安全地帯『安全地帯II』一曲目「ワインレッドの心」です。
「えー 僕らと みんなの 出逢いの曲を 歌います」
このセリフ、どんな気持ちで玉置さんは言ったのでしょう。
この曲がなければ、出逢いはなかったと、わかっていた、
わからなければならなかったのは、
どんなに辛かったことでしょう。
このような曲を、自分から作る気はなかった。自分たちだけではこの曲は生まれるはずがなかった。
その後のヒット曲も、生まれることはなかった。
それは、玉置さん自身が、誰よりも知っていることでしょう。
その能力がなかったわけでは断じてありません。
星勝さん「浩二はどんな曲でも作れる才能があった」(『幸せになるために生まれてきたんだから』より)
そして、『Remember to Remember』の各曲を聴けば、「ラスベガス・タイフーン」、「エイジ」、「アイ・ニード・ユー」などの随所に、すでにその要素が十分に表れていることは、すぐにわかります。
ここに、最後のピース、井上陽水さんの歌詞が合わされば、最高の曲ができるのは、後から見れば明らかです。
あとは、最高のタイミングで打ち出すだけ……ここに、サントリー赤玉パンチというワインのCMを選んだのは、信じられないほどのナイスアシストでしょう。
ルックスのイメージチェンジは……はっはっは(笑)。いや、笑い事じゃないですけど、「売れる」わけないですよね、『Remember to Remember』のジャケット写真じゃ。世のロック好きに受けるのは「売れる」とは言わないでしょう。少なくとも、それじゃ安全地帯のメンバーが陥っていた苦境を解決する力はなかったはずです。それなら、どんなに不本意でも、髪をセットしてシックなスーツに身を包む以外ありません。
星勝さん「あれ以外に、売れる方法を考えられなかった」(『幸せになるために生まれてきたんだから』より)
本当に、本当に、そうなんです……よね……でも、それが、玉置さんを後に苦しめることになった……いや、そのまま売れないままだったらもっと苦しんだ……そのまま「売れた」以外に、玉置さんの苦しみを避ける選択肢はなかったように思われますが、それがどんなに細い糸であったかは、
この曲、「ワインレッドの心」で「売れた」。その事実によって、イヤというほど思い知らされたことでしょう。
天上の神々の世界のことですから、わたくしのような下々の者は、本来なら察することさえできないはずなんですが、情報化社会はこんな天上の世界の情報まで、かなり信頼できそうなレベルでばらまいてしまいます。
「置き手紙」を聴いて、ああ、この人はどんなつらい恋をしたのだろう……なんて想像するけど、そんなことわかるわけない、ああ、それもせつない……とかなんとか妄想していた時代が、一番楽しかったような気がします。
さて、この曲、一発で覚えてしまう矢萩さんによる粘っこいギターソロのイントロ、
それまでの安全地帯には完全に欠けていた、オトナ(になりかけの人)の心の機微をとらえた、朴訥なだけの男と、勝手に失恋したと思い込んでいる女性による悲喜劇のようなドラマが、甘い歌詞で綴られるAメロ、Bメロ、
ここで発揮される、矢萩・武沢によるコンビネーション・プレーの高い完成度が、いちいち心のロックじゃないところ、ロックしか知らない心の弱いところを、わざと刺激してきます。
そしてこれまた一発で覚えてしまう、韻を踏んだかのような遊び心で、人の心の奥底まで覗きこんでいるかのような「もてあそびぶり」満点な詞にのせて、信じられないほど巧みな技法で、信じられないほど伸びやかで繊細な心の持ち主を思わせる声で歌われるサビのメロディー。これがまた、人の心を溶かすかのように甘い印象を、心を雑巾絞りするかのように強烈に叩き込みます。
ギリギリまで抑えたかのような、粘っこさ(イヤらしい!と書いてしまえば楽なんですが)満点の矢萩さんによるギターソロ
ダメ押しとばかり繰り返されるサビ
超絶技巧を、なんとスパニッシュギターの音色で聴かせる武沢さんのソロ。そこで曲をフェードアウトさせていくことで逆に得られる切なさ。
この間、ずーっと、淡々と曲をキープすることに専念している六土さん田中さんのリズム隊。
完璧としか言いようがありません。
メンバー、星さん、井上陽水さん(ノート三冊も使ったそうです)、キティのみなさん、関係者みんながとてつもない時間と労力を注いで作られた、この完璧さ。
だからこそ、玉置さんは、バンド以外の関係者の力を知ってしまった……。そして、「売れる」ということが、どういうことなのかを、身をもって知ってしまった……。玉置さん自身が「破滅の始まりだった」と振り返った名曲「ワインレッドの心」は、誰が何といおうと、玉置さんの曲と歌の力こそが、この曲の最大要素であるとわたくしは思います。
だから、玉置さんは「これは俺の力で売れたんだ」と思ってもいいはずなんです。普通なら。
でも、きっと玉置さんは知ってるんですよね。自分とメンバーの力を誰よりも信じていますが、自分たちの力だけでは、あと「いくつかのピース」が足りなかった、ということを。
かりにこの曲が、こんな大ヒットでなく(80万枚とも90万枚ともいわれています。これは、80年代中盤では大大ヒットです)、ふつうのヒット(10万枚程度)だったとしたら、彼らの運命もまた違っていたでしょう。でも、時代が、安全地帯を見逃さなかったわけです。
玉置さん「いきなりレコード店に何万枚も注文が来ちゃって」(『幸せになるために生まれてきたんだから』より)
この後、一年に二枚も三枚もアルバムを出すような、信じられないペースで曲を量産してゆく時代に入ります。CMで「24時間働けますか」が流れる時代ですが、その歌が冗談にならないのが、当時の芸能界で「売れる」ということだったようです。
玉置さんは、きっと、この曲を歌うと胸が痛んだことでしょう。「ふつうに、安全地帯の代表曲って感じ」で歌えるようになるまでに、どれだけの回数、この歌をファンのために歌ってくれたのでしょう。
わたしが、この時期の玉置さんに勝手に感情移入して「この曲嫌いなんだ」とか「この曲を好きなのは素人だけさ」とかいうのは、おそろしく滑稽なことです。言ってみたいですが(笑)。
この曲がもたらしてくれた「出逢い」に感謝して、この曲に注ぎ込まれた労力と時間に敬意を表して、そして、奇跡のようなこの曲のあらゆる要素を、これからも存分に楽しみたいと思います。それが礼儀だ、とか、カタギの仁義だ、とかじゃなくて、単にいい曲はそうして楽しみつづけるべきでしょうから。
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ちなみに、ワインレッドのことが書かれてるコラムは「帰れない二人」というタイトルが付いています。失礼しました。
そうですねえ、自分の音は後ろのアンプから聴こえてはいますけども、アンサンブルとしてちゃんと溶けてるかはとても気になりますから、返しにどの音をどのタイミングで入れてもらうのか、プロは入念にリハーサルします。音響の人はぜんぶノートに書いてやるんですけども、最近はデジタル制御でセミオートになってきてますから少し楽になっています。ちなみに、曲中にあっちこっち走り回ってるギタリストがいますよね。あれは、ステージ上のパフォーマンスとして見せている場合もあるんですが、聴きたい音の強く出ているスピーカーの近くに移動していることがほとんどです。あっこの曲は間奏のところでドラムの音がちゃんと聴こえてないと合わせそこなう!とかです。音響の人との兼ね合いによりますねえ。
武沢さんのコラム、すごいものを教えてくださってありがとうございます!なんとも懐かしい作りのホームページでした。まずは最初の1つ(2003.05.16ホームページ開設にあたって...)を読みました。素敵です。武沢さんのインスト曲「夕暮れ」を思い出しました。音楽に対する志や思い入れの素晴らしい、心の柔らかい方だったんですね。もし同級生だったら恋してたタイプの人ですw ワインレッドの歌詞について書かれているページにはまだ辿り着けていません。スゴイ詞だったので3回書き直してもらった、というのは聞いたことがありますが・・・
そしてメジャー・マイナーコードのお話ありがとうございました。間奏ってBメロのコード進行だったんですね。たしかにマイナーのままのほうが、間奏のギターへ素直に繋がる気がします。おっしゃるとおり、わたしもメジャー終わりのほうが変わり種という感覚です。そうしたい何かがあるのだろうな、と思っていました。なるほどイントロに戻る時の仕切り、とも取れますね。2番は間奏へのつなぎ、という気づきだけでも感動です(長いこと気になっていただけに)。本当にありがとうございます。
ポンコツ耳ですが、聴けば聴くほど色んな音が聴こえるようになってきて、今は武沢さんのアルペジオの美しさに惚れ込んでいます。そこに教えていただいたコラム・・・安全地帯だけで気持ちがあちらこちらに発散してしまい、うれしい悲鳴です。
さて、ワインレッドのメジャー・マイナーですが……マイナーのところはそのままギターソロに入りますよね。で、そのコード進行はBメロとだいたい同じはずです。Aメロというか、イントロに戻る時はメジャー、Bメロに戻る時はマイナーというふうに使い分けているんじゃないかと思うのです。たまたまソロ前の一か所しかなかったからマイナーが珍しい状態なんだと思うんですが、わたしの感覚的には(だから玉置さんや安全地帯の思惑とは違います)ここはマイナーが通常の流れで、メジャーにするときは変わり種なんです。で、その変わり種はスタートに戻る時の「仕切り」として機能しているんじゃないかと思います。
ちなみに、武沢さんが2004年にお書きになったコラムなんですが、陽水さんがすんごい歌詞を書いたという証言になっています。はっはっは。
https://web.archive.org/web/20040729071133/http://yutakatakezawa.sub.jp/
ところで「ワインレッドの心」でもう一点気になることがあります。YouTubeで「玉置浩二 デモテープ」というのを見つけました。1曲目が「ワインレッド・・」で、すでに完成されたアレンジに、玉置さんがタマ語?で歌っているのです。感動しました。あの状態で、陽水さんに渡されたのだとしたら、陽水さんもテンション上がったでしょうね。
で、1番サビの最後と、ラスサビの最後はメジャーコードで終わっているのですが、2番サビはキーと同じマイナー調で終わっています。わたしは、歌詞の意味を考えてそういうアレンジにしたのかと思っていたのですが、後から「曲先行」だということを知りました。
あれは玉置さんやメンバーが何かの意味を込めているのか、単なる趣味とかノリとか遊び心とか、理由がまったくわかりません。ただ、すごく引っかかって仕方ないのです。トバさんはどう思われますか?ご意見伺えたら嬉しいです。
安全地帯のこと、特別のバンドだとお思いになっているのですね。わたくしもですとも。どうぞまたいらしてください!
たしかに、ツインリードが並んだり、向かい合ったりというのはカッコ良いですよね。矢萩さんと武沢さんも、向かい合って演奏しているのを見ると、見ていてすごく盛り上がりますw
私はあまり多くのバンドをここまで意識して見たことがないのですが、安全地帯は自分の中で特別、別格です。調べれば調べるほど、聴けば聴くほどあらゆる面で面白くてたまりません。
またお邪魔させていただきますね。
というのは、ライブ映像みてると、足元にスピーカーがいくつも置いてあるのがおわかりになると思います。返しとかコロガシっていうんですけど、あれ、ステージ上の任意の音を聴きながら演奏することができるんですよ。だから、ハモリのときは返しに相棒の音を入れてね!って音響の人に頼んでおけば、わざわざ二人がくっついて弾くことはしなくていいんですよ。
で、イーグルスの初期はそういう装置が未発達だったのか、あるいは隣りにいてほしいのか(笑)、とにかく互いの音がちゃんと聴こえるようにしていたわけです。ナイトレンジャーや安全地帯の時代は当たり前に返しが機能してますから、べつに両端に分かれたままでも弾けるんですが、相棒の手元をみながら合わせたいとか、二人で仲良くひとつのメロディを作っているのを感じたいだとか、その様子をお客さんにみてほしいとか、いろんな理由でギターソロのときだけ並んだり向かい合って弾いたりするのです。安全地帯がアンサンブル超絶上手なのはもちろんとして。
最近知ったイーグルスとナイトレンジャーもツインギターのバンドなんですが、ステージ上での立ち位置が面白いのです。イーグルスはギター2人が隣同士。ナイトレンジャーは舞台両側に分かれていますが、ツインギター演奏のときは近寄ったり並んだりしています。
それがライブ映像を見た中では、矢萩さんx武沢さんは舞台の両側に離れた状態であの綺麗に揃ったハモリを弾いてらっしゃるんですよね。リズム隊がしっかりしているからなのか、メンバー皆さんのリズム感がすごいのか、バンドに詳しくない私には分かりませんが、2人の距離だけでも感動していました。
ほんとに、実際に目の前で見てみたいです。
安全地帯のツインギターは本当に見事です。お手本といってもいいです。若い人たちみんな見習うといいんです。ライブだと息を呑むくらいすごいですよ!
やはりツインギターなのですね。私はライブに行ったことがないので、行けたらそのときはぜひ見てみたいと思いました。
おっしゃるように、サビ前はツインギターのハモりですね。ライブでは矢萩さん武沢さんでハモってるのが聴いてわかります。レコーディングだとどういう分担をしたかはわかりませんが……。
1曲ずつ紐解いています。その都度お邪魔して勉強させていただいています。ありがとうございます。
じつは最初に気になったのがこの曲のリードギターでした。イントロは矢萩さんのなんとも耳に残るギターから始まりますが、気になったのはサビ前のやはり印象的なワンフレーズなのです。あれはツインギターでしょうか。なんとなくハモっているように聴こえるのですが、どうなんでしょう。あの音色がたまりません。
それからもうひとつ、編曲は星勝さんも関わられたとのことなのですが、あのイントロとサビ前のギターフレーズなどなど歌のメロディ以外の部分は、いったい誰が作ったのでしょうか。これに限らず編曲「安全地帯」の場合、イントロなどは矢萩さんが作られたりするのでしょうか。あるいは武沢さんとか。
そういうどうでもよい?ことばかりが気になり先に進めませんw
わたくし、歌詞は歌う人が書いたほうがいいと思ってます。歌詞だけでなく歌メロも歌う人が作ったほうがいいでしょう。詞と歌メロは歌手の生き様、精神、肉体をダイレクトに表現するものだからです。それがピタッとハマってないとどうしても違和感があります。ボーカリストが作ってきた歌詞で、なんだよその歌詞!と最初聴いたときはコケちゃうような歌詞でも、ちゃんと心を込めて作った歌詞と歌メロを一生懸命歌えば、何回もリハやってるうちに馴染んできて、他の歌詞が思いつかなくなります。
サビの不安定さ、なんかわかる気がします。よりによってそう歌うか?というラインをなぞってきます。だからこそ多くの人に届いたんでしょう。
ラジオで話してましたが、詩も曲も陽水さんに書いて貰おうとされていた事を玉置さんは山手線の中で聞いて、それは絶対に嫌だったから、1週間こもって必死で作った中の1曲がワインレッドの心でした。あと、上京した当初、山手線の中でワインレッド色の傘だか服の男が、乗っていた子供にちょっかいを出しているのを見て、助けることも出来ず何も行動出来なかった自分がいたそうです。それで、何で自分は何も出来ないのか寂しくなり、北海道へ帰りたかったと。他にもまだ幾つか辛い経験があるそうですがまた後日に。安全地帯メンバーみんなのことをいつも自分は一番に考えていたし、もしダメだったら皆で北海道へ帰ろうと思っていたそうです。解散とかも含めて。
それでワインレッドの曲が降りてきたその時にはあらゆるセンサー、アンテナが雷か稲妻のように、または締め切り前の作家の如く泉のようにメロディーが湧き出たのでしょう。
このイントロ、Aメロはなんとなくつながっている感じ。それがBメロから1段ギアが入って、違うところへ行く予測がリズムからも感じられます。で、サビがちょっと不安なメロディーを、何とも言えないところへ当てるような叫びのボーカル。陽水師匠が詞をかなりの回数を書き直したという(メロディーが耳から離れずノート一冊使ったと)
逸話があります。
また、恋の予感のほうは、最初松井五郎さんのほうのなぜ、なぜ、のところだけ使われ、結局また8回陽水さんは書き直したといいます。
この時期の玉置浩二ソングライティングは、圧倒的に冴えまくってました。空腹を充たすものは夢しかなかった、と松井さん著のフレンドにありますが、同じものは2度とつくれませんし(柳の下にどじょうは聞きますが)クリエーターとして新しい物を作る時には、前の物を壊して作るのが殆どの人の流儀。私なんかは同じものばかり好んで、好き嫌いはありませんが似てる物で満足してるからダメなのでしょう。
そんなわけで、ワインレッドの心から受ける印象は、いつもサビが不安定な心の叫びだなぁ、です。ありがとうございました。
旭川いいですよ!好きな街です。最近はだいぶ寂しくなったかもわかりませんが、中心街の賑わいは札幌を思わせるものでした。さすがに大阪や東京は思わせませんけども(笑)。カムイに行かれたり、宮下さんのレストランに行かれたり、ああ、うらやましい(笑)。
お仕事、ご夫婦お二人ともお忙しそうですね。旭川に用があるのも、「安全地帯」関連なのも何だかうらやましいような気がいたします。ただ、お体には気をつけてください。体を壊したら旭川もあったもんじゃありませんから。
あのころ、LP高かったですよね。
実は、夫が長い間、仕事で毎年のように旭川に行っていました(展示会で)。子供が大きくなってから何度も『ついてこない?』って誘われたのですが、とうとう行かずじまいでした。今年は絶対ついて行こう!(ただし、別行動で 笑)と思っていたのですが、夫も日程が合わず行けなかったのです。ゆかりのある所に行ってみたかったし、どんな風景を見ていたんだろうと、、、
釧路本線にも乗ってみたかったなぁ♪
デビュー直後からご存じだったとは、なんてうらやましい!
本当に長い間、ずっと安全地帯のことを見ておられたのですね。
余談ですが、本当の(元になった)安全地帯に関する分野の仕事をしています。
あれが出てくると、ちょっとニヤっとしてしまいます(笑)。
わたくし、旭川にゆかりがありますもので、安全地帯のことはデビュー後まもなくには意識しておりました。同じく北海道の、松山千春のレコードを買い求める父母の(ふたりとも旭川の人間です)会話中に出てきていたのです。若いのにすごく歌がうまい安全地帯というグループがある、と。最初は漢字四文字のグループ名に感銘を受けただけですが(笑)、その後テレビで観たりレコード屋で流れているのを聴いたりして、どんどん身近になっていきました。そのうち友人の家に『LIVE』があるのを発見し、そこから一気……というわけでもなく、一月に一枚くらいがせいぜいのペースでどうにか入手していったのです。だってLP高かったじゃないですか。
そんなわけで、曲との出会い、ではなく、実は名前と存在との出会いが先でした。なんだかお恥ずかしいような気がいたします。
こういうセンスがたまりません。
以前からちょっとお聞きしたかったのですが、
トバさんが安全地帯にハマったキッカケは何だったのですか?
お時間ある時でかまいませんので、教えていただけたら幸いです。
ルックスのイメージチェンジは、古参ファンを逃がす結果を生みがちですが、安全地帯の古参ファンはルックスにはあまり興味がなかったのかもしれませんね、その点は問題なかったものと思われます(笑)。いやー、あんなシックな集団、さすがの80年代でもあんまりいなかったように思われます。20代中盤にして第一印象が「渋い!」ですからね。むしろ、あれ以外はありえないほどハマっていました。素養があったんでしょうねー本人たちが望むと望まざるとにかかわらず。
「ステキな映画をみたあとのように」でしたっけ、『We're ALIVE』の、玉置さんのメッセージ。音楽という別のステージで、最高の映画と同じような興奮をつくりだすことのできる「安全地帯」というプロジェクトは、その中心にいた玉置さん、松井さん、陽水さんの天才ぶりがとくに際立っていたんですね。「ワインレッド」の前後に起こったいくつかの出会いが、この物語において欠かせないピースになっていたわけです。ああ、奇跡ってまれには起こるんですね。
女には女にしか分からない、「遠回しな言い方」があります。
決して直接的な言葉ではなくて、時には「その本人」にしか分からない(周りには分からない)ちょっと卑怯にさえ思える言い方をしたりするんです。
古くは太古の昔(笑)からのDNAなのでしょう。男は狩りに出て獲物を獲ってくる=集中力が必要で、女は集団で子供を守り、農耕をしながら男を待つ。そんな中で、直接的な言葉をぶつけるという事を避けながら、伝達する手段として発達したのでしょうね。
男性も経験を積むと次第に分かるようになるのでしょうが、若い時はきっと無理です。
息子二人を育てて、よーく分かりました(笑)。あ、+夫を含めて。
でも、男性でも分かっちゃう人がいるんでしょうね。
家族に女性が多い人とか、自然に分かる人もいるのでしょう。
そんな言葉をあの声で、あのメロディで歌われたら、たまらないでしょうね。
私も30年後にやっと意味が分かったので、偉そうに言えませんが(笑)。
ルックスのイメージチェンジは大成功でしたね。
でも、あっという間に洗練されていったのは、元々その素養があったのだと思います。
音楽でも芸術でも「科学する」って大切だと思いますし、何よりも楽しいですよね。
トバさんの文章も細かく分析されていて、だから読み手として納得できて面白く、感動するのです。
そこにご自分の経験が面白おかしく織り込まれていて、時々一人で大笑いしてます。
映画でもかなり巧妙にプロットが組立られていますし、そうして練り上げられたからこそ、深い感動が味わえたりします。
安全地帯や玉置さん、松井さん達は、多分あまりそういうことを意識せずに感覚的にしているのだろうと思います。
天才ですね。
pukupukuさんの、あれは口説いてるんだ、で、ボンクラな頭をだいぶ揺さぶっていただき、そしてかなり腑に落ちました。ほんとうにありがとうございます。ただ、これで満足せぬよう、今後も精進する決意であります(笑)。
他アーティストで、これに匹敵する出会いの曲ってなかなかないですね。ほんとうに感謝です。
この曲の持つ運命というか、宿命というか…創られるべくして創られた名曲だったのですね。
30年を経て「代表曲」と言われる以外の曲を聴くようになって、安全地帯の真骨頂というのは、むしろギターバリバリのロックの曲なんじゃないかと思うようになり、でも次第にそれも変化して行きました。
あまりに幅の広い曲を作る才能に驚き、聴き出したら止まらず、クタクタなのにいつもこんな時間になってしまう。
『ワインレッドの心』は、本当に尊い『出会いの曲』でした。
この曲に込められた様々な思いや苦しみを深い洞察力で書いてくださったこと、感謝します。
2005年のライブ、玉置さんのソロのやつですね、これを聴いていたら、本当に、ぐたぐた悩むよりも酒でも飲んで〜という感じなのに気がつきました。それと同時に、『安全地帯II』の時点ではそうは聴こえないことにも気がつきました。なんか、若いせいか、必死さがどうしても出てるんですよね。それがあの曲の、あの時点での、若者特有の不安定さをうまく掴んでいるように思います。
陽水さんは、おそらく「ぐだぐだ悩むよりも〜」という気持ちを込めて詞をお書きになったのでしょう。むしろ、そうとしか読みようがない詞です。
しかし、玉置さんとメンバーたちがあまりにマジで必死だったために、レコーディングが終わってみると絶妙の色合いで悲恋なんだか恋の小休止に強がってみせているんだかさっぱりわからない、不思議な、オトナになりかけっぽさが表現されてしまっていた…ということなんじゃないでしょうか。歌の力、演奏の力が強く作用して、陽水さんの詞にすら化学変化を及ぼしてしまったものと推察します。
しばらくお返事できませんで申し訳ありません。重ねてお詫びします。これが私のできる、精一杯の推察です。
要は「ぐだぐた悩んでるより酒でも飲んで楽しもう」という
非情にポジティブな歌なのである。