価格:3,555円 |
今回はライブアルバム、安全地帯『安全地帯ライヴ ENDLESS』です。1985年2月12・13日(武道館)、17・18日(大阪城ホール)での録音から編集した二枚組で(どの曲がどっちで録音されたものかはわからないです)、『安全地帯II』『安全地帯III 抱きしめたい』の収録曲はほとんど収められた、初期安全地帯全曲集に近い大作になっています。発売は1985年4月、アルバム発表順に記事を書いてゆくという弊ブログの方針とは異なり、わたくしこんなに遅くなってからの上梓となってしまいました。方針を守ったなら『安全地帯III 抱きしめたい』と『安全地帯IV』の間に記事があったはずですが……。当時からライブアルバムの扱いをどうするべきか決めかねておりまして……だって収録曲はもう書いちゃったしなあ、などと悩んだ末にやっぱり書いておこう、ベストアルバムと同じ体裁で書けばいいやと決めたのがつい最近だったわけです。
さてこのライブアルバム、とんでもない出来上がりで、なにより演奏がマーベラスです。玉置さんが歌詞を間違った箇所(「ブルーに泣いてる」)はありますが、ミスらしいミスがほぼないのです。何十年も聴いていますが演奏が乱れた箇所を発見出来たためしがありません。これを聴いてしまうとスタジオアルバムが面白げに欠けるように思われてくるくらいです。なんなんだこのバケモノバンドは!と今なら思えますが、なによりわたくしライブアルバムというものをほぼ聴いたことがなかったので、どのミュージシャンもこれくらいはできると思ってしまったというある意味恐ろしいライブアルバムです。録音も素晴らしく、全員の音がハッキリ聴こえてきます。そりゃ現代のライブアルバムに比べたら音圧がどうとか明瞭度がどうとかいろいろ言えなくもありませんが、40年近く前の音源にそれはムリってもんです。
ところでこのENDLESSライブのわずか三年前にオフコースが10日間連続ライブを行っており、今年40周年でCDやDVDが大売り出し、これもいいライブです。鈴木康博ファンのわたくしとしては個人的にお気に入りです。さらにその10年前にはDEEP PURPLEが『LIVE IN JAPAN』、さらにその六年前にはビートルズが公演を行っておりまして、武道館が大動員のライブ会場として用いられるようになってから安全地帯がこのENDLESSライブを行うまで20年くらいたっていたのです。大動員といってもキャパは一万チョイですから、現代の感覚でいうとそんなに大きな会場でもないんですが、当時はさいたまスーパーアリーナとか東京ドームとかはなかったですから、武道館公演を行うことが大成功の象徴みたいなものだったのです。現代では音響機器が進化したというのか、ツマミさえひねればどれだけ大きな音でも出せるようになっていますから(エンジニアのきみたち全員南朝だろ、いや難聴だろと思うくらい)、数万人規模のライブもそんなに難しくないのかもわかりませんが、当時はこのENDLESSライブが技術的にはほぼ最高の動員と音だったといってもいいんじゃないでしょうか。
さてこのENDLESSライブアルバム、『REMEMBER TO REMEMBER』からは四曲、『安全地帯II』からは全十曲、『安全地帯III 抱きしめたい』からは「エクスタシー」を除く九曲、シングル関連から二曲、その他一曲の全26曲となっております。LPやカセットでは数曲省かれたり三枚組になっていたりと事情がやや異なりますが、ここではCD二枚組としてご紹介いたします。
Disc.1
1.Endless
2.マスカレード
3.真夏のマリア
4.Happiness
5.Kissから
6.ブルーに泣いてる
7.Big Joke
8.エイジ
9.つり下がったハート
10.あなたに
11.…ふたり…
12.アトリエ
13.風
Disc.2
1.小さい秋みつけた
2.恋の予感
3.yのテンション
4.Lazy Daisy
5.ダンサー
6.真夜中すぎの恋
7.熱視線
8.ラスベガス・タイフーン
9.ワインレッドの心
10.La-La-La
11.眠れない隣人
12.We′re alive
13.瞳を閉じて
Disc 1は「Endless」のゆるやかな感じ(これはSEでしょう)から、大音量の「マスカレード」で一気に盛り上がり、つづけてミディアムテンポの「真夏のマリア」「Happiness」「Kissから」でノリを持続させます。「ブルーに泣いてる」でちょっと泣きを入れてから「Big Joke」の軽快なリズムを挟んで「エイジ」でまた泣かせます。ここからしんみりモードで「つり下がったハート」でちょっと不穏に気持ちにさせてから、大人気バラード「あなたに」で観客の狂喜!この耳をつんざく黄色い声はただごとではありません。本気で失禁・失神した人が出たんじゃないかというくらい興奮しています。ここからはアコギ路線で「…ふたり…」「アトリエ」「風」と、これもさぞや興奮と落ち着きが同居した不思議な幸福感を味わったものと思われます。
Disc 2に入りまして玉置さんの、おそらくは弾き語り「小さい秋みつけた」のほんわかしんみりから、大ヒット曲「恋の予感」で一気に盛り上げます。この歓声は「あなたに」を越える大きさ!なにせ当時最新シングル「熱視線」のわずか一枚前ですからまだまだ新曲、観客が大喜びするのもさもありなんです。そこからは「yのテンション」「Lazy Daisy」とニューアルバムから一曲目二曲目を繰り出し興奮を持続させます。ここで何やら効果音的なものがだんだん大音量になり途切れたかと思うと「ダンサー」が始まります。このあと「真夜中すぎの恋」ですからセカンドアルバムからの選曲になる気分モード転換に効果音を使ったのかもわかりません。そして最新シングル「熱視線」とシングル曲が続きます。このあたりで観客も喜びすぎて疲れたでしょうから次は「ラスベガス・タイフーン」、これもシングルなんですがおそらくは知名度の相対的に低かった曲で一休みという感じでしょう。ですがこの曲、かつてはメインの曲だっただけあってかなり強力な魅力を持っています。矢萩さんの超絶ロングアドリブソロが炸裂し、知らない曲だけどすごいねこれって感じで会場はいやがうえにも盛り上がっていきます。そして暖まりきった会場に「ワインレッドの心」が投下され、コンサートはクライマックスを迎えます。このあと「La-La-La」でメンバー紹介をしていったんコンサートは終わります。鳴りやまない拍手、終わらないアンコールを求める声、そして大歓声とともにメンバーが再登場し「眠れない隣人」でドカンと盛り上げます。そしてアンコールの定番「We're alive」で「みんなの顔を忘れはしない〜今日はほんとにどうもありがとう〜」と別れを告げ、コンサートは終わりになります。ふたたびアンコールを求める声が収録されており、それにこたえた形という体でラスト、エレピだけの伴奏で「瞳を閉じて」が歌われ、このライブアルバムは終わります。
うーこうして書いてみてもいいライブアルバムです。演奏はパーフェクトなのはもちろん、キッチリ流れがあります。わたくしがこれを聴きまくりすぎたせいで流れがあるように見えるだけかもわかりませんが(笑)。それを差し引いてもボリューム満点、いやーライブ聴いた!という気分になりますよ。安全地帯のライブアルバムで一番のおススメといってもいいくらいです。快進撃真っただ中の安全地帯がどれくらい凄かったか、よーくわかるライブアルバムです。
価格:3,555円 |
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
いまなんかPCでやるんですが波形みて切ったり貼ったり伸ばしたりとやりたい放題です。だからボーカルのピッチ補正とかやるの当たり前みたいな体で頼まれますが、じゃあはじめからこう歌えよってくらい注文してきます。こっちは何百回も聴いて耳がバカになってるのにまだ言うかってくらい。ここもっと柔らかくしてとかよくわからない注文してくるんで、ピンポイントコンプレッサーかけたら他の部分がケバ立っちゃうとか日常茶飯事で、結局最初のままが一番いいじゃんということが普通にあります。まあー、不景気ですから仕方ないといや仕方ないんですが……喉の状態が回復するまでスタジオとスタッフ押さえたままにしておく予算ないんです。ヨシキさんみたいに一億でスタジオ作って一億で製作して、売ったら一億しか売れなかったみたいな豪快なことできません(金額ちゃんと覚えてませんが、こんな調子で赤字だったようです)。
エンドレスライブは、カセットだとたしか四曲足りなかったんじゃないかなと思います。「ラスベガス・タイフーン」もたしかそうです。あれがないとはなんたること!
カキくんのソロはブルージーなメタルソロですよね。それこそ先日亡くなったベックとか、クラプトンとか、新しい人だとサイクス(全然新しくない!)……いやもっと粘っこいな……カキくんはカキくんですねえ。わたくしはどっちかというと武沢さん派なんですが、あんな鋭いカッティングできないんで、聴くだけ憧れるだけです。武沢さんのギターは私の知る誰にも似てないです。
メタルバンドやってましたねえ。ギターなんですが、ベースが抜けてベースとか、ボーカルもいなくなってというか歌えねえんでクビにしてボーカルもやったりと……ドイツのレイジみたいな曲と編制になってました。好きなのは安全地帯なのに!ボーカリストには苦労させられました。どいつもこいつも歌えてない……玉置さんの歌で育ったわたくしには半分カラオケ気分のボーカリストなど不燃ゴミでしかありません。いま思うと酷い話です。
トバさんは高校時代までは札幌にいらして、それから進学で上京した感じですか。メタルのバンドやられていて安全地帯もお好きな。私の知り合いからも安全地帯のツートップのツインギターは、ギターソロがメタルみたいなソロだ、と言ってました。確かにカキさんのソロはラスベガスとか熱いし重たいです。
まあ、素人が考えて私書きますので、だいぶトンチンカンなこと言ってると思いますので聞き流しちゃってください(笑)
私は最初お年玉で4000円のカセットテープを買いました。テープはアトリエ、ラスベガスタイフーンが収録されてなかったはず。
成人前後にある場所で知り合ったプロのベーシストが、このライヴアルバムの音の編集だか、補正のベースの仕事をした、と話してました。「へー!?」とその時思ったわけです。
小さい秋みつけた、は小学生ながらにあえて童謡をも取り入れてくる懐の深さ、素朴なんだろう(北海道出身)みたいな事も思った記憶があります。売れに売れてTVに出まくっていたあの頃の歌番組は楽しかったです。今はYouTubeが凄いですね。
当時は90分を超えるテープは薄くてよくトラブルを起こしてたそうですから(個人的にはトラブルに遭ったことはないですが)、レーベルからリリースされるミュージックテープには使わなかったんでしょう。しかし懐かしいですね、キティのテープには黒猫が印刷してあるんですよね。バブルコンポはレコードプレーヤーがオプション扱いでCDとカセットだけのことがしばしばありましたから、ミュージックテープも主役かそれに近い立場だった時代がたしかにありました。
このライブアルバムは……そんなに露骨に値段あげなくても……と思いますね。
が、結局はツアーでは5人だけだったのかと。
90分テープ一本というのは、コスト面の問題だったのでしょうね。LP2枚組4,000円、テープは一本で4,000円、CDはトータル4曲追加で6,000円(時代とはいえ)とかなり強引にバランスを取っていたのが、キティ(あるいは製造元ポリドール)の手法だったのかもしれません。
当時は六土さんピアノ弾くときに矢萩さんベース弾いてましたね。五人だけのサウンドわたくし大好きなんですが、どうしてもそれだけでは続けていけなかったんでしょうね……。貴重なライブ音源ですから、せめて廃盤にならずにこの当時の安全地帯に触れる人が増えることを祈念しております。一時期こればっかり聴いてましたし、「エイジ」なんて今でもこっちしか聴かないですから、貴重な音源です。
安全地帯のライヴ作品としては最高峰だと思います。何しろ、5人だけで演奏しているのですから。矢萩さんのベースも六土さんのとは違和感なく響いてますし、武沢さんのギターシンセもいい。田中さんのリズムはやはり素晴らしい。そして隙の無い玉置さんのヴォーカル。未来永劫にリマスターやリミックスする必要は無いように思います。