玉置浩二5thアルバム、『CAFE JAPAN』です。40万枚以上を売り上げた玉置浩二ソロ最大のヒット作となっています。
40万枚という数は、『安全地帯VI 月に濡れたふたり』『安全地帯BEST I LOVE YOUからはじめよう』クラスの数字であり、『安全地帯V』に迫るものです。そんな安全地帯全盛期以来の『CAFE JAPAN』がいかに大ヒット作であったか、想像がつこうというものです。
前作『LOVE SONG BLUE』は寂しい年末に寒い部屋で聴いたあげくに、音楽の変化についていけず二回目以降の聴き込みを必要としたわけですが、このアルバムは初聴時にすぐ「これは名盤だ」とわかりました。どこかでもらったCDウォークマンを使って飛行機の中で聴いたのですが、札幌千歳空港に着陸するころに聴き終わり(いまはわかりませんが、当時は飛行機の中でCDを聴いてよかったのか、逆に当時はダメでカセットに録音したものを聴いたのか……はっきり覚えていません)、これは久々の一発お気に入りだ!と興奮気味に空港内を歩き、市内への電車に乗り換えたところでもう一度聴こうとしたら涙の電池切れ!悶々としながら実家最寄り駅までほぼ立ちっぱなしの帰省ロード!フッいつだってJRエアポートは混みすぎだぜ(ギュウ)……。
珍しいことに95年は玉置さんのアルバム発表がなく(ライブアルバム『T』はあった)、玉置さんどうなってるのかな?と少し心配になっていたタイミングでもあります。わたしの知る限り、安全地帯も玉置さんソロも新作アルバムを出さなかった年というのはこれまで89年だけでしたので、さみしい一年でした。その間玉置さんはといえば、コンサートはもちろん、俳優業を頑張っていらしたようで、まったく音沙汰がなかったわけではなかったのですが、わたくしなにしろ当時からあまりドラマに興味がなく、足利義昭も見ませんでしたし、『コーチ』も何回か偶然観たに過ぎませんでした。いま思えば意地でも観るべきだった……。
ですから、「STAR」もいっぺん聴いたかどうかですし、「田園」の大ヒットも知ってはいましたがよその世界のことでした。ある夜中、筑紫哲也のニュース番組のエンディング「メロディー」がとつぜん部屋に流れました。クレジットを確認するまでもなく、それは玉置さんの曲でした。こ!これは!『カリント工場の煙突の上に』の世界だ!「田園」で快進撃している時期に、玉置さんはあの辛かった『カリント工場』の時代をもう一度振り返ったのです。
おそらく同じ時期にNHKで放映された『玉置浩二37歳のメロディー』で、この当時の玉置さんの状況を垣間見ることができました。お父さんと稚内まで歩いたこと、石川鷹彦さんとアコースティックツアーをやったこと、「元気な町」でお兄さんがドラムを叩き、仲間たちとステージに立ったこと……え!石川鷹彦?千春とか拓郎のギター弾いてる?それはまた……ずいぶん上世代の人と一緒にやるんだなあ……と驚いたものです。
志田さんの『幸せになるために生まれてきたんだから』は当時まだありませんでしたし、インターネット時代も始まったばかりでしたから、ほとんどのことをその番組で初めて知りました。2000年代以降とそれ以前とでは情報流通の絶対量が全然違います。その情報を知りたいか知りたくないか、知ったほうが豊かな音楽ライフが送れるのか送れなくなるのかはともかく、当時はアルバム自体が語ること以外の情報はほんとに少なかったのです。「安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ」なんて一曲ずつぜんぶ語ろうとしちゃうあげくに公開しようなんてするバカ(あちき)も当時いませんでしたし。
そんなわけで、前情報ほとんどなしに空の上で聴いた大ヒットアルバム『CAFE JAPAN』、一曲ずつ短いご紹介をいたします。
1.「ファミリー」カフェで行われているミニコンサートのような雰囲気で奏でられるジャズ的ナンバーです。
2.「CAFE JAPAN」前曲から一転、ズシズシと低音が響くロックナンバーです。
3.「田園」前曲に続くズシズシロック、ドラマ『コーチ』のテーマでほぼミリオンの大ヒットソングです。
4.「ヘイ!ヘイ!」音のすき間が効果的なリズムをもつロックナンバーです。
5.「STAR」一番最初の先行シングルで、東京電力のCMソングでした。アコギのバラードです。
6.「SPECIAL」前々曲と並ぶノリのよいロックナンバーです。お祭りに行きたくなります。
7.「フラッグ」アコースティックなロックです。工場労働者の日々を思わせます。
8.「Honeybee」このアルバム随一のエロティック・ロックです。『JUNK LAND』先取りの佳曲でしょう。
9.「愛を伝えて」アコギ主体のバラードです。私事ですがわたくしこれが本アルバム中一番好きです。
10.「あの時代に…」青春を振り返る悶絶ものの切ない歌詞とメロディーをもつバラードです。
11.「メロディー」筑紫哲也NEWS23エンディングのバラードで、玉置ソロで三本の指に入る有名曲でしょう。
一流ミュージシャンを多数起用した『LOVE SONG BLUE』から一転、このアルバムは『カリント工場の煙突の上に』のようにほとんどの演奏を玉置さん本人が行っています。プログラミングやキーボードに安藤さん藤井さんを起用したほかはギターもドラムもほとんどです。ただ一曲、最後の「メロディー」は田中さん六土さん矢萩さんが参加されていて、安全地帯復活の兆しを感じられました。わたくし呑気で、武沢さんが参加されてない理由など思いもよりませんでしたが……いずれ安全地帯は復活すると信じることができました。実際にはこれから五年ほど後になったわけですが……それでも、信じられたのです。
歌詞は須藤さんと玉置さんで、須藤さんの力にすっかりおそれいっていたわたくし、もちろん気分はウェルカム!こうして、秋の気配が濃くなってきた九月に発売された玉置さんの一年半ぶりのニューアルバムは、わたくしにとってひどく苦しかった90年代後半〜2000年ころを明るく生きてゆく勇気を与えてくれたのです。その当時はもちろんそんな予感すらありませんでしたが、「田園」や「フラッグ」はこれからつらい時代を生きてゆかなければならなかったひとりの氷河期世代の若者(わたくし)を長く救う歌になったのでした。
では次回以降、一曲ずつ語ってまいります!
玉置浩二 / CAFE JAPAN(完全生産限定盤/Blu-specCD2) [CD] 価格:2,088円 |
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