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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
プロフィール

2023年11月11日

ジェスチャー

ニセモノ [ 玉置浩二 ]

価格:2,228円
(2023/9/10 11:54時点)
感想(0件)


玉置浩二『ニセモノ』四曲目、「ジェスチャー」です。

ブブ!ブブブブブブブ……とギターの低音弦を使ったであろうリフと呼ぶべきかどうかも悩むような単調な繰り返しが始終鳴っています。たしかに心地よいんですが、なんとこれに「ギャーン!ギャギャ!ギャーン」というストロークでアクセントを入れる、基本的にはだたそれだけのアイデアで一曲突っ走ってしまうのです。玉置さんあなたどれだけ思い切りがいいんですか!ホントにこれだけでいいのか?と不安になっていろいろ付け加えてしまって曲を台無しにしてしまうのが一般的であるし、一般的すぎてそれがダメになっていると気がつかないケースこそが99パーセントのJ-POPだと、見事に曲で示してしまっています。素材がよければそれだけで勝負できるという、安全地帯初期からチラホラと垣間見えていた玉置さんの曲作りに対する心構えが貫徹された結果であるといえるでしょう。いやじつに爽快です。

そのブブンブブブブブ……にあわせて玉置さんのボーカルが「いつもの〜」を繰り返します。「ギャンギャーン!ギャギャ!ギャーン」には「大丈夫」「問だーいなーい」「ぜーんぜんしんぱいなーい」と、「アーイ」と「〇ン、〇、〇ンアイアーイ」を繰り返す仕掛けになっているわけです。よって、歌詞の意味自体はそこまで重視されておらず、リズム・ライム最優先の制作姿勢で作られたことがうかがえます。したがって「ジェスチャー」という言葉の選択にもそこまで深い意味はないだろうとわたくし考えております。

ただし、トータルには玉置さんからのやさしいメッセージがよく感じられる歌詞です。よくできているなあ……なんて偉そうな態度で鑑賞しては申し訳ないのですが、よくできています。このころの玉置さんは歌詞ばっかり考えていたそうで、こういうノリ重視で物語構築に難のある曲でも、歌詞全体をみれば強いメッセージを感じられるように考えてお作りになっていたのだと思われます。「フリフリ」なんて全く意味はないですもん。そこは歌詞カードで渦巻き状に歌詞を掲載するという離れ業を使うことによって「フリフリ」の連呼にこういう包み込むような、泣いている赤ちゃんをあやすような、そういうやさしい意味を付加することに成功しているように思われます。包み込むんでなくて玉置ワールドに引きずり込まれているんじゃないのといえなくもありません(ギャバンの魔空空間)。

いつものメンバー、いつものスタイル、ゲームが台無しになったりそれでもバッチリだったりしても、全く問題ない!心配ない!だって僕たちはいつものジェスチャーで以心伝心、おたがい何を望んでいるかわかっているんだからさ!だからなんだっていいんだよ……ああ、ここでまた、このアルバムが当初安全地帯でレコーディングされていたという事実が重くのしかかってきました。気心知れた、知りすぎたメンバーで、バッチリだ!大丈夫だよ問題ないよ……問題あったのです。バッチリじゃなかったのです。玉置さんはきっとニコニコとメンバーを励ましながら、ストレスを溜めていったのだと推測されます。なんか違うんだよな……でもニコニコ!ん?浩二どうかした?もう一回やろうか?いや大丈夫大丈夫、大丈夫だよ……と。これはどうしたって仕方ないのです。だって玉置さんは軽井沢ノリ全開になっていましたが、他のメンバーはそうじゃないからです。

プレイヤーには癖ってものがあります。たとえばわたくしですと、ピッキングの前にちょっと空振りして勢いをつける癖があります。これをやると、ほんの僅かですが最初のアタックが遅れます。ですからそれを補正するためにちょっと前のめりでピッキングする癖がついています。これは機械で演奏するようなジャストタイミングからは本当に僅かなんですが(波形を見てもほとんどわからないけど、人間なら気がつく人は気がつくってくらい)ズレるんです。もちろんレコーディングではそれをしないように気をつけて弾きますし、普段からその癖を矯正するように心がけてトレーニングもしているんですが、それでも少しは録音された音源には痕跡が残るんです。たぶん自分でないと気がつかないレベルの痕跡なんですが……こういうものが積み重なって、その人の音というものは出来ています。これは普段から合わせて演奏していると、おたがいに矯正したり補ったり、あるいはその癖を活かしたタイミングで全体が動いたりと、いろいろな作用が働いてバンドの音というものが出来ていくのです。名手である矢萩さん六土さん田中さん、そしてもちろん玉置さん自身にもこういう癖はあるのでしょう。それ自体はむしろ味ってもんですから否定されるべきものではありませんし、これを否定するなら音楽なんてやらないほうがいいです。それこそ現代の流行歌みたいに下手すれば機械に演奏させて機械を人間がコピーするような技量を発揮して演奏し、歌も機械でしかできないようなムチャクチャな譜割の細かさと音程の上下で歌えるようにトレーニングして歌っていればいいじゃないですか。やや、いつのまにか現代流行歌への文句になっていますが(笑)、ともあれこのとき、武沢さんを除く安全地帯はこのバンドとしての音を形成できずに終わったのです。玉置さんのソロ歴の長さ、そして特定のごく少人数(二人とか)で音を作って形成された軽井沢ノリになっていた影響がここにモロに出てしまったんじゃないか……と思われるのです。いわば、機械とは対極にある玉置さんや安全地帯だったからこそこうなったわけなのでしょう。

さてそんな人間、天才超人玉置さんは、シンセサイザーでやればいいものを、いろいろな工夫で不思議な仕掛けを曲に忍ばせています。イントロのパーカッションからして正体不明な音がかなり使用されています。キットカットの箱?ダンボール?いやそんな音じゃないだろ?ってやったことないからわからないんですが、聞いたことない打楽器の音が右から左から響いてきて、感じたことのない感覚にフワフワと浮遊感すら感じるほどです。そして「ブブブブブブ……」が入って、ようやく玉置さんの声という聴きなれた音が入ります。「大丈夫」前後からベースや通常のドラムセットが入って本当に安心させられます。「いつものジェスチャーだーい」と、この「だーい」が安全地帯や玉置ソロの盛り上がっていたころを彷彿とさせます。音は激しくダイナミックなのにむしろホッとさせられるという不思議な逆転現象です。

曲はまた「ブブブブブブブ」で二番に入ります。今後はドラムがずっと入っていて一安心なわけですが、なんだか危なっかしいリズムと音で、別な意味で心配になります(笑)。よくよく聴くと一定さってものがあまり重視されていない感じなんです。もしかしたらこれが玉置さんのわかりやすい癖のひとつなのかもしれませんが、ここを田中さんが叩くと鋭すぎてこの感じが出ないかもしれません。そして二番は「だーい」ツタ!(ズシャーアアアン!)と大音量で最高に盛り上がる間奏が予想されて終わるんですが、この間奏というのがものすごい肩透かしという不思議な構成になっています。アコギとエレキで「トルルルーンルーンルトルルルー」となんだかスケールを単純になぞりましたって感じのギターソロ、それに続けて「キューン……キュンキュンキュン……」と玉置さんがストラトキャスターのブリッジをグリグリと押し付けて出したような無音階に近い音が響くばかりです。『CAFE JAPAN』くらいから散見されてきましたが、玉置さんはこういう、ギタリスト的には到底思い切れないくらいシンプルで奇妙なギターソロを用いることがあります。違うだろここは泣きのメロディだろ!と思うのはもちろんわたくしの勝手だし、それもずいぶん浅はかな発想なのでしょう。

さてソロが終わりまして、「☆身近な武器☆」という謎の言葉と「☆フリフリ☆」「☆素晴らしい☆」を裏で繰り返すという、常人には到底思いつかない声の楽器化によるリフを炸裂させます。もちろん『カリント工場の煙突の上に』における「家族」ですでに派手に使われた技であって、その後も散見されるわけなんですが、この箇所はメインの歌も「大丈夫」「問題ない」「もうぜんぜん心配ない」がひたすら繰り返されるだけで、どっちが楽器化されてるんだか、メインなんだかサブなんだかわからないという仕掛けが施されています。「バッチリだ」がわざわざ一か所だけ太字で書かれていて「キュルキュルキュルキュル」と目の覚めるようなギターが挿入されるなど、凝り方が尋常じゃありません。これだけ凝った励ましソングはそうそうお目にはかかれないことでしょう。そして励ましは明確には終わる様子を見せることなくフェイドアウトしていきます。

曲の骨格アイデア自体はごくごくシンプルな一発勝負、だけれども凝った仕掛けが施されていて容易にはその正体をつかんだ気になれない、この時期の玉置さんに特徴的なロックだと思います。『JUNK LAND』よりシンプルでリラックスしているけれども、そのリラックスしたぶん遊び心が感じられるという、絶妙さのよく感じられる曲だといえるでしょう。

ニセモノ [ 玉置浩二 ]

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posted by toba2016 at 10:17| Comment(2) | TrackBack(0) | ニセモノ
この記事へのコメント
うお!わたしより細かく聴いてますね!安藤さんぜんぜん気づきませんでしたよ!
Posted by トバ at 2023年11月12日 20:39
イントロに玉置さんお得意のヨーデルも入ってますね!(笑)
「声の楽器化によるリフ」も拡声器っぽい音色で面白い!
「バッチリだ」に女性の声、これ安藤さんでしょうね。(セクシー!&#9825;)
Posted by ちゃちゃ丸 at 2023年11月12日 19:46
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