利に機能することが前提の話です。英->日の場合は苦労して 2017 SR1 にこだわる必要はないかもしれないです。


注記*1:Excel には重複データを削除する機能があるので、それを使えば簡単です。(ただし、この方法では、大文字小文字は区別されません。)
リボンで [データ] -> [重複の削除] と選択すると下図の設定画面が表示されるので、「重複」と判断する列を指定します。

12-2.png


この例では、「備考」だけ選択を解除しています。これで、「備考」の値が違っていても「重複」と判断されます。結果は、1 行目と 2 行目の「Change」と「Edit」が残り、3 行目の「Change」だけが削除されます。

ちなみに、Excel ファイルから用語集への変換には、SDL MultiTerm Convert を使いました。この辺りの詳細は、また後日、機会があれば。


注記*2:検証機能は 3 種類あり、それぞれ別々に有効無効を切り替えられます。

12-4.png

[プロジェクトの設定] の [検証] で、使用したい検証だけを選択します。デフォルトではすべて有効になっていますが、不要なら選択を解除します。






2018年03月11日

「2017 SR1 アップグレード セミナー」に参加してみました

「SDL Trados Studio 2017 SR1 アップグレード Web セミナー」に参加してみました。
と言っても、実は、ちょっと急用で当日は外出してしまい、後になって録画を見ました。

セミナーの全体的なメッセージとしては、「早くアップグレードしてください」ということのようでしたが、この記事では、個人翻訳者としての感想を少し書いてみたいと思います。ちなみに、個人でフリーランス版を使っているような人のことを「フリーランサー」と呼ぶらしいです。セミナーでもたびたび「フリーランサー」という呼称が出てきました。

upLift テクノロジーで日本語も「単語」レベルに!?


これまで私は「upLift テクノロジー」がなんなのかよくわからなかったのですが、このテクノロジーによって「フラグメント一致」と「あいまい一致の自動修正」が実現される、ということのようです。

この upLift についての説明で最も気になったのは、日本語も「文字」ではなく「単語」のレベルで解析されるようになったという点です。セミナーの中では、「ヨーロッパ言語と同じように単語単位で」というような説明が何回かありました。実際に、解析結果に表示される「割合」は、「文字数」ではなく、「単語数」で算出されているとのことでした。これ、困りますよね?? だって、日本語原文の翻訳料金は、たいてい、「文字数」ベースですから。

この文字レベルか、単語レベルかで、マッチ率が変わってくるらしいです。マッチ率が変わると、当然ながら、翻訳料金に影響してきます。翻訳料金の「文字 (C) 単価」は「単語 (W) 単価」の半分くらいかと思います。(私は、だいたいそれくらいですが、世間的にはどうなんでしょう?) なので、「単語」で解析したものに、「文字」の単価を適用するとちょっと変な結果になるのでは?と思いました。

翻訳会社さんが本格的に 2017 SR1 に移行してきたら、解析結果の数字をちょっと注意してみる必要があるかもしれないです。


「フラグメント一致」は自動訳語検索!?


「upLift テクノロジー」について、カウント数に与える影響はともかく、翻訳者にとっての最大のメリットは「フラグメント一致」かなと思います。


セミナーの中では、訳語検索 (F3 キー) を自動的にやってくれるようなもの、という説明がありました。私もこれまで使ってみてそのような印象を持ちました。用語集に登録されていない単語もなんとなく拾ってきて、AutoSuggest に表示してくれる感じです。

セミナー中の画面では、下記のように、「フラグメント一致」ウィンドウを縦長に表示していました。私も、メモリのような横長の表示ではなく、縦長の表示が使いやすいと感じています。

11-1.png


LookAhead はサーバー TM にも使える!?


LookAhead は、機械翻訳などを使って翻訳作業をしているときに、作業中の分節より先の分節を前もって処理してくれる、という機能です。[ファイル] -> [オプション] -> [エディタ] -> [自動化] の [翻訳メモリ] で設定できます。

11-2.png

私は、これまで機械翻訳にしか有効に機能しないと思っていたのですが、サーバー TM を使っているときもこのオプションが有効なようです。サーバー TM を使う機会はたびたびあるので、これはちょっと嬉しい情報です。

と言っても、これまで、サーバー TM だから遅いと感じたことはあまりありません。遅いときは、ローカルの TM でも遅いです。


訳文生成の下位互換はほとんどない!?


セミナーの後半は、office など原文のバージョンと、Trados のバージョンについてのちょっと細かい説明でした。一言にまとめれば、「みんなが最新版を使えば問題ない」ということのようですが、そうもいかないですよね。

翻訳会社からパッケージを受け取って作業するケースで困るのは、「翻訳会社の方が Trados のバージョンが新しい」場合です。新しいバージョンで作ったバイリンガルファイルは、古いバージョンの Trados でも翻訳作業自体はできるのですが、訳文生成、プレビュー、検証などの機能が使えない場合があります。

実際のお仕事では、「訳文生成やプレビューはできないかもしれないけど、翻訳自体はできるのでお願いします」とさらっと依頼される案件があります。文書の内容にもよりますが、アニメーション付きの PowerPoint とか、フローチャートばかりの Excel とかだったりすると、こういう案件はかなり困ります。

Trados を使うことの弊害はいろいろなところで指摘されていますが、それを少しでも解消してくれるのが、プレビューや検証の機能なのかなと私は思っています。これらが使えないとなると、翻訳者としては、Trados を使う意味があまりありません。できあがりを想像しながら苦労してバイリンガルファイルで訳して、料金はマッチ率で割り引きされて、そして最後に訳文の品質が悪い、とか言われそうです。

セミナーでは、「バイリンガルファイルの作成と訳文生成は同じバージョンで行う」ことが推奨されていました。ただ、翻訳会社からパッケージを受け取って作業する場合、この推奨事項に従うのはちょっと難しいです。まあ、翻訳会社さんより先にアップグレードしておけば問題ない、ということではあります。

今回は、以上です。この記事では、私が気になった点だけを書かせてもらいましたが、実際のセミナーでは、ほかにも「あいまい一致の自動修正」、「AdaptiveTM」、「高度な表示フィルタ」などなどたくさんの説明がありました。



2018年03月07日

Trados で使われるユーザー名

Trados ではいくつかの場所にユーザー名が表示されます。このユーザー名、Windows のユーザー名がそのまま使われてしまうことがあり、なんとか変えたい!と思っていろいろな設定を探してみたのですが、だめでしたぁ

Trados で使われるユーザー名は、主に 2 つあります。

  1.  1. コメントや変更履歴に登録されるユーザー名
  2.  2. メモリに登録されるユーザー名


1. コメントや変更履歴に登録されるユーザー名


1 つ目は、コメントや変更履歴に登録されるユーザー名です。このユーザー名は自分では設定できず、Windows のユーザー名がそのまま使われてしまいます。私は、自宅の個人のパソコンで作業しているのですが、Windows のユーザーを作るときにあまり深く考えず変な名前を付けてしまい、かなり後悔しました。

レビューの仕事では、「変更履歴を残してください」と指示されることが多いですが、変更履歴にこのユーザー名が表示されてしまうのでとても困ります。

注記:どうしてもユーザー名を変えたい場合は、作業後に .sdlxliff ファイルをテキスト エディタで開いて一括置換します。これでコメントと変更履歴のユーザー名は変更できます。ただ、ファイルを壊さないように慎重に行いましょう! バックアップは必須です。また、置換後は必ず Trados で正常に開けることを確認します。

2. メモリに登録されるユーザー名


2 つ目は、訳文と一緒にメモリに登録されるユーザー名です。こちらは自分で変更することができます。

このユーザー名に注意が必要になるのは、サーバー TM を使うときです。サーバー TM には、訳文と一緒にこのユーザー名が登録されます。翻訳会社さんによっては、使用するユーザー名を指定してきます。あまり本名は使いたくないので、意味のない文字の羅列のような名前が私は好きです。

メモリに登録されるユーザー名は、2 か所から設定できます。

  •  @ Trados Studio のユーザー設定
  •  A プロジェクトの設定


この 2 つの設定は、どちらか一方を変えると、もう一方も変わります。なので、どちらかで 1 回変更するだけで大丈夫です。

方法 @ Trados Studio のユーザー設定から変更する

Step 1. [ファイル] -> [設定] -> [ユーザー] とクリックします。
以下のようにユーザーの一覧が表示されます。

10-2.png

Step 2. [編集] をクリックします。
以下の画面が表示されるので、一番下の [TM ユーザー ID] に、メモリに使用するユーザー名を入力します。

10-3.png

ここで [名前] フィールドを変更したら、メモリ以外に使われるユーザー名が変わるのではと期待しましたが、残念ながら変わりません。ここに何を設定しても、Windows のユーザー名が使用されます。

方法 A プロジェクトの設定から変更する

Step 1. [プロジェクトの設定] -> [言語ペア] -> [一括処理] -> [翻訳メモリの更新] とクリックします。

10-4.png

Step 2. [TM ユーザー ID] をクリックします。
以下の画面が表示されるので、一番下の [TM ユーザー ID] に、メモリに使用するユーザー名を入力します。

10-5.png


ここの [名前] フィールドは編集できません。しかも、Windows のユーザー名を変更した場合でも、変更前のユーザー名が表示されてきます。(なので、ぼやっとさせてもらいました。)

今回は、以上です。最近、たまたま 2 社からサーバー TM を使用する案件を引き受けました。注意しなければと思ってはいたのですが、ユーザー名を変更し忘れ、ちょっと焦りました。「プロジェクトの設定」から設定するのだから、ユーザー名もパッケージで設定されれば便利なのになぁと感じています。




追記:TM ユーザー ID について

2018年03月01日

検証機能の設定を調整する

最近、翻訳会社からもらうパッケージに検証機能が設定されていることが多くなりました。また、「翻訳後に検証をして、そのログを納品してください」と言われることもたまにあります。

この検証機能はもちろん便利なんですが、実際に作業をするときは、少し設定を変えたいと思うことがあります。今回は、細かい検証の内容は翻訳会社さんが設定してきているという前提で、その設定を少し調整する場合のコツを紹介します。1 つ目は、3 つの検証機能を別々に設定すること、2 つ目は、設定をエクスポートして保存しておくこと、そして最後は、除外を適切に設定することです。

検証機能は 3 つある

Trados には、以下の 3 つの検証機能があります。
  • QA Checker
  • タグ検証機能
  • 用語検証機能


9-1.png

「QA Checker」が最も有名かと思いますが、QA Checker は検証機能の 1 つです。この 3 つの機能は、上記のように個別に有効、無効を切り替えられます。設定も別々に行います。

3 つとも有効になっていることが多いですが (多分、デフォルトですよね)、大きなプロジェクトなどの場合、一気に全部検証するとかなりな時間がかかることがあります。特に、用語検証は、設定されている用語集によっては相当な時間がかかります。

設定をエクスポートして保存しておく

さて、いろいろと設定を変える前に、まずはパッケージで設定されてきた設定をエクスポートして保存しておきます。自分で何か設定を変えても、保存しておいた設定をインポートすれば元に戻せます。

9-2.png

ここで注意したいのは、エクスポートは検証機能ごとに別々に行うという点です。
[検証] -> [QA Checker 3.0] -> [QA Checker のプロファイル] と選択すると、インポートとエクスポートの画面が表示されます。エクスポートすると、「.sdlqasettings」というなんとも長い拡張子のファイルが作られます。
同様に、用語検証にも [プロファイル] があるので、そこからエクスポートします。

残念ながら、タグ検証にはエクスポート機能がありません。ここだけは、手動でメモするか、記憶に頼るかのどちらかになります。設定があまり多くないので、(おそらく) 大丈夫でしょう。

検証したくない分節を除外する

エクスポートして元の設定を保存したら、少し設定を変えます。細かい設定は翻訳会社さんの設定を信じるとして、私がよく変えるのは「除外」です。翻訳会社から「ロックされている分節は作業対象外です」と言われることが多いと思いますが、作業対象外なら検証でも対象外にしたいですよね。対象外の部分についてはワンクリックだってしたくありません (とは言いつつ、設定を変えるだけでかなりクリックしていますが)。


◆ 3 つの検証機能それぞれについて除外を設定する

3 つの検証機能は、それぞれ別々に除外を設定します。特に、ロックされている分節の除外については、検証機能ごとにデフォルト設定が違うようなので少し注意が必要です。QA Checker と用語検証は、デフォルトで除外されますが、タグ検証はデフォルトでは除外されません。

翻訳会社さんはたいていデフォルトの設定を使ってきます。「ロックされている分節は作業対象外」と言っても、ここの設定まで変えてきてくれることは少ないです。

QA Checker:ロックされている分節はデフォルトで除外される
9-3.png

タグ検証機能:ロックされている分節はデフォルトで除外されない
9-4.png

用語検証機能:ロックされている分節はデフォルトで除外される
9-5.png


◆ 繰り返しを除外する

繰り返しの多いファイルの場合は、QA Checker の [繰り返しを除外する] オプションが便利です。
9-8.png

このオプションを有効にすると、繰り返しの 2 回目以降の分節が検証の対象から外れます。自動反映が多かったなぁ、というファイルでは、このオプションを有効にすると表示されるエラーがかなり減ります。ただし、訳し分けや自動反映モレなどの可能性もあるので、最後にはこのオプションを無効にしてもう一度チェックをするようにします。

 注記:この「繰り返しを除外」は、表示フィルタ機能の「繰り返し」とは動きが違います。(「フィルタで繰り返しを除外する」を参照。) 表示フィルタの「繰り返し」は、そもそも繰り返しでない通常の分節が除外されてしまいますが、検証機能の場合は、「繰り返しを除外」しても、繰り返しでない通常の分節が除外されることはありません。通常の分節と、繰り返しの初回の分節が検証の対象になります。



◆ 完全一致だけは特別らしい

除外の設定で注意したいオプションとして、QA Checker の [完全一致単位を除外する] があります。「完全一致単位」とは、エディタ上で「PM」(Perfect Match) と表示される分節です。たいていはロックされているのであまり問題にならないのですが、実は、このオプションと [ロックされた分節を除外する] オプションは、同時には効かないらしいのです。

9-7.png


これが問題になるのは、完全一致だけれどもロックされていない分節が存在するケースです。まず、[完全一致単位を除外する] を有効にすると、完全一致の分節はその分節がロックされているか、いないかにかかわらず除外されてしまいます。それでは困るので、[完全一致単位を除外する] を無効にすると、今度はロックされている分節も含めてすべて検証の対象になってしまいます。

複雑です。私はかなり悩みました。たまたま引き受けたプロジェクトが「ロックされていない完全一致は作業対象とする」というもので、結局うまく除外できず、大量のエラーに悩まされました。

この現象は、「完全一致」の場合だけで、通常の 「100% 一致」はロックでの除外設定が適用されると思います。(たぶん、Context Match も大丈夫な気がします。すみません、詳しくは検証してません。)


さて、今回は以上です。実際の細かい設定の説明は省きましたが、多少は自分でも設定できるようにしておいた方が便利です。スタイルガイドがいろいろ変わっても、検証の設定はいつも一緒、という翻訳会社さんもありますので。

そして、最後にもう 1 つ。最初にも書きましたが、検証機能の設定はパッケージで設定されてきます。パッケージを受け取った後、自分でいろいろ設定しても、「ファイルが追加されたので追加のパッケージを送ります」などと言われて追加のパッケージを開くと、設定はすべて上書きされてしまいます。追加のパッケージを開く前に、自分の設定をエクスポートしておくのがおすすめです。





2018年02月06日

メモリを 2017 SR1 用にアップグレードする

現在の SDL Trados Studio の最新バージョンは 2017 SR1 ですが、このバージョンのメモリは 2017 (SR なし) や 2015 以前と互換性がありません。こちらの公式ブログでも説明されていますが、旧バージョンで作成されたメモリを 2017 SR1 で使用するには「アップグレード」を行う必要があります。

私がお仕事を頂いている翻訳会社も、ほとんどの会社はまだ 2017 SR1 にバージョンアップしていないようですが、そのような場合、パッケージを受け取って作業するには翻訳者側でメモリを「アップグレード」しなくてはなりません。

今回は、このメモリのアップグレードについて、私がちょっと戸惑ってしまった点も含めて、いくつか注意点を紹介したいと思います。

ポップアップでの警告はありません!

上記の公式ブログには、「メッセージが表示され、TMのアップグレードを求められます」と書いてありますが、パッケージを受け取って作業する場合、「アップグレードを求める」ような強制的な仕組みにはなっていないようです。

アップグレードしなくても普通にファイルを開いて、作業を始められてしまいます。単に「アップグレードしていないメモリはヒットしてこない」というだけなので、しばらく作業してしまってから、あれ?と思うことになります。(私は、そうでした。)

もちろん、Trados が何も言ってこないわけではなく、いくつか警告は表示されています。

まず、[プロジェクトの設定] のメモリの設定画面では、以下のようになります。
8-1.png

メモリ名のアイコンにオレンジ色の三角形が付きます。それに加えて、右上の [アップグレード] ボタンが有効になります。(これをクリックしてアップグレードできます。アップグレードの必要のないメモリを選択すると、[アップグレード] はグレー表示で無効のままです。)

さらに、エディタを開くと [翻訳結果] の下部と [メッセージ] タブにも警告が表示されます。
8-2.png

まあ、これだけ表示されていたら、気付かない私の方が悪いですかねぇ。


プロジェクト用メモリは別にアップグレードする

翻訳会社によっては「プロジェクト用メモリ」を設定してくる場合があります。「プロジェクト用メモリ」は、[プロジェクトの設定] の画面からはアップグレードできません。

まず、本体のメモリをアップグレードすると、以下の図のように本体のメモリの警告マークは消えます。*1 プロジェクト用メモリを選択しても [アップグレード] は有効にならず、グレー表示のままです。
8-3.png

じゃ、アップグレードが完了したのかと思ってエディタを開くと、上記の「アップグレードが必要です」のエラー メッセージがまた表示されてしまいます。*2 つまり、プロジェクト用メモリもアップグレードする必要があるようなのです。

プロジェクト用メモリの場合、[プロジェクトの設定] 画面の [アップグレード] ボタンは有効にならないので、アップグレードするには [翻訳メモリ] ビューを使います。


Step1: [翻訳メモリ] ビューを開く

以下の図にある [翻訳メモリ] をクリックすると、[翻訳メモリ] ビューが表示されます。通常の [エディタ] ビューは翻訳ファイル (sdlxliff ファイル) を操作する画面ですが、[翻訳メモリ] ビューは翻訳メモリ (sdltm ファイル) を操作する画面です。
8-4.png


Step 2:アップグレードするメモリを開く

リボン上の [開く] をクリックして、アップグレードするプロジェクト用メモリを開きます。
[プロジェクトの設定] 画面と同じようにオレンジ色の警告マークが表示されます。
8-5.png


Step3:メモリをアップグレードする

警告マークの表示されているメモリを選択して右クリックすると [翻訳メモリのアップグレード] が表示されるので、それを選択してアップグレードします。

メモリを開く時点で、以下のような警告メッセージが表示されることもあります。このメッセージで [はい] を選択してアップグレードすることもできます。
8-6.png


アップグレードには時間がかかる

巨大なメモリの場合、アップグレードにはかなり時間がかかることがあります。警告マークが表示されていると、ついついすぐにクリックしてしまいますが、相当な時間待たされることになり兼ねません。プロジェクトのファイルや他の設定も一応確認して、最後にアップグレードした方がいいかもしれないです。



今回は、以上です。ちなみに、私の場合、これまでアップグレードの処理が成功しなかったことはありません。そんなに心配が必要な処理ではなさそうです。まずは、[プロジェクトの設定] からアップグレードする、それでもダメなら [翻訳メモリ] ビューからアップグレードする、という 2 段階で大丈夫そうです。



注記:
*1 実際に翻訳会社から受け取ったパッケージでは、プロジェクト用メモリにもオレンジ色の警告マークが付いていたような記憶があります。(すみません、私の個人用ライセンスの環境ではパッケージを作成できず、同じ状況を再現できませんでした。) ただ、警告マークが付いていても [アップグレード] ボタンが有効にならない状況は同じで、[プロジェクトの設定] 画面からはアップグレードができません。

*2 [メッセージ] タブにいったん表示されたメッセージは手動で削除するまで、そのまま残ります。メモリをアップグレードした後も自動では消えません。メッセージを手動で削除してから、エディタを開き直して改めてメッセージが表示されなければアップグレードは完了です。







2018年02月03日

■プラグイン■ 原文にある英数字を訳文にコピーする (日⇒英の場合)

翻訳作業では、原文にある英数字の単語をそのまま訳文にコピーしたいと思うことが頻繁にあります。私は、最初に英日翻訳を始めたときに「英数字は自分で入力しない。必ず原文からコピーする」というルールを教え込まれました。慣れてしまえば簡単なことで、今では、製品名などの長い固有名詞はもちろん、「IT」や「PC」などの 2 文字の単語もすぐにコピーしたくなります。

Trados にもいくつか便利な機能はあります。QuickPlace (「Ctrl+Alt+下矢印」でタグなどを入力できる*1)、QuickInsert、AutoText*2、用語集などなど、いろいろ状況に応じて試してはみたのですが、どれも一長一短あり、なかなかベストな方法が見つかりませんでした。

そんな中で最近、日本語⇒英語の翻訳のときは、Regex Match AutoSuggest Provider というプラグインがとても便利だと感じています。このプラグインはかなり以前からあったようで、私も何回か目にはしていたのですが、「正規表現」というだけでちょっと面倒そうな印象があり、素通りしていました。

このプラグインは AutoSuggest*2 の拡張機能です。日付の形式を変換して AutoSuggest に表示する、といったこともできるようですが、私はまだそこまで使いこなせず、もっぱら英数字の単語をコピーするために使っています。

それだけでもとても便利なので、今回はその方法を紹介したいと思います。

Regex Match AutoSuggest Provider をダウンロードしてインストールすると、[表示] タブに [Regex Match AutoSuggest Provider] が表示されます。これをクリックすると、下記のような設定画面が表示されます。

7-3.png

[Regex Entries] タブで以下のように設定します。

Enabled
チェックしておくとその設定が有効になります。チェックします。

Description
設定の名前です。自分にわかれば何でもいいです。今回は、「英数字」としました。

Regex Pattern
正規表現を設定します。英数字から成る単語を検索するため、「(\p{IsBasicLatin})+」としています。
「IsBasicLatin」は、その名前のとおり、「基本的なラテン文字」にヒットします。英字だけでなく、数字、空白、ピリオド、ハイフンなどにもヒットします。

Replace Pattern
ヒットした結果、何を入力するのかを設定します。「$0」(ドルと数字のゼロ) とすると、「ヒットしたもの全体」をそのまま入力できます。


設定はこれで完了です。
使い方は、通常の AutoSuggest と同じです。タイピングを開始したタイミングで入力候補が表示されます。
また、AutoSuggest とは別に、Ctrl+Shift+F12 を押しても入力できます。以下のようにポップアップで入力候補が表示されます。1 文字も入力しなくていいので、この「Ctrl+Shift+F12」はとても便利です。


■ 標準機能の QuickPlace (Ctrl+Alt+下矢印) で表示される入力候補

7-1.png

Regex Match AutoSuggest Provider の「Ctrl+Shift+F12」で表示される入力候補

7-2.png

「3.4.5-6」というようなピリオドやハイフンの入った数字の場合、 QuickPlace (「Ctrl+Alt+下矢印」で入力する*1) では、数字が分割されてしまい入力しにくいのですが、Regex Match AutoSuggest Provider では、まとめて 1 つの候補として表示されます。

「Windows 10」のように空白が入っていても 1 つの候補として表示されます。もちろん「getFile ()」のようなキャメルケースも問題ありません。


今回紹介する設定は以上です。1 つだけですが、私はかなり満足しています!
今までは、1 つ 1 つの単語を AutoText か用語集に登録することが多かったのですが、日本語⇒英語の場合に限ってみれば、あまり登録をしなくなりました。原文の単語をコピーするなら Regex Match AutoSuggest Provider、訳すならフラグメント一致*3 で、こと足りるプロジェクトがけっこうあります。

さて、今頃になって私がこのプラグインをインストールしたきっかけは、「IsBasicLatin」を使った設定の説明が日本語で書いてあったのを偶然見かけたことでした。ただ、すみません、そのページがどこにあったのかわからなくなってしまいました。なんか、もう見つけられないんですよね。ほかにもいろいろ書いてあった気がするのだけど、どこにいってしまったんだろう。残念です。

「IsBasicLatin」以外も便利そうなので、時間を作ってもう少しいろいろ使ってみたいと思います。


注記:
*1 「QuickPlace」で英数字などを入力するには、メモリの設定で自動認識を有効にしておく必要があります。ただ、この設定がなかなか難しく、うまくできないことが多いんです 私の中では、長年の要検討事項です。

*2 「AutoText」を含む「AutoSuggest」の細かい設定は、[ファイル] > [オプション] > [AutoSuggest] から行います。基本的には、AutoSuggest は日本語⇒英語の翻訳のときにしか便利に使えません。英語⇒日本語のときは入力しにくいだけ、という印象があります。(2017 からちょっと変わったかもしれないですが、今のところ私はあまり使っていません。)

*3 「フラグメント一致」は SDL Trados 2017 からの新機能です (日本語の場合、正確には SR1 からのようです)。これも、よくわからないことが多く、まだ「試してみている」状態ですが、印象としては、かなり便利!です。また、そのうち紹介したいと思います。




2018年01月27日

1 つの文が複数の分節に分かれている場合の処理

Trados で作業していると、1 つの文が複数の分節に分かれる現象がかなり頻繁に発生します。Word の改段落、Excel のセル、PowerPoint のテキストボックスなど、いくつか原因はあるようですが、翻訳者にとってはあまり嬉しいことではありません。翻訳の作業がしにくくなるのはもちろんですが、分節が分かれた状態のまま、原文と訳文の内容が対応していないメモリが作られてしまうと、その後 100% マッチでヒットしてきた訳文がまったく使えないなど、あとあとまで影響が出ることになります。

翻訳料金はマッチ率によってレートが変わることが多いので、使えないメモリがヒットしてくると、翻訳者としてはとても困ります。100% マッチの料金なのに、新規翻訳しなければならない、というかなり悲しいことになります。

この「複数の分節に分かれる」ことへの対処方法は翻訳会社さんの方でもさまざまなようで、これまで私が受け取った作業指示にはいろいろなものがありました。そんな中から、今回は個人翻訳者の視点で「もっとも好ましい対処方法トップ 7」を紹介したいと思います。翻訳を依頼する側の視点で考えるとまた違うとは思いますが、今回はあくまで翻訳者の視点です!


第 1 位:複数の分節に分かれないように完璧に前処理されている

翻訳者にとっての理想はまずこれです。分節が分かれてしまっていると、「分節が分かれている」と気付くまでに時間がかかり、それだけで作業の効率が落ちます。不要な「改段落」を削除するなど、少し手間をかけて前処理してくれれば Trados 上で分節が分かれる現象は防げます。


第 2 位:分節を結合する

完璧な前処理が理想ではありますが、大量の文書になると難しいだろうことは翻訳者側からも想像がつきます。そこで、翻訳者側でも対応が必要になるわけですが、もっとも簡単な方法は Trados での分節の結合です。

結合する方法は簡単です。結合したい複数の分節を選択して、右クリックすると [分節の結合] が表示されるので、それを選択します。


注記:Trados Studio 2017 の [段落を越えた分節の結合を無効にする]

Trados Studio 2017 から、「改段落」で区切られていても分節を結合できる機能が追加されました。ただ、この機能はプロジェクトを作成するときに [段落を越えた分節の結合を無効にする] オプションなどがきちんと設定されていることが条件です。パッケージを受け取って作業する翻訳者側ではこのオプションを変更できません。つまり、プロジェクトの作成者が設定をしていない場合、翻訳者はこの機能を利用できません。


Trados もいろいろ頑張ってくれてはいるようですが、「分節の結合」ができないケースは残ってしまうと思います。右クリックをしたときに [分節の結合] がグレーアウトされていたら、それらの分節は結合できません。あきらめて、次の対処方法に進みます。


第 3 位:1 つの分節にまとめて訳文を入力する
第 4 位:最初の分節にまとめて訳文を入力する

「分節の結合」ができないときの対処方法として、翻訳会社から具体的な方法が指定されることがあります。ほとんどの場合は、「まとめて訳文を入力する」というものですが、ここで注意したいのは、どこの分節に訳文を入力するかです。


■例 1:最初の分節に訳文を入力する場合
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■例 2:2 番目の分節に訳文を入力する場合
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たとえば、上記の場合、例 1 のように最初の分節の「このファイルを、」という原文に対して「Add this file to the Temp folder.」という訳文を入力してしまうと、自動反映やチェックのときに面倒なことになります。できれば、例 2 のように、最初の分節は空白にし、2 番目の分節に訳文を入力したいです。こうしておけば、自動反映で、後続の「このファイルを、」に対して空白の訳文が入力されても問題ないですし、「原文にある英単語が訳文にも存在する」などのチェックをかけても、チェックが正常に機能します。

私は、作業指示で「最初の分節に」と明示されている場合はその指示に従いますが、特に明示されていない場合は、できるだけ意味的に中心となっている分節に、または自動反映の対象とならない分節に訳文を入力するようにしています。

明確な指示をしてくる翻訳会社さんは、後工程で何らかの処理をしている可能性があります。なので、「最初の分節に」と明示されていたら、それには従うのがよいでしょう。


第 5 位:まとめて訳文を入力し、残りの分節には「◆◆◆」を入力する
第 6 位:まとめて訳文を入力し、残りの分節は空白にする

訳文をどこに入力するかだけでなく、残りの分節をどうするかについても指示がある場合があります。たいていは、「◆◆◆」などのマーキングをするか、空白にするかのどちらかです。

「◆◆◆」などのマークを入力しておいた方が、後で検索しやすいので、私はこちらが好きです。空白の場合は、意図的に空白にしたのか、誤って空白になっているのかが後でわからなくなります。


第 7 位:「適当に」済ませる

具体的な作業指示をしてくる翻訳会社さんとは反対に、「特にルールはないので適当に」と依頼してくる翻訳会社さんもあります。

「適当に」訳文を入力して納品した場合、次の改訂翻訳などで「適当に」作られたメモリが付いてくる可能性が高いです。突発的な少量の文書など、メモリの再利用を考えていない場合は別ですが、メモリを再利用する可能性があるなら、「適当に」という指示はあり得ないでしょう。



以上、分節が分かれてしまっているときの対処方法でした。
上記以外の対処方法として、「なんとか原文に合わせて訳文を入力してください」と指示されたこともあります。ただ、これは翻訳者にとってはとても厳しいです。どうしても訳文が読みにくくなるうえに、その読みにくい訳文のために時間をかけているかと思うとやる気が削がれます。

さて、翻訳者の作業後、訳文を受け取った翻訳会社さんの方では、いろいろな後処理がされていることと思います。空白行や「◆◆◆」などのマークを手掛かりに、原文と訳文がきちんと対応したメモリを作るため、原文側の編集をしたり、何か整合ツールを使ったり、ときっと手間がかかっていることでしょう。(翻訳者としては、きちんとしたメモリが作られていると、とてもありがたいです

それにしても、この現象、Trados もメモリも、ほんとっ面倒と思ってしまう大きな原因になってますよね〜。



  




2018年01月21日

タグの中の文字を検索したい

翻訳をしていると、たまにタグの中の文字を検索したいと思うことがあります。
TagEditor のときはこれができたのですが、Studio になってからこのオプションがなくなってしまい、少し不便に思っていました。

実は、Trados Studio 2017 ではこれができるようになっています!!

と言っても、通常の「検索と置換」機能にオプションが増えたわけではありません。使うのは「高度な表示フィルタ」です。なので、正確には「検索する」というよりは、「フィルタをかける」という処理になります。

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検索の方法は簡単です。[高度な表示フィルタ] の [コンテンツ] タブで検索したい文字を入力するだけです。オプションや設定は何もありません。デフォルトでタグの中の文字も認識してくれます。(言い換えると、単にタグかどうかを区別していないということなんですが。)

たとえば、「bold」と入力すると、<cf bold=True> というようなタグの中の「bold」を検索することができます。ただし、当然ですが、タグ以外に「bold」という単語があった場合ももちろん検索されてきてしまいます。

以前のバージョンからある [レビュー] タブの [表示フィルタ] の検索は動作が異なります。こちらはタグ以外の文字だけを検索します。


■ [高度な表示フィルタ] の場合は、<cf bold=True> タグと「bold」という文字列が表示されます。

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■ [レビュー] タブの [表示フィルタ] の場合は、「bold」というタグでない文字列だけが表示されます。

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以上です。本来の検索機能とは違いますが、「タグの中の文字を検索したい」というときはとりあえず役立つかと思います。







2018年01月19日

QuickInsert を設定するときに注意したいこと

Trados の QuickInsert を私はたまに使っています。翻訳会社から、「不明 UI には ◆◆◆ というマークを付けてください」などと依頼されることがよくありますが、そのような場合にとても便利です。

QuickInsert では、ショートカット キーを使って、「◆◆◆」のような特定の単語の入力したり、()や「」などの括弧で文字を囲んだりすることができます。 XML や HTML の場合は、特定のタグを入力したり、タグで文字を囲んだりすることもできます。

日本語⇒英語の翻訳で、入力モードが英数字のときに全角文字の「◆◆◆」を入力するのはちょっと面倒ですが、QuickInsert に登録しておけば、入力モードを変更することなく、ショートカット キーを使って簡単に入力できます。

もちろん QuickInsert 以外にも、便利な入力方法はいくつかあります。入力モードが全角になっていることが多い英語⇒日本語の翻訳のときは、IME の単語登録の方が便利かもしれません。日本語⇒英語の場合でも、AutoHotkey などを使えば簡単に入力ができます。でも、スクリプト書くのは面倒だし、よくわからないし、ということありますよね?? 私は「とにかく簡単に済ませたい!」というときに QuickInsert を使います。

が、QuickInsert を設定するときは、いくつか注意しなければならない点があります。今回は、そんな注意点を紹介したいと思います。Trados の動きを理解して慣れてしまえば大したことではないのですが、気付かないと少し悩むことになるかもしれません。(私は、かなり悩みました。)


1. QuickInsert はプロジェクト内の「ファイルの種類」ごとに設定する


QuickInsert の設定は、[プロジェクトの設定] -> [ファイルの種類] から、作業対象のファイルの種類を選択して設定します。つまり、パッケージを受け取って作業する場合は、プロジェクトごとに毎回設定する必要がありますし、さらにそのプロジェクトの中のファイルの種類ごとに設定する必要もあります。 たとえば、1 つのプロジェクトの中に Word ファイルと HTML ファイルの両方があり、どちらでも QuickInsert を使いたい場合は、両方の「ファイルの種類」で設定する必要があります。

また、「ファイルの種類」ではバージョンにも注意する必要があります。Word、Excel、PowerPoint などは拡張子が同じでもいくつかバージョンがあるので要注意です。正確な「ファイルの種類」を特定するには、ファイル ビューで、レイアウトを [ファイルの詳細のレイアウト] に変更します。[ファイルの種類の識別子] 列に識別子が表示されるので、その識別子を [プロジェクトの設定] -> [ファイルの種類] で探します。

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2.「ファイルの種類」によっては QuickInsert を設定できない


さて、「ファイルの種類」を特定して、[プロジェクトの設定] で設定しようとすると、[QuickInsert] タブがない!ということがあります。

たとえば、以下のように 「PowerPoint 2007-2016」には [QuickInsert] タブがありません。このタブがない場合は QuickInsert を設定できません。残念ですが、ここであきらめます。

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それにしても、なぜ PowerPoint 2016 でなくなってしまったんでしょう?? 私としては、とても残念です。「PowerPoint 2007-2013」には [QuickInsert] タブがあるので、こちらは QuickInsert を設定できます。(翻訳会社の皆さま、「PowerPoint 2007-2013」も PowerPoint 2016 に対応しているようなので、できればこちらの「ファイルの種類」を使ってもらえると、とっても助かります。)

3. [QuickInsert グループに表示] チェックボックスを選択する


[QuickInsert] タブが見つかったら、いよいよ QuickInsert の設定です。(ここからが、設定の本番です!)
設定自体は簡単です。表示されている項目を素直に選択していけば設定できます。

ここで注意するのは、[QuickInsert グループに表示] チェックボックスです。これを選択しておかないとエディタのツールバーに表示されず、ショートカット キーで挿入することができません。

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[QuickInsert グループに表示] チェックボックスを選択すると、一覧の [ツールバー] のところにチェックマークが付きます。この一覧の [ツールバー] チェックボックスも一見編集できそうですが、ここは編集できません。見た目にだまされてはいけません!


4. 設定したら、エディタをいったん閉じて開き直す

設定が終わったら、エディタをいったん閉じて開き直します。開き直さないとツールバーに新しい QuickInsert の設定が反映されません。

この「エディタを開き直すと表示される」という動作に私はなかなか気付かず、ずいぶん悩みましたぁ。とにかく、設定を変更したら、いったんエディタを閉じて開き直してください。Trados 自体の再起動ではなく、エディタ ビューを開き直すだけで大丈夫です。


5. ショートカット キーは自分では選択できない


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エディタを開き直すと、リボン上の [QuickInsert] に赤いマークが表示されています。マウス カーソルを合わせるとショートカット キーが表示されます。表示されたショートカット キーを押すと設定した文字列が入力されます。

このショートカット キーは、Ctrl+Shift+<数字> の組み合わせですが、組み合わせる数字は Trados が勝手に選びます。自分で選ぶことはできません。丸括弧()で囲むような QuickInsert を設定すると、キーボード上の「(」に該当する「8」が割り当てられることもありますが、そうでないときもあります。

そして、最後のポイントはこの数字です!


6. Ctrl+Shift+0 は機能しない!!!


上記のスクリーンショットのように、Ctrl+Shift+0 (数字のゼロ) が割り当てられてしまうと、なぜかショートカット キーが機能しないことがあります。ツールバーには正常に表示されていても、ゼロのショートカット キーは機能しないんです。

運悪く、Ctrl+Shift+0 が割り当てられてしまった場合は、それはそのままにして、同じ設定をもう 1 つ追加します。(同じ名前では登録できないので、名前だけ変えます。 上記 3. のスクリーンショット参照。)今度は別の数字が割り当てられるはずなので、新しく割り当てられたショートカット キーを使うようにします。


これで、QuickInsert の設定は完了です。こうして注意点を並べると、まったく Quick でないような気もしてきましたが、慣れればきっと(たぶん)大丈夫です。

そして、本当にこれで最後ですが、もう 1 つだけ注意点があります。QuickInsert は、最初に書いたように「プロジェクトの設定」なので、本来はパッケージ内で設定されているものです。パッケージを受け取った後、せっかく自分で設定しても、「ファイルが追加になったので追加のパッケージを送ります」などと言われて追加のパッケージを開くと、設定は上書きされ、なくなってしまいます。

マーキングをするように依頼するなら、パッケージに QuickInsert の設定もしてきて欲しいなぁ、と思いますが、なかなか設定してきてくれる翻訳会社はありません。ただ、HTML や XML で特殊なタグを使うときは、きちんと設定してきてくれることが多いように思います。

以上です。面倒な入力作業はできるだけ簡単に済ませたいですね




2018年01月06日

■プラグイン■ フィルタで繰り返しを除外する

私は、[レビュー] タブ -> [表示フィルタ] の機能をよく使っています。Trados Studio 2017 から「高度な表示フィルタ」も追加されて、どんなにかすばらしくなっているかと期待したのですが。

私が欲しい機能はなかったぁ

翻訳作業が終わってチェックするときなど、繰り返しが多いファイルでは、とにかく新出の分節を 1 回だけ表示して欲しいと思うことがあります。繰り返しでない通常の分節は普通に表示され、繰り返しの分節は 2 回目以降は表示されない、という状態が理想的なんですが、標準の機能ではこれができません。

これを実現してくれるのが、プラグインの Community Advanced Display Filter です。
(注記:このプラグインは、「高度な表示フィルタ」の拡張機能であり、2017 からしか使えません。)

標準機能の「高度な表示フィルタ」の機能は以下のようになっています。

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  • すべて:繰り返しの分節をすべて表示する。繰り返しでない通常の分節は表示されない。
  • 初出:繰り返しの分節の中で、初出の分節を表示する。あくまで、繰り返しの分節の「初出」であり、通常の分節は表示されない。
  • 初出を除く:「初出」の逆。これも、通常の分節は表示されない

「通常の分節は表示せず、繰り返しの分節だけ表示」されても、意味がないというか、ちょっと困ります。そこで Community Advanced Display Filter を追加すると、以下のようなフィルタが表示されます。

3-2.png

「Unique Occurrences」というオプションが増えています!!
これが、まさに私が欲しかった機能で、すべての分節を 1 回だけ表示してくれます。

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1 行目の「フォルダ」は、繰り返しではないので、標準機能のフィルタでは非表示になってしまいますが、「Unique Occurrences」では表示されます。 7 行目の「フォルダを開きます」も同様です。

ちなみに、「繰り返し」かどうかは Trados が勝手に判断しているようで、エディタ上に表示されるステータスでフィルタがかかるわけでありません。訳し分けなどをしているときは注意が必要です。

たとえば、以下の 4 行目から 6 行目は、同じ原文に対して異なる訳文を入力しています。
5 行目は、メモリの訳文を挿入してから、変更を加えています。
6 行目は、メモリの訳文を使用せず、新規入力しています。なので、ステータスの表示では繰り返しにはなっていません。

それでも、フィルタの結果は変わらず、4 行目だけが表示されます。
「訳文が違ったら表示する」というオプションがあれば、もっと嬉しいんだけどなぁ。

3-4.png

とは言え、「Unique Occurrences」は便利そうです。このプラグインでは他にもいくつか機能が追加されています。ぱっと目に付くのは「Reverse Filter」です。おそらく、条件を反転して適用してくれると思うのですが、複数の条件を指定しているときなど、and ? それとも or ? と考えるとちょっと複雑そうです。また、後日、詳しく検証してみたいと思います。