価格:1,890円 |
安全地帯ライブアルバム『安全地帯LIVE』です。DVDは『To me 安全地帯LIVE』というタイトルでリリースされています。1987年4月20・21日武道館公演のライブを録音編集したDVDです、とユニヴァーサルの公式サイトには書いてあるのですが、CDブックレットのクレジットには21、24&25と書いてありましてすでに混乱が起こっています。さらにDVDには21&24と……なんだかわかんないですね。当時のことはわからないのですが、まとめると武道館で20&21の2days、さらに24&25の2daysのコンサートを行ったということなのでしょう。そして、DVDにある曲はすべて(CDにない「夢になれ」を含む)21日と24日に収録を行っている、CDにしか収録のない「シルエット」「海と少年」のうち少なくとも一方は25日に収録を行っている、これでいちおうブックレットにあるクレジットには矛盾がないことになりますが、ユニヴァーサル公式サイトが誤っているということになります。ユニヴァーサル公式サイトが正しいとすれば、実は20日のLIVE映像は用いられていないという……?ああ、なんだかわかんなくなってきました(笑)。たぶんですが、記録がそもそも混乱しているとか、SEの「パーティー」とかエンディングの「ゆびきり」に用いられた映像だけが20日で、これらはLIVEの映像ではないという解釈でそう言っているとか、どうにかこうにか……いや破綻してますよ。どこかでミスってるでしょ!(笑)。演奏が毎日ほぼ同じだったから何日の音源使っていても違いが判らない(ブックレットに記載されている内容は正しいと仮定した場合の話)、という可能性もあります。いろいろ編集しているうちにわかんなくなったというのが一番ありそうな話ではあります。が、まあ、べつに何日の映像や音でも構いません。安全地帯は演奏がほぼパーフェクトですから、衣装の違いとかそういう細かい点でしか違いがないんでしょうね。そんな記録や記憶のゴタゴタが起こるほどの完璧ライブだったわけです。
小音量の「パーティー」、これはSEでしょう、が流れ、DVDではサウンドチェックの様子や武道館外の様子などが映し出され、今夜は楽しみパーティーナイトだぜという趣向でこのアルバムははじまります。そして「ふたりで踊ろう」からが安全地帯登場、照明が全開、生演奏のテンションで大歓声、会場は一気に暖まります。ホーンセクションを率いた、これぞ大編成時代の安全地帯!と思い知らされる豪華な演奏です。たて続けに「銀色のピストル」「好きさ」と人気曲が演奏され、場内の空気は序盤からトゥーホット、そこへ「シルエット」「海と少年」「あのとき…」でしんみりと、緩急寒暖つけた流れはこれまでのライブアルバムと共通した流れです。
最新シングル「じれったい」で会場をわかせたあと、このライブ一番の聴きどころ、メドレー「こしゃくなTEL〜眠れない隣人〜熱視線」へとなだれ込みます。映像をみるとフロントマンみんなニコニコ、初期のおすましさんはどこへやら、大盛り上がりの武道館に笑顔の安全地帯に心が躍ります(武沢さんだけなぜかおすましさんのままですが、体調でも悪かったのではないかと心配になります)。そして「どーだい」、わたくしこのライブ音源を聴いて「どーだい」にハマったといっても過言ではありません。安全地帯はどの曲もそうなんですが、ライブのほうがいいということがしばしばあります。さらにいうと、いくつかある「どーだい」のライブ音源の中でもこれは最高だとわたくし思っております。ギターの音が好み過ぎます。わたくしメタル野郎なのに、いつでもこのオーバードライブを再現したくて何十年もギターをとっかえひっかえ、アンプやエフェクターをいじくりまわしているといってもいいくらいです。
終始ノリノリのBAnaNAの、ここはクールダウンのシンセ演奏で会場は急激にしんみりして、「Friend」のイントロが始まります。わき立つ会場、でもすぐに玉置さんの歌をしんみり聴こうと待ち構える客席、これは見事です。「日本のファンは違うんだ、アメリカのファンみたいにクレイジーに騒いでくれないから喜んでないと最初は思ってたんだよ、でも気づいたんだ、日本のファンは僕たちの演奏を聴こうとしてくれているんだ、ぼくたちをリスペクトしてくれているんだよ」と洋楽バンドの来日公演インタビュー記事でしばしば80−90年代にはみかけたのですが、あったりまえです。日本には安全地帯があるんです。安全地帯だけのおかげではさすがにないでしょうけども(笑)、日本には日本のアーティストが豊富にいて、中にはクジラかイルカしか内容を聴き取れないんじゃないかというくらいクレイジー高音の嬌声のみが響き渡るおバカなコンサートもないではないですが、きちんとコンサート文化ってものがあるんです。80年代にシーンを駆け抜けた絶頂期安全地帯の、この記録を見よ!という気分になります。
そして「Friend」パート2たる「ほゝえみ」、平原さんのアウトロの中盛装の玉置さんは一礼してステージを去るという演出があるのですが、それはCDではわかりません。いったんここで区切りです。ホーンセクション勢ぞろい、お着替えを済ませた玉置さんが「いくよー!」と声を上げ観客はふたたび大盛り上がり、「今夜はYES」が強烈に響き渡ります。DVDですと次に「夢になれ」が入ってノリがいい曲二連発なんですが、CDだと次がいきなり「To me」で超しんみりになります。玉置さんの「いくよー!」が何だったのか、こんなに早く行って帰ってきたのか!とちょっと趣向がよくわかりません(笑)。
そして「To me」、DVDだとタイトルナンバーですね。トレメンダスな演奏で、ほれぼれするような武沢さんのギターとコーラスに支えられて玉置さんが歌い切ります。ライブでこの演奏はまずいでしょう、スタジオアルバム売れなくなっちゃいますよと心配になるくらいの迫力です。すでにコンサートは最終盤、「悲しみにさよなら」で大合唱、アウトロに玉置さんが「ありがとー!気をつけて!さよなら!」と呼びかけ、大興奮の中でコンサートは終わります。
ピンスポットを浴びた玉置さんが「ゆびきり」を歌います。演奏はおそらく中西さんだと思うのですが、エレピだけです。メンバーは「ラーラララーラー」とコーラスを入れ、玉置さんが「さよなら さよなら またあえる」と歌を終え、SEの「ゆびきり」に切り替わります。「ありがとう!また会おうね!」と挨拶をして本当にこのコンサートは終わってゆきます。
1.パーティー
2.ふたりで踊ろう
3.銀色のピストル
4.好きさ
5.シルエット
6.海と少年
7.あのとき…
8.じれったい
9.こしゃくなTEL - 眠れない隣人 - 熱視線
10.どーだい
11.Friend
12.ほゝえみ
13.今夜はYES
14.To me
15.悲しみにさよなら
16.ゆびきり
DVDですと、「ゆびきり」にあわせて武道館を退場するお客さんたちの映像が流れるんですが、その中に階段をぴょんぴょん降りてゆく少女の映像があります。そして母娘で手を振るのですが、これがなんと「ゆびきり」のイメージに合うことか……なぜ手を振っていたのかは不明ですが、おそらく、スタッフの通路にあるドアを少し開けて玉置さんとカメラマンが手を振ったのではないかと思うのです。スタッフやカメラマンだけだとこの笑顔は少し考えにくいです。偶然録れた映像だったのだと思いますが、あの少女の笑顔は安全地帯が生んだちょっとした奇跡だといえるかもしれません。
大編成の安全地帯ライブアルバムは、もうひとつMIASSツアーのものがあるのですが、MIASSツアーのDVDは安全地帯が終わってゆくさみしさが不可避ですし(活動休止前のドキュメントですから)、CDは2005年にリリースされてまだわたくしそんなに馴染んでおりません(それでも17年もたったのか……それでもといまビックリしております)もので、絶頂時の明るい派手な安全地帯ライブという点ではこれが唯一無二のものとなっています。
DVD / 安全地帯 / To me 安全地帯LIVE / UMBK-1004 価格:3,720円 |
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「ENDLESS」の頃はヤマハの玉置モデル(高中さんモデルの亜種?)でしたよね。
蛎崎さんはなんか発売された音源だけ聴くと気の毒というか、もちろん大成功してる部類なんですが、安全地帯では自分の声でなくコーラス音を入れる職人に徹しているのかもわからないですね。『T』の奥土居さんみたいにすぐわかる声だからいいってもんでもないのかもしれません。そのあたり、歌の事情ってのはよくわからないものがあります。
日本でも、写真集付きにしないで売れば良かったのではないでしょうか。
安全地帯メンバーによるコーラス部分、ってたまにわからなくなるんですよね。六土さんなのか武沢さんなのか。映像があればわかるのですが。そんな中、「ゆびきり」で一番目立つコーラスが矢萩さんだったのは衝撃的でした。
で、このライヴアルバムでは、なおさら蛎崎さんのコーラスが掻き消されてしまうという(苦笑)。
でも、同じ年から開催された広島平和祈念コンサートの映像(NHKの)では、「今夜はYES」で蛎崎さんの「♪リアクション!」「♪クラクション!」が聴けます(その部分、玉置さんは歌うの省略していたんです)。
蛎崎くんは目立ってなかったですねえ。メンバーよりも声が入っちゃまずいとでも思ったのかもわかりません。その意味ではBAnaNAだけ名前叫んじゃダメと判断したというのもない話ではないでしょう。
佐野さんとかハマショーとか尾崎くんとかの系統は実はあんまり知らないんですよ。ハートランドってあった気がしますね。安全地帯だって当時はもう中高生が主なリスナーってわけではなかったんですから、多少高くても買っただろうになあ。
当時はまだまだCDの価格は高かった、そんなふうに思います。ビデオの方で儲けようとしていたのかもしれません。
CDに「夢になれ」が入っていないのは、単純に玉置さんの「バナナ〜!」の掛け声のせいではないでしょうか。メンバー紹介さえ収録されていないアルバムで、バナナさんだけフィーチャーされてちゃねぇ(苦笑)。
せっかくコーラス参加の蛎崎弘さんが全く目立ってないのも残念。ミキシングエンジニア何やってんの(苦笑)?
翌年に佐野元春の「HEARTLAND」という活動総括ライブ盤が、ボックス入り写真集付きの作品で発売されましたが、比較すると、時代とはいえ、皮肉にも、レコード会社の規模の差が出てしまった感はありました。
すみません、少々辛口コメントになりました。