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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
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2020年06月23日

『安全地帯VI 月に濡れたふたり』


『安全地帯VI 月に濡れたふたり』です。88年4月発売で、スタジオアルバムとしてはおおよそ一年半ぶりのリリースとなります。

このアルバムは、シングル曲四曲、カップリング一曲を抱え、実に収録曲の半数がシングル関連になっています。なんだそりゃ、ベストアルバムかよ、と思いますよね。しかも、非シングル関連のアルバム曲のみならず、収録されなかったカップリング曲さえも強力な曲ばかりで、掘り起こす楽しみに溢れたアルバムと言えるでしょう。このさい全部収録して二枚組にすればよかったのにと思わなくもないんですが、安全地帯は精選した十曲のみで新たな段階へと進むことを選んだのでしょう。

88年、まだ学研から『△○コース』、旺文社から『△○時代』という学年誌が売られていた頃、安全地帯もその中に掲載されたチャート情報の一員でした。光GENJIとか少年隊とか南野陽子とか浅香唯とか、そういう人たちの写真が大きめに掲載されるカラフルなページの中、安全地帯という漢字四文字だけのインパクトが静かに光っていたのです。「8位 月に濡れたふたり 安全地帯」みたいに。学年誌での扱いは、当然ですがジャニーズ二軍的扱いだったSMAPや平家派よりもはるかに低く、いかに安全地帯がオトナ向けであったかがよーくわかる誌面構成になっていました。

いま思えば平家派って、のちにトキオとかV6とかでジャニーズを支える人たちですよね。野口隆史くん(反町隆史くん)にしろ、カンコー学生服の宣伝に学生服を着て出ていた小学生の香取慎吾くんにしろ、みんなみんな、こののち20年とかにわたって日本の芸能界表街道を邁進していく人たちでした(光GENJI以外は)。

そんなアダルト向け安全地帯ですが、小銭持ってレコード屋をウロウロするしかできない中高生とは違っていくぶんカネのあるオトナたちに「I LOVE YOUからはじめよう」「Juliet」「じれったい」「月に濡れたふたり」を擁するこのアルバムは売れまくります。Wikipediaによると36万枚を売り上げたそうです。EPはEPでカップリングが欲しくて買っちゃいますから、LP2800円、EP700×4=2800円で、5600円もかかったわけです。うーんオトナ。

「じれったい」「Juliet」「月に濡れたふたり」が先行シングルで、「I LOVE YOUからはじめよう」はシングルカットです。それなのに、前三作のカップリングはアルバムに収録されず、シングルカットされたほうは二曲ともアルバムに収録されているという、なんだか納得のいかないセールス方法なんですが、「I LOVE YOUからはじめよう」のジャケットがやけに格好良くてうっかり買っちゃいそうなのが怖かったです。どっちも知ってる曲じゃん!あああでもこのジャケットはほしい!ちょうどこのころ音楽好きの間でCDプレイヤーが普及しきったころで、当然買うならCDなんですが、例によってジャケットが大きくて格好いいというだけの理由でEPレコードを買いそうになるのを何度もこらえた記憶があります。聴くのはCDアルバムで二曲とも聴けるから、観賞用にレコードを、と思ったんです。札幌地下街のレコード屋で手をプルプルさせながら悩み、地下街を端っこまで冷やかしてまた戻ってきて手をプルプルさせ、地上に上がりアーケード街を冷かしてはまた地下に潜ってプルプル……そんなに時間と体力を浪費するくらいなら、いっそ買っておけばよかったと心から思います。わたしにとって、若さとは馬鹿さなのでした。

このアルバムの後、安全地帯は活動休止を宣言し、「微笑みに乾杯」をリリース、『安全地帯BEST〜I LOVE YOUからはじめよう』を残して表舞台を去ります。二年後の『安全地帯VII〜夢の都』まで空白期間が生じますから、しばらくのあいだこの『安全地帯VI〜月に濡れたふたり』は最新スタジオアルバムだったのです。しばらくといってもたった二年ですけども、当時の世の中で二年はとても長かったです。わたしは渇きを癒すため『TOPGUN』のサントラやDEAD OR ALIVEの『NUDE』などに手を出すも、少しもハマれずレコード屋をまた徘徊することになります。ありもしない安全地帯の音源を求め、レンタル落ちした1480円の『安全地帯BEST』をみてはため息をつき……もはや廃人です(笑)。いま思い出しましたが、この時期にBON JOVIやMOTLEY CRUE、GUNS N' ROSESに手を出したんでした。わたしがハードロック馬鹿になったきっかけはこのように安全地帯によって与えられ、そして安全地帯の活動がすっかりなくなった90年代(『安全地帯VIII〜太陽』以降)に加速していったのでした。

さて、一曲ずつコメントしていきたいと思います。

1.I LOVE YOUからはじめよう
 爽快ハードロックナンバー、問答無用のカッコいいオープニングです。ここでのI LOVE YOUは女性を口説く文句じゃなくて、人生を応援することばなのです。
2.悲しきコヨーテ
 一気にダークな、これもハードロックなのですが、前曲とうってかわって恋愛方面に悩ましい曲です。
3.Juliet
 せつない失恋バラードです。ストリングスがエレガントで軽やかなのに、歌詞がこの上なく後ろ向きで物悲しいという、曲も歌詞も複雑なナンバーです。
4.じれったい
 タイトルナンバーよりも有名で人気もあるという、なんだかズルいヒット曲です。『安全地帯LIVE To me』に収録されているせいか、なんだか『安全地帯V』よりのイメージなんですけども、だんぜんこっちのアルバムのほうが居場所として似合っています。
5.星空に落ちた涙
 日航機123便の事故に遭われた坂本九さんに捧げられた、涙モノのバラードです。
6.夢のポケット
 安全地帯の子どものコーラス入り童謡、子守歌、卑怯なくらいハマっています。サビがあまりに気分が盛り上がりますので、子守歌に歌うと子どもがそこで起きます(笑)。
7.No Problem
 ベースが「ドゥドゥンドゥンドゥンドゥンドゥンドゥン〜」と曲全体をリードする軽快なダンスナンバーです。安全地帯に期待されていたタイプの曲では決してないと思うのですが、いつのまにか引き込まれてゆくもの凄い吸引力を持つ曲です。
8.Shade Mind
 なぜかぜんぜん言及されることのないハードロックナンバーです。『夢の都』あたりのツアーで演奏されたことがあるらしく、「うれしい!」と叫んだ女性のエピソードを雑誌で読んだ記憶があります。カッコいいのに埋もれてしまっている感が高い曲です。
9.月に濡れたふたり
 タイトルナンバーの、ボサノバ調バラードです。玉置さんの変な踊り(笑)は、この当時からありましたが、最近でも踊ってますね。安全地帯が新たなサウンドに挑戦し続けるバンドであることを明確に示した名曲です。
10.Too Late Too Late
 レイ・チャールズがカバーした名バラードです。遠すぎてとどかないさよならは、この後二年にわたって私を苦しめたのでした(笑)。

では、次回より一曲ずつ語ってまいりたいと思います。このアルバム、ちょっと密度が濃すぎやしませんかね。いや、安全地帯のアルバムはみんなそうなんですけど、とりわけこのアルバムは何せ何十万枚も売れたシングルだらけですから、何十万人の思い出を汚してしまわないように心がけてまいりたいと思います。

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感想(1件)


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この記事へのコメント
そうですねー、CDのほうが使い勝手の面が大幅に上回りますので、いいと思います。オーディオ専門店に足をお運びになれば、レコードの一枚二枚は試聴用に回ってますので、どんな音かをお聴きになることはできると思いますけども、そういう店はなにぶん値段のケタが違うモノが多いため、あまり参考にならない可能性がございます。うっかりオーディオにハマると中部電力管内に引っ越しするなどの奇行に走る方もあるようですので、注意が必要です。

レコードラックありました。いまでいうカラーボックスに毛の生えたものから、高級感あふれるメーカー品までいろいろです。とにかくオーディオは場所をとるモノでしたね。テレビもブラウン管でやけに太かったですし、居間を圧迫してました。家賃の10%はテレビとオーディオのために払ってたんじゃないかと思うほどです。今の若い人がスマートフォンに月で万単位のお金を使うのに似ています。

このアルバムもナイスな曲だらけですので、頑張って記事を書きたいと思う所存であります!
Posted by トバ at 2020年07月02日 05:34
ありがとうございます。そうなんですね。素人なので、私も空気感とかだったら分からないと思います…笑。興味はあるけどCDの方がいいかなと思いました。専用のラックがあったってすごいですね。ワインみたい!便利になるのはいいけど、何でもその分風情が失われますね。どっちがいいのか…。このアルバムは好きな曲が多いので、一曲ずつの記事も楽しみにしてます。
Posted by at 2020年07月02日 00:27
こんにちはリサさん。アナログ盤レコードですが、音がいいかどうかは、正直なところよくわからないんですよ……。すごく耳のいい人ならわかるんでしょうけども……。レコードか、それを録音したカセットか、ラジオしかありませんでしたので、そのなかでは当たり前ですが断然レコードでした。CDをはじめて聴いたとき、あまりの音のクリアさに驚いた記憶がありますので、少なくともわたしの再生環境ではCDのほうが良かったのです。ですが、音の柔らかみが、とか、生演奏により近い空気感が、とかのレベルになると、もうわからないんです。

ひとつ確実なことは、ジャケットが大きくて良かった、というより、CDのジャケットがちゃちだったというべきでしょう。まだ当時の家庭にはレコードラックがありましたし、保管も鑑賞もできたのです。オーディオの場所は最優先で確保されてましたから。
Posted by トバ at 2020年07月01日 07:28
こんばんは!
レコードの話がありましたが、CDとは音が違いますか?
ハイレゾはレコードの音を目指して作られてるらしいですが、レコードの音ってどうですか?レコードってすごく高いですよね!専用の機械も買わなきゃいけなくて、それも高いし…笑
Posted by りさ at 2020年07月01日 02:28
こんにちはKOHALさん、最新も最新、書いたばかりの記事にコメントくださりありがとうございます!とてもうれしいです。

幼稚園のころが安全地帯原体験とは!もはや安全地帯ネイティブといっても過言ではありません。そうか……昔を懐かしんでばかりいてはいけないのですね。非ネイティブのわたくしも努力しなくては!

「消えない夜」、どんなこと書いたかなーと自分で見てみたら、プレアデスとか書いてあってひっくり返りました。今とはちょっとテンションが違うようで、いまご期待に添えるか、あるいは添えていたのか、とにかく『月に濡れたふたり』の記事をいまの自分で精一杯書かせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
Posted by トバ at 2020年06月27日 17:07
とても楽しく拝読しております。
安全地帯が音楽の原体験だった幼稚園時代から、行きつ戻りつのファンです。
別記事にてとりわけ大好きな「消えない夜」の解説をしてくださっているのを読み、嬉しくなりました。
自分の気づかなかった魅力を共有してもらえると、楽しみ方が拡がるものですね。
最新記事は「月に濡れたふたり」とのこと。
このアルバムの表題作やJulietが好きで、学生時代よく聴いていました〜。
楽しみです。
Posted by KOHAL at 2020年06月27日 16:48
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