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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
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2023年09月10日

凡人

玉置浩二『ニセモノ』一曲目、「凡人」です。

曲は「スパン!」と実にこ気味のいいドラムの音から始まります。そして開放弦もまじえたメインリフが繰り返されます。これがこの曲全体のリズム、サウンドを象徴しており、「凡人」といえばこのリフ、これを弾けば(玉置ファンなら)誰もが「あっ「凡人」だ!」とわかる大きな特徴となっています。ですから、これが耳に残って仕方ないというわたくしのようなリフマニアにとっては、早くも一曲目にしてこの『ニセモノ』が名盤であることを確信させられた名リフとなっています。

さて歌が始まりまして、ポワンポワンとした、おそらく鍵盤と、後ノリのベースに乾いた音のドラムだけ、たまにギターでアオリが入るというシンプルな伴奏で玉置さんがハイテンションに歌います。元気のよい、という形容がピッタリ!簡単にいいますけどもこれが難しいんですよ。世の中にはどんな役を演じていても同じキャラにしかならない役者さんがいるのと同様に、どんな曲を歌っても同じ感情しか表現できていない歌手というのもいるのです。その点、玉置さんは元気のいい歌としんみりした曲はハッキリと表情が違います。これは冷静に考えるとおそるべき表現力であって、わたしら「ワインレッドの心」のしんみりした色っぽさと「真夜中すぎの恋」の劇的に元気のよい色っぽさをたて続けにくらってから約四十年も麻痺したまんまなんですが、世の中にはこんなとんでもない歌手もいるのでした。色っぽいのは変わんねえじゃねえかコノヤローとお𠮟りを受けるかもわかりませんが(笑)、いえいえいえ、玉置さんは「田園」という色っぽくない元気な曲も出しているではありませんか。さらには郷愁の「メロディー」、応援歌の「ルーキー」と、キャリアが積み重なるにつれてもはや人間の感情全方面にわたるのではないかというくらいバラエティ豊かな、それでいて曲想にズバリで鳥肌モノの感情表現を聴かせてくれます。

さてそんな元気のいいボーカルで歌われる世界は、何やら不思議なニオイに満ちています。裸になって文句がない?値うちがあるから見張る?お腹がすくからカッカッカッカッカッカッ?そして天国で踊り、そして落っこちる……ことによるとこれは恐ろしい曲なのかもしれません。底抜けに明るいアレンジに演奏なんですが、歌われているのはもしや……堕天使なのでは……。偽典とされる『エノク書』には、地上の人間を見張る使命をもった天使アザゼルが人間の娘にすっかり魅了され、なんと200人(?)の天使を率いて人間の娘と交わり、天国の秘密たる医療、呪術、金属加工法と武器製造法、染料の知識等を人間界にもたらしたとの記述があります。神からすればこれはとんでもない裏切りです。なにしろ職務放棄、秘密漏洩であり、しかも天使と人間の境界をぼやかしてしまうことによって神の秩序をこれでもかと乱したわけですから。まあ偽典なんでしたらマトモに取り合うようなものでもないんでしょうけども、神からしたら実にけしからん内容であるわけなのです。で、こんだけいろいろ書いておきながら、根拠は「天国」と「見張って」だけだという(笑)。

普通に考えて、裸になるというのは衣服を脱ぐことではなくて本気になるとか本音でぶつかるとかカッコつけずに素の自分で勝負するとかそういうことでしょう。それで素の自分に価値があるのならそう思って勝手に注視していればいい、こっちはもう腹くくってるんだから、自分のできることをするだけだ、という意思表明に思えます。もちろん腹ごしらえもしっかりしてカッカッカッカッカッカッ、うん、やっぱり謎だ(笑)。「カッカッカッカッカッカッ」が以前登場したのは「愛してるよ」なんですが、あのときも「ゲラゲラ笑ってりゃカッカッカッカッカッカッ」というやっぱりわからない描写でしたもので、謎は深まるばかりです。うーん、高笑いか、怒りかなんでしょうけども、どっちでもそれなり納得できるしどっちでもやや釈然としないものが残ります。「愛してるよ」に一か所、この「凡人」に二か所、それぞれ違う感情を表現しているのかもしれません。どれもが怒りと高笑いとがないまぜになった複雑すぎる心境を表しているのかもしれません。全方面感情表現と言いつつ、その方面がよく分らないものまでカバーされているとは想定しておりませんでしたが、そりゃわたしがわたしの語彙なり経験なりで表現できる感情しか歌われていないと考えるほうが不自然なのです。

さて曲はその複雑な「カッカッカッカッカッカッ」に導かれて天国から落っこちるサビへ、印象的な裏メロとそれに合いの手を入れる何やら鈴的な音に乗せて、天国で!踊り狂って!落っこちて!と印象的にもほどがある歌詞を叫び気味に歌い、あっというまに通り過ぎてイントロのリフに戻るのです。早い!この展開の早さはこれまでなかなかなかったように思います。

曲は二番、演奏にとくに一番と変わったところはありませんが……歌詞のほうは不可解さを増してゆきます。そしてボンクラ耳のわたくしいま気づきましたが、これ玉置さん二回(以上)歌って重ねてますね。一番に比べて二番のほうがやや揺らぎが大きいのかもしれません。23年も経ってやっと気づきました。遅い!だからちゃんとなんて聴いていなかったんですねえ、いま思えば。オジー・オズボーンが声を太くするためにダブルボーカルにしてるんだってインタビュー読んでましたから技法としてはもちろん知ってましたが、だから何なのオジーじゃ仕方ねえなくらいにしか思ってなかったんですね。まさか玉置さんが声を太くすることをねらってそんなことするわけねえだろって思ってますから、そもそも想定にないんです。普通に考えれば非力を補うだけじゃなくてもともと十分な力感をさらに増すとか、微妙な揺らぎを表現技法として取り入れるとか、使いどころはいくらでもあるんです。アタマが固いと人生損しますねえ、四半世紀もそこにあるものに気がつかないでいたんですから。ですから、虚心坦懐にというか、ただただ耳に聴こえてくるもの、胸に感じるものを思考のフィルターで減じないようにしたいものです。いやホントに。

眠れなくて明日が見えない……むう、それは続くようなら病院に行ったほうがいい……いやこれは結構マジです。玉置さん自身、心を病んでしまってひどく辛い思いをなさっていますから、睡眠によって頭をリセットすることの重要性をよくご存じで、それが出来ずに苦しんでいる人への思いやりもハンパではないでしょう。よくたやすいことを「朝飯前」というのですが、これ、たやすいから朝飯を食う前の力が弱っているときでもできてしまうという意味ではなく、朝飯前がいちばん物事をたやすく処理しやすいという意味なんじゃないかとわたくし思っております。睡眠によって昨日の些事はすっかり忘れてしまっていますから思考はクリアですし、早朝にはウザい連絡来ないし(笑)、血糖値が低いからかものごとを早く片づけて飯を食いたいと思ってますし。夜だと二時間かかることを三十分くらいでできてしまう感覚があるくらいです。ですから、眠れないというのは一大事、ほんとうに「明日が見えません」くらいの惨事だといえるでしょう。さっさと眠ってつまらないことは忘れ、名前があるんだかないんだかわからない人のいうことなどに惑わされず、金があるとかないとか、それでできるとかできないとか、イライラしちゃうとか高笑いしちゃうとかの思考を遮るノイズをいったんリセットして、クリアな状態で毎日を始めるべきなのです。そうすると……サビの「天国で踊り狂って」というのは、もしかして仕事の異様にはかどる早朝のことなのでは?(笑)。で、だんだん日常のノイズに支配されてゆくさまを「落っこちて」と……そんなわけあるかって思うんですが、まあ、ひとそれぞれ「天国」、つまり絶好調のときというものはあるものです。それがわたくしの場合は早朝だってだけのことで。そしてそこから落ちてゆく、その最中に雲にまじったり星をつかんだりする……つまり絶好調の間に重要なヒントを手に入れることが出来るというわけなんですが、この積み重ねこそが、「平凡」なとき、つまり通常時において「凡人」が十分なパフォーマンスを発揮できるコツなんだとわたくし考えております。

ひとは絶好調のとき、わたくしの場合は早朝なんですが、天才かって思うようなことができることがあります。そこでつかんだ星は人を驚かせ、他者から一目置かれるようになることさえあるでしょう。絶好調のときの産物だから、言ってみればマグレなんですけども、他者はそう思いません。ですから凡人は絶好調を維持して周囲の期待に応えようと、自己管理を行うようになります。「天国で暮ら」すために。

さて間奏に、非常に単純ながら印象に残るギターソロがありました。これ、やっぱり二本で弾いていると思います。この微妙な揺らぎとハーモニーが「カッカッカッカッカッカッ」に聴こえます。やはり高笑いのような、イラツキのような、そんなギターソロです。凡人なのに、天国で踊ってしまった、つまり神のような天才のようなパフォーマンスを見せてしまった、そりゃ有頂天にもなりますし、焦ってイラツキもするでしょう。おれは凡人なんだとわかっているからこそ、不似合いな世界に躍り出てしまったことによる高揚感と焦りはひどく心を消耗させます。「夢が醒めて」「平凡な男になって」……そうすればラクなんですが、それでも天国で暮らすためには、平素におけるパフォーマンスを高く維持するしかありません。なんか、どこかにないですかね、ムリしないで天国にいられる方法って。

さて、一ヶ月ばかりほとんどお休みさせていただいた当ブログですが、実はまだ完全復調というわけにはまいりません。やや頻度は落ちますが、それでも少しずつは前に進もうと思います。早朝とかに(笑)。

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posted by toba2016 at 11:51| Comment(2) | TrackBack(0) | ニセモノ

2023年09月03日

『ニセモノ』

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玉置浩二8thオリジナルアルバム、『ニセモノ』です。発売は2000年4月、『GRAND LOVE』から約二年後のことでした。

前年の『ワインレッドの心』で、もう安全地帯復活秒読みだろうと思っていたわたくし、このソロアルバムの登場に正直驚きました。なぜ安全地帯じゃないんだろう?もちろん玉置さんの情報を平素から追いかけていた人ならば、先行シングル(「虹色だった」と「aibo」)が出た時点でもうお分かりだったと思うのですが、まだ安全地帯は復活していませんでした。聞くところによると、いったんは安全地帯(武沢さんぬき)でレコーディングしたものの、玉置さんがぜんぶ録りなおして自分のソロとして出しちゃった、だからタイトルが(安全地帯の)『ニセモノ』だという笑えない話があったそうなのです。

以下は志田歩さんの「玉置浩二3万字インタビュー本文」からの引用(青文字にしてあります)です。

「あれから連絡1年とらなかったですからね。でも矢萩とはね。矢萩のギターはだから残っていると言ったら変ですけど」
安藤 (笑)
──(笑)
「矢萩はだから残ってるんですよ。矢萩は問題ないですね。でも「みんなはちょっとガッカリしてたみたいだぞぅ」なんて」
安藤「その時は武沢さんはいなかったの?」
「うん。もう一人の(安全地帯の)ギターね、武沢ってのはいなかったんだけど。だけど去年のツアーでその武沢ってギターがまた入ってきて、ええ。それでギターが二人揃って。安全地帯のギター二人と俺で去年ツアーやったら、今度はもっと安全地帯をまた始めるかなって実感があるんですよね。ただドラムとベースが、今それぞれ音楽じゃない仕事をやっているので、様子を見ているところですね。それを辞めさせてまたこっちに来いっていうほどのものかね?っていうような感じですね。それは迷っているところです」


六土さん田中さんの音、あるいはそれらがふくまれたアンサンブルに納得がいかなかった……ということなんじゃないかと思います。お二人とも90年代玉置さんのツアーには参加されていたわけですから、けっして傍からわかるほど腕が落ちていたり感覚がズレていたりしていたようには思えないんですが、だからこそレコーディングまでは行った、だけどボツにした、というのが玉置さんによるそのサウンドへの評価の結果だったと思うのです。もう一つは、武沢さんぬきのレコーディングのまま安全地帯の名前でリリースしたくないという気持ちもあったんじゃないかと思われます。

ちなみにこの志田さんのインタビュー、超貴重な資料です。ダンボールを叩くようになった経緯だとか、歌詞を書く様子だとか、ベースが得意だとかスティーリー・ダン好きだとか、いろいろなことがわかりますのでファンの方はぜひご一読を!

そんなわけで、玉置さんのこだわりが窮極にまで発揮された結果としてソロ八枚目のアルバムとしてリリースされることとなったこの『ニセモノ』、そうですねえ……わたくし個人は、これ安全地帯ではなくて玉置さんのソロで出すべき作風だな、とは感じました。もちろんバンドでレコーディングすればそれなりバンドの作品ふうにはなるんでしょうし、曲によっては非常に安全地帯よりというか、安全地帯の未来において実現してたようなサウンドが散見されるんですけども、これはリリース時点では玉置さんソロの作風だと思います。のちに玉置さん自身もお気づきになったことなんでしょうけども、武沢さんの復帰はもちろん必須として、『安全地帯IX』で「星さん、またやって」と星さんに声をかけることであるとか、歌詞を松井さんに依頼するなど、安全地帯の作品を作るにはまだ必要な仕掛けがあったように思うのです。『ニセモノ』には共同プロデューサーとして須藤さんの名前がクレジットされていますけども、それも安全地帯のサウンドとは別物であることを意味しています。ただ、武沢さんの復帰を提案なさったのはほかならぬ須藤さんだそうですから、須藤さんが安全地帯復活に果たした役割が超巨大であったことは間違いありません。あくまで、『ニセモノ』のサウンドが安全地帯でなく玉置ソロであった要因に須藤さんのプロデュースがあったということです。

このように、玉置さんソロであるべき理由というものを書いてまいりましたけども、人がレコーディングしたものをボツにしていいとはわたくし全然思っておりません(笑)。「ちょっとガッカリ」じゃ済まない暴挙だと思います。こういうことが出来てしまう人だからこそ、玉置さんや安全地帯の作品はこんなにも胸をうつのだと思い知らされたエピソードです。とてもとても申し訳ない気持ちにされられます。わたくし、先月(今年の八月)にぜんぜん当ブログを更新できませんでしたけども、その理由の一つにレコーディングがあります。そうです、レコーディングに参加していた、というか、とある作品にアレンジ・演奏で参加していて、ポチポチ打ち込んだりギター弾いたりしていたのです。で、これでどうだ!とできた音源を送ってみたところ、あんまり反応がよくありませんで(笑)、「ちょっとガッカリ」いたしました。頑張って考えて作ったのになあ……でもまあ、仕方ありません。結局は基本アイデアはそのままでちょっと録音を差し替えしただけで印象がガラッと変わったらしくオーケーが出ましたけども、まるごと録り直しとか、あるいは他に依頼されたとかになったら、ヤサグレちゃいましたよ、もう。アレンジとか演奏ってのは自分の子どもみたいなもんで、取り返しがつかないその時々の「自分」の分身なんです。だからわたしは、自分の作品にほかの人を参加させるときには、可能な限りその人のアイデアを受け入れるようにしているんですよ。最初はイラっとしてもだんだん馴染んでいって、そのうちオリジナルの自分のアイデアが塗り替えられていきます。一人よりも二人分のアイデアのほうが豊かに決まってますから、たいていはそうしたほうがうまくいくんです。こんなアマチュアの甘い思いなど遥かに超えた次元で玉置さんはボツにしてしまいますけども(笑)、そのくらい安全地帯とか玉置浩二というアーティスト像へのこだわりこそが、この緊張感とそれによる感動を生んでくれたのでしょう。

さて、一曲ずつの短い紹介を。

.凡人 ノリノリのオープニングナンバー、「カッカッカッカッ……」に「愛してるよ」の面影があります。
2.古今東西 スリリングな二曲目(「闇をロマンスにして」みたいな)のイメージを見事に継承してます。
3.ターンテーブル 二曲目のスリルを増幅させるスローでミステリアスなアコギロックです。
4.ジェスチャー 「大丈夫」「心配ない」と歌ってくれるんですが、不安は募るばかりの不穏さです。
5.aibo やっとバラードだ!シングル曲で一息……なんてとんでもない号泣ソングでした。
6.懺悔 「RELAX」を彷彿とさせるサビの力で叩きつけられるような剛腕ソングです。
7.常夜灯 このアルバム随一の号泣ポップソングです。わたくし的アルバムNo.1です。
8.淋しんぼう つづけさまに号泣ソング、バラードです。
9.御伽話 『安全地帯IX』に入っていてもおかしくない安全地帯の未来を予言したサウンドです。
10.あの丘の向こうまで これも『安全地帯IX』あたりにありそうな未来ソングです。
11.夢のようだね しつこいようですが、これも『安全地帯X』あたりの作風をみせるバラードです。
12.虹色だった シングル曲です。『安全地帯X』と玉置浩二『GRAND LOVE』の中間あたりのバラードです。
13.ニセモノ 「見破」りはせず志田さんのおかげで真相を知りましたけども……胸の痛む号泣バラードです。

時は2000年、世紀末だミレニアムだーとテレビが浮かれていた(それしかネタがないのか?)時代です。北海道拓殖銀行が潰れ、長銀、山一證券が破綻、ビッグな金融事件が相次ぎ一体どうなっちゃうのさ!と不安で一杯なのにウッチャンナンチャンがポケビブラビで華やかにパフォーマンス、モーニング娘は黄金期で絶好調、海の外ではクリントン大統領が「不適切な関係」で大炎上し、共和党政権へのバトンタッチやあの9/11まで秒読みの世界情勢ですから国際関係だって穏やかであるはずがありません。ひそかにノストラダムスの「七の月」も迫ってました(笑)。ですから、破壊と創造がごっちゃというかなんというか、破滅と新時代の雰囲気がミックスされた、実にカオスな状況でした。

わたくし、個人的に、この年にそれまでの生活をいったん(半分以上やむを得なくて)リセットしています。三月でそれまでの生活に区切りをつけ、これからどうしよう……と迷っていた時期でした。まだまだ二十代中盤で若く、なんでもできる気分ではありましたからそんなに悲惨な感じではなかったんですけども、それでも怖かった、本当に怖かったのです。行き止まりに突き当たった感覚でした。そんなとき「”aibo”はもう聴きましたか?」と海外の友人から、英語だったか日本語だったかもう忘れましたけども、メッセージが届きました。「"aibo"ってわかんないな、玉置さんのシングル?」「とってもいい曲だから聴いてみて!」「じゃあアルバムが出たら聴くよ、いまちょっとお金なくてシングルは買えないんだ」「そうなんだ……」それから一か月ほど経って、なけなしの三千円でこの『ニセモノ』を手に入れ、その元気のいいサウンドに驚き(『GRAND LOVE』『ワインレッドの心』の雰囲気まったくなし!)、そして「aibo」に……涙しました。詳しくは「aibo」の記事に譲るとして、メッセージをくれた友人に、ありがとうを伝えました。当時普及し始めたADSL回線だったか、まだテレホーダイだったかも忘れましたが、ICQでアッオー!アッオー!とやり取りは続きました。

そんなわけでこの『ニセモノ』は、平成不況ど真ん中、氷河期世代の嘆きも最高潮の時期に出されたこのアルバム、いろいろな思いの詰まった思い出のアルバムなのです。

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