アフィリエイト広告を利用しています
ファン
検索
<< 2024年04月 >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
太陽になる時が来たんだ by トバ (04/25)
太陽になる時が来たんだ by よし (04/25)
FIRST LOVE TWICE by トバ (04/14)
FIRST LOVE TWICE by せぼね (04/13)
△(三角)の月 by トバ (03/29)
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
toba2016さんの画像
toba2016
安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
プロフィール

2021年01月11日

微笑みに乾杯


I Love Youからはじめよう―安全地帯BEST』十二曲目、「微笑みに乾杯」です。

活動休止前ラストシングルであり、アルバム『安全地帯VI 月に濡れたふたり』後の新曲でもあるため、ベストアルバム(とベスト的なもの)以外に収録がない曲です。

MIASSツアーのDVDには、楽屋で玉置さんがホニャホニャ英語的な弾き語りをして、Bananaがそれに声を重ねるシーンが収録されています。このようにMIASSツアーの最中に生まれ、ツアーの合間を縫って寝られ、ツアー終了後まもなくレコーディングされたのでしょう。慌ただしく送り出されたこの曲は、あやうく安全地帯ラストシングルになるかもしれない重責を担う運命を背負っていました。まあ、慌ただしくって言ったって、当時の安全地帯の曲はどれだってハードスケジュールの中で慌ただしくリリースされていたんですけども。

その危うくラストシングルになりかけたこの曲、たとえラストシングルだったとしても、それにふさわしい終局感をまとった名バラードになっています。

シャンシャシャンシャシャンシャシャンシャ……となにやら高音の鍵盤で始まったリズムにストリングスが重ねられ、そしてズシーンとしたベース、カツカツというリムを中心としたドラム……これは「Too Late Too Late」で聴くことのできたパターンですが、それに重ねられたホニャホニャとしたシンセで、序盤は曲の大きな部分が占められています。

ギターはかなり控えめ……もちろん、当ブログがこれまで散々に主張してきましたように、安全地帯は出しゃばりなことをせず、ときには出番のまるでないことすらあるくらい、曲の完成度優先でアレンジをし、演奏をするわけですから、ギターがどれだけ控えめであろうとけっして不自然なことではありません。しかし……

わたくしには、これが安全地帯の崩壊を示していたように思われて仕方ありません。もちろん、Bメロで、サビで、そして間奏で、ギタリストのお二人は完璧な仕事をなさいます。完璧に過不足ありません。しかし、それだけなのです……!完全崩壊したバンドなのに一念発起して『アビー・ロード』をレコーディングしたビートルズのように渾身のプレーをなさったのはよくわかります。武沢トーンが「シャーン!」と響き渡り、矢萩さんのギュイーン!も咆哮を上げています。しかしもう、安全地帯IIやIIIあるいはIVのように、ギターこそが主役であってギターがなければ成り立たないサウンドではありません。これはギタリストのお二人の問題ではなく、安全地帯というバンドの生産体制の問題です。玉置さんがそうしたのには違いありませんが、玉置さんだってしたくてそうしたわけでもありません。すべては、世の中が求めたことに全力で応えようとした結果です。応え続けた結果、安全地帯が安全地帯であり続けることが限界に達したというべきでしょう。

渋い出番しかないギタリストとは裏腹に、リズム隊のおふたりは玉置さんの歌を支え続けます。そりゃ、この二人が出番なかったら曲終わりますから当然ですが、このお二人はフル出場で玉置さんを孤軍奮闘にさせまいと踏みこたえるのです。まるで真田幸村を最後まで支える三好清海入道と伊三入道のようです。どうもわたしは豊臣派びいきでいけません、かと思えば幕末は徳川・松平びいきですから、要するに負けるほうが好きなんですね。

あの青い空は、北海道でかつて見た、夢を追った日々を覆う天の青、東京に来てからの恋人との日々、仲間との日々、それらはときにやさしく、ときに悲しい思い出を残した。それももう、間もなく終わるという予感に包まれていま、最後かもしれないレコーディングに臨もうとしている……思い出よりも輝いていたい、だから涙を拭いてきみに微笑むんだ……松井さん、絶対わざとでしょ!(笑)……こんな歌詞……過剰な思わせぶりにわたしがこの後感情移入で二年ばかり苦しんだのはぜんぜんいいとしても、これじゃメンバーがかわいそうじゃないですか……もちろん玉置さんが歌っているんですけども、これは玉置さんだけでなく、メンバー全員の物語なのです。全員が、涙を拭いて明日のために、そしてそれぞれの「きみ」のために微笑むのです。まるで乾杯をするように、全員で、一斉にです。

まださよならが聞こえない「僕」は、もちろん玉置さんであり、メンバーであり、そして松井さん自身なのでしょう。安全地帯はここでいったんお休みになりますが、玉置さんソロをはじめ、松井さんはこの後もメンバーたちとの交流を続けてゆきます。だからさよならなんて変なんですけど、それでも、バンドとしてのさよならはあってしかるべきだったのに、それがなかった……さびしい……いやもちろん、バンドとしてのさよならなんてしてたら、マジでここで終わったかもしれないからあぶないところだったんですけど(笑)、チームの一員であった松井さんからすれば、何ともいえない寂しさを感じさせられる状況だったことでしょう。でも、松井さんは「夢をなくしてはいないから」「歩いてゆこう」と、前を向きます。そして寂しい過去に「もうふりむかない」と決別し、メンバーたちとの未来を信じ、立ち去るのです。

「このまま ずっと ずっと」

これまで伴走してくれた人たちとは、ここでお別れだよ。でもこのままずっと進むと、分かれたはずの道たちも一つ二つと交わることもある、だからふりかえらず、歩いていこう、次にきみが出会う人は、きっと楽しい人だ、きっとやさしい人だ、きっときみの人生を豊かにしてくれる人だ、だからおそれず進むんだ……

これがわたしが、いままでにいちばんつらいお別れ(恋愛以外で)をしなくてはならなかったときに、自然と口に出たことばです。いささか感傷的に過ぎて多分にキザでした。そしてべつにわたしに似合ってもいません(笑)。ですが、この気持ちはいまでもすこしも変わっていないのです。この「微笑みに乾杯」がわたしに、しっかりとお別れの仕方を教えてくれたからかもしれません。

別れの予感とバンド終焉の雰囲気満点の中、フルメンバー+シンセで怒涛の間奏があり、その後、ストリングスと軽いドラムだけをバックに「もう涙ふいて歩いてゆこう」と玉置さんが絶叫します。そしてすぐにドドドド……とフルメンバーに戻って、サビを一回だけ繰り返し、そしてフェイドアウトしていきます。よりによってこの曲でフェイドアウト……いや、いいんですけど。また始まったのを、わたしは知っているから。

単に終わりそうな恋愛の曲、として聴くこともできるこの曲(そして、そう聴くほうがずっと自然な曲)は、バンドの崩壊をリアルタイムで演出した曲だ、とわたくしは信じているわけですが、たぶんわたしのアタマがおかしいだけなんでしょう。いいじゃないですか、世の中ひとりくらいこんな聴き方をして勝手に泣いていても。

I Love You からはじめよう/安全地帯BEST [ 安全地帯 ]

価格:2,950円
(2021/4/17 16:58時点)
感想(0件)


Listen on Apple Music

2021年01月10日

熱視線


I Love Youからはじめよう―安全地帯BEST』三曲目、「熱視線」です。

1985年1月リリース、前作「恋の予感」からわずか三か月、アルバム『安全地帯III 抱きしめたい』からは二ヶ月弱です。アルバムからのシングルカットではなく、新曲をリリースしてきました。まあー、アルバムにはシングルカットすべき曲はないように思いますし(いい曲だらけですが、いかんせん渋すぎる)、作戦的には新機軸に移行するのを表明するタイミングとしては絶好だったといえます。

そこから五か月後の6月、次作「悲しみにさよなら」が大ヒット、11月にも「碧い瞳のエリス」もヒット、ヒットしたからというわけではもちろんないんでしょうけど、これにより安全地帯の作風が「熱視線」の基軸からはズレていったように思われます。そうしてこの「熱視線」は、アルバムとアルバムの狭間に取り残されたヒット曲、という位置づけになってしまい、このベストアルバムまで収録されることがなかったわけです。

わたしたちは後からの歴史を見ているわけですからよくわかりますが、この「熱視線」は『安全地帯III』にも『安全地帯IV』にも収録できないように思えます。しいていえば『安全地帯IV』の「こしゃくなTEL」と入れ替えるか、その前後に入れるか……うん、イマイチですね。『安全地帯IV』の完成度を下げるだけのように思われます。これは曲の良しあしとは別のことです。

さて、曲ですが、『安全地帯III』が纏っていた暗さ、シリアスさを打ち破るかのように、明るく、軽快な曲調です。

シンセドラムらしき音色を混ぜたドラムでバシバシとリズムを取り、クリーン気味クランチトーンのギターが細かく短音リフをしばし繰り返したのち一気に曲調を変え、ズムズムと響くベースとドラムに乗せたオーバードライブギターのハモりで、ビープ音のようにわたしたちの胸に警報を与えます。これは危険!前フリなく一気に恋人との距離がゼロになったような切迫感を演出します。

玉置さんのボーカルも最初からトップギアっぽく切迫しています。じわじわと攻めるぜ〜感は微塵もありません。「これっきりなんて決して言わせない……」「これ」って何ですかいきなり!これは曲の前にひと仕事あったわけですが、あまりに速い展開、というかもう展開した後なので、一瞬追いつくのが遅れます。

歌詞が「これっきり」「じれったい」「戻っては」「からっ風」と、すべて促音を同じ位置に用いた言葉を精密にあて、スピード感を演出します。やたら細かい譜割で口数の多い情報量で押し切ろうとするかのような90年代以降のJ-POPとは完全に一線を画すこの職人技!痺れますね〜。

ドコドコッ!……ドコドコッ!……と隙間を大きく空けたベースに、これまた隙間を空け気味のギターが軽快なリズムで舞い、玉置さんのボーカルを浮き立たせます。田中さんのドラムも音色は派手ですが、つとめて無機質に曲を進めてゆく意思を示しているように思われます。

Bメロ、一気にスピードを上げます。いや実際には上がってないんですけど(笑)、リズムを変えてスピードが上がったように聴こえさせるわけです。スッタカスッタカタカタカ!と駆け抜けるドラム、「ボッボッボッボーボッボッ!」と音数を増やすベース、「ピコピコピコピコ〜」と高速下降フレーズを、おそらく矢萩さん武沢さんのお二人が交互に、左右から繰り出すギター、急転直下!と思いきや、一気に上昇フレーズを入れ、まるでスキーのジャンプ台を滑ったかのような感覚に人を誘います。いや、滑ったことないですけど(笑)。そして「ジャッ!ジャッ!ジャッ!」と強烈なキメでK点越えの大ジャンプをかまし、曲はサビになだれ込みます。アレンジとしてはイントロ後半と同じ、スピード感あるスッタカタッタータッタ!スッタカタッタータッタ!という、ダッシュアンドストップをひたすら繰り返す、ハードなトレーニングのような展開になっていてリスナーに息もつかせません。Jリーグ開幕時に誰もが味わった、常に状況が動いていてうっかり目を離すともう点が決まっている、という、CM混じりの野球ナイター中継に慣れ切った観戦様式をぶち壊された感覚に似ています。とにかく油断できないのです。昭和末期、こんなスピード感ある曲はほかに聴いた記憶がありません。次こう来るだろうなーという予定調和によって生まれていたスキを許さない、情け容赦ない展開です。

曲はまたイントロの後半と同じ短い間奏をはさみ、二番に入ります。わたしたちはもう何度も聴いて覚えていますが、初聴ならもう一番なんて覚えていません(笑)。それくらいガクンガクンと頭を揺さぶられています。

サビを終え、曲は間奏に入ります。「キーン……キュワーン〜オオオ〜〜〜〜」というギターの音、アームを使った感じですのでもちろん矢萩さんでしょう、人をやけに不安にさせる効果抜群です。そのままギターソロになだれ込むかと思いきや、何か鍵盤らしき音と「アーア」というコーラスの掛け合い、なんじゃいこれは、身を投げた燃える恋を表現しているのか?熱い視線がつらぬかれた揺れる瞳なのか?とかれなかった乱れ髪なのか?もう心は千々に乱れるばかりです。

曲はBメロ、サビ二回と進み、フェイドアウトしていきます。ライブバージョンですとイントロのフレーズに戻り、カッコよくキメをいれて終わるんですが、わたしはフェイドアウトを良しとしない人間ですので、もちろんライブバージョンが好きですけども、これは好きずきでしょう。次の「悲しみにさよなら」への序章としてはフェイドアウトがいいような気もしますが、当然この曲リリース時には「悲しにさよなら」はまだなかったわけでして、レコード針が中央でグルグル回っておしまいです。

さて、歌詞ですが……なんという物語の感じられない歌詞!歌の初めから最後まで数分の時間があったのに、事態は一ミリも進行していません、あ、いや、松井さんの歌詞はそういうのばっかりなんですが、この曲は特にその傾向が強いように思います。三回ある「踊ろう……」という玉置さんの魅惑的なビブラートは、きっとすべて同じ「踊ろう」であって、三回踊ったわけじゃないんですね。ワンシーンを三通りの言い方で表現していて、すべて同じ瞬間なのです。

下手な嘘をついて戻っては来ないそぶりで背を向けた彼女をひきとめ、じれったいほどの接吻をし、すべてを失くしてもよいという覚悟で消えそうなひとときの夢をみつつ、踊り、抱きしめ、これっきりだなんて言わせない勢いを保ち、これ以上ない熱い視線で彼女の瞳を射る……とまあ、こんなお話、実時間にすると20秒くらいですかね、それを三通りで表現し四分くらいの歌にしてみました、という趣向なわけです。まるで濃縮還元ジュースみたいな話です。原液は濃いんですね、とにかく。濃すぎて飲めません、飲んだらむせます。まあ、そりゃ、他人の色恋感情なんて、モロに共感しちゃったらむせますよ。それだけこの歌はリアルなんです。

そしてこのイントロ、AメロBメロ、サビ、間奏、これだけコロコロ曲調が変わられると、当時のリスナーはかなり忙しい感覚に襲われたというのは上に書いた通りなんですが、新しい時代のロックを示されたようにさえ思われる、まさに画期的なアレンジでした。詞の濃厚さ、展開の速さ複雑さ、それをなんなくさらっと行う演奏の巧さ、そして、これほど奇抜な曲なのに「恋の予感」と入れ違いにオリコン上位に食い込むキャッチーさ、メロディーのよさ……これはまさに傑作です。傑作すぎて特徴が際立ちすぎ、どのアルバムにも入れられなかった、というのが正当な評価でしょう。なんで「熱視線」どのアルバムにも入ってないの?とは思わなかったですね、当時のわたしも。その孤高の立ち位置が自然すぎました。それにライブアルバムで聴けましたから、そんなに寂しくなかったですよ、当時も。安全地帯がこの曲を大切にしているのは伝わってきましたから。

I Love You からはじめよう/安全地帯BEST [ 安全地帯 ]

価格:2,950円
(2021/4/17 16:58時点)
感想(0件)


Listen on Apple Music